さて、雄英高校を飛び出し、泥花市へと飛んできたが
「中々に酷い有様だな」
既に市の半分以上が崩壊している、少し地下を覗いてみれば、水道管が氷に覆われているため、全てが崩壊するのも遅くない
「外典がなりふり構わないようになる前に、我が依代を見つけねば」
タワーは確かあそこだったな、半壊しているが崩れてはないようだ、依代があそこで倒れているならいいんだが
「うむ、タワーから落ちていないようだ、それはよかt」ガンッ!
ふむ、死柄木弔を追っていると思ったが、タワーに陣取っていたか
「まさか我に飛びかかってくるとはな、少々想定外の動きだぞ、四ツ橋力也」
「ーーーー!」
死柄木弔を苦戦させるために見せたんだかな、やはり、理性無き獣は想定できん
「我ではなく、死柄木弔を狙ったらどうだ?それが貴様の目的だったろう、それに」
「ーーーー!」『不憂壊』
リ.デストロの口から、黒い光線のようなものが発射され、万事がのみこまれる
「・・・『
光線がかき消され、万事の隣に青い脳無が出現する
「我は依代を回収する、お前は四ツ橋力也の相手をしろ」
「理解」
青い脳無はリ・デストロに向かって飛び出した
「制圧」パキッ
「ーーー!」
青い脳無から冷気が発せられ、空気が凍りついていく
「分析結果、対象との差、ほぼ無し」バサッ
羽ばたきにより、冷気がリ・デストロの全身を覆い始める
「最適解、『氷錠戒』を発動」ガギンッ!
リ・デストロの全身が巨大な氷に封じ込められる
「制圧完了、主が目的を果たすまで、対象の監視を継続」
ゴガッ
青い脳無に氷塊がぶつけられる
「お前、最高指導者に何をした!」
「任務自動更新、対象に近づく全ての存在を殲滅します」
「フハハ、やはり『不安の化物』はいいな、予想以上の動きをしてくれる」
外典は死柄木弔を除いた敵連合との戦闘をしていたはずだが、引き離して四ツ橋力也の救援に来たな、となれば
「タワーに残っているはずの『
さて、流石依代は頑丈だな、四肢欠損なし、手から落ちてもない
「しかし、四ツ橋力也を敵連合にぶつける予定だったが狂ったな・・・我が少々相手になればいいか」
そも、子触が我に接触するのはもう少し後の筈だった、だが、その未来は辿らなかった、理由をいくら考えようとも無意味というもの、例外を除いて、過ぎ去った事象は巻き戻らない
「して、いつまで息を潜めているつもりだ、義爛、死柄木弔」
四ツ橋力也の暴発した攻撃でタワーから落下したと思っていたが、この場周辺から発せられる呼吸の数は我を除いて二人分、解析が使えんから自らこの場に近づかねばならんというのが中々面倒だな
「心ちゃんかと思ったが、あの子はそんな口調じゃなかったな」
「やっぱり心じゃなかったな、誰だお前は」
「ふむ、緑谷出久含め、なぜ我のことを子触だと思う?姿が違うはずだが」
「自分の姿を鏡か何かで見やがれ」
「そうさせてもらおう」
万事の周辺に目が浮かぶ
何故我の姿を見て子触と間違うのか、理解し難いのだが・・・あぁ、なるほど
「ここは精神世界ではなかったな」『万事』
万事の周辺に浮かぶ目が輝き出す
「っ!?」ゾッ!
(何だこの悪寒は!とりあえず立ちすくんでたらまずい!)
ガシッ!
義爛の腕を死柄木が掴み、窓があった場所へ駆けだす
「うぉっ!?」
「義爛口閉じとけ、舌噛み切りたくなかったらな!!」ダンッ!
「判断が早いな、流石、子触が興味を持った存在だ」『壊更』
飛び降りた死柄木達の上を白い光が通り過ぎる
「おい死柄木!着地どうすんだ!」
「最悪、俺がクッションになる」
「馬鹿か、お前は!?」
「最悪はって言っただろ、安心しろ」
「ちょっと何危険なことしてるのよ死柄木くん!」
死柄木の体がマグネの持つ磁石に引き寄せられる
「悪いなマグ姉、咄嗟の判断だったんだ」
「んもう、いいわよ、さっきの光を避けるために飛び降りたんでしょ?」
「下で既に仲間が待機していたか、いい仲間じゃないか」
「「「!」」」
音もなく、万事が三人の前に立っていた
「まじで、何だお前は」
「名乗っていなかったな、我が名は『万事』、心子触の有する個性『触手』の源であり、本来の個性だ」
「心ちゃんの、本来の個性?」
「そんな話、トガから聞いたこと無いぞ」
「我の存在を認識していたのは理壊のみだ、子触が認識していないのだから無理もないだろう」
「主」ズザッ
万事の隣に青い脳無が降り立つ
「そいつ、ハイエンド脳無を殺した後エンデヴァーに燃やされた脳無じゃねぇか!」
「脳無ではない、不安の化物という、どうした?」
「対象に接近した存在の行動を停止、処理を」
「ふむ、そのまま放っておけ、我にとっても、お前にとっても取るに足らん」
「肯定」
「死柄木、確認だが、脳無ってのはあんな流暢に喋れるもんなのか」
「いや、AFOとかの話だと複数個性に適応できるよう改造してあるから言語能力はない、仮にハイエンドでも流暢には喋れないって言ってたな」
「存在自体が異常ってことね」
「問」
「ん?」
「敵連合とその協力者と思われる存在の処理」
「あぁ、そうだな・・・」
金色の瞳が三人を写す
「変わらず四ツ橋力也を見張れ、こいつらの処理は我がする」
「理解」バサッ
青い脳無が空へ飛び、万事の手に瓦礫が集まり始める
「さて、我に質問がありそうだな死柄木弔、何でも答えてやろう」
「万事、その体、心の体だよな」
「ああ」
「心の意識はどうした」
「ふむ、何でも答えると言った手前、答えないわけにはいかんな、心の意識はこの体の奥深くに眠らせている、まぁ」
万事が笑みを浮かべる
「目覚めることは無いだろうがな」
「っ!」ダンッ!
死柄木が飛び出し、万事に触れようとする
「真っ直ぐ来るだけならば、避けるのは容易いが」スッ
万事が体をそらし、死柄木の手を避ける
ガギンッ
万事の背中から音がする
「ふむ、奇襲を仕掛けたな、渡我被身子」
「刃が、通りません!」
「どけトガ!」ゴォッ!
トガが飛び退き、荼毘の蒼炎が万事を飲み込む
「頭上にもご注意くださいってな!」パチンッ
「義爛大丈夫か!」
車が万事の頭上に落下し蒼炎によって爆発する
「ふむ、一人を除いて全員揃ったか、敵連合」
「あの子の姿してるから想定してたが、傷一つないか」
「焦げすらねぇぞ、どんな原理で防いでんだ」
「先程の連携は見事だったぞ、渡我被身子に意識が向いている隙に蒼炎で視界を塞ぎ、軽トラを引火させ爆発で攻撃するとは」ズズズッ
万事の背中から、触手が生える
「その姿で、それを生やすんじゃねぇ!」ビシビシッ!
死柄木の手から崩壊が空気を伝達し、万事へせまる
「『天地乱投』」
ゴゴゴッ!
触手が輝き、瓦礫が飛来し、崩壊を受け止める
「な」
「呆けている暇はないぞ」ゴゴゴゴッ!
突然、全員の体が地面に押し付けられる
「うぉっ!?何だ!」
「もしかして、この地面ごと空中に飛んでるんですか!」
「正解だ渡我被身子」
体を押し付ける重力を感じなくなり、全員が万事を見ると背中から数え切れないほどの触手が生えていた
「さて、この姿を見てどう思う?禍々しいか?恐ろしいか?それとも」
死柄木が構え、トガが鋭い瞳で万事を睨む
「怒りが湧くか?」
「逆に、怒り以外あると思いますか?」
「その体、心の体だろ、持ち主に返せよ」ボォッ
「フハハ!そうかそうか、そこまで怒りをぶつけてくれるか、どうかその怒りを放棄しないでくれよ?」
触手が輝き、風が吹き荒れる
「我はこれより既存の世界を作り変え、新たな世界を作り上げる」
「世界を作り変える?どんな個性だってそんな事は」
「不可能、と言いたいのだろう?残念ながらそれは子触が生まれる前の常識だ」
空が曇り、雷鳴が轟く
「まぁ、詳しいことは後々に知れるだろう、ひとまず」『幻想実現 心』
雷が万事と七人の間に落ち、心の姿をした存在が現れる
「これが相手だ」
「はぁ!?心じゃねぇか!」
「あぁ、安心してほしい、これは子触本人ではなく、その姿を形どった、殺戮人形だ」
「てめぇ!」
「何だ?攻撃するのがためらわれるというのか?思考し発言するだけの人形だと言うのに」フワッ
万事の体が上昇し、心の姿をした存在は攻撃のため構える
「ちょっと、逃げるつもり!?」
「逃げるも何も、元よりここへ来た目的は作り出した物の回収と敵連合の現状戦闘力の把握のためだ、目的を達せば去るのは道理だろう?行くぞ『不安の化物』」
「「待て!」」
ガギンッ!
飛び出した死柄木の手が青い脳無に受け止められ、トガのナイフが心の姿をした存在に受け止められる
「主の妨害はさせません」
「トガちゃん達の相手は私だよー?」
死柄木が投げ飛ばされ、心の姿をした存在が足場に戻る
「では、さらばだ敵連合、近い内に出会うことになるだろうがな」
そのまま万事の姿は彼方へと消えていった