汚いガキどもを見つけたので虐待することにした。   作:史上最恐の悪役

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最終話です!
もうすぐで卒業シーズンですもんね、じゃけんアビドスの子たちも“道具”から卒業しましょうね〜


第29話 この綺麗な(そら)の下で───

 

 

 

 

 

 ─────アビドス高校廊下

 

 

 ハーッハッハッハ!!!上手くいったなァ!!!

 

 ノノミの虐待から始まり!

 コイツらが大好きな砂を取り上げ!

 そして最後にはこれから一生のトラウマに残るようなアビドス砂祭りを完遂させてやったぞ……!!

 

 実に清々しいいい気分だ!!歌でもひとつ歌いたいようないい気分だ〜〜!!

 

 ………さて、俺はさっさとトンズラをこくかな。

 今の時刻は日を跨ぐちょっと前だし、誰にもバレずにアビドスから出ていけそうだ。

 

 

 「んっん〜〜、ただいま─────」

 

 

 

 「へぇ〜、アイツこんなところで寝てるんだ。腰とか痛くならないわけ?」

 「……でもこのソファー、すっごくサドさんの匂いが濃いよ。何だかドキドキしちゃう……」

 「えっ!?………ほんとだぁ」

 「セリカちゃん?アヤネちゃん?何だか目がキマってるけど大丈夫?」

 

 「これがサドさんの作業机なんですね!でも、ちゃんと整理整頓されているのがちょっと意外です」

 「アイツ結構綺麗好きだからね」

 「……少しだけ私物を混ぜてみたいかも、なんて☆」

 「……うへへ、それいいかも……」

 

 

 

 「…………」

 

 

 

 ─────あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!

 俺は身支度のために帰ってきたらガキどもがマットを敷いて駄弁っていた……!

 何を言ってるのか分からねェと思うが、俺も全くもって分からなかった。

 催眠術とか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねェ……

 もっと恐ろしいものの片鱗を味わってるぜ……

 

 しかも、何だその可愛らしい服装は!?まるで寝る直前に着替えるパジャマのようではないか!!

 そんな服装で深夜帯に異性の部屋へ上がり込むとかどんな貞操概念してんだお前ら、えぇ!?

 

 「あ、帰ってきたんですね。おかえりなさい」

 「あ、あぁ、ただいま────じゃねェよ!!何でお前らがここにいる!?」

 「お泊まり会ですよ!お泊まり会!」

 「はぁ!?!?」

 

 何それ!?一言も聞いてないんだが!?

 

 「いや、お泊まり会をするのは別に反対しねェよ。問題は何で俺の部屋でやってるんだってことだよ!!!」

 「違います。ここはあなたの部屋()生徒会室です」

 「なら尚更だろうが!生徒会室でお泊まり会するガキなんて初めて聞くぞッ!!」

 

 そう100%の正論を言い放つと、ガキどもは僅かに頬を赤く染めて目線を逸らす。

 その羞恥とほんの僅かな高揚感が混ざり合う流し目を受けて、脊髄がほんの少し震えた。

 

 「えへへ……今日は特別な日ですから!だから、サドさんも一緒に寝ましょう!」

 「それに、こんな大人数だと普通の部屋では寝れないでしょうし……」

 「まさか、今更帰れなんて言わないでしょうね?」

 「え〜☆こんな真っ暗な夜道を歩くのは怖いですね〜☆」

 

 こ、コイツら……!!勝手に入って来ては散々言いたい放題した挙句、とうとう俺が悪いみたいな風潮まで作り出し始めたぞ……!

 お、可笑しい……常識的に俺が正しいのではないのか……?虐待者が常識を持ち出すとか語るに落ちてる感半端ないけどよ……

 

 「男ならパパッと決めてください。このまま就寝を許可するのか、それとも私たちを追い出して冷たい廃ビルの床で一夜明けさせるのかを!」

 「ぐぅぅぅぅぅ!!…………お、お前ら、着替えはちゃんと持って来たのか……?」

 『うん』

 「……………許可するぜ」

 『やった〜〜!!』

 

 クソッ!!最後の最後になんて後味の悪い結末を迎えちまったんだ!!

 この俺ともあろう者がガキどもに押し負けた……だと!?なんて屈辱、なんて醜態だ!!

 

 ククッ……まさかお前らに一本取られるとは……成長したじゃねェか……

 

 「ささっ、サドさんはここですよ〜」

 「寝る場所も決まってんのかよ……」

 

 俺的にはいつものソファーでいいんだが………はぁ、コイツらが許すわけないか。

 

 まぁいいぜェ、最後だしなッ!!俺がしてきたいくつもの悍ましい虐待と比べればちっぽけな勝利を噛み締めるといいッ!!

 

 「電気消すぞ!」

 『は〜〜い!』

 

 ぐっ、コイツら、漏れなく全員就寝時は電気を消す派だったか……

 怖がっていそうなヤツがいたら手を繋いでやる虐待をしようと思っていたのに……抜け目のないヤツらめ!

 

 

 名残惜しそうに消灯のスイッチを押し、俺も寝る準備へと移行する。暗くなって作業しづらいんじゃないかという心配はご無用だぜ。

 ─────何故なら、電気を消したって別に光が無くなるわけじゃないからな。

 

 

 

 「わ〜……」

 

 

 「綺麗……」

 

 

 「ですね〜……」

 

 

 

 ─────部屋に差し込めるのは星々の煌めき。

 

 

 幾千にも連なる星たちの光と、その中でも一際大きく自身の存在感を示す月の光が、俺たちを優しく照らしてくれている。

 ガキどもはそれに応えるように、ただただ夜空の美しさに見惚れていた。

 

 ……それにしてもそうか。中坊ズならともかく、ホシノとユメも生徒会室から見える夜空は見たことなかったか。

 

 「どうよ、怖いぐらい綺麗だろ?」

 「───そう、ですね。すごく綺麗です」

 「ハーッハッハッハ!!!」

 

 ホシノのヤツめ、強がりやがって……

 お前はミサキ程根暗くはないが、それでも暗い部類だろう。そんなお前がお星様の光が効かない筈がねェ!

 きっと今頃吸血鬼のように浴びたら全身に火傷を負ってしまう程の苦痛が襲っているだろう……!!

 

 「ククッ、オラ!幾万もの星々に見られながら寝なッ!!」

 

 いい加減寝ないと明日に響きそうだからなッ!!それに、お前ら女の子にとっては夜更かしなぞ厳禁だろうが。夜更かしはお肌の天敵って言葉知ってるのか〜?

 

 「マットで寝るって発想はなかったな。どれ、確かめてやるか」

 

 ふむふむ……マットは微妙に固いが……寝れないという程でもない。

 これならガキどももちゃんと寝れそうだ。

 

 おぉ!入ってみると結構お布団だ!クソッ、もっと早くに気づいておけばソファーじゃなくてマットを敷いて寝ていたっていうのに……!!

 

 「ふぁ〜……ネムネム……」

 「……サドって星空が好きなんですか?」

 

 少しウトウトし出した頃、隣にいるホシノが藪から棒に尋ねてくる。

 そして、その話を聞いていたらしいノノミが『やっぱりそうですよね〜』と反応を返してきた。

 

 「やっぱりって……ノノミちゃんも気づいてたの?」

 「はい!前に一緒に出かけた際にも綺麗な星空が浮かんでいたんですが、その夜空を見ていたサドさんのお顔があまりにキラキラしていたので☆」

 「はいダウト!!テメェらは俺の表情が見えてねェだろうが!!」

 「見えなくても雰囲気で分かりますよ。だって、サドさんってすっごく分かりやすいですから♪」

 

 ガキどもは『分かるわ〜』と一同に首を振って同意していた。

 いつの間にそんな技術を……とは思ったが、よく考えれば“道具”として主人の顔色を伺うのは当然のことだったな。いや、顔は見えない筈だから雰囲気で判断するというハイパーハードモードを勝手にやっていたわけだが。

 

 「それで、サドさんは星空が好きなんですか?」

 「あんまり気にしたことねェけど………確かに好きなのかもな」

 「へぇ〜、どうして?」

 

 どうして、か。なかなか難しい質問をされたもんだぜ。

 

 ……思い返せば、夜空を見ていることが多いのは確かだ。

 ただ、そこまで意識したことはなかったが、ガキどもにでも分かるほどに俺は星空を見上げているらしい。

 

 とはいえ、ぶっちゃけ俺もなんで好きかなのか分かっていないんだがな、ぶっちゃけ。ただ気づいたら見上げているだけだ。

 俺にとって星空が何かとても()()()()()で、きっと()()()()にとって何か特別な意味のあるものらしいが……記憶のない俺にはその答えを持ち合わせてはいない。

 

 

 だから、まぁ……何となくだが──────

 

 

 

 「このバカみたいに多い星々の中で、()()()()()()()()合えた“奇跡”を実感出来るからだろうな!!」

 

 

 

 フハハハッ!!ここでも抜け目なく虐待が炸裂しちまったよッ!!

 コイツらにとって親の仇より憎い男から『お前たちと出会えてよかった』って言われているようなモンだぜ!?まさしく精神的苦痛ッ!!(オレ)、愉悦ッ!!

 

 

 

 ………………………

 

 

 

 「……オイ、聞いといて全員シカトかコラ」

 「いや、その………えへへ……」

 「よ、よくそんな恥ずかしいことを素面で言えるわねッ!?」

 

 恥ずかしい?何を恥ずかしがる必要があるんだよ。

 

 

 「なんせ何千何万何億と続く星の中に、今この場所で俺たちが出会えたってことはよォ────つまりお前らは()()()()()で俺の“道具”になることが決まってたってことだろォ!?」

 

 『…………………ハァ』

 

 

 深い深いため息がガキどもから聞こえてきた。

 ククッ、さぞ自身の運命に呆れ果てているのだろう!!

 

 

 だが、お前たちはその運命から解き放たれるのだ。 

 これからは自由に生きろ、俺という虐待者を記憶の端に留めながらなァ!!ハーッハッハッハ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 やがて、だんだんと話し声が聞こえなくなっていき、遂にガキどもは全員夢の中へおさらばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────午前3時。

 

 

 「………これで準備は終わったな」

 

 夜に眺めていた真っ暗な空を僅かに残しつつも、奥から新たな日を伝える太陽が昇り始めた頃────所謂、暁と呼ばれる時間帯。

 俺は旅支度を終え、もう間も無く生徒会室を出ようとしていた。

 

 アリウスとは違って急じゃないからな、今度はちゃんと必需品を持って帰れそうだ。

 

 「メモはちゃんと残したし、()()()もバッグに入れたし……うん、大丈夫だな」

 

 よ〜〜し!!あとはもうやり残したことは─────

 

 「…………」

 

 ふと、ガキどもの寝顔が目の端に映り込んだ。

 どいつもこいつも幸せそうに寝やがって……安眠で素晴らしいなッ!!

 

 「…………元気でな、お前ら」

 

 自然とガキどもの頭に手を伸ばし、そして撫でる。……ハッ!?無自覚で虐待!?

 それに見ろよ。コイツら、撫でられたら僅かに微笑んでやがる。やっぱり安眠で素晴らしいなッ!!

 

 「さて、そろそろ出ないと────あ?」

 

 ある程度ガキどもを撫で回して満足した俺は、いよいよ立ちあがろうとして()()()()()()()()()

 

 その手の正体は────ホシノだった。

 

 「……サド……待っ………サ、ド………」

 「─────ははっ、コイツ、夢でも俺と会ってんのかよ」

 

 一瞬『バレた!?!?』と内心取り乱しまくったが、どうやら寝言だったらしい。

 まったく、一体どんな夢を見ればこんな寝言になるのか……。夢ぐらい俺じゃないヤツと会いたいよなァ?

 

 「…………」

 

 俺は優しくホシノの手を解き、そして立ち上がる。

 

 

 「─────うし、行くか」

 

 

 世界が────まだ見ぬ“道具(ガキども)”が俺を呼んでいるッ!!

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 「───────んぅ」

 

 ふと目覚める。

 空を見渡せば、そこには真っ暗で星が張り巡らせていた空は既になく、闇を覆い隠すように青が晴れ渡っている。

 ……どうやら朝になったみたいだ。

 

 「…………」

 

 ……ひどく、ひどく嫌な夢を見た。

 

 私の見た夢─────それはサドが私のそばから離れていく悪夢のような夢だった。

 

 サドが私の頭を撫でて背中を見せて去っていく。

 必死に、死に物狂いで追いかけようとしても、まるで私と彼の間には()()()()()があるようにちっとも距離が縮まらない。

 どれだけ手を伸ばしても、どれだけ叫んでも彼は一度も振り返ってすらくれなかった。

 

 ……結局、私は彼の後ろ姿が消えるまでずっと─────

 

 「ッ」

 

 悪夢を払拭するように頭を振る。

 そうだ、全部ただの夢、ただの悪夢でしかない。

 

 そもそも可笑しな話でしょ。彼とさよならなんて、そんなことある筈ないのに。

 これからもずっと、私たちと一緒にアビドスの復興をしていくのに。

 ─────まだ、()()()()()()()()()()()()のに……

 

 ……あぁ、なんだかムカついてきました。

 アイツは勝手に夢に出てきて、散々私を傷つけ、情緒を乱してきました。ちょうど隣にいるし、傷つけたことに対する罰として抱き枕になってもらいましょうか。

 

 ………大丈夫な筈だ。だって、だってアレは全部悪夢で─────

 

 

 

 「────────ぇ」

 

 

 

 隣にいるだろうと思って振り返った場所に……私が求めてやまない人はいなくて。

 震える手でそっとマットを触って温もりを確認しても─────そこは既に冷たくなっていて……

 

 

 「………………さど?」

 

 

 ………あぁ、嗚呼、良くない。悪い夢に影響されている。

 何故か、どうしても、どうしようもなく…………()()()()()を想像している自分がいる。

 

 

 「…………さどは………どこ………さど、どこにいったの────」

 

 

 ゆっくり起きあがろうとして─────目の端に映り込んだのは小さなメモと写真が1枚。

 その写真は、昨日の砂祭りで撮ったみんなの集合写真。みんなのこれ以上ないくらいの笑顔と、その中心に彼がいて────()()()()()()()()()()()()()の配置図でもあった。

 

 そして、そのメモには───────

 

 

 

 「じゃあな!………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………サド?」

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 ─────アビドス本校前。

 

 

 

 寂幕が降ろされた市街地に彼らは相対する。

 

 

 1人は言いようのない寒気に襲われながらも、決して表に出さないように取り繕い。

 

 1人は無感情かつ無感動で彼を見る。

 しかし、その瞳にはあまりにも色がなく、あまりにも感情を宿らせていなかったので……()()()()彼の目に留まってしまった。

 

 

 彼は彼女に近づき、1枚の羽織を羽織らせる。

 その羽織とは、彼が記念品などと称して持ち出したアビドス高等学校の旧制服である。

 何故旧制服を記念品にしたのは甚だ理解に苦しむが、本人が記念品だと感じているならそれは立派な記念品なのだろう。

 

 

 対して、これまで無表情を仮面のように貼り付けていた彼女に初めて色が燈った。

 その色の名は────“困惑”。そして、“温かさ”だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「オイ、ガキ。名前は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………シロコ。砂狼シロコ」

 

 

 

 






虐待者は止まらない、止められない─────


というわけで、第二章は完結ですね!!ここまでのご愛読ありがとうございました!!

さて、今章はサドの謎がひたすらに増えた章だったのではないのかと思います。マジでこいつ何者なんですかね……?(すっとぼけ)

それと、第二章完結時までにたくさんの評価と感想をして下さりありがとうございます(土下座)
実はここまで評価や感想を頂けていることに一番ビックリしているのは私なんスよね。
これからも気軽に評価や感想を下さると嬉しいです!

ふぅ〜、とりあえず作者は虐待パワーが溜まるまで冬眠でもしますかね。
次の三章がきた際は、虐待パワーが満タンになった時だと思っておいてください。ただ、三章の前に間章が入ると思いますが……

では、また会う日まで!
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