汚いガキどもを見つけたので虐待することにした。 作:史上最恐の悪役
はじめに言っておきますが、おそらく読者の皆様が考えているよりも、この世界において彼の愛弟子こと陸八魔アルさんが与える影響力は計り知れないものです。
例えば───彼女がその場に存在するだけで恩恵を受ける生徒たちもいるとか、ね。
───ここは雪山の麓。以前子供たちと雪合戦をした現場にて、彼は再び数多くの子供たちを招集していた。
そこには百鬼夜行の子供たちの他、本来ここには居てはならない生徒まで、総勢100名以上の子供たちが一堂に相対する。
所属も、思想も、年齢も違う。しかし、彼女たちはとある目的のため、そして何よりロマンのためにここに集ったのだ。
子供たちはそれぞれ支給されたピッケルを片手に彼の指示を待つ。
彼というのは無論あの虐待者のことである。彼はわざわざ用意した高台にて、子供たちを見下ろしながら深く息を吐いた。
「ククッ、いい目をしてるじゃあねェか。それでこそ俺の“
彼はその場でピッケルを掲げ、まるで大戦前の指揮官のようにとある場所を指し示す。
そこは毎度お馴染みの雪山───その内部である。
「ガキども!!準備はいいか!!」
『お〜!!』
子供たちの応答を聞き終えて、彼は遂に号令を発する────
「温泉発掘のお時間じゃオラアアアアアアアア!!!!!」
さて、何故いきなり温泉発掘をすることになったのか。
それを知るには約数時間前まで遡らなければならない─────
◇◆
────それは昼時に起こった。
「……?」
「ん?どうした、シロコ」
「なんか……変な匂いがする」
もうすぐで全ての工程が終わり、いよいよ最終チェックに入っていた時だった。
隣にいたシロコが少し顰めた面を晒しながらとある方向へ顔を向けていたもんで、気になったから尋ねてみたんだが……変な匂いとかいう曖昧な返答を寄越されてしまった。
因みに俺は特に何も感じない。それは恐らくシズコやワカモも首を傾げている状態を見るに俺と同じだろう。
ならば、ただ単にシロコの気のせい───と断ずることが出来ないのもまた事実なのだ。
シロコは野生の勘というものが凄まじい。だからこそ、コイツの言葉をただ突っぱねることは出来ないのだ。
「シロコ、因みにどっから匂いがすんだ?」
「……あっち」
シロコが指を差す方向は先ほどから顔を向けていた方角───つまり、雪山方面であった。
何度も往復してきた俺であるから言えるが、あそこは特に変な匂いなどしたことは一度もなかったように思える。最近行けてないから分からんが、そんな短期間でシロコの勘や嗅覚に触れるようなものが出来るとも考え難い。
……いや、待て。本当に一度も変な匂いがしなかったと言えるのか?どうにもそこが俺の崇高な脳に引っ掛かるぜ。
変な匂い、変な匂いか……………そういやシロコvsワカモの被害で穴だらけになった山の中で
「ちなみによォ〜……それってどんな匂いだ?」
「ん………何だろう。何となく鼻につく匂いというか……腐卵臭みたいな感じ?」
「腐卵臭、ねェ……」
………腐卵臭なんてそうそう嗅げるものではない。それも自然豊かな山なら尚更な。
であるならば、もしや────
「ククッ、もしかしたら
「温泉!?」
クククッ、シズコのヤツめ、随分と目が輝いていやがる。温泉街とかこの街ではそう珍しいことではないと思うが、やはり新たな温泉の可能性には無条件に期待を抱かざるを得ないか……
流石は温泉、不思議な魔力を帯びていやがる。
「じゃ、じゃあ早速源泉調査を行わないと……!」
「素人の意見で大変恐縮ですが、今の時期でそれはあまりに難しいのでは?」
「ん、大変」
「……た、確かに源泉調査だけで数百万、そこから掘り進めるだけでも億の額が動くって聞いたことがあるわ……。う〜ん、やっぱりお祭りと並行して調査するのは難しそうね……」
シズコは大変惜しい顔をしながら唸っているが、俺はほんの少し違うことを考えていた。
温泉といえばお前らは何を思い付く?俺は無論、ガキどもに辛酸を舐めさせる熱湯を勝手に出してくれる星のサディストスピリットが発現したもの───と言いたいところだが、こと温泉ばかりは虐待云々関係なく、全自動で
ボロボロのタンクトップを着こなすその恰好。
恐らく銃よりハンマーやピッケルの方がメイン武器であろうと伺えるそのパワー。
しかし、そんな男よりも漢な風貌であるにも癖して、ほんの僅かに残っている乙女の矜持故か、女の命である自身の髪を穢さんと守護る白いヘルメット。
ひたすらに温泉を求める温泉狂───あのガキどもの姿を、な……
「───流石に来るわけねェか」
「え?何がですか?」
「あぁいや、俺の知り合いに今の状況でうってつけのヤツらがいるもんでね。来てくれたら心強いと思ったが……」
しかしそれは希望的観測とも言えないものだろう。俺からヤツらに連絡しているのならともかく、こんな何千里と離れた土地から第六感的な能力で風呂の探知をしてくるなど……如何にアイツらといえど流石に────
────ドォォォォォォン
「なにこの爆発!?」
「ん、敵襲?」
街外れから轟音が鳴り響く。それはこのキヴォトスにおいてはそう珍しくない事象ではあるが、予感というか、それこそ第六感的な何かが半ば俺に確信を抱かせる。
………あぁ、なるほど。どうやら虐待神は『今日は温泉を掘れ』と仰せになっているらしい、とな。
「やほ〜!ここから温泉の気配がしたんですけど〜………ってあれ、サドさんじゃん!すご〜い、本当にいたよ!」
「え!?本当にいんじゃん!」
「はえ〜、メグの勘も当たるもんだな〜」
「絶対出任せかと思ってた」
「いきなり来て一方通行で喋るんじゃねェよ、テメェら!」
土だらけ、埃だらけ、汚れだらけ……おおよそ思春期の乙女がしてはならん服装をしている集団は、まさしく先ほどイメージした姿通りに俺の前へとしゃしゃり出てきた。
その中でも一際目立つ赤髪のガキ───下倉メグは太陽のような笑顔を向けながら俺を見た。
「やほやほ!お久しぶりだね、サドさん!ところで───温泉はどこにあるのかな?」
◇◆
───そして現在に至る。
「しかし、俺も何となくお前らが来る予感はしていたんだぜ……まぁ、予感なだけで本当に来るとは思わなかったが。それはそうと元気にしていたか?」
「うん!それはもう毎日温泉発掘していたぐらいには元気だったよ!」
ひと休憩中のメグの隣に腰をかけ、久しぶりの再会ということもあってコイツら温泉開発部の近況───もといやらかし談をひたすら聞いていた。
毎日ということは毎日何処かで爆破事件が起きていたということか……ククッ、相変わらず良い趣味をしている。素晴らしい趣味ライフだなァ!!
「しかし……そんなやんちゃばっかしてたらそのうち風紀委員会に捕まるんじゃねェのか?クククッ」
「わっ、流石サドさん!なんでも分かっちゃうんだね!実はちょっと前まで捕まっちゃっててさ、それでついさっき牢屋から出してもらったの!」
ククッ、成程!もう既に捕まって、そんでもう既に出所してたのか!流石はメグ!俺の想像を優に超えてくるなァ!!
「いや〜、それにしても私たちを捕まえた子、スゴかったなぁ〜……。私たちを一瞬で制圧しちゃって、気づけば牢屋にいたの!本当にマジックみたいだったよ!」
「……ほう?あまり武力を持たないとはいえ、十数人いるお前らを一瞬でか……一体何処のどいつだ?」
まるでホシノのような圧倒的武力を持つ個……気にならないわけがねェよな!?
案の定『おもしれーガキ』判定したので好奇心で尋ねてみたが、パッと名前が出て来ないのか、メグは頭に指を当てながら唸っている。あまり関わり合いのないヤツらしい。
「ほら、あの子だよ。すっごくちっちゃくて、綺麗な白髪で、ものすご〜く強い子!」
「あぁ、ヒナか」
「そうそう!確かそんな名前だった気がする!」
そのガキはもう既に俺が目をつけていたヤツでした。
チビで?白髪で?めちゃんこ強いゲヘナの風紀委員会委員?もはや自己紹介かよってレベルでドンピシャな回答だったなァ。
しかしお前らも運がない。よりにもよって
なんせアイツは数ある“道具”の中でも一際屈強な心と強さを兼ね備えている生意気なガキだ。
仕事をしている時も、そして俺の虐待を受けている時でさえも、いつも淡々とした表情をしていやがる。オマケにいつもクールぶってる癖して、虐待を終えたら笑顔で『今日もありがとう』だなんて皮肉を交えて応報してきやがる……!
あー、気に食わん!めっちゃ気に食わんさ!!……故に俺のような虐待者に目を付けられる羽目になってしまったんだがなァ?
「つーか、テメェらよくヒナから逃げ仰たな。どんな手を使って脱走したんだ?」
「脱走なんかしてないよ!ちゃんと『サドさんに呼ばれたような気がする!』って話したらすぐに出してくれたんだ。最初はちょっと怖い子だな〜って思ってたんだけど、ヒナちゃんって本当はすごく優しい子だったんだね!」
優しいっつーかなんだそのガバガバセキュリティ。風紀委員会がそんな調子でゲヘナの治安は大丈夫なのかよ。
「───そうだ、そのヒナちゃんから伝言頼まれてたんだった!サドさんに伝えてほしいって!」
おまけにどうやら言伝も残しているようだった。
なんだろうなァ、俺に対する苦言は山のように思い浮かぶのだが、いかんせん心当たりが多すぎて逆に分からねェんだわ。
「ククッ、面白ェ。それで?なんて言われたんだ?」
「う〜んとね……」
もったいぶるように考え込むそぶりをしながら唸っているメグを前にして、俺はなんの心構えもなしにメグの言葉を待っていたもんだ。
───故に、次の言葉が俺の心にドストレートに突き刺さった。
「えっと〜……あっ、そうそう!『たまには会いに来て』───だって!」
───嗚呼、なんてことだ……俺は心の底からそう思ったよ。
あのヒナが、小さい癖して態度だけは一丁前に大きいヒナが伝言を頼むほどに俺に『会いたがっている』と、メグはそう言うわけだな?
この事実に心を震わさない人間はいるのだろうか?いいや、いない。あのヒナが俺に『会いたい』だなんて、そんなの……心が震えすぎて変な汗まで出てきそうだ。
だって……だってよォ………──────
────それってタイマンでボコボコにしたいって意味だよなァ!?
とうとう来たか、俺の番が……って感じだ。
ヒナが残した言葉である『会いたい』とは……確かに文だけで見れば『会いたいんだな〜』なんて目ん玉節穴な凡骨どもならそう思うかもしれんが、俺はそう簡単に騙されんぞ!
俺には分かる。この言葉には……『(
巧妙に隠したものよ。しかし、お前が俺から散々頭撫でられたり、労られたり、おまけに匂いまで嗅がれてしまっていることを俺は覚えているぞ!故意ではないがな!
そんな虐待マンに会いたいヤツなんて総じて復讐が目的だと映画でやっていたんだぜ!
ククッ、それにしてもなんてことだ。いよいよ(推定)キヴォトス最強様から間接的な死刑宣告までされてしまった。
だがここで逃げては男が廃る!“力”に屈したら男に生まれた意味がねェだろう?もちろん完全装備で出迎えに行くまでよ!
「ククッ、メグよ。ヒナにこう伝えておけ。『1日3食、早寝早起きをしながら待っていろ』となァ!」
「うん!分かった!」
それにここで逃げてもどのみちヒナとの衝突は避けられないだろう。
なんせゲヘナには俺の活動拠点である事務所があり、アルという愛弟子がいるのだからな。
「さて、そろそろ戻るとするかね。まだ掘り起こせていないみたいだしなァ」
つーか、そろそろ戻らんとアイツらにガチギレされそうだ。
見給え、あの『なに1人で休んでんねん』って顔。随分と不機嫌そうな顔じゃあないか。つーか、さっきからこっちをチラチラ見てんのは知ってるんだからなァ?
「う〜〜ん、それにしても何処にあるんだろう〜。多分あともう少しだと思うんだけどな〜」
「ククッ、何言ってんだ、メグ。こういう源泉を見つけ出すために、なんか装置とか見てんじゃねェのか?」
「え?そんなのうちにはないよ?今まで勘で掘ってきたからね!」
「…………マジ?」
「マジ!」
あまりに無茶苦茶なことを笑顔で宣うメグを唖然として見ていると、グイグイっと袖を引っ張られる感覚がした。
そこには【百鬼夜行のトリックスター】ことチセが俺を見上げながら隣で突っ立っていた。さっきまで雪だるまを作っていた筈なのに何故ここに……もしや飽きたのかァ?
「どうしたチセェ。これから俺たちは山を掘り進めなきゃなんねェんだが?」
「えっとぉ…………あそこ……」
「あそこだァ?」
チセは何の変哲もない雪原を指し示す。
確かに木々もはけて遊ぶには丁度いい広場だと思うが………そういやシロコとワカモが喧嘩したのもここら辺だったな。
「あそこになんかあんのか?」
「んー………
…………………………………温泉?」
「え!?」
「は?」
突然何を言い出すかと思えば……。ククッ、まったく、俺がそんな戯言で動かされるとでも────
「イズナァ!!」
「はい!主殿!」
「チセが指差したところに手裏剣を投げろッ!!」
無論動くんだなこれがァァァァァァ!!
チセがあそこを指差した───つまりそこには温泉がある!黒服さんの魂を賭けてもいいぜ!
「イズナ流忍法──渾身の術!手裏剣!えーいっ!!」
寸分違わず、イズナは俺が指示した場所に
そして────
─────バゴォォォォォォン!!!
爆発と同時に湧き上がる水飛沫。チセにかからないよう胸に抱き寄せているせいで俺は全身ずぶ濡れ状態なわけだが……もはやそんなことどうでもいい。
「お……おお……お……!!」
「温泉だーーッ!!!」
「あっ、サドさん!私のセリフ取らないで〜!」
だーらっしゃい!!それもどうでもいいだろうが!!
「なになに!?」
「うわ〜、温泉だ!本当にあったんだ!」
「すごいですの!身共、温泉が湧き上がるところなんて初めて見ましたの!」
「普通は見れないけどね……」
野次馬もゴロゴロ集まってきたな。だがせっかく集まってきてもらったところ恐縮だが、この後は本職どもに任せるとしよう。
「つーことで温泉開発部どもよ────やっておしまい!!」
「は〜い!ではでは、温泉開発部一同!よ〜〜い───ドン!」
メグの号令に雄叫びを上げながら突撃していく温泉開発部。その光景をたとえるならお預けされた肉にしゃぶりつく肉食獣のようだ。どれだけコイツらが温泉に情熱と狂気を注いでいるのかよく分かる構図だぜ。
立ち込める砂埃が次第に晴れていき、次に姿を現したときには────
「うそ……あっという間に旅館が出来あがっちゃった……!」
「これは、すごいですね……」
謎のパワーでものの数秒で一級建築士もビックリな丈夫で快適な旅館が出来あがっていた。
この原理を説明しろと言われてもよく分からん。ただ、コイツらの温泉に対する情熱と狂気が成せる神業と云う他あるまい。
「素晴らしい!流石は温泉開発部!温泉に関してはお前らの右に出る者はいないぞ!」
「えへへ♪サドさんに褒められちゃった♪」
虐待も出来て、オマケに温泉も発掘してくれるなんて……ククッ、やはりテメェらは最高の“道具”だァ!!
「旅館っつーことはちゃんと泊まれるようになってんのか?」
「もちろん!個室から5人一部屋の団体室まで全て完備、そして宴会場や厨房も全部配置してあるよ!もちろん1番気合入れて作ったのは浴場だけどね!」
───ふ〜ん、なるほどなるほど。
「オイ、ガキども!今日はこの旅館でお泊まり会するぞッ!!」
『えぇ!?』
オイオイ、まさかこのまま帰してもらえると本気で思っていたわけじゃあるまいな?使えるものは何でも使う主義の俺としては、目の前の最高にイカす旅館を虐待に使わない手はないんだよなァ。
それにシズコのように無断で遅くまで起きているガキがいるかもしれねェ。ここでコイツらの性根を叩き直し、しっかり早寝早起きが出来る身体に矯正しなければならん!
……………だけどまぁ、今回ばかりは見逃してやるか!なんせ今日は気分がいいからな!
「さて、丁度よく新品ホヤホヤな虐待道具───おっと失敬、天然風呂が出来上がったモンだからよォ、どうせなら発掘したテメェらが1番最初に入っちまえよ!」
思わず本音が漏れちまったが、ガキどもは無知な顔して顔を見合わせながらクスリと笑っているだけだ。
ククッ、今の本音をちゃんと聞いておけばダッシュで逃げ帰ることが出来たというのに……お前らはもう引き返せなくなっちまったなァ!!
「部屋割りは俺がしてやる。いいか?俺がしてやるんだからな」
「なんで2回言ったんですか……?」
大事なことだからだよッ!!部屋グループすらも決められる虐待……!仲良いヤツと同じグループになれるとは思わない方がいいぜェ〜!!
「だからさっさとお風呂に行ってこいや!どいつもコイツも泥だらけで見るに堪えん!」
『…………』
ハンッ、そんな凝視するように睨んできたところで吐いた唾は戻らんし戻す気もないぞ。なんせお前らは今、百鬼夜行の中で───いや、このキヴォトスの中で最も小汚い連中と化しているのは間違いないのだからな!
俺は自分のモノが汚いと堪らなく不愉快になる質でなァ、一刻も早くその身体を綺麗にしてもらわないと思わずとんでもない虐待をかましてしまうかもしれん。
「あんたは?」
「………あ?」
「あんたも泥だらけでしょ。しかも、温水ももろに受けてたし……。今の時期でそれは風邪でも引くんじゃない?」
珍しくキキョウが俺の身体を心配してきやがった。
まぁ、流石に純粋に心配をしているわけではないだろうが、少しぐらい主人を慮る心情やセリフは出てこれるようになったというわけか。
しか〜〜し!如何にも舐められているようで腹が立つ。ガキに労られるほど弱い身体してねェんだよ俺ァ!!
「ハーッハッハッハ!!俺は後でゆ〜っくりと入るんだよ。お前らが寝ている間に、のんびりとなァ!つーか、はなからテメェらに拒否権なんかねェよ!何故なら俺が法であり、俺がルールなのだからな!お前らのお風呂に入る時間のルーティンなんか狂わせてやるよ!精々泣き言を言いながらお風呂で傷の舐め合いでもしてるんだな!」
「……………そう」
ようやく理解したか。分かったのであればさっさと────
「あんたも一緒に入る?」
─────何言ってんの、コイツ。
「バカめ、ガキと一緒に入るとか虐待云々の前に人としてどうかしてんだろ」
「え〜?そんなこと言わないでさ〜。というか私となら一緒に入っても大丈夫なんじゃない?ほら、私とサドさんはもう
『─────は?』
「
足はいいだろうが、足は。だが流石に裸はねェわ。虐待云々の前に。
あ?アリウスのガキどもの裸は見ていた癖にってか?
いや、だってアレは一瞬という故意じゃない範囲だから虐待として成立するだけで、流石にガッツリ入るのは普通にレギュレーション違反だし……普通にただの変態だし……
混浴ならともかく、そういうのはノーセンキューなんだぜ!
「オラッ、口答えせずにさっさと行け!」
なんかいまだに言い縋ってきそうな顔をしている連中に喝を入れてやれば、まるで脱兎の如く旅館へ駆けていくではないか。
ククッ、徹底的に扱かれた身体に追い打ちで湯責め……俺は鬼か何かか?
「…………」
「あ?」
全員が逃げ出したと思われた旅館前にポツリとガキが1人突っ立っていた。如何にキヴォトス広しといえど、ひょっとこのガキはお前だけだろうぜ!
「何してんだ、ワカモ!早く来い!」
「私も……いいのでしょうか?」
「当たり前だろうが!お前だけ逃しはしねェよ!」
モゴモゴと文句を垂れているであろうワカモの手を強引に引いて旅館へと引き摺る。
ククッ、お前が何を言おうとも無駄だ。俺の目が黒いウチは誰1人逃しはしねェよ!
高笑いしながら地獄へと引き摺る俺はなんと酷い虐待者か……。きっとあの世で閻魔様も引いてるだろうぜ!
◇◆
「〜♪〜〜♪」
夜。静まり返った旅館の廊下を上機嫌に歩く。
つい先ほどお風呂に入ってきたんだが……なんて素晴らしい温泉だったんだ!あの湯加減、匂い、湯の勢い全てが俺の基準の遥か上に属していやがった。
ククッ、さぞガキどももこの温泉に酔いしれたことだろう……!
「ん?」
後はもう寝るだけといったところでハプニングが発生。なんと俺の部屋と割り当てた筈の部屋の前に、なんとガキが1人座り込んでいるではないか。
「あっ、サドさん!やっと来た!も〜遅いよ!」
おまけに文句も言われる始末。ククッ、こりゃあ夜更かし解禁は逆効果だったわけかァ?
「………テメェ、アヤメ!!なんでこんなところにいやがる!!一応夜更かしは許可したが、外に出歩くなと言ってある筈だぞ!」
俺の部屋の前には陰陽コンビの片割れ───七稜アヤメがいた。
その太陽のように輝かしい微笑みは、ほんの少し陰りが見えたような気がした。
Q:この世界で最も得している学園は何処ですか?
A:ゲヘナ学園です!
理由は至極単純、ゲヘナ学園の学区には彼の愛弟子であるアルがいるからです。
彼女がいることで自然とゲヘナ学園に赴くことが増えるため、そこでゲヘナ学園の少女たちは定期的に交流することが出来ています。愛弟子効果恐るべし……
※しかし遭遇は完全にランダム制。定期的に
ですので原作では【ゲヘナシナシナシロモップ】であった彼女は、この世界では定期的に虐待を受けているため、通常時は大抵【ゲヘナモフモフシロモップ】として絶好調の青春を送れています。
ですが、たまにシナシナベトベトになってるのでやはり定期的に会いに行かないといけませんが、それもゲヘナにアルがいる限り可能です。
逆説的に言えば、アルを自校に引き入れることが出来れば自ずとセットで大本命たる彼も付いてくるわけですが、生徒たちはその師弟関係に気づける筈もないのでまぁ無理です(無慈悲)
えっ?いやいや、有り得ませんよ。まさかこのキヴォトスで1番マシな学園があのゲヘナかもしれないとか。流石にそんな世も末であまりにも世紀末な世界にまで落魄れるわけが……ハハっ……(諦め)