汚いガキどもを見つけたので虐待することにした。   作:史上最恐の悪役

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超悪辣な“大人”が示す、超悪い“大人”の手本!(ガチ)


第31話

 

 

 

 

 

 「よぉ〜!!今日も来たぜ〜!!」

 

 「…………」

 

 ────ドカァァァァン

 

 

 

 

 

 「ほれ、今日は街で流行ってるゲームを持って来てやったぞ!一緒にやろうぜ!!」

 

 「────」

 

 ────ドカァァァァン

 

 

 

 

 

 「見ろ!お前の薄汚れた着物とは真反対の綺麗すぎる着物を持って来てやったぜ!欲しいか?欲しいだろうォ!?欲しかったら俺の“道具”になれ!!」

 

 「ッ」

 

 ────ドガァァァァン

 

 

 

 

 

 「お前、ちゃんとご飯は食えてんのか?ほら、今日は最近流行ってる菓子を持って来てやったぞ!一緒に食おうぜ!!」

 

 「ッ!!」

 

 ────ドカァァァァン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いつつ……。ふ〜、流石に銃を取り出して来たのはビビったなァ。見ろよ、腕の部分とか掠ってるぜ?」

 「ん、黙って。今治療してるから」

 「放っておいても大丈夫だって」

 「信用できない」

 

 どうしてこうも意地っ張りなんだ、コイツは。

 

 あっ、よう!俺の名はサド!絶賛狐のガキに嫌われ中の一般虐待者だぜ!

 

 あのガキに初めて気絶させられてから約1週間。あの日からずっとアイツの元に通っては追い返されているのを繰り返している。

 

 「……どうしてそこまでその女を気にかけるの?サドを何度も攻撃してるのに……」

 「それはな……俺が()()()()したからだッ!!」

 「ん、分かった。そいつ殺してくるね」

 「待て待て待てッ?!落ち着きなさいって!!絶対大事な部分を言ってないわよこの人ッ!?」

 

 銃を構えて山に行こうとするシロコを全力で止めるシズコ。

 こうして見ると姉妹にしか見えねぇんだけどな。

 

 「ンンッ。では被告人、一目惚れという発言の意図について、きっかりじっくり述べなさい」

 「あぁ?何で俺が裁判かけられる側───」

 「つべこべ言わずに早く言うッ!!見て下さい!シロコちゃんがすんごい目で今にも銃を持って山に行こうとしてますよ!」

 

 うわっ、目つき悪ッ───と思わず呟いてしまうほどに目つきが悪いシロコ。せっかく可愛い顔が台無しになっちまっているぜ。

 ククッ、なんかこっちにも被害が来そうだから、この裁判ごっこにでも付き合ってやるかッ!!

 

 「意図も何も、ただ汚いガキがいたから虐待して俺の従順な“道具”にしたいだけだが?」

 

 ここで『たまには完全な悪っぽい“道具”も欲しい』という別の目的は伏せる。

 ククッ、俺は悪い“大人”だから平然とガキにも隠し事ができちゃうぜ〜!!

 

 「ん、もうサドに“道具”は必要ない。何故なら私がいるから」

 「そうですよ!サドさんは少し欲張りすぎだと思います!こんなに可愛くてみんなの人気者であるこの私を“道具”にしておいて更に手を出そうとするなんて!」

 「…………今は営業時間外だからぶりっ子やめたら?」

 「ぶりっ子……!?フ、フフッ、可愛いのは事実ですけど?何ならサドさんにも『素のお前が1番可愛い』って言われましたけど?オーホッホッホッ!!」

 「───ズルい。私も言われたい……」

 「え、あっ、で、でもそのうちシロコも言ってもらえると思うわ!だ、だから元気出して?ね?」

 「ん……」

 

 ……俺そっちのけで漫才始めんなや、コイツら。

 まぁ、そこは置いといて。それにしても、コイツらは俺がたかが1つや2つの“道具”で満足する器だと勘違いしているんじゃねぇか?ククッ、ここは俺の果てなき嗜虐心を見せて恐怖を見せつけてやるかッ!!

 

 「ハーッハッハッハ!!俺の夢はこのキヴォトスにいるありとあらゆるガキどもを全員虐待してやることだッ!!ならば、今更1人2人増えたところで変わらねェよな!!」

 『浮気宣言?』

 「浮気宣言なわけねェだろうが!!!」

 

 何だよ浮気って。俺はお前らのボーイフレンドか何かかァ?

 

 「───ハァ……。結局のところ、サドさんはその子が心配で構ってあげたいってわけですよね?」

 「ハァ?俺が構ってあげたいだァ?言っただろう、俺はヤツを“道具”にしたいとな!」

 「………ふふっ、そうですか。ならそういうことにしておきますね♪」

 「ん、分かるよ、シズコの気持ち。嬉しくはないけど嬉しい───複雑な気持ちだけど……でも、そういうところがサドらしいところで、いいところ」

 

 何だか生暖かい目で見られている気がするが、もうアイツの元へ向かう時間だ!

 また気絶したら俺を運んでくれよ!頼むな!!

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 「今日も来たぜ〜!!」

 「…………」

 

 よ〜〜し、今日は何が飛んでくる?銃弾か?手榴弾か?それともそこら辺で折れちぎれた木々どもか?何でもいいぜ、ドンとこい────

 

 「────どうして、ですか」

 「………あ?」

 

 思わず周囲に目をやる。……無論誰もいない。

 つーことは目の前のガキが発した声か?今まで口すらも開かなかったというのに?

 

 「…………何なんですか、あなたは」

 「何なんだって言われても……ただの一般通行虐待者だが?」

 「もっと意味が分からなくなりました」

 

 さらに身を隠すように屈める目の前のガキは、さながら本物の野生動物のようだ。

 出会ったときのように、雪の上で蹲るガキは何とも汚く───何とも悪辣な雰囲気を醸し出している。

 

 「何度も何度も追い返しても、あなたはここに戻ってくる。何もなかったように、馬鹿の一つ覚えのように。一体何が目的なのですか?」

 

 目的───んー、目的ねェ……。目的っつーより、俺の趣味趣向なんだがなァ。

 まぁ、ここで下らん嘘はつかん。本心で話してやる。

 

 「あぁ?言わなかったか?────お前(の“悪”の才能)に()()()()したんだよッ!!

 「────ふぇ!?!?い、いきなり何を仰いますの!?!?」

 

 ククッ、コイツめ、ようやく俺に目を付けられていたことに対する厄介さを自覚したか。こうまで喚き散らかしやがって……。まぁ、遅すぎるがなァ?

 それにしてもこのガキ、こんなに面白いガキだったのか。今まで会話どころか声すらも聞けずに気絶してたから分からなかったぜ。これじゃあまるで音の鳴る玩具だ。

 

 「さて、ここらで一旦自己紹介でもしようや。会話の前に名乗り───当たり前だよなァ?つーことで俺の名はサド!テメェの名を聞かせろォ!!」

 「…………ワカモ、狐坂ワカモと申し上げます」

 「ワカモ……いい名前だな!」

 

 なんか……上品だな!清楚感溢れる名前だ!

 

 「ワカモよ。今日はな、こんなバカ寒い中山の中にいるバカなお前のために、今この場でアッツアツのご飯を作ってやろうと思ってな───じゃーん!!お鍋セット持って来ちゃったぜ〜!!」

 「…………まだ私の質問に応えて貰っていませんわ」

 「は?だから一目惚れだって……」 

 「そ、そんな話信じると思いますか!?人を馬鹿にしすぎですッ!!」

 

 いや、事実なんだが……

 

 「…………分かっています。どうせあなたも私の()()()()に口を出しにきたのでしょう?さしずめ陰陽部の遣いで私に注意を促しに来たといったところですか。それとも、この学区から追い出しにでも来ましたか?」

 「趣味趣向?何だよ、それ」

 

 いきなりお前の趣味趣向の話をされてもコッチは何にも分からねェのよ。ただ、この趣味趣向がコイツがここにいる理由と繋がってくるのであれば……それはもう知るしかねェよな!?

 

 そんな思いで尋ねてみたが、ワカモはそんな俺を嘲笑うかのように言葉を淡々と吐いていく。

 

 「私は破壊や略奪を趣味として生きています。私が壊して来た物は数知れず……今は人が血潮を費やして造られた物を壊すのも飽きてしまい、今は()()()に入っているだけですが」

 

 ……あぁ、なるほど、ここ一帯に広がる倒伏された木々はコイツの趣味趣向の巻き添えを喰らった憐れな被害者どもか。

 

 「つまり、お前は破壊衝動で生きるヤバいヤツだと?」

 「えぇ、ご理解頂けましたか?いえ、理解など出来ないでしょう。私も誰かに理解されたいなど思っていません。あなたのように説得しに来た人間を何度も見て来ましたが、その誰もが私を非難し、理解できないと嘆き、恐れと侮蔑の目をして私を瞳に映すのです。それすらも私の快楽となるのです」

 

 ワカモは話している途中で高揚してきたのか、若干高くなった声でその喜悦を隠そうともせず俺に話しかける。その興奮まじりに語られる言の葉は間違いなくコイツの本心そのものだろう。

 

 そして、やがて落ち着きを取り戻してきたのか、瞬きをした瞬間には敵対心丸出しのワカモに戻っていた。

 

 「ただ私があなたに望むのは……一刻も早く視界から消えて欲しいということ。毎日毎日私に無意味な説得を試みても時間の無駄ですし、言われなくとも明日には出るつもりでしたし。ですから────」

 

 そう言って手榴弾を取り出すワカモを見る俺の目は───一体どんな目をしているのだろう。

 

 あぁ、いや。大体だが予想はつく。こうまでご立派な趣味を聞かされて、理解などされないと突き放すガキを見る目はただひとつだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────きっと、これ以上なく()()()()()()をしているのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なぁ、ワカモ」

 

 

 

 

 

 

 

 「それの何がいけねぇの?」

 

 

 

 

 

 

 

 「─────え?」

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 目の前で堂々と佇む異形な殿方が何を仰ったのか、理解出来ない。

 

 

 

 「確かにお前の趣味はなんとも悪辣で、擁護出来ぬ程にイカれたものだろう。間違っても胸を張って言える趣味じゃあねェよなァ?」

 

 

 

 口ではそう言っても、何故か言葉の節々に優しさを感じられて。

 

 

 

 「それのせいで過去に人間関係に軋轢ができたかもしんねェし、罵詈雑言を浴びたかもしんねェし……ひょっとしたらお前はこの破壊行動をやめようと努力した日もあったかもしんねェ。まぁ、全部憶測でしかないがな」

 

 

 

 その通りだった。まだ本当に幼い頃、周囲の人々に迷惑はかけられまいと自身の欲を抑え込む日々が確かに存在していた。

 私は周囲とは違うのだと、私が間違っているのだと、そう言い聞かせて。

 

 

 でも────

 

 

 

 「────だけど、仕方ねェよな?だってそれをどうしようもなく好きになっちまったんだから」

 

 

 

 「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 「破壊が趣味?略奪が喜び?結構結構。俺はそういうヤツを求めてんだ」

 

 

 

 そう区切って私を見るその雰囲気は、今まで相対してきた人たちとは全く違うもの。

 親愛、呆れ、自信───そして、理解を示すもの。

 

 

 

 「────俺はお前を否定しないぞ、ワカモ。同じ悪辣な趣味を持つ1人の人間として、()()()()()()()()()()

 

 

 

 「周囲が何だ!!常識が何だ!!それが人の好きな物を否定する理由にはならんだろう!!そんなもの……全部笑って吹き飛ばしてしまえッ!!この世界、笑ったモン勝ちだからなッ!!!」

 

 

 

 豪快な笑い声が山の中を轟き鳴り響く。

 その笑い声を聞いているだけなのに、どうしてこんなにも胸が打ち震えるのでしょうか。

 

 

 ────初めて理解を示してもらえた。

 

 

 そのことが、それだけのことがこんなにも心を大きく揺さぶる。

 

 

 ────初めて、私という存在を肯定してもらえたような気がした。

 

 

 理解など要らないと拒絶をしていた私。

 でも、もしかしたら心の何処かで────

 

 

 「クククッ……!因みにだが、俺の趣味は虐待だ。ただ一時的に人を悲しませるお前の趣味なんかよりも、より長く苦しませる悪辣な趣味……!だから、ここで上には上がいることを頭に叩き込んどけバカ野郎!!」

 「……ふふっ、それは何とも恐ろしい趣味をお持ちですね」

 

 あぁ、破壊活動をしている時以外で、こうやって口角を上げて笑ったのはいつ振りでしょうか。

 

 「では早速だが、お前に虐待をかましてやるぜ!あ、アレルギーはないか?あったら言えよ!これからお前にアッツアツのシチューをお見舞いしてやるからよォ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、2人で殿方───いえ、()()()()が作ってくださったシチューを召し上がりました。

 そのシチューはこの身だけでなく、その心の芯まで沁み渡るようなシチューでした。

 




コイツがワカモの趣味趣向に口出しするなんて出来っこないっすよ。だってこの世界で一番趣味にひた走っているの、コイツだもん。
ということで良い子のみんなはあんな“大人”になったらダメですよ!
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