汚いガキどもを見つけたので虐待することにした。 作:史上最恐の悪役
虐待summer──in海編──は前半後半で分ける予定です!
太陽は燦々と照り輝き、陽射しは強烈なまでにギラギラと降り注ぐ。
微かに潮の香りがする風、鉄板のような砂浜、そして─────眼前に広がる青い海。
「海だァァァァァァ!!!」
『海だ〜〜!!』
遠出2日目。いよいよメインであった海に来ることが出来たぜェ!!
お天気は見ての通り快晴も快晴。今日が海日和じゃないならいつ海日和なんだと言わんばかりに輝きを放ってまっせ……!
「いいか、お前ら!まずは準備運動をしっかりすること!俺の道具が怪我なんてされたら堪ったモンじゃないからなァ?」
まずは注意事項を述べていく。
ククッ、海に来たことでテメェらは自由だと錯覚しちまったか?残念、新たなルールやら何やらでテメェらの行動を制限させてもらうぜ!
まずは基本的に浅瀬か足に着く場所までの範囲のみで泳げ!遠くに行きたいヤツは沢山いるだろうがこれは絶対条件だ!
遠くに行かれると管轄が難しくなるんだよ。それに時折やる虐待の反応が見れないしなァ?
次に、他所に迷惑をかけないこと!
ここは夏の人気スポットであるわけだから、当然俺たち以外にも海を楽しみに来た客がいるわけだ。
他人とのトラブルなんて面倒しかねェからな……。俺は面倒ごとは御免なので、絶対に揉め事を起こすな!
最後に昼食の時間にはここに戻ってくること!
泳ぐのにも体力は沢山使うからなァ、昼に一回食事をして体力を回復させないと虐待への反応も鈍くなっちまう。だから戻ってこいよ!
この3点の絶対事項を伝え、ガキどもの反応を窺う。
……ククッ、大人しく頷いておるわ。不満たらたらだろうが、テメェらが俺の支配下で満足して遊ぶことなんて数十年早いわ!!
「よぉ〜し!ひとまず解散だァ!!」
俺の号令と共に海に駆け出すガキども。
ククッ、早速砂の熱さにビックリしてやがるな?海の浜の熱さは馬鹿に出来ないからなァ、火傷する前に早く海に辿り着けよ!
「ククッ……!!さて、俺もガキどもに混ざってひと泳ぎでも─────あ?」
まるで悪の皇帝のような雰囲気を纏いながら海に近づいている最中、そこには石像にされてしまったかのように動かず、ただじっと海を見ているサオリの姿が目に映った。
「オイ、サオリ」
「ひゃっ!?─────あっ、サドさんか……」
「俺以外の誰がいるんってんだ」
サオリの細い肩を叩けば、これ以上ない程のオーバーリアクションで返ってくる。
ちなみにサオリの水着は黒のタンキニと、太腿の半分もいかないほど短いデニムのハーフパンツだ。
他のガキどもと比べると露出は少ない方だが、それでも顔を真っ赤にしながら見せてきたときは傑作だったぜ!大手を叩いて『似合ってるぜェ!』って褒めてやれば更に顔を真っ赤にしていやがったからな!
まぁ、あの衝撃的な────否、
「お前は海に入らねェのか?」
そう尋ねれば、サオリは困ったような顔をしながら、再び目の前に広がる大海────その地平線を眺める。
「最初は入ろうと思ったんだが、少し海の大きさに圧倒されてしまってな」
「あぁん?海に来たことがねェのか?」
「あぁ。私も、今もあそこで遊んでいるあの子たちも初めてだ」
驚いたぜ、海に行ったことがないなんてよ……。いや、よくよく考えてみりゃ分かることだったか。コイツら水着持ってなかったし。
しかし成程、今どきのガキは海に行くことがないのか。ほうほう、それならばこの雄大な景色に見惚れるのも仕方ないかもなァ……
「サドさんの言う通りだった。
しかし、そんなことを言う割にほんの少し
「……だけど、それを見るのが
「あぁ、間違っているとも!!全くもって、その全てがなァ!!」
「ッ」
つまりアレだろ?ベアトリーチェに怠惰的に甘えに甘やかされてきた過去を否定したくないってことだろ?『自分たちは間違っていない!』、『あの生活こそが正義なんだ!』と肯定したいのだろう?
ククッ……!!そんなモノ、俺が全否定してやるよボケナス!!
「過去を忘れろ────だなんて、そんな酷なことは言えねェな。そこにはお前なりに積み上げてきたモノがあるのだろう。別に、それを無意味だと思う必要はねェ」
お菓子の早食い記録とかな。あぁ、それは多分ヒヨリか。
ならサオリの積み上げてきたモノは何だ?ベアトリーチェ早撃ち大会の記録とかか?
まぁ、そんなことはどうでもいいか。
なんせ、俺はコイツの
「…………」
「だがな。テメェはまたしても勘違いをしている」
「勘違い……?」
過去に囚われているっつーことはアレだろ?つまり、そういうことだよな?
「テメェの
「ッ……!!」
そう───絶望しかない暗黒な未来をなァ!!
またしても主人をベアトリーチェだと勘違いしているアホに現実を突きつけてやった。
見給え!サオリ殿が唇を噛み締めながら俯いて悔しがっておられるぞ!!もしくは怒りかァ?
あぁ、何だっていい!何だっていいさ!どっちにしたって俺の虐待が成功したってことだからよォ!!
「オラ、行くぞ!!」
「あっ……」
俺はサオリの手を強引に取り、怖がっているという海にガツガツと連れ込む。いや、俺が一緒にいることで恐怖はマシマシになっちまったか?
「サド、さん。私っ……」
「ククッ、なんだァ?」
「…………いや」
何か言いたげなセリフだけを残し、俺の手に指を絡めるサオリに愉悦を隠せない。
ククッ、不満も言わせない俺のオーラ!悪虐すぎるその態度!我ながら惚れ惚れするぜ。
やはり虐待王というのは雰囲気で黙らせるのが主流だからな。
つまり俺にもあったというわけか……選ばれし王の覇気がッ!!
「─────ずっと、あなたと……」
「あぁ?何か言ったかァ?」
「────ううん、何も。………ただ、サドさんと生きる未来は
「クククッ……!!」
またしても皮肉!ここに来ても皮肉か!
やるねぇ、ここ最近は【厨二病の叛逆者】こと戒野ミサキという存在で霞んでいたが、コイツも立派な反骨心の持ち主だったな!それでこそ虐待のしがいがあるってモンよ!
この後、滅茶苦茶泳いだり水をかけ合いっこした。
◇◆
一度海から出て他のガキどもは何をしているのかと巡回していれば、アツコが奥からパタパタと歩いてくる。
全体的に白一色の水着と帽子で、遠目から見ても『どっかのお姫様か?』なんて思わなくもない程に優美だ。ま、そんなことあり得ねェけどな!
「アツコじゃねェか。……そういや海で見かけなかったな。何やってたんだよ」
「えっとね……コレでいろんなものをいっぱい撮ってたの」
そう区切ると、今まで背後に回っていた手を前に出す。その両の手のひらにはデジタルカメラが大事そうに握られていた。
このデジカメは以前俺があげたものだ。コイツが俺の部屋を漁っていたら、使わなくなって久しいデジカメを持ってきやがってな。
俺はもう使わないし、どうせならってことでコイツに譲ったわけよ。つまりゴミの押し付けだ!
しかしなかなかベストタイミングで巡り会ったな。コイツにも安牌な虐待をかましてやりますか!
「オイ、俺も連れて行けよ。おっと、断ることなんて出来─────」
「ほんと?私もちょうどサドを誘いに来たの」
そう言って嬉しそうに手を繋いでくるアツコに驚きを隠せない。
まさか────即興アドリブ!?その気がなかったのに瞬時に今の言葉を出せたのは、流石は意外にも図太いアツコともいうべきか……
まぁ、思っていた反応とは少し違ったがそこはいい。俺と一緒にいることが虐待になるのなら、幾らでも俺が望む反応が見れるだろうて!
それに、普通にアツコの撮る写真が見たいからな!
─────パシャ
「お星様みたい……。触ってもいいの?」
「そいつは“ヒトデ”っつー生き物だ。殆ど大丈夫だろうが、あまりにも刺々しいヤツは触んなよ、毒を持っているからなァ」
「うん」
アツコは慎重に、静かに人差し指で突く。しかし、意外な触り心地だったのか目を丸くした。
「……結構固い。もっと柔らかいかと思った」
「それとソイツ、心臓と脳がないらしい」
「え、そうなの?」
興味津々とヒトデを覗くアツコ。
結構有名な話だったと思うが……まぁ、海に来たことがないなら知らないのも仕方ないか。
「ククッ、また一つ学べたな」
「ふふっ、そうだね」
─────パシャ
「あ?何撮ってんだよ」
「看板」
「看板〜?」
次に撮り出したのが、何の変哲もない海の家の看板だ。
「写真を見返したとき、この匂いも、音も、人のざわめきも……全部思い出せると思うから」
「ククッ、そうかい。だがな、写真を撮ることに夢中でお腹空かすなよ?お昼はまだ先だからなァ」
ケラケラと笑えばアツコはキョトンと目を丸くした後、静かに、されどお淑やかに笑うだけだ。
ククッ、俺といることが苦痛な筈なのにそれを隠し通せる面の厚さ……嫌いじゃないぜ?
─────パシャ
「………みんな、楽しそう」
ガキどもが遊んでいる場面を撮り終えた後、静かにそう呟いた。
「お前も混ざってこいよ」
「うん。でも、今はまだ見ているだけでいいかな」
「あぁん?オイオイ、時間は有限だぞ。そんな日和っているようじゃあ後で後悔することになるかもしれねェぜ?」
時間の大切さは身に染みて分かっているつもりだ。
だってよォ……その時間虐待が出来なかったって思うのイヤじゃん。分かる?なんか勿体無いって思わん?それだよ。
「もちろん後で混ざりに行くけど……今は──────」
そう言って俺を見上げる。
なにか意味深な視線をして微笑みかけてくるが、残念なことに俺には全くもって意図が分からなかった。
「今は─────このままがいいな」
─────パシャ
「お花……綺麗。それにすごくいい匂い」
花に顔を近づけスンスンと匂いを確かめるアツコ。
『たかが花だ』と俺は思っているが、コイツはそうではないのだろうか。
「好きなのか?花」
「え?」
いや、俺に『そうなの?』みたいな顔すんじゃねェよ。俺が聞いてんだから。
そこまでして言いたくない理由でもあるのか?好きとか嫌いとか、そんなのすぐに答えられるだろうが。
……なるほどなァ、これはコイツなりの抵抗というわけか。
好きな物なんて大っ嫌いなヤツに知られたくないもんな。俺だって大っ嫌いなヤツに自分のことを一ミリたりとも知ってほしくないと思うしな!
だ〜〜が、お前は俺に逆らえない。逆らったって意味がない。
それを今から証明してやるよォ!!
「ククッ、オイ、アツコ。カメラを貸せ」
「えっと……はい」
カメラを借り受けてすぐに構える。
腕は素人だが、心はプロのつもりで。この距離なら射程を外すなんてあり得ねェぜ!!
─────パシャ
「ククッ、撮れたぜェ。お前の言い逃れも出来ぬ醜態をなァ……!!」
そう言って証拠品を見せつけるように、写真を拡大させる。
その写真にはこれでもかと
ククッ……クククッ……!!これはもう誤魔化せないだろう!
「この顔をされて花が好きじゃないなんて……とてもじゃないが言えないよなァ?」
「…………」
アツコはその写真を凝視するだけで何も言わない。
“このまま黙秘を続ける気か……?”と、なんとか暴きたい俺は次なる虐待を考えていると─────
「────ふふっ、そっか………そうだったんだ。私、
ようやく認めたかァ……!!
ククッ、俺はなァ、秘密にされると暴きたくなっちまうんだよなァ。
つまりお前がやったことは俺をただやる気にさせるだけでした!残念賞!!
だがまだだ!まだ終わらんよ!!
「クククッ……!オイ、アツコ。帰ったら
そして間髪入れずに最悪の提案を持ちかける!
一見、コイツの好きな花を手入れ出来ることはアツコにとってプラスのように見えるだろう。
しかし、そのプラスを帳消しにするどころかマイナスにまでする要素が存在する。それが
好きなモノを穢されるようでイヤだろう?最悪な気分だろう?ククッ、俺はそうなって欲しいが為に提案したんだぜェ!!
かわいそうなアツコ……。ひとえにテメェが変に隠したせいだが……。
さて、アレから反応がないが、一体どんな悲壮感を漂わせて───────
「──────……嬉しい。本当に、今までで一番嬉しいかも」
なん、だと……!?コイツ……!!好きなモノを穢されたというのに
「……そろそろお昼か。オラ、行くぞ」
「は〜〜い♪」
俺は半ば話を打ち切るように昼時を知らせる。
初めてだぜ、こんな屈辱はよォ……!!
しかし、そんな俺とは対照的にひどく上機嫌なアツコは、そのまま腕に腕を絡ませてくるように抱きついてくる。お?なんだ?敗者への当てつけか?あぁん?
あと正直言って歩きずらいからとっとと離れてほしいんだが、今コイツの腕を振り解いたらスゲェ負けた気分になる……!!
さっきからやられっぱなしだからなァ、お前の思い通りにはさせないぞ、アツコッ!!
ちなみにアツコさんが一番最初に撮った写真は“何の変哲もないサドの立ち姿”です。そして一番写真の数が多いのもサド関係の写真だそうです。
きっとサドへの恨みつらみを解消するために夜な夜な何かをしているんでしょう……。いいぞ!もっとやれ!!