汚いガキどもを見つけたので虐待することにした。   作:史上最恐の悪役

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何やらアビドスにサドが出現した事に対して喜ぶ方が多くいらっしゃいますね……
そこまで……そこまで彼女たちが苦しむ姿が見たいのかーッ!!


第18話

 

 

 

 

 

 「フハハハッ!!お前はもう終わりだぜェ?ユメ……!!」

 「ひぃん……!サ、サドさん……これ以上は本当に……!!」

 

 ククッ、そんな声を挙げて俺がやめると思っているのか?

 むしろその声は虐待を誘発させるだけってのが分からないとは……やはりお前はアホだ!ユメ!!

 

 

 

 「オラ、お前の悲鳴をもっと聞かせてくれよ!!ハーッハッハッハ!!!」

 「ひゃ〜〜〜〜!!!」

 

 

 「………何やってるんですか?」

 

 

 

 対面に座するホシノが奇異なものを見るような目で問いかけてくる。

 何してるんだって……そりゃあお前──────

 

 

 

 肩のマッサージ(筋肉強制虐待)だッ!!!!」

 

 

 

 さっきユメがしんどそうに肩を回していたからなァ、気になってユメに迫って聞いてみれば『最近肩凝りがひどくて〜』なんて言うじゃねぇか。

 オイオイ、コンディション不良か!?そりゃあ許せないぜ!!────ということで、肩凝りを俺に知らせなかった罰も兼ねて俺直々にマッサージ(虐待)してやっているわけだ。

 

 しかし、ただのマッサージではな〜〜い!!

 俺の完璧と言えるほどの力加減で、常に快楽物質が脳内に送られているだろォ!?お前の蕩けそうな声が全て物語っているぜ?

 

 「サ、サドさんってマッサージがお上手……何ですね……。すごく気持ちがいいです……」

 「ククッ、急に気持ち良くなって脳内もさぞ混乱しているだろうよ!このまま快楽によって苦しめ!!」

 

 快楽すらも虐待に使う────これこそ悪魔の所業だろう!!

 

 「………はぁ、アホらし」

 「プッツ〜〜〜ン!!」

 

 おっと、それは俺の虐待に対する侮辱か?お前らは、ただ俺の嗜虐心を満たすためだけの“道具”という自覚が足りないようだなァ?

 

 「よ〜〜し、決めた。お前もマッサージ(筋肉強制虐待)の執行決定なッ!!オラ、何処が固まっているのか教えろよ!!」

 「すごく気持ちよかったよ!!ホシノちゃんもいつも頑張ってるし、ここはサドさんのご厚意に預かってもいいんじゃないかな?」

 

 ご厚意じゃねェ、虐待だ!!

 

 「私はいいです、何処も疲れていませんし。それより請け負う仕事の整頓を─────」

 

 

 

 ─────ドゴォォォォォン

 

 

 

 突如として地割れにも似た揺れが校舎を揺らす。外を見てみれば、何やらイカすヘルメットを被った集団が我が根城に向かって行進しているではないか。

 

 「はわわ……!?またヘルメット団が……!」

 「ヘルメット団?」

 「アビドスに蔓延る不良集団のことです!」

 

 ほう、不良か。つまりわんぱくなガキどもの集まりということ。

 元気なのは素晴らしいじゃないか。やはりガキというのは元気であり、かつ強靭な精神力を持ってこそだぜ。

 

 だがな、俺の城に攻めてくるってことは────覚悟は出来てんだろうな?

 

 「ホシノ!!銃の携帯を許可するぜ!」

 「もう持ってます!私はもう行きますから、ユメ先輩は何処かに隠れていてくださいね!」

 「ひぃん……。いつもごめんね〜、ホシノちゃ〜〜ん……」

 

 何だ?2人で戦わないのか?まぁ、確かに戦闘中でドジ踏んで足引っ張りそうだもんな、ユメのヤツ。

 

 それにしても……ククッ、こんなゲリラ戦であっても即座に応戦できる対応力……流石は俺の“道具”と褒めてやりたいところだァ!!

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 「ぐへ〜……」

 「た、たった1人にやられちゃったよ……」

 「強すぎる……」

 

 全員が戦意喪失したことを確認した後、銃を下ろす。

 周囲を見渡せば趣味の悪いヘルメットを被った集団が揃いも揃って地面に寝転がっている。

 ……よく見る光景だから、そこまで達成感も感慨に耽ることもありはしないが。

 

 「くぅぅ……!ま、まだうちは立てるわよ!」

 「た、隊長……!」

 

 私の前で威勢よく立ち上がる赤髪の長髪を靡かせる不良。その眼光は、私の喉元を食い破らんとする威圧感があった。

 

 というか、今隊長って言いました?

 

 「隊長……?隊長というのにヘルメット被ってないじゃないですか。他の不良たちは顔全体覆っているというのに……組織的にそれっていいんですか?」

 「う、うるさいわね!?全員がヘルメット被ってたら誰が隊長か分からないじゃん!!」

 

 結構シンプルな理由でした。

 まぁ、逆に目立ちすぎて真っ先にリーダーが狙われそうではあるけど……ヘルメット団の諸事情なんて知ったこちゃない。

 

 「今からすぐに撤退するなら追撃はしない。でも、その銃を降ろさないのなら抗戦行為と見做して徹底的に潰す」

 「め、目つき怖っ!?……い、いや!うちは屈しない!散るなら華々しく散ってやろうじゃない!!」

 「……そうですか。じゃあさよならですね」

 

 銃口を彼女に向け、そのまま抵抗感を微塵も感じずに引き金を──────

 

 

 

 「ストォォォォォォプ!!!!」

 

 

 

 校舎の方面から静止を促す大声が響き渡る。

 そちらに顔を向ければ、やけに綺麗なフォームでお盆を持ちながら走ってくるアイツの姿があった。

 というか、何でお盆なんか持ってるんですかね……。何か載っているように見えますが……

 

 「ハァ……ハァ……セーフだな!」

 「何しに来たんですか?」

 「ククッ、コイツらを見ていたらいい事を思いついてなァ。つまり────虐待の時間だぜェ?

 

 そこでようやくお盆の上に載せられていた物に気づく。

 これは……()()()()……?

 

 私が驚愕と困惑の渦中にいる中、彼はまるでスキップし出すかの如く軽やかに倒れ臥している不良たちの元へ向かう。

 ………そんなアイツとは裏腹に、コチラとしては何故だか妙に落ち着かない。ハラハラすると表現するべきか、とにかく落ち着かない。

 

 「な、何よ、あんた。うちらに何の用があるっての?」

 「ククッ、あぁ、あるとも。テメェら、大してご飯食えてないんだろ?」

 「ッ!?な、何故それを!?」

 「クククッ……!!この虐待王には全てお見通しよッ!!だから………ほらよ」

 

 そう言って差し出すのは、ちょうど1人に2個ほど与えられるおにぎり。

 不良も、そして私も唖然としてそのおにぎりを見ている。

 

 「こ、これは……?」

 「何の変哲もないおにぎりだ。食っていいぞ」

 「え!?……い、いや!!うちらはたった今、あんたがいた学校を攻め落とそうとしたのよ!?そんな相手に塩を送るなんて虫が良すぎる─────」

 

 赤髪のヘルメット団のお腹の音が大きく鳴った。

 やがてその髪と同色か、もしくはそれ以上に顔を真っ赤にした後、掠め取るようにおにぎりを取り口に入れた。

 

 口に入れて、まるで固まったように動かなく彼女の頬には─────一筋の涙が。

 

 「美味しい……美味しいよぉ……!!」

 「ハーッハッハッハ!!そうかァ、美味いか!!ほれ、隊長が食ったんなら、その部下も食わないとなァ?」

 

 その後ワラワラと群がるようにおにぎりを持って行き、食べるヘルメット団。

 そして全員が美味しそうに、だけど涙を流しながら食べている光景を、またしても唖然としながら見ていることしか出来ない。

 

 

 

 いや、何をしているのかは大体理解できる。

 

 

 

 ─────ただ、その理解をどうしても脳が拒むだけで。

 

 

 

 「ホシノもお疲れだな!お前にもキンキンに冷えたオレンジジュースを持ってきてやった────」

 「───ですかっ」

 「あぁん?」

 「何で相手に慈悲を見せるんですかッ!?彼女たちはこの学校を攻め落とそうとしたんですよ!?」

 「…………」

 「意味が分かりません!!もしや何か目的があるんですかッ!?彼女たちに恩を売って、アビドスを陥れるつもりですかッ!?全て吐いてください、今すぐに!!!」

 

 気づけば銃口を向けていた。

 激情に駆られて吐き出された言葉は心の底からの本音であり、また同じくらいの()()でもあった。

 

 アビドスの現在の悲惨な状態をいいことに、自身たちの溜まり場とするこの不良集団を庇うような姿勢に苛立ちと悲しみが湧き上がって仕方がなかった。

 どうしてこんなにも悲しいのか、辛いのか理解できない。ただ、ひたすらに辛いという思いだけが私の心中を支配していた。

 

 「目的……目的ねぇ……」

 

 銃口を向けられているというのに、まるで目の前には何もないかのように話し出す彼の声に震えや後ろめたさなんてものは全くなく、むしろ芯が通った力強い声だった。

 

 「俺がこのガキどもにおにぎりを与えたのに目的もなにもねェ。ただ俺の()()()()に従っただけだ」

 「ポリ、シー……?」

 

 すると彼が自ら銃口を彼の左胸────心臓に押し当てる。

 彼の表面上にはない目が、私の瞳を覗き込んでいると錯覚をするほどの圧力を感じながら、彼の言葉を待つ。

 

 

 

 あぁ、でも、私は分かっていた筈だ──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「たとえ味方であろうと敵であろうと─────俺の目の前にいるガキが()()()()()()()苦しむのを許しちゃいねぇって話だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────彼がどうしようもない程にアホな事くらい。

 

 

 「なん、ですか、それ……」

 「ククッ、当たり前だろ。なんせ俺は虐待者、ならば目の前にいるガキどもは俺の手によって虐待され苦渋の思いをせねばなるまいて!!」

 

 ……アホだ。本物のアホだ。まごうことなきアホだ。ユメ先輩以上のアホだ。

 

 

 ─────どうして私の周りにはこうもっ………

 

 

 「それに、俺があのおにぎりに何も仕組んでいないと本気で思っているのか?ほれ、見てみろ!」

 「え?」

 

 改めて彼女たちの方を見れば、全員がそれぞれのおにぎりの具を見せ合いっこしていた。

 あれは一体……

 

 「具材シャッフル……味の変化に戸惑わせる虐待ッ!!全く、何故こうも天才的なアイディアが思い浮かべられるのか理解出来んよ!ハーッハッハッハ!!」

 

 私はあなたの思考回路が理解出来ないのですが……

 

 「そ〜〜れ〜〜で〜〜?お前は俺に何か言うことがあるんじゃあないのかね?」

 「─────あっ」

 

 あぁ、そうだ。バカでアホなのは私もだった。

 

 それもユメ先輩や彼とは違く、もっとタチの悪いもの。

 私の早まった判断で、彼の胸元に銃口を構えてしまっているのだから。

 

 「あ、あのっ……ごめんなさ────」

 「ホシノもおにぎりを食いたいよなァ!?というか食わせるぜェ?お前だけ仲間はずれはしねぇからな!!」

 

 ……………は?

 

 「え?」

 「あぁ?なに惚けてんだよ」

 「いや、その……私の早とちりで銃口を向けてしまったことは……?」

 「ククッ、()()()()()()()()()()()()!目の前に広がる虐待と比べたらなァ?」

 

 ………何ですか、それ。

 そんなの─────そんなのっ……

 

 「サドさ〜〜ん!ホシノちゃ〜〜ん!お代わりのおにぎり持ってきましたよ〜!」

 「グッドタイミングだぜ、ユメ!ちょうどガキどものおにぎりも無くなったところだ!」

 「それは良かったです♪はい、サドさんとホシノちゃんの分!」

 「サンキューな!」

 

 そう言ってヘルメット団の元へ向かうアイツの後ろ姿を眺めていると、隣にユメ先輩が腰掛ける。

 その顔はやはりとても優しげで、私にはとても出せそうにないものだと肌で感じ取る。

 

 「……ユメ先輩は聞いていたんですか?」

 「ふぇ?聞いていたって何を?」

 「だからっ、その……彼のこの虐待のことです」

 

 そう言うと『うへ〜』と顔を綻ばせる先輩。

 こんな時でもあなたは平常運転ですね……

 

 「うん、聞いたよ!」

 「……どう思ったんですか?今までユメ先輩も不良たちには散々な目に遭わされてきたじゃないですか」

 「えへへ、それもそうなんだけど……サドさんのポリシーを聞いて考えたの。もしかしたら、このアビドスにやって来る不良の子たちにもやむを得ない理由で不良になっちゃって、こうやってお腹を空かせて彷徨いながら来た場所がアビドスだったのかもしれないってね。それが……何だか他人事のようには思えなくて。だから協力したの!」

 「…………」

 「それでね?この光景を見ていたら、やっぱり間違いなんかじゃなかったって心の底から思えるの!ね、こうやってみんなで笑い合える方が素敵でしょ?」

 

 ……世界はそう単純じゃない。

 今日はたまたまアタリを引いただけ。明日他の不良たちに同じ事をしても、きっと私たちの好意を無碍にされる───()()()()()()

 

 ……あぁ、私も随分と毒された。

 前までなら“かもしれない”なんて一筋の希望すらも切り捨てていた筈なのに、どうしてかその希望を信じたいと思う自分がいる。

 

 「オイ、ホシノ!ユメ!お前らもコッチ来い!なんかラブが言いたい事があるらしいぜ!」

 「ちょっ!?それは言わなくていいから……!!」

  

 あの人が─────()()が私たちを手招く。

 さっきまで銃口を向けられていたことなんかこれっぽっちも覚えていないような様子で、それでいいのかと本気で心配してしまうが……()()()()()()()()()

 

 「行こっか」

 「……はい」

 

 自分らしく無い、自分には似合わない────そう思いながらも、アイツを中心に笑っているこの空間が、何処か眩しく見えた。

 




まさしく傍若無人……!!
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