汚いガキどもを見つけたので虐待することにした。   作:史上最恐の悪役

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間に合わせたかったァァァァァァ!!!!!
でも普通に1日で仕上げるのは無理だったァァァァァァ!!!!!

ということで、少し遅いですけどわっぴーメリークリスマスですね、みなさん。


第14話

 

 

 

 

 

 よう、いずれ虐待の王になる男ことサドだ。

 俺は今日も今日とてガキどもを絶望の淵へ送り込む為に仕込みをしている最中だ。

 

 ただな?今回の虐待はハッキリ言ってスケールが違う。

 今までの虐待が生易しいものだと思えるほどに酷く凄惨な虐待を用意しているのだ。

 

 クククッ……!我ながら本当にアイツらと同じ赤い血が流れているのかと本気で思っちまうよ。

 普通()()を考えついても『流石に可哀想だ……』と躊躇してしまうものだろう。しかし、俺はそんなもの一切感じることはなく、むしろ意気揚々と準備をしているのだから……ほんと救いようのない悪だぜッ!!

 

 

 「俺は俺が行う虐待に一切手は抜かない……ならば、今回の虐待にその全てをぶつけようじゃないかッ!!」

 

 

 精々指を咥えながら待っていろよ、ガキども。

 俺の虐待センスが聖夜に火を吹くからよォ!!

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 夜。

 19時前にはガキどもが徐々に集まり、19時ピッタリには大体が食堂の席に着席している。

 それは今日も変わりなく、ガキどもは19時きっかりには全員が着席をしていた────が、食卓の上に置かれた晩ご飯を見ては硬直していた。

 

 クククッ……!そりゃあ気づくよなァ!

 

 「今日は何だか豪華……だね」

 「ですです!!すごいですよ、あのお肉とか!!」

 

 ガキどもが見つめる先には多種多様な料理が置かれている。

 ローストビーフやローストチキンだったり、ミートパイ、ピザ、ミネストローネ、ポテトサラダにビーフシチュー等々……これでもほんの一部なんだが、今回は割愛させてもらおう!なんせコレが本題ではないからだ!!

 

 「オイ、ガキども!今日は何の日か、もちろん分かっているな?」

 

 答えられて当然の問いかけの筈なのに、何故かガキどもは互いの顔を見ては傾げるだけ。

 クックック……下手な演技をどうもありがとうだなッ!!

 

 「何の日?」

 「惚けやがって……今日は12月25日!!クリスマスだろうがよォ!!」

 

 何処までも抵抗してくるガキどもに現実を突きつけてやった。

 

 クリスマス────ガキが1年の中で最も楽しみにしている日のひとつだな。コイツらもさぞ心待ちしていただろうことは目に見えている。

 なんせ……サンタさんがプレゼントを置いていくんだからなァ!

 

 「クリスマス……?何か特別な日なのか?」

 「ごちゃごちゃうるせぇよ!!つまり1年の中で最も笑顔溢れる1日だってことだろうが!!オラ、さっさとバイキングに行きな!!」

 

 まだ懲りずに惚けているガキどもにトレーを持たせて夕飯を取りに行かせた。

 クリスマスといえばバイキング式の夕食……これは常識だよなァ?

 

 「さっさと食べろよ!これから()()()()()()虐待が待っているんだからなァ!!」

 

 そして、すかさずここで虐待予告!!

 『1年で最も笑顔あふれる日』などと宣っておきながら、その実それを言った当人はそんな日を台無しにしようとしているという悪虐さ!!なんて極悪人なのだろうか!!

 

 『ッ、はい!!』

 

 ガキどもも避けられない運命と悟ったのだろう、せめてもの抵抗で大きな声で返事してきやがった。

 クククッ、見る限り全員がこれ以上ないほどに笑顔だが俺には分かる。その笑顔の下では恐怖に震えながらメソメソと泣いているってことがなァ!!

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 夕食を摂り始めてしばらく経った。

 みんなのナイフとフォークが少しずつ止まってきたタイミングで、サドさんは『虐待の準備をしてくる』と言って食堂を出て行ったばかりだ。

 

 「虐待ってなんだろうね。もしかしたら本当に酷い事をされちゃうかも……なんて」

 「……ははっ、とてもそんなことを思っているような表情じゃないな、アツコ」

 「ふふっ、そうかな?」

 

 ただ、アツコの気持ちも分かってしまう。

 

 サドさんが言うにはクリスマスという日は特別な日であるらしい。

 これまで特別な日なんて無かった私たちにとって、今日が特別な日であるという実感は全くない。

 でも、きっと()()()()このクリスマスという日は特別になるのだろう。

 

 ────なんせ、私たちには彼がいるのだから。

 

 「────ん?」

 「で、電気が……?」

 

 そんな事を考えていれば、突如として食堂の電気が消えた。

 以前ならまだしも、彼が来てからは校舎の整備や点検もしっかりとされている。だから施設の不備が出るなんて滅多にないんだが……

 

 「……とりあえずブレーカーを見に行こう。誰か光源になるものを─────」

 「その必要はねぇぜ!!」

 

 私の大好きな人の声が鼓膜を揺らしたと共に一つの燈───サドさんの顔が現れた。暗くてよく見えないが、何かを運んでいるように見える。

 

 

 

 

 

 

 ()()()()()()()()()だな!テメェら!!」

 

 

 

 

 

 

 ─────どうしようもない程に()()()()()が私に襲いかかってくるのを感じながら、私は彼の声に耳を傾けた。

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 クーッ!!決まったァァァァァァ!!!

 

 

 見ろ!あの唖然とした顔をよォ!!

 信じられない────いいや、そんなレベルじゃない。まるで未知の体験をしているかのような顔になっちまってるじゃねぇか!!

 

 「誕、生日……?」

 「そうだ。クリスマスが人類全員にとっての記念日であるならば、誕生日は()()()()()()の特別な日だよなァ?クククッ……!」

 

 

 それなのに……それなのによォ─────!!

 

 

 「誕生日とクリスマスを混合にされた気分はどうだァ!?」

 

 

 そう!ガキどもが恐れてやまないであろう現象────誕生日とクリスマスを同時に祝われる事を大人の力で実現してやったぜ!

 そっちの方が全員分のケーキもいちいち作らなくていいし、プレゼントのコストも削減出来るし、より濃密な虐待をする事が出来る!!

 

 恐れ見よ!これがキヴォトスの大人であるッ!!

 

 「パパッとケーキを配るから待ってろよ!」

 

 俺の神業にも等しい無駄のないケーキの切り分けを行い、ささっと蝋燭を一本ぶっ刺し、素早くガキども全員の席に置いてきた。それもちゃ〜〜んと俺が直々になァ!!

 ガキに一人ひとり頭を撫でながら『おめでとう』と告げてきたんだが、全員漏れなく震えていたね。

 俺の悪質さに心底恐れてしまわれたか!

 

 「オラ、バースデーソングを歌うぞッ!」

 

 そしてクリスマスソングの後にバースデーソングが流れるという最悪のコンボも勿論かますぜ!

 何故か俺しか歌っていなかったが、おそらくコイツらは現実逃避をしているのだろう。ショックすぎて声も出ないか!!

 

 「クククッ……!さて、後はその火を消すだけだな!」

 

 俺の声で現実逃避から帰ってきたガキどもは、そっと息を吹いて蝋燭に灯っていた小さな火を消した。

 

 ふぅ〜、これでひとまず終わりだな。上手くいってよかったぜ。

 後はコイツらの悔し顔を見ながらケーキを食うだけ!いや、ケーキもいらない!コイツらの悔し顔だけで空気すらも食ってみせるぜェェェェ!!!

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 私はこれまで誕生日など、ほとんど祝ったことがなかった。

 

 意味は知っている。だけど、どうして祝うのか理解が出来なかった。

 

 “幸福”など望んではいけなくて、“全ては虚しいもの”だと意識の根底に根付いていた私たちにとって、誕生日など他の日と等しく無価値な物であるとすら考えていた。

 

 

 

 

 

 

 ─────そう考えていた筈なのに、どうしてこんなにも胸を締め付けられるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 「ハーッハッハッハ!!テメェら、何泣いていやがる!!そこまで()()()()()()ことがイヤだったか!!」

 

 彼の笑い声が聞こえて顔を上げる。

 いつの間にか暗かった食堂に電気の光が照らされ、みんなの泣き顔が鮮明に見えている。

 

 アツコも、ヒヨリも、アズサも……泣き顔を見せまいと必死に机に伏しているミサキも────そして私も。

 きっとみんなにも胸を震わす程の衝動が、叫びたい程の感情がうねりを上げて私たちを支配しているのだろう。

 

 

 

 そして、この場にいる誰もがこう思った筈だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────()()()()()()()()()()()()()()()、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おっ?ククッ……!オイオイ、サオリまで泣いてんのかよ。流石はクリスマス、ここまで効果覿面とは──────」

 「サドさん!!」

 「は!?」

 

 目の前に彼が────愛してやまない人が来てしまってはもうダメだった。

 これまで辛うじて押さえ込んでいた衝動が一気に爆発するように、私は────否、()()()はサドさんに抱きついていた。

 

 

 「な、何だテメェら!?」

 「サドさん……!ありがどう゛……!!」

 

 

 ようやく言えた感謝は喉が震えて格好がつかなかった。涙声だし、きっと顔も酷いことになっているだろう。

 でも、これでいい。これで良かったんだ。

 

 

 ─────今の“幸せ(感情)”を伝えられるものがあるとするならば、それはきっと()()()だと思うから。

 

 

 「服がびしょびしょだぜ……。ま、必要経費だな!お前らの泣き顔を見れたし、今回の虐待も大成功だなァ!」

 

 

 彼は私たちを精一杯抱きしめてくれる。

 何処か世界から拒絶されているように思えた私の体を、その“生”を……ちゃんと()()()()()のだと認識させてくれるように。()()()()()()ように。

 

 

 「あとはボーナスタイムだ!テメェらにはちゃ〜〜んとプレゼントを用意しているからな!だけど、その前にケーキを食うぞ!いいなァ!?」

 『はい!!』

 

 全員が目元が赤くなった顔で返事を告げた。

 でも、その顔は何処か晴々としたものであったのは確かなことで─────

 

 

 「サドさん」

 「あ?」

 「これからも……ずっと、ずっとずっと………()()()()()()()()()()()()()……?」

 「あぁん?んなの当たり前だろうが!なんせお前らは、たとえ何処に行こうとも、どんなに離れていても……その体も心も全て()()()()()もの(道具)なんだからなァ!!」

 「ッ」

 

 

 そう言って頭を撫でてくれる彼の大きな手が大好きで。

 その粗暴な言葉からは想像がつかない程に優しさが詰め込まれた視線が大好きで。

 私に寄り添ってくれるその温かさが大好きで───────

 

 

 「オイオイ、ミサキ。いつもの反抗的な態度は何処行ったんだァ?」

 「─────大好き」

 「とか言ってたら早速反抗してきたな!俺の腰をこれでもかと締め付けておるわ!」

 「じゃあ私も。ぎゅー…………大好き、大好きだよ、サド

 「きっとこのままでは私の泣き顔も見られてしまうんです……!私の恥ずかしい顔を見て笑われてしまうんですね……!でも、どうせ笑われる未来なら抱きついてから見てもらいましょう……!サドさん、大好きです!!」

 「私もサドのことが大好きだ……!上手く言えないけど……それだけは本当だから!」

 「だーかーらー!戯言吐いてないでさっさと席に着けってェェェェェ!!!」

 

 

 ─────そして、彼を中心にみんなが笑っている“世界”が大好きだった。

 

 

 私たちの“幸せ”はこれからも続いていく。きっとうんざりする程に長く、死ぬ間際まで……いや、死んだ後も永遠に続いていくのだろう。

 

 

 

 

 

 ─────だって、私たちのそばには彼がいてくれるのだから。

 

 

 

 

 

 「サドさん─────私もあなたのことが大好きだ」

 「なんだ……?最近は悪役に好意を告げるのが流行っているのか……?じゃないと悪の化身たる俺が冗談でも好意を告げられるワケがねェし……」

 

 

 

 

 

 相変わらずな彼だが、今は伝わらなくてもいい。でも、いずれ必ず分から(理解)せる。

 アツコたちの気持ちも────そして、私の想いも。

 

 

 

 

 

 すぐそばにある確かな“幸せ”を感じながら、私たちの聖夜は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖夜から翌日、彼はこのアリウス自治区から忽然と姿を消した。

 

 

 行き先も、帰る時間も、誰にも告げぬまま。




やったー!!みなさん、悪は消えました!!ハッピーエンドですよ!!

しかし、あの虐待者め。クリスマスという特別な日に一斉に彼女たちの“生”を祝福するだけでなく、その“生”に対する価値観すらも捻じ曲げてしまうとは……!!

きっとこの子たちは虐待を受けてきた記憶を思い出しては苦しむ人生を歩んでいくのでしょう……
あぁ、可哀想に……
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