汚いガキどもを見つけたので虐待することにした。   作:史上最恐の悪役

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本日はなんと虐待なし回!?
ようやく平和な回をお届け出来そうです!!


第24話

 

 

 

 

 

 黒服さんに相談してから僅か数日後、俺たちは早速行動を開始していた。

 

 黒服さんが言うには解決すべきことが沢山あり、今回は最も鬼門だそうだ。

 何でも『本来ならほぼ100%不可能に近いものですが……どうせあなたなら可能にしてしまうのでしょう?クックック』なんて言ってたからなァ。

 

 ククッ、燃えるじゃねェか。それでこそ挑戦のしがいがあるってモンよ!

 

 それで、だ。

 まず最初にやるべきことをするために、俺たちが向かった場所というのが─────

 

 

 

 

 「でっけ〜〜……。ここが黒服さんの仕事場なのか?」

 

 「いえ、私ではなく私の協力者が所有するビルです」

 

 

 

 

 ビル、ビル、ビル。

 これぞビジネス街といった場所の中でも一際大きいビルの前に、黒服さんを連れてやって来た。

 

 ここが大企業カイザーコーポレーションのグループ企業────カイザーPMCという民間軍事会社のビル、らしいぜ?詳しくは知らんがな。

 

 「……なぁ、本当にこのまま行って、その、カイザーPMC理事?っていう偉ェヤツに会えんのか?一応大企業のお偉いさんなんだろ?」

 「クックック、問題ありませんよ。私が事前にお伝えしてありますので………『あなたにとっても決して悪くないお話ですよ?』という文言を添えて、ですが」

 

 なんとも怪しげに話す黒服さんだが、この人はこういった交渉術が組織の中でも1番長けているのは知っているので、きっと大丈夫なのだろう。

 

 「それよりも本題はこれからです。私もできうる限りサポートいたしますが、おそらくそれは微々たるものになるでしょう。……これからは全てあなた()()次第になりますよ、サド」

 「ククッ、上等!!大企業の理事だろうが社長だろうが何だろうが何でも来やがれってんだ!」

 「クックック、いい気概ですね。では、これからは手筈通りに」

 

 ………そのことなんだけどさ。

 

 「……なぁ、別に黒服さんを疑ってるわけじゃねェんだけど、()()()って本当に本当なのか?」

 「何度も言っているでしょう、本気と書いて大マジです、と。ですので気負いせずご提案して頂ければいいかと……」

 「ふぅ〜〜ん……」

 

 まぁ、そこまで言うんだったらな……

 

 

 

 「じゃあ行こうぜ!我が行く先に虐待ありッ!!」

 「クックック、相も変わらず元気でいいですねぇ」

 

 

 

 見せてやるよ……!!“悪”と“悪”の“大人”タッグが送る、最凶の虐待を……!!

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 「君がゲマトリアの一員、サドくんかね?私はカイザーPMCの理事だ。今日はよろしく頼む」

 「うっす。俺────じゃなくて私はサドというものです。今日はよろしくお願いします」

 「あぁ、普段通りの話し方で結構だ。他の者であれば許されない行為ではあるが、君はゲマトリアの一員であり、今の時期は特に時間が惜しいからな」

 「そうか?なら普段通りでやらせてもらうわ」

 

 …………なんかフレンドリーそうなヤツそうでちょっと安心したわ。

 いや、悪そうな雰囲気はこれでもかと湧き出てるけどな。ただ、やたら悪徳企業だって批判されていたからもっと高圧的なのかと思ってたぜ……

 ククッ、やはり“悪”と“悪”は惹かれ合う………つまりそういうことだな?

 

 「それではさっそく本題に入ろうか。先ほども言ったが、最近は特に忙しくてね。君が私にする提案を手短に伝えてくれないか」

 

 おっと、そうだったな。今は交渉しに来ているんだった。

 手短にってことだが……マジでドストレートに伝えていいのか?

 

 チラッと後ろにいる黒服さんに目線で確認を取ると深く頷いてくれた。

 オッケ〜〜、もう思いっきりぶっちゃけるわ!

 

 

 

 

 

 「俺たちの要求は2つ」

 

 

 

 「1つは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 「もう1つはアビドスにある借金だとか利子だとか()()()()()()()()()()────以上だぜ!」

 

 

 

 

 

 シン────っと辺りは静まり返る。いや、前から誰も物音は立てていなかったが、さらにこの部屋から音が消え去ったような感覚だな。

 

 目の前にいる理事は………ちっとも動かなくなったな。

 なんだ?そう難しい要求はしてない筈なんだが……

 

 

 さて、この計画は主に俺が中身やら外殻を大雑把に作り、そしてアビドスに詳しい黒服さんが俺の計画の補完や指摘をして作成されたもの────つまり“悪”と“悪”の共同作業で出来上がった凶悪すぎる計画なのだ。

 

 そして、その過程で知ったものは主に2つ。

 

 1つは建物や土地の所有権がアビドス生徒会には既になく、その権利はカイザーPMCが手にしているということ。

 もう1つはガキどもが()()()()()()()と思っていた借金の実在だ。

 

 土地の所有権も勿論驚いたが、それ以上に本当に借金していたことが驚き桃の木山椒の木だったぜェ?

 具体的な額はアイツらからも、そして黒服さんからも聞いてないが、多分()()()程の金額だろう。 

 ククッ、随分と大金を借金していやがるじゃねェか。だがまぁ、こいつは土地所有権の完全なオマケだな。こればかりは俺のポリシーに従って動いているだけに過ぎない。

 

 そう!俺たちの本命は土地の所有権!

 お祭りを開催するにあたって、やっぱ土地の所有権は自分たちが持っておいた方が良いよなァ。所有権とか詳しくない俺でも何となく分かるぜ?

 例えば『我が社が保有している土地で何を勝手に祭りを開いているのだッ!!』ってクレームが来るとか、最悪兵をぶち込まれて台無しにされるとかな?後からやっかみ喰らうとかめんどくせぇ……

 

 

 さぁ、理事のおっさんの反応は如何に─────!

 

 

 

 「─────フハッ、フハハハッ!!くくっ、何を言い出すのかと思えば……フハハハッ!!」

 

 

 

 カイザーのおっさんが急に高笑いをし始めた。

 …………ま、まぁ、これだけ大きな企業の柱となっているんだから気苦労とか計り知れないんだろうけど………急に笑い出すとかちょっと怖いわぁ〜……

 

 「────ハァ、ここまで大笑いしたのは久方ぶりだ。それで?よもやそのような()()()()()()をするのだから、それ相応に()()()()()()も用意してあるのだろう?」

 

 バカげた提案、か─────言い得て妙だな。

 土地の権利と、数十万とはいえ借金を全て元通りにして欲しいと丸腰で直談判に来ているわけだしよ。なんなら今すぐに追い返されていないのが不思議でならねェ。

 

 それは俺がゲマトリアの一員だからか。

 それとも黒服さんがカイザーのおっさんと築いてきたある種の“信頼”か。

 ……はたまたその両方か。

 

 ククッ、黒服さんも随分と酔狂なヤツだ。狂ってると言ってもいい。

 万が一もありはしないが、もし作戦が失敗したならば、俺との仲介人を引き受けた彼も巻き添いを喰らう────つまり、俺なんかのためにここ数年積み上げてきた物を全て壊してしまうのだからな。それを察せない人ではないだろう。

 

 

 ククッ、ならば成功させるしかあるまいて。

 黒服さんのためにも、そして……ガキどものためにも。

 

 

 「あぁ、そりゃああるぜ?それはもうとびっきりのがなァ?」

 

 

 ここで今までずっと黙っていた黒服さんが理事の下に1()()()()を置く。

 

 

 その紙は、ここキヴォトスにおいて最も効力のある紙────()()()

 

 

 

 「これは……」

 

 「ククッ、そこまで怪しんでもらわなくて結構だぜ?俺はただ、()()()()()()()()()()を、ちょっとばかし手伝ってやるだけだからなァ」

 

 「ッ!!」

 

 

 

 正当な方法では権利を取り戻すことは難しい?

 通常の方法では借金を消すことは出来ない?

 頑張っても頑張っても“大人”の理不尽が襲いかかってくる?

 

 

 それはそうだ。

 それが社会というものだ。

 それが“大人”というものだ。

 

 

 “大人”とは、望む通りに社会を改造し、法則を決めて、規則を決め、常識と非常識とを決め、平凡と非凡とを決める存在。

 そして、これは人間社会だけでなく自然界の法則にもピッタリと収まる。いつだって群れの中心は“大人”なのだから。

 

 いうならば、俺たちが生物である以上変えられない運命なのだ。

 

 

 

 ─────だからこそ、“大人”の悪知恵に対抗できるのは、同じく“大人”の悪知恵のみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なぁ、カイザーさんよォ〜……─────()()()()といこうぜ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 断る筈もない。

 ─────“大人(人間)”とは、自身の利益を損得で考えられる頭があるんだからなァ?

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 ─────アビドス砂漠

 

 

 俺が今立っている場所は、よくユメやホシノと依頼のために来たことのある場所だった。

 学校からは離れた場所に位置し、かつては夢であり、今ではガラクタとなったレールや廃電車が砂に埋もれて眠っている。

 ……確か、もう少し先にかつてアビドス砂祭りが開催されたと言われる枯れたオアシスがあった筈だ。

 

 「ククッ、いい眺めじゃねェか」

 「………そんな暢気なことを言っていられる状況か?」

 

 ズシズシと、ただの視察にしては多すぎる兵隊を率いてきたカイザーのおっさんは少し愉悦そうに話しかけてくる。

 

 「契約はしたし、もう無効は出来ないぜ?」

 「あぁ、それなら心配するな。お前たちが私たちが探し求めていた()()()()()を見つけ出すことが出来たなら、現在まで結んでいるアビドス生徒会との契約を全て破棄し、快くアビドスの建物・土地の所有権を返還、及び借金の帳消しをしてやろう。オーパーツの価値と比べれば、アビドスに課している金額など塵芥にも等しいからな」

 「……俺的にはこんなにスムーズに話が進んだことに驚いているけどなァ。この広大な土地をそんな一瞬で捨てられるもんかね」

 「フンっ、もともとアビドスの土地を所有していたのは全てオーパーツを見つけ出すためのもの。でなければこんな滅びかけの土地など誰が欲しがるというのか」

 

 そう、このカイザーのおっちゃん………なんとトレジャーハンターだったのだ。今どき珍しい純真なドリームボーイだったのだ。

 大企業のカイザーコーポレーションにて理事を務めている程のイカついロボ男が、オーパーツだのお宝だの言っているのはなんともシュールで面白い………が、黒服さんが言うにはマジでこの砂漠にオーパーツが埋められているらしい。

 はぇ〜……ロマンあるねェ……

 

 「むしろ、契約に関してはお前たちが気にするべきなのではないか?」

 「あ?なんで?」

 「……もし()()以内に、この広大なアビドス砂漠でオーパーツを見つけ出せなければ─────アビドスの残っている土地の所有権を全てカイザーPMCが譲り受けることになっている。そこには異存ないな?」

 「おうとも!」

 

 だって、そうでもしないとアンタ契約してくんないんでしょ?

 

 黒服さんは言ってたぞ。アンタは自身が圧倒的な利益を得ると確信しない限りこちらの意見は通してくれない男だってな。

 まったく、企業の上層部らしくちゃんと頑固な爺さんで安心したよ!おかげで今俺が所属している組織がどれだけホワイトで融通を利かせてくれているのか再確認出来たわ!!

 

 だから、俺たちはあえて()()()()()()()()()提案を出した。それが、今カイザーのおっさんが言った契約内容だ。

 全てはこのおっさんの固くて重い腰を自ら上げてもらうための撒き餌────そのためだけに賭けに出た。

 

 俺たちがお宝を見つけ出せば………お宝を上げる代わりに土地の権利と借金の負債を帳消し────つまり等価交換だ。

 反対に俺たちが万が一お宝を見つけ出すことが出来なければ………そのまま土地関係のものは全てカイザーが譲り受ける────まぁ、凡人どもからしたらまさに諸刃の剣って感じだな。

 

 ちなみに、事前にユメとホシノにはこの提案を持ち出すことへの許可はもらってある。

 アイツらもアイツらですんなり許可を出したのは解せなかったが、なんでも『サドさんなら絶対なんとかしてくれる気がしますから』だとか。

 ククッ、虐待者を信頼するなんて世も末だな。

 

 「……何故そこまで普通でいられる?お前は今、天地がひっくり返ろうとも不可能な難題の前にいるのだぞ?」

 「いや、なんでもなにも()()()()()……それに────」

 

 

 

 

 

 

 ………………それに─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『─────私はみんなと一緒にアビドスにいたいです……!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『えぇ、そうです!大っ嫌いですよ!希望を抱かせるだけ抱かせて、結局は見向きもしてくれないようなものを好きになれるわけがありませんッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『────目指して、良いんですか?叶えて、くれるんですかっ?こんなどうしようもなくダメな私でも、不相応な夢を見ても……良いんですかっ……?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「─────“奇跡”、見せてやるって言っちまったしな……それぐらい起こせて当然という気概がないとカッコ悪いだろ?」

 

 

 「………くくっ、くくくっ……!!まぁいい。どのみち我らには利益しかない提案だからな。では精々励むといい」

 

 

 そう言って退いていくカイザーのおっさんたちの後ろ姿を見ていると、やけにご機嫌そうに笑いながら黒服さんが隣に立つ。

 

 「クックック、楽しみですねぇ……」

 「なんだ?黒服さんもそのオーパーツに興味があんのか?分かる分かる、俺だってそうだし」

 「いやはや、正直に申し上げますとそちらはそうでもないのです」

 

 ……?じゃあ何を楽しみにしてんだよ。

 

 「私は…………そうですねぇ、いうならばあなたのご活躍を期待し、まるで舞台を眺める童のように胸を躍らせながら待っているのかもしれません」

 「ハハっ、なんだよそれ」

 

 ククッ、アンタにはメルヘンチックなモンは似合わないぜ?黒服さんよォ。

 

 

 

 「それで?()()()()()()()()?」

 

 「あぁ、多分もうそろそろ─────」

 

 

 

 ─────巨大な振動がアビドス砂漠を揺らす。

 

 

 地は割れ、砂塵は舞い、空間は巨大な音と共に死んだ。

 揺れの大元は迅速に、そして確実に俺たちの元へ近づいてきている。

 

 

 まるで世界の終末と勘違いしてしまうような状況ではあるが─────俺には分かる。

 

 

 

 

 

 「──────来てくれたか」

 

 

 

 

 

 俺の手前にある砂の地面が隆起してゆく。

 

 埃舞う砂塵の中から見えるのは─────機械的な白い鎧。

 その全貌は超巨大な蛇のようにも見えるし、顔だけ見たらクジラのようにも見えるソレは、俺を見下ろすように見つめてくる。

 

 なんだか後ろが騒がしいが………そんなこと()()()にとっちゃどうでも良いか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「久しいなァ!!ビナーく〜〜〜〜ん!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 我が崇高な虐待の理解者にして、最高にイカす友の1人─────ビナーくんは歓喜の雄叫びを上げるように、天に向かって轟き鳴いた。

 

 ククッ、やっぱ地元にいる友達に手伝ってもらった方が手っ取り早いよなァ!!!

 




エネミーキャラを友と呼ぶコイツはやっぱり悪いヤツなんだ……!!
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