汚いガキどもを見つけたので虐待することにした。 作:史上最恐の悪役
虐待最高!虐待最高!あなたも虐待最高と叫びなさい!!
よぉ!サドだぜ!
最近は夏が近いせいか絶妙に暑いな!俺の執事服のボタンも少し緩ませてしまいそうだぜ!!
さて、そんな日は是非とも部屋に閉じこもっていたいわけだが─────今日は
それにしてもアイツらめ……アビドス自治区外のデパートに行くんなら一緒に行けばいいのに、わざわざ現地集合にするなんて………そこまで一緒に行きたくないってことかァ!?
ククッ、随分と嫌われたもんだぜ!!………だとしたら一緒にデパートに行く意味が分からんな?
いや、それならば心当たりがありすぎてなァ。例えば日頃の
「お、そろそろ集合場所に─────あぁ?」
アイツらと約束している場所はどデカい噴水がある時計台だ。
その周辺には華やかな花が咲き誇っていて、それが起因してかつてのアツコとの花の世話を思い出していると、その時計台の下に
ククッ、可笑しいな……約束の時間まであと10分以上あるっつーのに……
「よぉ〜、ガキども」
「おっそ〜〜〜い!!いつまで待たせるのよ!!」
「まぁまぁセリカちゃん。サドさんが時間に遅れたわけじゃなくて、むしろ私たちの方が早すぎたくらいだし……」
「えへへ☆楽しみすぎて早く来ちゃいました☆」
そう、今日用のあるガキというのはセリカ、アヤネ、ノノミのアビドス中坊3人組のことだ。
どうやらデパートに行ってショッピングをしたいんだとか。楽しみにしてたとか抜かしているが、このデパートで俺に何かしら反抗してくるのは目に見えてんだよ!!
それにしても……ククッ……!!
「オイオイ、なかなか似合ってんじゃねェか!普段制服姿だからよ、私服の姿がなんか新鮮だわ」
自分で言っといて気づいたんだが、コイツら全員私服姿だ。夏の移行期間のような、ちょうどいい感じに涼しそうな服装だなァ。
クーックックック!!俺から褒められたってなんも嬉しくないだろうに、むしろ『見るな!』とすら思っているだろうに敢えてそこを指摘する!!なんて虐待なんだ!!
「に、似合ってる……?本当に……?」
「あぁ、悔しいほどに似合ってるな!別人かよって思うほどだ!!」
ハンッ!揃いも揃って顔を赤らめて俯いたな!怒りをどうにか抑え込もうとしているってわけかァ?
「よ〜〜し!!今日も元気に虐待!!つーわけで行くぞ!時間が惜しいからな!!」
◇◆
ガキがショッピングと聞けば一体何が真っ先に思い浮かぶだろうか?
そんなもの決まっている。ガキどもはショッピングといえば『服屋さん!』と答えるだろう。
だから俺は言ってやったわけだァ。
『お前らの好きな物を1つだけ買ってやるよッ!!』とな!!
あぁ、何と悍ましいことか!異性から、それも自身を虐げている人間からの贈り物など吐き気がするだろうに!
しかし、ヤツらは断れない!何故なら俺を心底恐怖しているからなァ!!
ちなみにだが、別に服限定にしているわけじゃない。何か気になった物があれば買ってやるシステムだ。
無理にいらない物を与えても虐待の効果が下がるだけだしな。
「どれ、少しばかり偵察してやろうか」
“道具”の管理は持ち主の義務。つまり、ガキどもがちゃんと選んでいるかどうか、また洋服屋から抜け出して逃走をしていないか随時チェックする必要がある。
そんなこんなで最初に目に付いちまった憐れな第一被害者は─────
「よォ〜〜!!ちゃんと選んでいるか〜〜!!」
「わっ!?急に大声出さないでよッ!!!」
────ツンガキこと黒見セリカさんだぜェ!!!
コイツはユメやヒヨリとは別タイプで反応が面白い“道具”なんだぜ!いちいちリアクションがオーバーなもんで、こっちも虐待のしがいがあるってモンよ!
「さてさて、お前は何を────おっ?白のワンピース?」
「あっ!?な、なんでもないわ!!」
オイオイ、コイツ……俺が“なんでもない”と言われて『はい分かりました』と素直に引き下がるヤツだと本気で思ってるわけじゃねェよな?
そんなこと言われたら気になってしょうがないのが俺ってヤツだぜェ!
「ククッ、なんで隠すんだ?いい服じゃないか」
「…………だって、私には似合わないって思うから……」
「あぁ?似合わないだァ?」
「だ、だって今までワンピースなんて着る機会なかったし!ヒラヒラしたワンピースより動きやすい半ズボンの服しか着てこなかったし!……ただ、ちょっとこの服も悪くないかなって思っただけで、コレを買ってもらおうなんて1ミリも─────」
「いいじゃん、似合ってると思うぜ」(絶対と思うで矛盾とまでいかなくとも、違和を感じる言葉になっている。)
「……え?」
コレぞキョトン顔と評せる間抜け顔を俺の前で晒すセリカ。きっと末代までの恥となっただろう。
しかし、全くもって情けない。果たして本当に俺の“道具”である自覚がちゃんとあるのか?
「お前は可愛いんだからよォ!!もっと自信を持てや!!」
「か、かわっ!?!?」
「あぁ、そうだ。お前は可愛いから何でも似合うぜ!!」
ククッ、虐待者から褒められても貶されているとしか思えないよなァ〜?
ほら、その証拠に涙目になりながら頬を赤く染めてやがる!!泣くほどの侮辱だったってわけだな!!
「─────じゃあコレ買う……」
「はい毎度ありィィィィ!!!」
ハーッハッハッハ!!またしても俺の悪意の方が1枚上手だったようだな!!
なんで負けたかは明日までに考えておいてくださいッ!!
「ククッ……だが、本当にいろんなものが似合いそうだな!例えば
「ア、アイドルはない!!ぜ〜〜〜〜ったいないから!!!だからアイドル衣装なんか買わないでよ!?」
「ククッ、それは残念」
見てみたいがな、セリカのアイドル衣装。
まぁ、いつか見せてもらえるならそれでいいだろう!
◇◆
ガキはな、やけに小さくて可愛らしい刺繍が入った物を好む。
どうせ学校でお友達と見せ合いっこしているんだろう。
「どれも可愛いですね〜☆」
「そうかァ?金ピカのキーホルダーの方が良くね?」
「ムッ、サドさん!女の子はカッコいい物より可愛い物が好きなんですよ!」
『常識です!』などと注意を受けてしまった。
お前らの常識など俺には通じねェ!!────と言いたかったが、やけに『スゴ味』のある笑顔を向けられているモンで、思わず出かけていた言葉を喉奥に引っ込ませてしまったぜ。
こ、怖くねェしビビってもねェよ!?これは戦略的撤退ってヤツだ!!
「そ、それよりいいのは見つけたのかよ!」
「う〜〜ん……それがどれも可愛くて……」
「お前って金持ちなんだろ?なら、1つは俺が買って、その他全部はお前が買えばいいじゃん」
「確かにそうですけど……………あっ、いいことを思い付きました☆」
ノノミは顎に指を置いて考えていると何かに気づいたようにハッとした後、柔らかな笑みを俺の方に向けてきた。
なんだ……?その不穏な笑みはなんなのだ……?
「────サドさんが選んでくれた物を買っていただけると嬉しいです☆」
「な、なに!?」
コイツ────まさか俺に敢えて選ばせて、もしダサい物を選んできた瞬間に嘲笑おうとしているのか!?なんて意地の悪いヤツ!!
だが、俺の辞書に『敗走』という2文字はない!戦略的撤退はあるがな!
つまり─────その企み、真正面から打ち砕いてやんよ!!
「ククッ、ならさっき見つけた物を選ばせてもらう!」
「見つけた物……?」
そう、アレはこのお店に入ってすぐに見つけた物だ。
『コレがあれば色々虐待が捗りそうだな〜』なんて思っていたんだが、まさかこんな形でお出しすることになるとは……
「お前に贈るのは─────コレだァァァァァァ!!!」
「これは………ノート?」
俺が手に持つのは、悪魔かクマか分からない化け物がプリントされている手帳サイズ程のノートだ。
ククッ、パッと見るといたって普通のノートだ。
だが、俺がこれからこのノートに
「お前はこのノートに
「ウィッシュ、リスト……」
ククッ、分かるか?このウィッシュリストの恐ろしさが……!!
人間の欲望には際限がない。アレをやってしばらく満足したら、また別のものを貪り尽くさんと欲が湧いて来る。それは死ぬまで止まることはなく、よって人間とは欲望の獣なのだ。
そんな欲望をノートに記したらどうなる?手が止まらなくなるだろォ?
それにプラスして、書き記したら書き記した分だけ
つまりこれはノノミを
「─────ふふっ、すっごく素敵な贈り物ですね☆」
どうやらお気に召したようだ。その証拠に侮蔑の視線も罵倒もなく、あるのは純粋な笑顔のみ。
ククッ、いつその笑顔が泣き顔に変わるのか見ものだぜ。ハーッハッハッハ!!!
◇◆
俺もよく本を読む。
崇高な虐待を行うためには、それ相応の知識がなければならないからな。常日頃脳内をアップデートさせてこそ、真の虐待王と言えるだろう。
「……どの本屋にも虐待関係の本がないのは不満だがな。そう思わないか?アヤネ」
「あはは……。多分残念がっているのはサドさんだけだと思いますけどね……」
そうかァ?なら俺以外の虐待者は貪欲に学ぶ姿勢のない怠け者ってこったな!!
「ところでお前は何を見ているんだ?」
「あぁ、えっと……金融に関する本とか砂漠化問題に関する本とかですね」
「へぇ〜」
金融関係の本を読んでいるのか。まぁ、確かにお金に関する知識は重要だが、まだ中学生の癖にそんな小難しい題材を見て飽きないのかね?アルみたいなガッツがあればいいが……
……あぁ、いや違う。見落としていたわ。
しかし、数ある本の中で砂漠の本を手に取るなんて……どれだけ
まったく……ユメやホシノ、ノノミ、セリカもそうだが、
「それで?買ってもらう本は決まった────あ?」
「…………」
俺がちょっと考え事をしている隙に、アヤネは別の本の虜となっているようだった。
聡明なアヤネが思わず魅せられる本……さぞ気になるよなァ?だからちょいと上から覗き込み失礼─────………マジか。
「お前………
「あ、え!?!?ち、ちちちち違いますよ!?全然見てませんから!?!?」
「いやでも、タイトルが『必見!気になる歳上の相手を意識させるコツ!!』ってゴリゴリの恋愛─────」
「わ〜〜!!わ〜〜〜!!!違いますからぁぁぁぁぁ!!!」
動揺しすぎだぞアヤネェ……!!そうも必死に本を隠されると図星ってことが丸わかりだぜ!
しかし……そうかそうか。お前もちゃんと学生らしいことをしているんだな。
それも歳上ってな!確かに1つ2つ上の先輩ってカッコよく見えちまうよなァ、分かる分かる。
ま、ガキの恋愛なんて1ミリも興味はねェがな!!
「……ククッ、詳しくは聞かねェよ。俺が知りたいのは欲しい本だけだからな。それで?その本は欲しいのか?買うとしてもアイツらには内緒にしてやるよ」
「あっ、えっと、その…………………ほ、欲しいです……」
「オッケ〜〜!!」
ククッ、なんとも甘酸っぱい虐待だぜ……!!
甘酸っぱすぎて、俺の脳内にも思わずかつての“青春”時代が甦って来そうだったなァ!!
まぁ、そんな記憶はすっぽ抜けているんだけどよッ!!
「オラ、買いに行くぞ!お前の“青春”の本を!」
「うぅ〜……」
コイツ、まだ涙目になってやがる……
カーッ!!そんなに恥ずかしかったか!!甘酸っぱいねまったく!!
…………あ、そうだ。詳しくは聞かないと言った手前であれだが、一言だけ物申すことができたな。
「……オイ、アヤネ。お前の恋愛に口出しする気はないが………
「え?」
「ククッ、たとえ俺以下の小悪党だったとしても虐待と恋愛ではまた違うということは、恋愛未経験者の俺にも分かっている。ま、お前ともあろう者が余程のことがない限りそんなヤツを好くとは思えんがなッ!!」
「…………」
それさえ大丈夫なら恋愛を謳歌しろッ!!まぁ、コイツが選んだ相手なら大丈夫だと思うけどな!!
勝手に馴れ初めのようなものを予想すると、さしずめ日々の虐待に体も心も摩耗していたときに救われたとかだろう。The王道のありがちな展開だぜ。
……もしや俺は恋のキューピットだったッ!?
「────ふふっ、ふふふっ」
「あ?なんで笑ってるんだ?」
「いえっ……あまりに可笑しくって……」
「…………???」
『どういう意味だ?』と頭を傾げていると、アヤネが手を後ろにやってにっこりと微笑む。
……その笑顔に妙な寒気がするのは気のせいだろうか。
「サドさんのお願いなんですが……残念ながら叶えられそうにありません」
「あ?」
「だって─────
「──────は?オイちょっと待て!!今のどういう意味だッ!?」
「〜〜♪〜〜♪」
あ、あの野郎……!!鼻唄歌いながらトンズラしやがった!!
ま、まさかな……アヤネともあろう者が悪いヤツに引っかかるわけが……
そうだな!今のはアイツの些細な抵抗といったところか!!まったく、驚かせやがって!!
………まぁ、ちょっと気になるからアイツのことは要観察だがな!!
◇◆
その後はコイツらとショッピングしたり、ガラガラくじを引いたら
「今日は楽しかったな!!」
「えぇ、そうね!!」
「楽しかったです〜☆」
「今日はありがとうございました、サドさん!」
ククッ……!!コイツら、俺の皮肉に同意するどころか感謝まで告げて来やがった!!
ガキどもにとってはちっとも楽しくなかっただろうに……素晴らしい反骨心だ!!
「また来たいわね!今度はホシノ先輩やユメ先輩と一緒に!」
「セリカちゃん、まだ私たちはアビドス高校に入学していないんだから先輩って呼ぶのは少し変じゃない?」
「そうでしょうか?いいと思いますよ!きっとホシノさんやユメさんも喜んでくれると思います☆」
「そうよね!!じゃあこれからもホシノ先輩、ユメ先輩、それとノノミ先輩で呼んでいくわ!」
「……あれ?私にも付けてくれるんですか?」
「ノノミさんも歴としたアビドスの先輩ですからね」
「そうよ!」
「………えへへ☆嬉しいですね☆」
う〜〜〜ん、これぞ“青春”。
こういう瞬間を特等席で見れるのは素晴らしいことだ─────なんせ、後の虐待でより効くようになるからなァ!!
アニメやマンガでもあるだろう?シリアスパートに入る前にある日常回的なヤツ。あれがあるからこそシリアスパートも映えると確信している俺からしたら、この瞬間はまさしくそれッ!!
「夕飯は柴関のラーメンでも行くか?」
「さんせ〜〜い!!」
「私もラーメンが食べたいです☆」
「それじゃあ……よろしくお願いします、サドさん♪」
「ククッ、任されたァ!!」
素晴らしい夜景を眺めながら、俺はガキどもを連れて柴関のラーメン屋に足を向ける。
ククッ、いくらでも食えよ?なんせ俺の奢りなんだからなァ!!!
……………あぁ、その前に─────────
─────ヒュー……
決めポーズを取って後ろに振り返ったというのに、そこには人1人いないどころか、何の物体もない砂の雪原が広がっているだけだった。
可笑しいな、さっきから
「どうしたのよ?」
「……いや、何でもねェ」
まぁ、そういう日もあるか。それに、俺のような悪人を覗くヤツはとびっきりの変人か警察ぐらいしか思いつかねェしな!!
一体誰が見ていたんですかねぇ……?