汚いガキどもを見つけたので虐待することにした。   作:史上最恐の悪役

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ククッ、今回も遠出虐待ですよ!


第22話

 

 

 

 

 

 ─────()()()()()()()()()()

 

 

 それは大自然を象徴する母なる大海で、クジラが海面から飛び出す姿を間近で見れる催し。

 

 動物の中では最も大きいとされるクジラが見せるテールスラップやペックスラップ、ヘッドスラップはまさしく大自然の猛威と思える程の迫力があるとされている。

 流石は“海の王様”と称されるだけはあるなァ!!対して俺は“虐待王”!!ものすごい共通点が出てきちまったなァ〜!!

 

 

 さてさてさ〜〜て、いよいよ本題に入っていこうか。

 俺が前置きでホエールウォッチングを話したってことはよォ、つまり──────

 

 

 

 

 

 「楽しみだなァァァ!!ホエールウォッチング!!!」

 

 

 

 

 

 ということで、ホエールウォッチングをしに海まで車のエンジンを吹かしているぜェ!!ブンブ〜〜ン!!

 

 既に海から近い沿道を走っているせいか、開けた窓から入ってくる潮風と潮の匂いが車内を充満させ、俺のやる気スイッチをオンにさせてくれる。

 いいねェ、やっぱ動画より現地だなァ!!

 

 「う〜み♪う〜み♪初めてのう〜〜み♪楽しみだなぁ〜♪」

 「何ですか、その妙に音が外れた歌は。不協和音みたいでしたよ」

 「……それって音痴ってこと?ひぃん……」

 

 もちろんうるさいガキどもも一緒だぜェ!

 そりゃあそうだろう?なんせ俺が行うのは虐待……つまり嗜虐心を満たすための“道具”であるガキどもがいないと何も始まらないっつーわけよ!

 

 「それにしても、セリカちゃんたちは残念だったね……」

 「しょうがないですよ、学校なんですから。ヘルメット団のみなさんはよく分かりませんけど……」

 

 そう、実はユメとホシノだけじゃなくアビドスの中坊ズとヘルメットのガキどもを誘っていたのだ。

 

 しかし、今ホシノが言ったように中坊ズは中学校があるからと言っていた為、誠に残念ながら不参加となってしまった。

 本当は連れて来て虐待をかましてやりたかったが、やはり学業が優先……当たり前だよなァ?

 

 ククッ、アイツら、行けないと分かるや否や()()()を流していたぜ?虐待から逃れられたことに神に涙を流しながら感謝するとは……余程俺についてくるのがイヤだったらしい!

 ククッ、特にセリカの()()()()()は凄まじかったな!『行きたかったぁ……!』と言いながら必死に顔を覆い隠すセリカは本気で悔しがっているように見えるが……この俺は騙せんぞ?────その手で覆われた顔には満面の笑顔が張り付いていることぐらいお見通しなんだよなァ!!

 だからガキどもの頭を撫でながら『また今度な!』って言ってやったわ!まさか次回も地獄があるとは思わなかった3人も、思わず涙目で笑顔になる程の絶望を浮かべていたぜッ!!

 

 ちなみに、かつておにぎりを共に食べたヘルメットのガキどもは『まだ胸を張ってサドの兄貴のお側にはいれないっス!』だとかなんとかでコイツらも涙目になりながら断っていたなァ。

 言葉の真意は意味不明だが、最近バイトを頑張っているらしいし、今回は見逃してやったわ!

 

 「ホシノはどうなんだ?楽しみなのか?」

 「…………まぁ、そうですね。でも、何処かの虐待者さんの方が楽しんでいそうですけど。まるで子供みたいです」

 「ククッ……!そういえばよォ、昨日の生徒会室で落ち着きなくソワソワとクジラのぬいぐるみを抱いていたヤツは何処のどいつだったかなァ……?」

 「ッ!?!?」

 

 減らず口ばかり叩くホシノに決定的な一言を告げると、まるで石のように固まってしまったではないか。

 

 「み、見てたんですか……?」

 「さぁ?何のことだかねェ、クククッ」

 「へ、変態……!とうとう変質者から変態に成り下がったんですね……!」

 「俺が仮眠中のときにやってるヤツも悪いと思うがなァ。あと俺は変質者でもなければ変態でもない────虐待者だッ!!

 「どっちも一緒です!!」

 

 助手席に座るホシノは不服そうに言葉を切り、窓から景色を眺める。

 ムスーっとした顔と目つきだが、その手には俺があげたクジラのキーホルダーを大事そうに握りしめている。

 ハーッハッハッハ!!因縁の相手からもらったものだけど、その中には自身の好きなものが入っているから壊せないと!まるで人質でも取っているような気分だぜェ!!

 

 「クーックックック!!最高に『ハイッ』ってヤツだァァァ!!このまま車をかっ飛ばすぜェ〜〜!!」 

 「何言ってるんですか!?クジラを見る前に事故なんて嫌ですから、安全運転でお願いしますよ!?」

 「クーックックック、舐めるなァァァ!!俺は生まれてこの方無事故のゴールド免許候補の男ッ!!当然制限速度以下でかっ飛ばすんだよォ!!!」

 「それってかっ飛ばすと言うんですか……?」

 「まぁ、サドさんだしね!」

 

 クハハッ!!とくと見るがいいッ!!

 このキヴォトスで数少ないゴールド免許を持つ(予定の)者のドラテクをよォォォォ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『でっか〜〜……』

 

 目的地に着き、いざ船に乗ってクジラを見に出発だぜェ!!────と行きたいところだが、ガキどもは船に圧倒されて言葉が出ないようだ。

 

 ククッ、流石は()()()ッ!!

 

 「こ、こんな立派な船どこから借りて来たんですか……?」

 「借りて来たっつーか、我が友が協力してくれたって言った方が正しいなァ」

 「こんなに大きな船を用意してくださるなんて……流石サドさんのご友人さんですね♪」

 

 そうだぜェ!!俺の友はこの海のように心が広いヤツらが多いからなァ!!

 

 「ククッ、テメェら!乗る前に一礼しろよ!なんせ乗せてもらうんだからなッ!!」

 「は〜〜い!よろしくお願いします!」

 「………よろしくお願いします」

 

 ガキどもの挨拶に返事をするかのように、船のファンネルから煙が轟き噴いた。

 ハーッハッハッハ!!今日は調子がいいらしいなァ!素直なヤツじゃないから分かりにくいが、友の好不調など俺にはお見通しよ!

 

 

 

 

 

 では始めようか。

 

 歓喜から絶望へ変える─────世にも恐ろしい虐待をッ!!

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 陽が海の地平線へと沈んでいく。

 夕陽が照らす空や雲にはオレンジ色が染み渡り、それが何処か幻想的な光景を作り出す。

 

 何処までも神秘的な光景、砂漠では決して見ることの出来ない自然が作り出す結晶が私の網膜にこれでもかと灼きついた。

 

 「………私、なんだかこの景色だけでお腹いっぱいだよ」

 「先輩……」

 

 ユメ先輩はしみじみと呟くように心情を吐露する。

 いつも騒がしい先輩なだけに、妙に見慣れない姿で………なんだか少し変な気分ですね……

 

 「お、いたいた!!クジラの尾鰭が見えたぞ!それも何体も!」

 「えぇ!?本当ですか!?」

 「…………」

 

 …………やっぱりいつも通りでしたね。

 

 何でしょうか、私の前では懸命に“先輩”であろうとしているのに、サドの前ではそういう殻を取っ払って全力で甘えに行っているような気がする。

 というか、心なしかサドも嬉しそうな声色をしているような……

 

 ……やっぱりサドも、私のような無愛想で可愛気のない女の子じゃなくて、ユメ先輩のように素直に甘えられて、ほんわかした女の子の方が好きなのでしょうか。

 

 

 ……………………

 

 

 …………私も先輩のように甘えられたら─────って何考えてるんですか私は!?!?

 あっぶな─────というには些かライン超えだと思いますけど!

 でもっ、あんなすけこましで虐待大好きな異常者に甘えたいだとか思うこと自体間違っているんです!えぇ、そうですよ!

 

 「オイ、ホシノ!!早くこっちに来いッ!!クジラがスゲーぞ!!」

 「わ、分かってますからっ!!」

 

 そうだ、今日は念願の生のクジラを見に来ているのだ。

 それなのに、一瞬とはいえクジラよりも彼のことを優先してしまうとは……

 

 というか『スゲー』って何ですか、『スゲー』って。

 そんな表現じゃ全然クジラの凄さを感じませんね。まったく、ちょっと子供っぽいところもまた──────グワァァァァァァァァァ!!!!

 

 「おっ、ようやく来たか────って何でそんなに顔が真っ赤なんだよ。もしや熱中症!?」

 「夕陽のせいですからこっち見ないでください。それで、クジラは何処に─────」

 

 尋ねるまでもなかった。

 尋ねるまでもなく、その巨体はこれでもかと存在を知らしめるように目の前で泳いでいた──────それも何十体も。

 

 夕陽をバックにヘッドスラップを繰り返すクジラたちを見ていると、かつては“神”として崇められた生物であった事実にも納得してしまう程に、この世の神秘が秘められていて──────

 

 

 「─────すごい」

 

 

 たったその一言しか出てこなかった。

 

 あれだけ憧れていたクジラを目の前にしても、目の前の光景が神秘的すぎるあまり語彙力を無くしてしまう。

 私の言葉なんかどれも陳腐に聞こえる程の圧巻さ、自然という強者のみが生き残れる場所で見せる“美”────それらに一体私がどう表現しろというのか。

 

 ただ1つ言えることは、この景色は()()()()()()()()()()()()()ということだけだ。

 

 「ハーッハッハッハ!!そりゃあ良かったぜ!!」

 

 サドにガシガシと乱雑に頭を撫でられる。

 サドに苦言を呈そうと顔を横に向ければ、同じく撫でられているユメ先輩と目が合ってしまう。

 

 ……すごく顔が真っ赤ですね。まぁ、今は黙っておきましょう。どうせ私も()()()()()()()()()をしているでしょうからね。

 

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 ギャハハハハハ!!!!決まったァァァァァァ!!!!

 

 

 たった今、コイツらの脳内に“俺とクジラと絶景を見に行った”という記憶が刻まれた!!おまけに異性に無遠慮に頭を撫でられたという恥辱付きでなァ!!

 

 純白のドレスもたった一点の黒が混ざれば薄汚く見えてしまうように、こんな素敵な景色だというのに俺という汚点()がいる限り最高が最低へと変わってしまった!!

 これぞ悪魔の所業────これぞ虐待者の本懐!!虐待者の愉悦なんだよなァァァ!!!

 

 「………っていつまで撫でてるんですかっ」

 「おっと、すまんなァ」

 

 ククッ、顔を真っ赤にしちまって……

 さぞお怒りですよってかァ!?!?

 

 どうよ、ホシノ。好きなものを穢された気分はよォ。念願がこんな悪虐非道な虐待者に叶えられた気分はどうだ、えぇ?

 クーックックック!!今すぐ聞いてやってもいいが……生憎もうそろそろで時間だ。ここからはリターンだぜ!

 

 

 

 

 クククッ……!!ここまでの虐待は順調だな。毎日が充実しているせいか、飽きが全くこねェや!!

 

 …………だが、俺も組織の人間であり、任務を受けている最中の人間だ。

 そろそろ()()について考えていった方が良さそうだな……




あ、もうそろそろドデカいのが来るので身構えておいてください(虐待予告)
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