白星の君へ   作:F1さん

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ナドクライ来たら本編書けるかも……です
ちなみにこうだといいなってのがきそうな場合、作品に修正入れます


If 転生パロ 配信者と一般人 02 new

 

 

「──いやっ! いやいやいや!? 何してるんですか! 離れてくださいっ!!」

 

 そう慌ててカナデは叫ぶ。危ない。癖でつい抱きしめ返す所だった。

 今の自分とこの彼は初対面だ。

今世で会うのは初めてなのである。そんな中、そんな事する訳に行かない。

 

「え? 久しぶりに会ったんだからさ、良いじゃないか。それにそんなに叫ばなくても」

 

 彼の口からは前世の時と変わらない口調でカナデにそう話しかけてきた。

 

 黒いマスクに帽子を深く被っているが、カナデには分かる。

 

「ー……ッ! いや、あのっ!」

 

 カナデは顔を赤くさせつつ、彼の肩をグイグイと押して距離を取ろうとする。しかし彼は離れる気は無いのか、カナデに抱きつき直してきた。

 

「ちょっと……! 離れてくださいってば……!」

 

「えー? やだよ。だって俺はずっと会いたかったんだから」

 

「いや! だから誰なんですか!」

 

 カナデは必死に彼から離れようとするが彼は離してくれない。

 

 今のカナデの仕事はデスクワークだ。

 

 そして、彼は今世でも運動をしているのか、力が強く引き離せない。

 

 カナデは前世を思い出していないフリをしようと決めた。

 

 正直今は今。前世は前世、と割り切って生きていきたいのだ。

 

 それに、もし彼が前世を覚えていたとしてもカナデは関わりたく無い。

 

 というかあんな恥ずかしいエピソードを堂々と広めやがって、とカナデは怒りを込めつつぐいぐいと彼を押すがびくともしない。

 

「誰って、え? 本当に覚えてないの?」

 

 彼はカナデに押されながらも驚いているのか、目をぱちぱちとさせてカナデを見ていた。

 

(サングラスもしとけよ、中途半端な変装だな!)

 

 カナデは心の中で悪態をついた。

 

 いつもいつも詰めが甘い。前世の時にも思っていた事だが本当に彼は……。

 

 と、その時、ふと思ってしまう。

 

(私、その時どうやって亡くなったのか覚えてないな……)

 

 カナデは、前世の最期を覚えていない。

 

 いや、思い出す事が出来ない。

 

 自己防衛反応で思い出したくない、のだろうか? とカナデは疑問に思うが、まぁいいか、と考えを放棄した。

 

 それより、今この状況をどうにかするのが先決だ。

 

 カナデはどうやって対処するか考えるが、目の前の彼はぐいぐいと擦り寄って来るし、帽子のツバが当たって痛い。

 

 前世の時は装飾品がよく当たって痛かった。

 

 金属の飾りは痛い。

 

「あの! 離れてくださいっ!」と再度叫ぶが彼は離れる気が無いのか、カナデを離さなかった。カナデはそれどころでは無い。

 

 今世のストーカー疑惑もある。

 

 もう警察を呼んだ方がいいだろうか? いや、でももし勘違いだったらどうしよう。

 

 もうコイツを問い詰めて吐かせた方がいいのか。

 

 カナデは頭が痛くなってきてしまう。

 

「……この、ストーカー野郎!?」

 

 もう言ってしまった者勝ちだ。カナデは自棄になって、そう言えば彼はぴたりと動きを止めた。

 

「……『ストーカー野郎』? どういうこと?」

 

「いや、だから! ストーカーでしょう!?」

 

 カナデはそう叫ぶが彼は『心外だ』と言わんばかりに、ため息を吐いた。

 

 そして、顎に手を当て、少し考えた後。

 

「あ。もしかして、俺が君のストーカーだって思ってる?」

 

「は、はぁ!? そうでしょ!」

 

 そう返してきた言葉に、カナデが思わずそう言えば彼は『違う』と首を横に振って否定した。

 

「え……っ」

 

「いや、俺は昨日隣に引っ越してきたから挨拶に来ただけだよ」

 

「……へっ? 隣に?」

 

 彼は『うん』と頷くと、カナデは息を飲む。そして恐る恐る訊ねれば「そうだよ。最近引越し業者のトラック見なかった?」と軽い口調で返してくる。

 

 確かに見た気がする。

 

(……ストーカーじゃなかった……)

 

 脱力して思わずその場で崩れ落ちそうになるが彼に抱き寄せられたせいで未遂に終わったのだった。

 

※※※

 

「あ。あの、もう大丈夫なので……」

 

 カナデは彼にそう伝えるが彼は聞く耳を持ってくれない。

 

 それどころか、『え〜? 俺はもっとこうしてたいんだけど』なんて言ってくる始末である。

 

「……っ! いや! だから! 離れてって!」

 

カナデが叫べば彼は渋々と言った感じでようやく離してくれる。しかし、その目は何かを訴えている様にも見えた。

 

(……な、何?)

 

 暫く見つめ合っていた二人だったが、彼は『なら』と口を開いた。

 

「なら、君をストーカーをしている奴が居る可能性だってあるんじゃないか?」

 

「……あ」

 

 とカナデは思わず声を零した。

 

 そうだ、確かに彼の言う事には一理ある。

 

 目の前の彼が犯人でないのなら、他の人間がカナデに対してストーカー行為をしている可能性はある。

 

「確かに」

 

カナデがそう呟けば彼は『じゃあ』と口を開いたのだった。

 

「……なら、俺が君のボディーガードをしよう!」

 

「え?」

 

「そうすれば君も安心じゃないか? それに俺も、君に会える」

 

 彼はそう言うと『ね?』とカナデに同意を求めてくる。

 

 確かに、それは一理あるが……しかし、とカナデは考える。

 

「いや、でも……」

 

「……俺じゃ力不足?」

 

「あ。いえ! そういう訳ではなく!」

 

 彼の少し悲しげな声についそう答えてしまった。それに彼はかなり強かった。もしかしたら守ってくれるかもしれない。

 

 だが、やはり彼を巻き込みたくないと思ったのも事実だった。

 

(……いやでも『前世』は正直少し巻き込んだか)

 

 今世では無いが、彼のおかげで助かった事もあったし、とカナデは思い直す。しかしそれはそれだ。

 

「あ! でも、やっぱり大丈夫です!」

 

「……え?」

 

「警察に相談してみます! お気持ちだけ受け取っておきます! ……ありがとうございました!」

 

「ー……っ!」

 

 カナデはそう言うと、彼の横を通り過ぎようとした。しかし、彼は『待って!』と叫ぶと、またもカナデの腕を掴んできた。

 

「……ッ! な、何ですか!?」

 

 思わずそう叫んでしまうが彼は『あ』と言った後、少し考えてから口を開いた。

 

「……その、俺は君を助けたいんだ」

 

「は? いや、その、初対面の方にそんな」

 

「初対面じゃない。俺は……君の事、よく知ってるよ。だから……」

 

「……え?」

 

 彼はカナデの腕を掴むと、少し屈んで顔を近付けてきたのだ。そして『ね? お願い』なんて言ってくる始末だ。

 

「ー……ッ! いや! でも!」

 

「……ならせめて連絡先だけでも教えて欲しいな?」

 

(あ、コレ押し切られる)

 

カナデは直感でそう悟ったが、しかしここで引いてはいけないと彼の目を見て真っ直ぐ答える。

 

「ー……いえ、結構ですっ! 失礼します!」

 

 カナデはそう叫ぶと無理矢理彼の手を振りほどいて扉を閉めたのだった。

 

(も〜! 何でこんなに強引なの!?)

 

 彼はストーカーでは無いが、こういう所は『前世』から本当に変わらないな! と思い、溜息を吐く。

 

──あ。ゴミ袋、そのままだ。

 

 ……それは深く考えない事にした。

 

※※※

 

「……はぁ」

 

(災難だった……)

 

 カナデは部屋に入ると、ソファにへたりと座る。しかしまたピンポン! とチャイムがなったので急いでドアを開ければ彼が居たのだ。

 

「何!?」なんて叫びたくなるが、我慢して叫ぶのを我慢して、一呼吸をする。

 

「何でしょうか?」

 

『チェーン外して? ほら、ゴミ袋もそのままだよ? 捨てなきゃ』

 

なんて言う彼にカナデはイラッとするがそこはグッと我慢した。

 

 もう早く帰って欲しいので大人しく彼の言う通りにすれば『いい子』と言われたので殴ってやろうかと思った。

 

 玄関に置いてた買ってきた防犯ブザーを何かしたら引っ張るぞと見せつけながら、カナデは彼を睨みつける。

 

「あ、そうだ。これ」と彼はカナデにシンプルな茶色の紙袋を渡してきた。

 

「……何ですか?」

 

「いや、引っ越して来たから挨拶に。ちゃんと受け取ってよ」

 

「はぁ……」

 

 カナデは渋々紙袋を受け取り、中身を見れば何処かのお菓子の様だった。

 

 あ、コレテレビで紹介してたの見た……とカナデが興味を惹かれていれば「食べてね? 感想聞かせて欲しいから」と彼は笑顔で言ってくるので断れなかった。

 

(変なモノ入ってないよね?)なんて思ったが、彼の性格上それは無いかと思い直し大人しく受け取る事にしたのだった。

 

「あ。そうだ」

 

すると彼は何か思い出したのか、カナデに話しかけてきた。

 

「……何ですか?」

 

カナデは紙袋を玄関に置きながら彼を見るが、彼は『いや』と言った後に少し考え込んだ後、口を開いた。

 

「君の名前を教えて欲しいんだけど」

 

「……は? 何でですか?」

 

 彼のその一言でカナデの警戒心が上がる。しかし、彼はそんなカナデに気にした様子もなく話を続けた。

 

「……あ、いや! ストーカーの事もあるし君の事知っておきたいんだ。ほら、何かあっても助けられるでしょ?」

 

 ね? だからお願い。

 

なんて言う彼にカナデは眉間に皺が寄るのが分かった。名前ぐらい良いかなと思ってしまう自分も確かに居るので困るのである。

 

「ー……」

 

 カナデは暫く考え込んだ後、口を開いた。

 

「……私は、緋炎 奏だけど」

 

「え?」

 

 カナデがそう言えば、彼は驚いたのか口を少し開けていた。

 

「……あ、いや! ……『カナデ』って名前なんだ。可愛いね」

 

 とすぐに取り繕う様に言ってきた。カナデが「そうですか」と答えれば、彼は『あ』とまた何か思い出したのか口を開いた。

 

「……そうだ、俺は『アヤックス』って言うんだ。よろしくね、カナデ」

 

「……はぁ」

 

 今世もその名前なのか。自分と同じく。なんてカナデが思っていたら『あ、そうだ』と彼はまた口を開く。

 

「これからよろしくね、カナデ」

 

「……うん?」

 

(何かおかしいぞ)と思いきや「ねぇ、スマホ貸して?」なんて言ってくる。

 

「……何で?」

 

「いや、連絡先交換しようよ」

 

「ー……っ!」

 

(やっぱりか!)

 

 カナデは『嫌』と言おうとしたが、またも『ね? お願い?』なんて言ってくるので結局押し切られるのだった。

 

 

どんな話がみたいですか? 参考にいたします!

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