白星の君へ   作:F1さん

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2と場所、時間軸同じです
設定1000行かないと残せないみたいなので
もうしばしお待ちください


素直に 1

 

 

モンドに闇夜の英雄の噂が流れ──タルタリヤが別の国に派遣されてしばらくして。

カナデは、前よりやけにタルタリヤと会う頻度が増えている気がした。

それに強引さが、前より増した気がする。

 

「やあ、カナデ。こんな所で偶然だね」

 

ある時は、街角でばったり出くわし、そのまま手を引かれて食事に連れて行かれたり。

 

「ねぇ、カナデ。今暇かい?」

 

ある時は、依頼品を採集をしている最中にばったり出くわし、担がれて連れていかれたり。

 

「一緒に戦おうよ」

 

ある時は、手合わせに誘われ、仕方なく付き合ってやったりもした。

 

※※※

 

──そんな日々が続いたある日のこと。

その日はフォンテーヌにて、いつも通りの日課をこなしていると、いきなり声をかけられた。

 

「やあ、カナデ」

 

振り向くと、そこには見慣れてしまった顔がある。

 

「……また来たの?」

 

呆れたように、カナデは溜息をつきながら答えるが、対するタルタリヤは楽しそうに笑う。

 

「うん。君に会いたかったから」

 

そう言うと、彼はカナデの手を取り、そのまま歩き出した。

 

「ちょっと!どこ行くつもり!?」

 

突然のことに驚きながらも抵抗しようとするが、思いのほか強い力で引っ張られてしまう。

 

「いいから、付いてきて」

 

そう言って歩き出すので慌ててついて行くと、やがて人気のない場所に出た。

※※※

 

潮風の匂いがするが、家などの建物はなく、洞窟があるくらいだ。

 

「ここなら邪魔は入らないかな」

 

辺りを見渡すと、確かに誰もいないようだ。

だが、それでも不安は拭えない。

いきなりこんな場所に連れてこられたのだ。警戒しない方がおかしいだろう。

 

「えっと……何か用事でもあった?」

 

幸い今日はまだ依頼は引き受けてはいない。だとしても、呼び出される理由まではわからなかった。

 

「ん?特に無いけど?」

 

まさかの返答に思わずずっこけそうになる。

流石に実際はしないが、脳内では鋭くツッコミをいれてやった。

 

「いや、ならなんでこんな場所に連れてきたの……」

 

呆れた様子で息を吐くカナデを見て、タルタリヤはカナデの質問に少し考える素振りを見せる。

手を口元に当てて何かを考えているような仕草だ。カナデは彼がよくそうやって手を動かす事が多いので、いつも演技めいてるな……と思う事がある。

 

「うーん、強いて言うなら……カナデと二人きりになりたかったから?」

「は……?」

 

カナデはその答えに思わず呆けた顔になる。さらりと、とんでもない発言をまたされたなぁ、と直ぐにカナデは考える。

そう言った発言にはいい加減少し慣れ始めてはいるが、それでも少し驚くのだ。

 

「……あのさ、いつも思うけど、よく平然とそんなこと言えるね?恥ずかしくないの?」

 

しかし、やはり少し恥ずかしくなって視線をそらしつつ、カナデは文句を言う。だが──タルタリヤは特に気にした様子はなく、むしろカナデの反応を見て、楽しげに笑った。

 

「別に?俺としては普通に本心を言ってるだけだしね」

「あー……そう……。相変わらずだね。君は」

 

これ以上は何を言っても無駄だと悟り、カナデは大きく溜息をつく。すると今度は逆に尋ねてきた。

 

「カナデこそ、また俺への態度が雑になったよね?」

「……それは普通に君の行いのせいだと思うけど?むしろ、君の方が私に対する態度が酷いよ。なんか最近前よりグイグイくると言うか……なんか犬っぽさが増した気がするんだけど」

 

カナデの指摘に、心当たりがあるのかないのか不明だが、何故か嬉しそうに笑みを浮かべると、 「へぇ」と呟く。

そして、ゆっくりとカナデに近づくと、その耳元に顔を寄せて囁いた。

 

「……じゃあ、犬みたいに可愛がってくれるかい?」

「っ!?」

 

突然の事に動揺するカナデだったが、何とか平静を取り繕うと、腕を組む。

そして呆れ顔をしながら、少し沈黙した後、手をタルタリヤの頭にそっと伸ばす。

 

「何言ってんだか。頭撫でて欲しいって事?ほーれ、よしよし」

 

そしてわしゃわしゃと両手で彼の頭を撫でてやる。すると、彼は少し驚いたような顔をした後、嬉しそうに目を細めた。

ふわふわとした髪は太陽のようにも思えるほど、温かい手触りだった。

 

(こういう所は、可愛いんだけどなぁ)

 

──と、カナデは思う。

 

普段は余裕があって、大人っぽい雰囲気を醸し出しているというのに、時折見せる子供の様な無邪気さが怖いが、それだけでなく可愛い、と思う。

彼は家族もおり、愛されるのに慣れているはずなのに、異性に対しての距離感が掴めていない様にも見えるが、それは自分だけになのだろうか?

他の女性と2人きりの姿などは見たことがないのだが、それでも自分以外とも親しくしているのではないか、と思えてしまう。

そう考えると、少し胸が苦しくなり、カナデは自然と眉が寄ってしまう。

そんな事を考えてしまい、カナデは自分が嫌になる。彼は自分の事を好きだと言ってくれているのに、信じきれていない自分が。

 

「……どうしたんだい?」

 

カナデの様子を見て不思議に思ったのか、彼が尋ねる。カナデはハッと我に返り、慌てて首を横に振った。

 

「な、何でもないよ。……えっと、頭撫でられるの嫌じゃないんだ。」

 

誤魔化すためにカナデは話題を変えようと話を振った。すると彼はその言葉を聞き、一瞬きょとんとしたが直ぐに明るい笑みを浮かべ、素直に答えた。

 

「ああ、全然嫌じゃないよ。むしろ嬉しいかな」

 

カナデはそれを聞いて安堵の表情を浮かべると、「そ、そう」と小さく呟く。

 

「あ、でも」

 

──だが、そこで言葉を区切り、タルタリヤは腕を組みながら、僅かに目を細め、少し思案する素振りを見せる。

それを見て、カナデは不思議そうに首を傾げ、彼を見上げた。

 

「何、でも、って?」

 

そう聞くと、彼は顔を下げ、カナデと視線を合わせる。その表情は楽しげだ。

そして、悪戯っぽく笑うとこう言った。

 

「でも……少し物足りないかな」

「へ?」

 

カナデがその言葉に呆気にとられていると、彼は更に顔を近付けて来る。

思わず離れようとするが、いつの間にか腰に手が回されており、逃げられないようしっかりとホールドされていた。

 

「ちょ、な、何!?いきなり何なの!?」

 

カナデは整った表情が目の前にあったり、柔らかな手の温かさや、ふわりと香るいい匂いについ、顔を真っ赤に染め上げ、慌てるが、彼はお構い無しにどんどんと距離を縮めてくる。

そして、耳元で囁くように呟いた。

 

「──髪以外も撫でてもいいよ?」

「え」

 

予想外の言葉に、一瞬思考が停止する。何を言われたのか理解出来ず、カナデは呆然とするが、しかし直ぐにハッと我に返り、慌てて距離を取った。

 

「撫でるかぁ!?人を面白いコンテンツだと勘違いしてない!?おすわりを覚えた方がいいんじゃないの、君は駄犬だよ!この……!駄犬!」

 

恥ずかしさや怒りの感情をぶつけるようにカナデは叫ぶと、びしりと人差し指を突き付けながら、捲し立てるようにタルタリヤに言葉を言い放つ。

そして、不機嫌そうにその場から立ち去ろうと少し大股で歩き出す。

後ろからはくすくすと笑う声が聞こえてきたので、何気なくカナデが振り返ると、そこには楽しげな表情をしているタルタリヤがいる。

 

「ははっ、ごめん。冗談だよ」

 

カナデはそれを聞いて、じとりと目を細めながら不満そうに文句を言った。

 

「分かりにくい冗談は苦手なの知ってる癖に。人が嫌な事をしたら駄目なんだよ、普通」

「はいはい」

 

だが、彼は軽くあしらうような口調で返す。

カナデはそれが気に食わないのか、更に文句を重ねようとしたのだが、それよりも先に彼が口を開く。

 

「でも──」

 

そして、そのまま真っ直ぐにカナデを見つめると、笑顔でこう言った。

 

「髪以外も触って欲しいと思ったのは本当だけどね」

 

カナデはその言葉に動揺し、一瞬固まってしまうが、次には複雑そうに顔を歪ませ、溜息を大きく吐いた。

 

──鬱憤を晴らすように。

 

それから、仕方なく手を伸ばすと、タルタリヤの手を取る。そしてそのまま指を絡めるように手を握った。

すると、彼は一瞬驚いた様子だったが、直ぐに嬉しそうに握り返してくる。そして再び顔を近づけて来たので、カナデはもう片方の手を、タルタリヤと空いている手と繋ぐ。

それから両手を重ね、絡めた体制になると、カナデは一歩前に進み、彼を見上げる。

これ以上変な真似をされる前に手なんて繋いどけばいい。そう考えた上での行動だった。

 

「……ほら、手はどう?満足?」

 

少しぶっきらぼうな言い方になってしまったが、これで少しは大人しくなるだろうとカナデは考えたからだ。

恥ずかしさでカナデはタルタリヤを見れなかったが、タルタリヤの口元は緩んでいた。

普段、カナデはここまで積極的にスキンシップを取って来る事は無い。

だからこそ、こうして自分から触れて来てくれるのが嬉しかったのだ。

 

「──うん、満足だよ」

 

カナデの手を握り返しながら、そう答えると、更に指を絡ませるように強く握りしめる。

離さないように。

それから、目を細めつつ「もっと強く握って欲しいな」とカナデにねだる様に言うと、カナデは少し躊躇った後、言われた通りに力を込める。

すると、彼は満足そうに笑いつつ、「ありがとう」と礼を言った。

その甘さがある声に、ついカナデはゆっくり顔を上げると、青い双眼と目が合う。

相変わらず右側はほぼ隠れてはいるが、見えなくてもその瞳もカナデに向けられているのだろう。

ちゃんと見ずとも想像には容易い。

 

彼らがいる場所はフォンテーヌの上部側の地形だ。

フォンテーヌは海が多い国だが、その海が見下ろせる崖の上に彼らはいる。

 

(──あれ?)

 

なんか、いい雰囲気………では?と、カナデは考える。

 

人前でスキンシップはやめろ、とカナデはいつもタルタリヤに口酸っぱく言っているので普段ならば絶対しない。

だが、今は2人きりで周りには誰もいない。まあ、だとしても基本はそれだけで、ロマンチックな場所では無い。

だから常日頃──地味に不満が溜まっていた。

それが今、雰囲気がいい静かな海辺にいて、周りに誰も居ない──そして、両手を互いに絡め、距離を密着させている。

 

(──めちゃくちゃ、今、いい感じ……)

 

では、と考えた瞬間──カナデは色々限界を迎えていた。

脳内では嬉しさと、羞恥心が暴走し、顔は赤くなり、瞳には薄らと涙が浮かんでいた。

 

(冷静に、冷静に……!)

 

そう自分に言い聞かせるが、心臓の鼓動は早くなり、体温が上がる。

そして、それを悟られないようにカナデはバクバクと鼓動が煩いのを感じつつも、平常心を装って会話を始める事にした。

 

「えっと、二人きりになりたかったのはわかったけど─……こ、このままでいる訳には、いかないよね?君も用事があるだろうし」

 

カナデは、何とか平静を装いながら言葉を紡いだ。

だが、内心では上手くいっているか不安だった。

 

(心臓に悪い……)

 

ハラハラしながらいたが、幸いにもそれは相手には伝わらなかったようで、彼は特に疑う様子もなく、素直に「そうだね」と答えた。

だが、その後すぐに続けて「でも」と言葉を紡ぎ出す。

 

「もう少しこのままでいたいなぁ」

 

カナデは「それは無理!!」と、叫ばなかった自分を褒めてやりたかった。

言葉を飲み込み、何とか笑みを取り繕う。

 

「そ、そう。あのー……じゃあ、ちょっと手を離してもいいかな?ちょっと体制が……キツイというか」

「え?ああ、うん」

 

カナデの言葉に彼は少し残念そうにしながらも素直に手を離した。

 

どんな話がみたいですか? 参考にいたします!

  • タルタリヤ 番外編
  • ディルックルート
  • ディルックルート 番外編
  • 他キャラとの絡み
  • 過去話
  • タルタリヤ if
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