ねえ、完全に見た目があれだよね私!?   作:たられいら

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ここがタルタロスか 礼をしに行こうじゃないか

さて、我だ万事だ

現在の時刻は午前0時、場所はタルタロス上空だ

いやなに、子触の精神に干渉してくれたおかげで我が表に出てこれるようになったからな、AFOに

 

「礼をしに行こうと思っただけだ」

 

しかしタルタロスの警備は恐ろしい、対空システムが張り巡らされ、地上から行くには一本だけかかっている橋を渡る必要がある、海中から行こうにも、深さとセンサーにより防がれる

さすが、冥界の名がつけられるだけはある

 

「しかし、我の前では意味がない」『個無域』

 

万事の右手から黒い霧が溢れ、タルタロス全体を覆っていく

 

「この霧の内部では、個性を使うことが出来なくなる、異形型や我は例外だがな」

 

万事が下降し、タルタロスへと降り立つ

 

「さて、入口はこっちだったか」

 

「貴様、何者だ!」

 

タルタロスの看守が拳銃を万事に向ける

 

「ほう、この異常事態にパニックにならず自らの責務を全うするために来たのか、素晴らしい行動力だ」

 

「質問に答えろ!この霧は貴様が出したものか!」

 

「その通りだとして、どうするつもりだ?」

 

「ここで貴様を止める!」

 

素晴らしい、得体のしれない相手に恐怖を感じながらもそういうとは

 

「貴様のような精神を持ち合わせたものがどれほど居るだろうな、して、その拳銃は我には意味をなさない、発砲はオススメしない」

 

「貴様が動かなければ発砲はしない!この霧を無くし、即刻立ち去れ!」

 

「生憎だが、我も目的があって来ている、それは受け入れられないな」

 

万事が歩き、看守の背後にある扉に向かっていく

 

「動くなと言ったはずだ!」パンッ!

 

弾丸が飛び、万事の眉間を貫く

 

「良い腕だ、が、言っただろう、我にそれは意味をなさないと」ズズズッ

 

眉間に開いた穴が塞がり、万事は歩みを進める

 

「!」

 

「しかし、躊躇いもなく発砲するとは素晴らしい判断だった、我の用事が終わるまで眠らせてやろう」『幸夢』

 

万事の右手が看守の顔を覆い、紫色の煙で眠らせる

 

「さて、あまり寄り道は出来ないな、外と通信が出来ないよう、電波系を阻害しているが、異変に気づかれるだろう」

 

我が用があるのはAFOだけだ、さっさと行くとしよう

 

「カメラを気にする必要はない、タルタロスの異変が外へいつ伝わるか、それだけ懸念していれば良い」

 

やはり中は慌ただしいな、まぁ電波が通じない状況で慌ただしくなかったらそれはそれで不安になるが

 

「しかし、職員が多いな・・・ふむ」『認識不可』

 

これで、カメラには映るが慌ただしく動き回っている職員や看守には認識されない

どうやら外へ電波が通じなくなって慌ただしく動いているようだな、我がここを離れるまで繋がらんからな

 

「下りるか」

 

エレベーターに万事が乗り、下へ向かっていく

 

「揺れがほぼ無い、少しの揺れでも個性が発動する可能性を懸念してのことだろうな」

 

揺れを蓄積し、解放することで周囲を破壊する個性も存在するからな、過去にそういう事例があったのかは知らんがな

 

「ん、ついたか」

 

扉が開き、万事が音を立てながら通路を進む

 

「看守等が見当たらないという事は、まだここまで手が回っていないか」

 

それか、すでに確認が済んでいて、入口等の確認や復旧作業に勤しんでいるかもしれんが

 

「しかし通路はきれいに管理されているな、部屋の中がどうなっているかは知らんが、所々視線が飛んでくるな」

 

我の存在を認知しているのか、違和感を感じているのか、どちらにしろ気配に敏感な者だろう、見ているのは・・・赤黒血染と筒美火伊那か

 

「・・・まぁ、我の目を認識していないから、改変は後でいいだろう」

 

興味は湧くが、今回の目的はAFOとの接触だ、それに気になったということは後々我が接触する可能性があるという事、それまで待つだけだ

 

「それにしてもAFOは最奥か、やはりそれだけ、警戒され、恐れられているという事だろう」

 

何の個性を持つかわからず、どのような組み合わせで何を引き起こすか予想もつかないのだからな、我はAFOの所有している個性を把握しているがな

 

万事の足が止まり、扉を見る

 

「ここか、やはり時間がかかるな」『開』

 

扉が開き、椅子に縛り付けられ座らされたAFOの姿が万事の視界に映った

 

「この騒ぎを引き起こしたのは、君かい?」

 

「ああその通りだAFO、貴様に会うためにこれほどの騒ぎを起こしてみせた」

 

やはり、底しれない悪意を感じるな

 

「僕に会うために引き起こしたのかい?」

 

「これほどの騒ぎを起こさねば、少々面倒だからな」

 

「不可能とは言わないんだね?」

 

「被害を気にしなければ、我は全てを滅しここに来る」

 

しかし、その悪意も、我の前では弱いものだ

 

「所で、君は誰なんだい?僕のことを知っているようだけど、僕は君のことを知らない」

 

「ほう?貴様は我に触れただろうに、忘れたというのか」

 

「触れた?」

 

万事の手がAFOの手を掴む

 

「再現してやろう、神野区の出来事を」『万事 心移』

 

 

 

 

 

荒廃した精神世界にAFOと万事が立っている

 

「君か!心子触から奪おうとして、僕が飲まれかけた!」

 

「その通りだ、その時の礼を言いに来たところだ」

 

「礼?」

 

「貴様が心の精神に介入したことで、このように我が表に出てこれるようになった、そのことに対しての礼と」

 

万事の両手に風が渦巻く

 

「貴様が心から我を奪おうとしたことに対しての礼をしに来た」『心離の風』

 

両手から黒い風が飛び、AFOの周囲を飛び交う

 

「その程度で僕を倒せると思っているのかい?」

 

「なに、貴様を倒すのが目的ではない」

 

ボロッ

AFOの体から何かが剥がれ落ちる

 

「っ?何かが僕から消えた?」

 

「消えたのは貴様の奪った個性だ、試しに貴様が気に入っていた増強系の個性は全て壊してみたんだが、どうだ?」

 

AFOの顔が歪む

 

「我の目的は、貴様の個性を消し去ることだ」『滅裂』

 

万事を中心に黒い亀裂が発生し、AFOに向かっていく

 

「くっ!まさか、そんな力があるなんてね!」

 

「中々逃げるじゃないか、精神世界だから疲労は無いだろうが、ここの主導権を握っているのは、我だ」ズズズッ

 

地面が隆起し、AFOの行く手を阻む

 

「こんな、不条理があるか!」

 

「貴様の言えたことか、だが、そうだな、理解できずに奪われても、何も感じられまい」

 

AFOを追っていた亀裂が消え、万事が手から光を出す

 

「現実に戻ろうか、そこで貴様の全力を打ってくるがいい」『意覚』

 

 

 

二人の視界に、真っ白な部屋が映る

 

「さて、現在ここタルタロスは我が個性を封じる霧で無効化しているのだが・・・貴様の全力を見せてもらおうと言ったからな」『理与 個性使用』

 

「はぁ、はぁ、何をした?」

 

「貴様がここで個性を使用できるように理を与えた、ついでに先程精神世界で抹消した個性を再生、さらに貴様の肉体を全盛期にしておいた」『理与 無限空間』

 

部屋の壁や天井が二人から遠く離れていく

 

「これで、貴様の全力の一撃が出せるだろう?」バキンッ!

 

音を立て、AFOを拘束していた椅子が消滅し、AFOが自由に動けるようになる

 

「ただ、貴様の技を受けるのは一度きりだ、我をどうにか出来ねば、今以上に悲惨な状況になるだろうな」

 

「ふ、フフフ、わざわざ有利を捨てるなんて、愚かだね」

 

「愚か?違うな、我は我の実力を過信していないが、相手が一人ならどれだけ実力があろうと負ける気がしないだけだ」

 

「それじゃあ君を殺して、ここから出ることにしようか!」

 

『全因解放 全ては一つの目的のために(オール・フォー・ワン)

 

AFOの全身に様々な身体、羽、触手等が重なり、巨大化していく

それに合わせ、個性が重なり、巨大な衝撃波を発生させている

 

「ほう、中々の大きさだ、本体はビル一つ分ぐらいか、衝撃波を含むと・・・街一つ分ほどか」

 

この部屋を広げておいてよかったな、タルタロスが消えていた

 

「押し通る!」ゴォッ!

 

巨大化したAFOが高速で飛び、万事に向かってくる

 

素晴らしいスピードで、素晴らしいパワーもある、だが

 

「それだけだ」ピタッ

 

万事の右手が、AFOの巨体を簡単に止める

「な!」

 

「さて、条件通り」『飢えた細胞(スターブドセル)

 

AFOの個性をほぼ消し飛ばしてやろう

 

巨大化していたAFOの全身が段々と縮み、椅子に拘束されていた時と同じ姿になっていく

 

「何故だ、この僕が」

 

「ふむ、茫然自失といった様子か」

 

この分では、生きていくのに必要な個性だけ残しているのに気づくのに時間が掛かるな

 

「とりあえず、この部屋の状態を戻しておこう」『理奪』

 

部屋の大きさが元に戻る

 

「して、我の目的は達成できたな、出るか」『万事 脱出』

 

万事の姿が部屋から消え、うわ言を呟くAFOだけが残された

 

 

ふはは、少々スッキリしたな、AFOにはこうして外を出ていけるようになったキッカケだが、それはそれとして、心から我を奪おうとしたことは怒りしか感じていなかったからな

 

「AFOは再起不能だろうが、個性をほぼ消し飛ばす際に少々違和感を感じたな、因子自体に少々細工がされているような」

 

まぁ、我は勿論、心の相手ではないだろうが、警戒すべきではあるか

 

「そろそろ霧も解除しよう、どのような影響が出るか、楽しみだ」『域解』

 

タルタロスを覆っていた黒い霧が消滅し、タルタロス上空に浮かんでいた万事の姿も消えた

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