汚いガキどもを見つけたので虐待することにした。   作:史上最恐の悪役

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今章のターニングポイントです!!


第23話

 

 

 

 

 

 よぉ、説明不要の世紀の大悪党────虐待王ことサドだぜ!

 今日も元気に虐待────といきたいところだが、今はちょっと気になることがある。

 

 「……ノノミのヤツ、どうしたんだ?」

 

 今日も今日とてラーメンの修行の最中に、いつも通りノノミがやって来たんだが……何処か様子が変だ。

 

 いや、顔とかには傷はないし、さっきも元気よく笑顔で挨拶していたから特段変わりなさそうに見えるが……どうにも無理して笑っているように思うぜ。

 心なしか目元に隈が出来ているような気がするし…………だーッ!!むしゃくしゃするぜッ!!これはもう行くしかないだろッ!!

 

 「ちゃんと食えてるかァ、ノノミ」

 「あっ……はい☆今日も美味しいですね☆」

 

 コイツめ、俺を前にしてもシラを切る気か!

 “道具”が主に隠し事なんてあってはならない。ならば、お前の嘘で覆われたベールを裸になるまでひん剥いてやる!

 

 「……何かあったのか?」

 「ッ」

 「俺にいつものように相談しねーのか?」

 「そ、それは……」

 

 ノノミの野郎……なかなか口を割らないな!

 そうも秘密にされると、なおさら暴きたくなって来るのが俺なんだよなァ!

 

 「……お前の事情はまったく分からんけどな、ガキが一丁前に1人で抱え込むんじゃねェよ。ガキはガキらしく“大人”に相談しろ」

 「ッ!!」

 

 『だから早く言え!』と超遠回しに伝えてやったぜ!随分と乱暴な言葉だったが、そのせいで泣き出さないかワクワクしちまうよ!

 

 「……そんな大袈裟なことではないんですよ?ただ、進路のことで悩んでいて……」

 「ほう」

 

 ……聞いてみたらマジでそこまで大事ではなかったな。

 

 そういやノノミのヤツ、今は中学3年生だったか。ならなおさらこの時期ではありがちな悩みだな。

 だが、普通の学生にありがちな受験期の悩みとは()()()()()()()気がしてならねェ。

 

 「……前に私の実家が色んな意味でも有名な企業だとお伝えしたことは覚えていますか?」

 「あぁ、ガキどもが一堂に相見えたときか」

 

 あれはガキどもがラーメン屋で俺の極上の虐待(接客)を受けた日のことだな。

 

 ちなみにだが、あの日からコイツらもよく一緒に遊ぶようになったらしいぜ!

 きっと虐待の被害者同士、傷の舐め合いでもしているんだろう!!

 

 「私の実家が経営する会社の名はセイント・ネフティス────かつてアビドスの繁栄を支え、そして崩壊のキッカケを作った罪深い企業なんです」

 

 そこから語られるのはネフなんちゃらっていう会社の概要と歴史だ。

 

 アビドス発祥の土着企業であり、かつて栄華を誇ったアビドスを支え、共に繁栄してきたこと。

 しかしアビドスの砂漠化の進行により衰退が始まり、十数年以上前に大規模な鉄道開発事業を計画するも粉砕☆玉砕☆大喝采したこと。

 そうしてアビドスの経済に決定的なトドメをさし、会社は生き残るためにアビドスを捨てたこと。

 

 なんともまぁ綺麗な転落ストーリーなこった。全盛期を共に過ごし、また破滅も共に受けた悲哀たっぷりな悲劇詩(カタストロフ)

 まさしく『盛者必衰の理をあらわす』ってなァ、きっと後世にまで語られるだろうぜ。

 

 「それで、私は実家の要望でハイランダー鉄道学園に入学する予定なんです。今後はハイランダー鉄道学園との連携を強めていく方針ですし………有り体に言えば、私は会社にとって都合の良い駒みたいなものです」

 「…………」

 「でも、企業のみなさんからはたくさんの愛情をいただいて生きてきました。たくさん我儘も聞いて貰いました。……なに不自由なく暮らせているのは、紛れもなく企業のみなさんのお陰なんです」

 「…………」

 「だからっ……今度は私がみなさんに恩返しをしないとって────」

 

 そこから先に続く言葉をぶつ切るように、俺はノノミのベージュ色の頭に手を置いた。

 ククッ、余りにも聞くに耐えないものだったんでなァ、無意識に俺の手が黙らせちまったようだ!!

 

 それにしても……うむ、サラサラの髪でいいな。よく手入れされている証拠だぜ。

 

 「サ、サドさん!?!?な、なにをっ!?!?」

 「ケッ、ガキが一丁前に“()()()()()()からお灸を据えてやっただけだぜ!」

 「ッ!?」

 

 まったく、コイツは何も分かっていない!!

 

 

 「恩返し?みんなのために?ハンッ!ガキがそんなまどろっこしいことを考えんな!!いいか?ガキはな、ガキらしく我儘を言っていれば丁度いいんだよ!!」

 「ッ」

 

 

 こんな可愛い悩み事だったとは!心配して損したぜ!!

 俺なんか、日夜問わず悍ましい虐待のことしか考えていないっていうのによォ!!

 

 

 

 「ぶっちゃけそのネフなんちゃらっていう会社のことは()()()()()()んだわ、俺ァ。俺は()()()()()()()()()()()()で、お前の実家の自慢話を聞きたいわけじゃねェ!!」

 

 

 ()()()()()()()()んだ、ノノミ!!お前の本心を聞かせろ!!」

 

 

 

 そう怒鳴り散らすと、ノノミは頭を下に俯かせる。

 黙秘────なんて逃げは使わないだろう。コイツはちゃんとアビドス育ちらしく反骨精神があるからな、このままで終わる筈がない。

 

 

 

 「………ハイランダーに行けば、きっとみなさんは嬉しい筈です。恩返しも出来る筈です」

 「ケッ、まだ言うか。だがまぁ、企業としてなら大助かりだろうな」

 

 

 「………ハイランダーに行けば、もっと色んな場所にショッピング出来るようになる筈です。暑さに苦しめられることもなく、今以上に快適に過ごせる筈です」

 「あぁ、その通りだな。お前の好きなショッピングが山のように出来るぞ」

 

 

 「………ハイランダーに行けば、もっとたくさんのお友達が出来る筈です。お友達とお話して、ショッピングして、色んな場所に行って……きっとこれ以上ない“青春”を送れると思います」

 「あぁ、そうだな。綺麗な“青春”を味わえるな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「でも………でもっ─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「─────私は()()()と一緒にアビドスにいたいです……!!」

 

 

 「こんな私でも友達が出来たんです!!初めて居心地の良い居場所を見つけることが出来たんです!!」

 

 

 「なのにお別れだなんて……そんなの嫌です!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────ククッ、クククッ……!!

 

 

 「言えたじゃねェか……!」

 

 

 よ〜〜く言ったァァァ!!!それでこそ俺の“道具”だぜ!!!

 

 ククッ、本来の正しい“大人”であれば、平穏で安定のある道を進ませてやるのが普通であろう。

 しかし俺は普通の“大人”ではな〜〜い!!悪辣が極まった極悪非道の虐待者である!!

 よって、俺はノノミの願望を否定しない!むしろ“やってしまえ”と背中を押してやるのさ!!

 

 「でも、そんなこと許される筈が……」

 「だから言ったろ、ガキはガキらしく我儘を言えば良いってよォ」

 「……決心がつかないんですっ。アビドスに残りたい気持ちと、企業のみなさんにご迷惑をおかけしたくないという気持ちの板挟みで────」

 「だーーーッ!!!まどろっこしいな!?スパッと決められないのかよ!?!?」

 「決められていたらここまで悩んでいませんよ〜……!!」

 

 クッ!!このままでは俺の虐待が……!?

 どうする、どうすればコイツは納得─────ん?

 

 「お前はアビドスに残りたい、だけど実家にも迷惑をかけたくないから悩んでいる……そうだな?」

 「は、はい……」

 「ならよ、実家が納得して許可を出してもらえればいいわけなんだろ?」

 「……そうですね。あちら(企業)から直接許可をいただけるなら、企業にとっても迷惑ではない筈ですし。……でも、あちら(企業)がアビドスの地に留まり続けることを許してくれるとはとても……」

 「ちげーよ。許可を貰うんじゃなくて、許可を()()()()んだよ」

 「え?」

 

 ククッ、俺の虐待的IQ185が答えを導き出してしまったなァ!!

 

 

 

 

 「つまり、そのネフなんちゃらって連中に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()残してもらえるわけだな!!」

 

 

 

 

 ノノミの話では、今後衰退の一途を辿るアビドスに見切りをつけて出て行ったわけだろ?

 だが、そのネフなんちゃらだってアビドスに愛着がない筈がねェ。事実、アビドスの現状をどうにか変えようと鉄道に手を出した………結果は大爆死だったがな。

 

 ならば、アビドスでもう一度事業を行いたいと思うことが出来たなら、コイツはアビドスに残れるっつーことよ!!

 

 ハンッ、考えてみればスッゲー簡単じゃねェか!!

 俺の迷路のように仕掛けが施されている虐待なんかと比べれば単純明快すぎるぜ!!

 

 「た、確かにそれならアビドスに残れるかもしれませんが……」

 「次にお前は『アビドスの復興なんて不可能です』……と言う!!」

 「アビドスの復興なんて不可能です─────ハッ!」

 「あぁ、そうだ!確かに不可能に近いだろう。しかし、()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 俺の虐待は常に全力がモットー!!

 どんな苦難に立たされようと必ず虐待を遂行する────それこそ虐待王だ!!

 

 

 「俺に任せろッ、ノノミ!!俺がなんとかしてやるからッ!!」

 

 「……ッ!!」

 

 

 ハーッハッハッハ!!コイツ、()()()()()()()()()()()()ぜ!!余程俺に恩を売りたくないらしい!!

 

 だが、お前の運命は俺に目をつけられた瞬間から決まってるんだよ!!

 俺の嗜虐心を満たすためだけに存在する“道具”なんだってことがなァ。ハーッハッハッハ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────とは言ったものの、これっぽっちも良い案など持ち合わせていないのである。

 

 いや、しょうがないじゃん。あれはもう勢いでいくしかなかったっつーか……虐待王としては見逃せないポイントだったっつーか……

 しかし、何を言ったってアイツに虐待宣言をした以上俺はなんとしても虐待せねばなるまい。何かいい案はないのか……

 

 「ん?」

 

 “あーでもないこーでもない”と考えながら別館の廊下を歩いていると、俺の自室兼執務室でもある生徒会室から声が聞こえてくる。

 可笑しいな、今日は休みの筈なんだが……

 

 

 「じゃーん!ホシノちゃん見て見て〜!アビドス砂祭りの昔のポスター!やっと手に入れたよ〜!!」

 

 

 扉を開けようとしたその瞬間、ユメが言い放った()()()()()が俺の崇高な脳内に引っかかる。

 アビドス砂祭り……なんだその胸が踊るようなワードは!?そんなものがアビドスに存在していたっていうのか!?

 

 しかし、アビドス砂祭り……か。

 ククッ、クククッ……!これはこれは、なんとも好都合な代物が出てきたもんだなァ!!

 

 

 

 

 

 「“奇跡”なんて起きっこないですよ、先輩。そんなもの、あるわけが────」

 

 

 「話は聞かせてもらったァァァァァァ!!!」

 

 

 

 

 

 なんか“奇跡”だのなんだの会話中だったようだがお邪魔するぜ〜!!

 というかここは俺の部屋だから、別にお邪魔しますとか言わなくていいんだけどな〜!!

 

 「サ、サドさん……!?ビックリしたぁ……」

 「……急に脅かさないで下さいよ」

 「あぁ?すまねェな!!それよりホシノ、そのポスターを俺にも見せろッ!!」

 「はぁ……?」

 

 訝し気ながら手渡されたポスターにはオアシスと砂の山、そしてデカデカと『第177回』と記されている。

 なるほど、これがアビドス砂祭りのポスターか………なんだかワクワク感が伝わってくるな!!

 

 「……こりゃあ良い!コイツがあればなんとかなりそうだな!」

 「……?どういう意味ですか?」

 

 ククッ、聞きたいか?俺の恐ろしき虐待の全貌を────!!

 

 

 

 

 

 「俺が────いいや、()()()がこのアビドス砂祭りをもう一度開催するんだよッ!!」

 

 

 

 

 

 ハーッハッハッハ!!遂に見つかっちまったよ!たった一筋の光がな!!

 

 アビドス砂祭り……詳しくは知らんが、この開催回数を見るとかなり人気のあった伝統あるお祭りと見た。ここ最近開催されていないっつーことは、ちょうどアビドスが砂に埋もれる前に開催されていたお祭りなのだろう。

 つまり、かつて繁栄を誇っていたアビドスを象徴するものに近しいものだと推察できる。

 

 この祭りをどうにか開催できるのなら────なんか上手いこといきそうな気がするぜッ!!

 

 「────は、ははっ。急に何を言い出すのかと思えば………あなたもつまらない冗談を吐けるんですね。それとも暑さで本当に頭が可笑しくなりましたか?」

 「…………」

 「あぁ?俺が冗談でこんなこと吐くと本気で思ってんのかァ?目指すなら常に本気(ガチ)!それが俺よッ!!」

 「ッ」

 

 ホシノはまるで苦虫を噛み潰したような顔をして俺を睨みつけてくる。

 ほう……いい目だ。如何にも『反抗してやる!』といった気概が見えるぜ。だが、そんな可愛らしいお目目では、ちょうど今『ハイッ!!』になっている俺を退けることなどでき〜〜ん!!

 

 「────あなたも、ですかっ。あなたも、ありもしない“奇跡”なんかを信じるのですかっ……!!」

 「ククッ、ホシノは“奇跡”が嫌いなのか?」

 「えぇ、そうです!大っ嫌いですよ!希望を抱かせるだけ抱かせて、結局は見向きもしてくれないようなものを好きになれるわけがありませんッ!!」

 「ほう!なら喜べ!この砂祭りがお前にとって()()()()()”になるなァ!!」

 

 お前の初めての“奇跡”が俺に奪われちまうなんて……!!

 なんと悍ましい虐待なんだよ……!!

 

 「ユメ!!お前はどうだ?お前も“奇跡”は嫌いか?」

 

 ギャーギャーうるさいホシノの頭を抑え付けながら、何故か珍しく黙りなユメに問いかける。

 チラリとユメの顔を見てみれば………唖然というか、呆然というか。いつもとは違うアホ面を晒しているぜ。

 

 「私、はっ………」

 「………何を悩んでんのかは知らねェがな、ガキならガキらしく好きなものを好きと叫べ!!そんでバカな夢を見ろ!!お前らが夢を見なきゃ誰が夢なんか見れんだよ!!」

 「ッ!!」

 

 さぁ、叫べ!お前の本心を俺に聞かせろ!!

 

 「…………私、ずっと───ずっっっと夢見ているんです。昔のように───このお祭りの時のように、たくさんの人がアビドスに訪れてくれる日を。他校や他学区関係なく、みんながアビドスで笑い合える日を……」

 

 自身の胸の前で拳を握るその姿は、まるで心の奥底に眠っていた願望を優しく取り出しているように思えた。

 

 「………でも、現実はそんなに甘くなくて。権限を手にすればアビドスを守れると思って生徒会長になったのに、結局何も変えられなくて……。このままずっと、私は何も出来ずに終わると思っていたのに─────」

 

 そう区切って俺を見るユメの瞳には────微かにだが、()が灯ったように見える。

 

 「────願って、良いんですか?叶えて、くれるんですかっ?こんなどうしようもなくダメな私でも、不相応な夢を見ても……良いんですかっ……?」

 「ククッ、“道具(ガキ)”に頼まれたとなれば、それを叶えるのが持ち主(“大人”)の役目ってな!!………だから安心しろ。お前らの夢は俺が叶えてやる」

 「ッ……ッッッ………!!!」

 

 ハーッハッハッハ!!!コイツ、あまりにも酷い俺の攻撃────否、()()に堪えることが出来ず、とうとう泣き出してしまわれたわッ!!!上から目線にも程ってモンがあるよなァ!?

 

 「それで改めて聞くが………お前も“奇跡”は嫌いか?」

 

 今度こそ出ただろう。その答えが─────!!

 

 

 

 

 「─────大好きですっ!!ホシノちゃんとサドさんに出会えたこの“奇跡”が大好きですッ!!!」

 

 

 

 

 ─────ククッ、クククッ……!!

 

 オイオイ、コイツ……泣きながらさり気なく皮肉を交えてきたぞ……!!

 俺と出会えたことが“奇跡”……?ククッ、まったく……お世辞でもなかなか思いつかないことを言いやがって……!!

 

 だが、それでこそ俺の“道具”だッ!!

 

 「さてさてさ〜〜て、こんなことを言われたホシノちゃんはどんなお気持ちかな?」

 「…………うるさいですね」

 「ハーッハッハッハ!!!」

 

 顔を真っ赤にしちまってなァ?厨二病は純粋な好意に弱いッ!虐待神もそう仰せになっているぜ。

 

 「ガキども!これからはちょいとばかし忙しくなるぞ!!」

 

 色々準備しなくちゃならんことがあるからなァ!!

 精々扱使ってやるから覚悟しろッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………それはそうと、そろそろ()()の頃だろう。

 俺もまだ任務の最中、いつまでもアビドスにいるわけにはいかねェ。

 

 

 

 

 

 

 ────決めたッ!!この祭りを、アビドスで行う()()()()()にしよう!!

 『虐待王、虐待の物語──アビドス編──』のフィナーレを飾るには相応しい虐待だしなッ!!

 

 だから、後悔のない素晴らしい虐待に仕上げたいもんだぜ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「つーわけで、なんかいい案ある?」

 

 

 『クックック、なるほど。でしたらまずは───────』




ホシノトラウマクラッシャーのサド!!(トラウマを残さないとは言っていない)
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