汚いガキどもを見つけたので虐待することにした。   作:史上最恐の悪役

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今日も虐待に彩られた日常が……!!


第21話

 

 

 

 

 

 「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ〜〜ん!!!お前らの親愛なる虐待者、サドだぜェ!!」

 「呼んでないので帰ってください」

 

 よう!サドだぜ!!

 今日もガキどもは元気な反骨心をお持ちのようで安心したぜ!

 

 だが、それも今日までだァ!!今日の夕方ごろにはワンワンと咽び泣き叫んでいるであろう虐待がお前たちを待ち構えているのだからな!!

 そう、まるで玉ねぎを切ったら目が滲みて涙目を浮かべるようになァァァァァァ!!!

 

 「お前ら、今日は何もない日だよな?」

 「え?えっと……そうですね!今日は私もホシノちゃんもお休みです!」

 「よ〜〜し、なら出かけるぞ!!早く準備しろ!!」

 「え、えぇ!?」

 「何処に行くんですか?」

 

 その言葉を待っていたぜ?ホシノォォォォ!!!

 

 

 「ククッ、今回お前たちと行く場所は─────ここだァ!!!」

 

 

 バンっ!と2枚のチケットを机に叩きつける。

 ガキどもは2人してチケットを覗きこみ────そして目を輝かせた。

 

 クハッ、気付いたか。このチケットの意味がッ!!

 

 そう、このチケットこそ以前セリカたちと訪れたデパートのガラガラくじで当てた景品!!

 セリカたちが『2人と行ってくれば?』と言ってくれたので、躊躇いなく使うぜ!!

 

 ククッ、このチケットはいわばここまで虐待を耐えてきたご褒美だ。

 常に鞭ばかり与えるのではなく、時には飴を与えることこそが立派な虐待といえよう。

 だが、今回もアリウスのガキどもと同様、ただ飴を与えるだけじゃねェ!ちゃんと鞭もある中で飴もあるということを忘れんなよ!!

 

 

 

 「てなわけで、早く準備して行くぞ─────水族館によォ!!!

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 「でっけ〜〜〜!!!!」

 

 というわけでやって来たぜッ!!なんか滅茶苦茶デカい水族館によォ!!!

 ガイドライン見ると4つのエリアに分かれているらしいんだが……水族館ってこんなに大きいモンなのか?

 分からんけどまぁいいか!楽しそうだし!

 

 「お前ら!写真撮ろうぜ、写真!!」

 「いいですね!撮りましょう!」

 「………まぁ、先輩がどうしてもっていうなら……」

 

 ユメは俺の提案にノリ良く乗っかってくれるが、案の定ホシノは澄ました態度を崩さない。

 ククッ、初期段階とはいえ流石は厨二病ってわけか。人とは群れないというのは厨二病として基本らしいなァ!

 ま、それでもミサキほどじゃないぜ!

 

 「ククッ、元からお前らに拒否権なんかねェんだよ!!う〜〜ん、そうだな……あのクジラのオブジェを背景に撮るぜ!」

 「ッ!!」

 

 ん?今ホシノの瞳が光ったような……

 ククッ、早速()()()()()しているようだな。あんなデカいオブジェを背後に置いて自分たちの存在がいかにちっぽけかを思い知らせる虐待……そのことを理解しながらも厨二病としてのプライドが許さない為の装いなのだろう!

 

 「ほら、撮るぞ!─────ってお前らもっと寄せろッ!!何で微妙に間空いてんだよ、そこに誰かいんのか!?」

 「単なる撮影じゃないですか。別にくっつかなくても……」

 「も〜、またそんなこと言って〜。ほら、もっと近くおいで?」

 「ち、近いです、先輩……」

 

 グチグチ文句を垂れるホシノの手を取ってちょうどいい感じの位置に引率するユメの姿は、まるで手が焼ける妹の相手をしている姉だ。

 いや、俺の“道具”としての括りだけで見るならば、先になったユメは姉貴分で、後からなったホシノは妹分だから……実質姉妹ってことかァ!?

 

 「クーックックック……!ユメはいい笑顔だなァ!ホシノはユメを真似て笑ってみろ!」

 「な、なかなか難しい注文をしてきますね……」

 

 それもそうだろう!何故なら、厨二病は総じて人前で歯を見せて笑わないからな!

 

 「これは()()撮影だからなッ!記念撮影は()()って相場が決まってんだよ!オラ、笑え笑え!!俺がお前らの最悪(最高)の瞬間を撮ってやるからよ!!

 「──────ふふっ。ほんと、あなたって人は呆れるぐらい相変わらずなんですね……」

 

 ──────おっ、シャッターチャ〜〜ンス!!

 最高の瞬間でパシャリと撮ってやったぜ!アツコとの写真撮りの経験が今に活きたな!

 

 「う〜〜む、我ながら完璧」

 「サドさ〜〜ん!!見せて見せて───ってわぁ!!ホシノちゃんの笑顔可愛い〜!!」

 「わ、私の笑顔が、ですか……?」

 

 またもや俺の言葉に反抗しそうだったので、その前に証拠である写真を眼前に突き出す。

 ほら、見えるかァ!?この可愛らしい笑顔をよォ〜!!!

 

 しかしまぁ、何とも()()()()()だ。まるで幸福を噛み締めているような顔じゃねェか。

 

 

 

 ─────ククッ、クククッ……!!

 

 

 

 「それがお前らの()()()()()だぜェ?自分の笑顔を忘れないように、精々綺麗に写メでも保存しておくんだなァ」

 

 これぞ思い出虐待ってなァ!!

 いつかお前らも大人になり、やがて誰かと思い出を振り返ったりするのだろう。

 その時にこの写真を見て『でも、この写真はあのクズに撮られたんだよな……』と思い出を穢させる所業ッ!!あぁ、俺はなんて非道な虐待者なんだ!!俺以上の悪魔がいるのなら是非会ってみたいね!!

 

 「あ、サドさんも撮ろうよ!!」

 

 1人で愉悦に浸っていると、良いことを思いついたように提案してくるユメ。

 ククッ…………何で俺?別にお前らだけでいいじゃん、お前らの記念撮影なんだし。

 しゃーねーな、ここは“大人”としての余裕を見せてやるとしますか。

 

 「クククッ、“大人”とは出しゃばってはいけない場面はちゃんと弁えるんだぜ?だから─────」

 「何ですか?まさかあなただけ()()()と?」

 「あぁ!?この俺がお前ら相手に逃げるだと!?いいぜェ、その挑発に乗ってやるよォ!!」

 

 “大人”とは空気を読める人間のことだ────しかし、売られた喧嘩は買わねェとな!!!

 

 せめてここだけは2人だけの楽しい思い出にしてやろうと慈悲を見せてやったというのに、バカなガキどもだ!!後悔すんじゃねェぞ!!

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 「わ〜!お魚さんがパクパクしてる〜!空気を吸っているのかな?」

 「……よく考えると水中で呼吸ってどうやっているんでしょうか」

 「魚にはえら呼吸っていって、えらを通して水の中から酸素だけを取り込んでいるんだぜ。そんで、人間と同じように酸素を取り込んだら二酸化炭素を吐き出してるってわけ」

 「お〜!確かそんなことを聞いた覚えがありますね!」

 「………意外と博識なんですね」

 「ハンっ、お前らの持ち主をあまり舐めんじゃねェぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 「綺麗〜……!そして可愛い!」

 「なんか……お前ってクラゲみたいだよな」

 「えへへ、そうですか?ちなみにどんなところが?」

 「何も考えずに動いていそうなところが」

 「ひぃん……!」

 「…………」

 「あん?何だよ、ホシノ」

 「…………いえ、別に」

 

 

 

 

 

 

 

 「ホシノ、お前ちゃんとペンギン見れてんのか?」

 「なっ!?失礼ですね!?ちゃんと見れてますよ!!─────ちょっとなら……」

 「ククッ、なら俺がお前に新たな景色を見せてやるよ─────抱っこで」

 「だっ!?!?す、するわけありません!!巫山戯るのも大概に────」

 「じゃあ私はやってもらおうかな〜!!」

 「は?お前は普通に見えるだろうが」

 「ふふんっ、さっきの仕返しですよ〜だ!はいドーン!!」

 「仕返しって何だ反抗か────って急に抱きつくな!!落としたらどうすんだオメェ!!」

 「えへへ〜」

 「…………」

 「あ?何でそんなに睨め付けているんだよ、ホシノ」

 「…………変態」

 「ちょ〜〜〜っと待て!!!今のは聞き捨てならんぞ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 「イルカが飛ぶぞ!!────ウオォォォォ!!すっげ〜〜飛んだ!!」

 「………大丈夫ですか?その頭」

 「あぁん!?ストレートに悪口か!?」

 「あぁ、いえ。確かにそっちも心配ですけど、私が言ったのは頭の中身ではなく外見の方です。水で消えちゃったりしないんですか?その頭」

 「あぁ、こっちか。ククッ、俺の顔は()()だからな。『あわよくば消えないかな』と思っていたところ悪いが、残念だったなァ!!」

 「…………はぁ、心配して損しました」

 「あぁ?なんか言ったかァ?」

 「いえ、なにも」

 

 

 

 

 

 

 

 「ジンベエザメさんだ!!」

 「大きいですね……」

 「いつか俺もあんな風にビッグな男になりたいぜ!」

 「なれますよ♪サドさんなら、きっと!」

 「そうかなァ!俺、なれるかなァ!!」

 「絶対なれますよ!」

 「そもそもビッグって何ですか。精神的な話ですよね?物理的な話じゃないですよね?…………大丈夫ですよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◆

 

 

 

 

 

 水族館もいよいよ大詰めだ!

 最後に訪れべき場所は─────そう!お土産コーナーだッ!!

 

 ガキどもには好きなものを1つだけ買ってやると言ってある!

 センスのいいモンを期待しているぜ?

 

 「ペンギンさんのぬいぐるみ……それにイルカさんのぬいぐるみもいいな〜!どれにしようかな〜!」

 

 ククッ、ユメのヤツ、年甲斐もなくはしゃぎやがって……

 ハッ!?ここで俺が『2つ買っていいぞ!』って言ったら更なる醜態を晒すんじゃねェか!?

 クーックックック、これはとんでもない名案だぜェ……!

 

 「オイ、ユメ!その2つ買ってやるよ!」

 「え!?いいんですか!?やった〜〜!!!サドさん大好き〜!!」

 「ハーッハッハッハ!!!」

 

 大好きだなんて一欠片も思ってもいなそうなことをツラツラと吐けるとは……流石は俺の“道具”だぜ!!!

 

 「さて、ホシノのヤツは─────あぁ?なに見てんだ?」

 

 ユメの反応に大満足した俺はホシノの様子を見に行けば、そこには超ビッグサイズのクジラのぬいぐるみを目を輝かせながら見ているホシノを見て我が目を疑った。 

 コイツ、厨二病の癖してサメじゃなくクジラを見に行ってたのかよ……!

 

 だが、ここであることに気づく。

 厨二病が行きがちなサメコーナーではなくクジラコーナーを見に行くということは、それ相応の理由があるのだと。

 ならば、もはやその理由は1つしかないだろう─────

 

 「クジラが好きなのか?クククッ……!」

 「ッ!?きゅ、急に話しかけないでくださいッ!!ビックリするじゃないですか!!そ、それにクジラが好きなわけじゃ……あ、ありませんから!!」

 

 ビックリした、だと?

 お前がかァ……?

 

 「お前なら背後だろうが死角からだろうが見抜けるだろうが!つまり、今の発言はお前は俺に気付かぬほどに見惚れていたという証拠ォ!!」

 「ぐっ……!!」

 

 ハーッハッハッハ!!自ら墓穴を掘るとは間抜けなヤツだッ!!

 ペテン師ホシノ……これにて敗れたりィ!

 

 「とはいえ、流石にここまでデカイとなると部屋に入りきれない可能性がある。だから……こんぐらいのサイズのが丁度いいだろう」

 

 そう言って普通サイズのクジラのぬいぐるみを手渡す。やはり両手で包み込める程度の大きさが丁度いいぜ。

 

 ククッ、ぬいぐるみといえばアズサを思い出すが、今も俺があげたモモフレンズを持っているのだろうか。

 ────って、んなわけねェか!誰が自分たちを虐待したヤツが贈ったぬいぐるみなんかを大事にするかって!もし持っているとしてもサンドバック用だろうな!

 

 「あ、ありがとうございます……」

 「あぁ、それとお前も2つ買っていいからな。ユメのヤツもぬいぐるみを2つ買うし」

 

 “道具”とはいえ公平性を保つ、それこそ一流の虐待者ってわけよ。

 

 「えっ……急に言われると困りますね」

 「あるあるだな。ならいつか欲しい物が出来たときまで持ち越しってのもアリだぜ?」

 

 そう言ってやれば、ほんの少し驚いたように目を見開いた後、写真のときのような薄く自然な笑みを溢れさせる。

 まぁ、持ち越しって言葉は嬉しいよな。厨二病といえど、所詮お前はガキだッ!!

 

 

 

 その後はクジラコーナーで見つけた()()()を手に取り、あとは適当にアビドス中坊ズと柴関の大将、最近頑張っていると風の噂で聞いたヘルメットのガキども、そして同志であり職場仲間である悪い“大人”3人組………いや、一応ベアトリーチェの分も含めて4人分のお土産を買ってやった。

 アリウス自治区の出禁を喰らっている俺は直接ババアに届けられないが、あのババアなら拠点に置いとけばそそくさと持っていくだろう。感謝もなしになッ!!

 

 「ほら、買ってやったぞ!」

 「ありがとうございます〜!」

 「……ありがとうございます」

 

 ククッ、嬉しそうにぬいぐるみを見せ合っているところ悪いが、ここからが本番だぜ!

 

 「お前ら!コレをやるよ!」

 「ん?これは……」

 「クジラの、キーホルダー……?」

 

 俺が2人に送りつけたものは中にクジラが入っているクリスタルキーホルダーである。

 丁度お前らがバッグに付けれそうなサイズだったんでなァ、俺からお前らにプレゼントしてやるよ!

 

 「今日来た記念だァ!ちなみに俺も買ってあるから()()()ってワケよ!」

 『ッ!!』

 

 ククッ、お揃いと言った瞬間に肩が跳ね上がったのが見えたぞ〜?

 お前らの年齢になるとお揃いというものに機敏になるらしいなァ?今回はその心理を突いた虐待ということ!!

 

 ハーッハッハッハ!!コレで水族館に俺のような虐待者と一緒に行ってしまったという証拠が刻み込まれたぜッ!!

 飴であった筈の今日が、実は(虐待)まみれだったと気づくのは何年後だろうな!!

 




余談ですが、彼女たちは未来でこの貰ったキーホルダーを見ては涙を流しているらしいですよ。
未来にまで続く虐待……!!
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