汚いガキどもを見つけたので虐待することにした。 作:史上最恐の悪役
今回短いですけど、また前半後半で分けています。後半の話がアホみたいに長くなったので泣く泣く分けました!
「遅いね、サド」
「………あぁ」
クリスマスから翌日の昼。
私たちは何かをするでもなく、ただ校舎の前で
ことの発端は朝の起床で彼が起こしに来てくれなかったことから始まった。
みんなで彼の自室に訪れてみても、そこには彼はいなくて。
彼の私物や昨日までやっていたであろう書類業務の痕跡もちゃんとあるのに────なんだかその部屋が
そこからはみんなで協力してサドさんがいそうな場所をくまなく捜索した。
……でも、どの場所にもいなくて。
「サ、サドさん……何処に行ったんでしょうか……?こ、これまで私たちに何も言わずに何処かに行ったことなんて……な、なかったのに……」
「…………」
ヒヨリは震わす声を必死に抑えながら、ただ純粋な疑問を投じる。
その瞳の端には涙が溜まっていて、見ているだけでとても痛ましいものだった。
………いや、ヒヨリだけじゃないのだろう。きっとこの場にいる誰もが同じ顔をしている。
「だ、大丈夫だっ。きっとまた大掛かりな虐待の準備で忙しいのだろう。だから、きっとすぐに───────」
─────奥に人影が見えた。
─────だけど、その姿は私たちが求めてやまない人のものではなくて。
「おや?わざわざ出迎えて下さるとは殊勝な心掛けですね、みなさん」
その姿はまさしく“異形”。
真っ赤な肌に頭部から見える幾つもの目。
その頭部から垂れ下がる漆黒の髪が殊更彼女の不気味さを引き上げている。
その言葉は私たちを褒め称える文言であるが、彼とは違ってそこに全くもって感情は宿っておらず、私たちの行動に特に関心も興味も一切ないような冷たい声色。
─────忘れたくても忘れられない、忌まわしき姿。
「──────どうして。何故……何故お前が……!!」
「どうして?随分と可笑しなことを聞くのですね、サオリ。このアリウス自治区の────貴女たちの本来の所有者も忘れたのですか?」
「…………………サドさんは、何処にッ……」
「サド?あぁ、彼のことですか。教えてほしいのであれば教えてあげますよ」
「彼は昨日を以て代役の任を解かれました。もう二度とこの地に足を踏み入れることはないでしょう」
「嘘だ」
それは誰が発した言葉か、それすらも分からない程に私の脳は今の言葉の解釈に全稼働していた。
「……なるほど、やはりあの
手に持つ扇を折らんとばかりに握りしめ、その足を一歩進ませようと──────
─────バンッッ
「…………これは一体どういうつもりですか?サオリ」
気が付けば彼女の足元に銃弾を放っていた。
咄嗟な行動で、衝動的な指の掛け方で────明確な殺意を持って放たれた銃弾であった。
………あぁ、私の頭はいまだにさっきの言葉を反芻している。状況も何も把握などしていない。
でも、ただ、どうしても──────
「───────るな」
「はい?」
「お前のような人間がッ!!私たちの
私の言葉と同時に全員が銃を構える。
ここには“優しさ”なんてものは欠片もなく、あるのは深い“憎悪”と凍てつく“殺意”のみ。
「………あぁ。あぁッ、あぁッッッ!!!あの異常者がッ!!何処まで私の邪魔をするッッッ!!!」
“異形”なる姿が更なる“異形”へと変貌を遂げる。辛うじてあった人の部分がなくなり、まさしく真性の化け物と化す。
その姿はここ1ヶ月で
【もういいです。従順な“道具”でなくなった貴様たちに用はありません。私としては“ロイヤルブラッド”さえいれば問題ないのですから】
「お前には渡さない。アツコも────この場所もッ!!」
心に大きな穴を開けたまま、私は彼女に銃口を向ける。
──────未だ見えない彼の姿を求めながら。
◇◆
「─────は?任務終了?」
「えぇ、その通りですよ、サド」
最高のクリスマスを過ごして日を跨いだ頃、珍しく呼び出しがあったから久しぶりに本拠地に帰ってきて告げられたのがコレだ。
任務終了────つまり俺が
そしてそれは、ベアトリーチェが釈放されるという意味も含まれている。
「……ククッ、なるほどな。やっぱ他所でも証拠は見つかんなかったか」
「クックック、巧妙に隠されてしまいましたねぇ」
ここでふと違和感に気づく。
黒服さんの如何にも胡散臭い雰囲気と顔は相変わらずだが、どうしてかその声色は少し弾んでいるように思えた。
「………なんか良いことでもあったのか?」
「おや、どうしたのです?藪から棒に」
「いや……上手く言えねぇけど、あんまり悔しそうじゃないっつーか………そこまで気にしてなさそうっつーか……」
「ほう。珍しく言い当てることが出来ましたね、サド。ただ、さらに詳細に言えば
「そうかァ────って珍しくゥ?オイオイ、馬鹿言っちゃあ困るぜ黒服さんよォ。俺は表情やら雰囲気やらで読み取るのが一番得意なんだわ!!」
「クックック、そういえばそうでしたね」
………なんか生暖かい目で見られている気がするんだが気のせいか?
いや絶対気のせいだな。黒服さんみたいなイカつい顔をした人が生暖かい目なんて出来るはずがねェ。
「私としては、この任務を終えたあなたの感想を知りたいですねぇ。……楽しかったですか?彼女たちとの生活は」
「ハーッハッハッハ!!あぁ、それはもう最高だったぜ!!」
そこからはこの1年間に渡り行われてきた悪虐非道な虐待の様子を事細かに伝えていった。
ガキどもとの最悪の出会いから最悪の食事、最悪の生活に最悪のイベント諸々────おそらく今の俺が行える最高のパフォーマンスを以てガキどもを虐げることが出来たことも、全部黒服さんに伝えた。
────あぁ、そうだ!
「黒服さん!今からガキどもに伝えて来てもいいか?大丈夫、すぐ戻るから─────」
「なりませんよ、サド。もうあの地には戻ってはならないのです」
真剣な声色で告げられたソレは俺に困惑を抱かせる。
「……ちょっとでもダメなのか?」
「サド、よく考えてみてください。彼女たちはあなたから
「………………ハッ!?まさか叛逆─────」
「いいえ、最悪死にます」
「え、俺死ぬの!?!?!?」
想像の何倍も過激な未来図で度肝を抜かれちまったよ……!
なんつー恐ろしいことを言いよったんですか、この人は!!
「まぁ、実際には生命活動が終わるという意味ではなく、人間としての尊厳や人権を含む全てが終わる───つまり
「むむっ……。だ、大丈夫だ!俺なら何とか出来るって!だからせめて一目だけでも─────」
「サド、あなたは
「ッ」
いつも胡散臭い黒服さんだが、その分真剣な時は他のメンバー以上に顕著で分かりやすい。だから俺に向けられている“心配”も本心だってよく分かった。
「……よく分かんねぇけど、理解はした。あんまし我儘も言えねぇしな」
「…………あなたには本当に悪いことをしたと思っています。かなり
「──────はぁ!?!?寂しいだと!?誰が!?俺がか!?!?」
「おや、違うのですか?」
「な、なわけねぇし!これは、えっと…………そう!せっかくアイツらに“道具”スピリットを植え付けていたのに、全部パーにされことがムカつくだけだッ!!!」
俺がアイツらとの別れで寂しいだと?ハンッ!寝言は寝て言うもんだぜ、黒服さん。誰が“道具”に寂しいなんて女々しい感情を抱くんだよ!
「はー、叫んだら頭のモヤモヤがどっか行ったわ!………あっ、良いこと思いついた」
「……?何がです?」
首を傾げて聞いてくる黒服さんが滅茶苦茶不気味で軽くホラーだが、そこは言わないであげよう。
「黒服さん、俺が
「………代わり、ですか。それならば良いですが……一体何をなさるおつもりで?」
「クククッ……!なに、このままベアトリーチェとの甘々生活に戻られても癪なんでな、
我が崇高なる虐待の理解者にして、途轍もなく頼りになる最高の友にここは任せようと思う。
とはいえ、まずは相手が承諾してくれるかなんだが……
────ってそんなことを考えていたら近くに友の気配が……!!
まったく、いつもいつもベストなタイミングで来てくれるよ、お前は!俺の心でも読んでんのかってなァ!
「この気配は……」
「つーわけで外出てくる!すぐ戻るよ!」
クーっクックック……!!オイ、ガキども!!俺がこのまま何もせずにフェードアウトするなんて思っているんじゃないだろうなァ?
1年間よく堪えたお前らに最後の虐待をぶちかましてやるよ!覚悟しなッ!!
上空では雷鳴が轟き、嵐が吹き荒れた。
悪虐な彼の友達とは一体誰なんだ!?
いよいよクライマックスですね!次回は明日です!