汚いガキどもを見つけたので虐待することにした。   作:史上最恐の悪役

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虐待summerの到来です!


第9話

 

 

 

 

 

 季節は夏。つまり蝉どもがミンミンと喚く時期に突入してきたということだ。

 確かに俺は泣き声は好きだが蝉の鳴き声は好きじゃねェんでな、早くどっかにいなくなって欲しいと常々思っているが……現実はそう甘くないらしい。今も外で元気に鳴いているよ。

 

 だから、せめてもの対策として気晴らしに学校中に風鈴を設置したが大して意味はなく、結局好評だったのはガキどもだけ。なんも珍しくもないただの風鈴なのに、興味深そうに眺めてはチリンチリンと鳴らして遊ぶ様は正真正銘ただのガキだ。

 だがな……ガキどもに好評でも意味ねェんだよ!!

 

 

 「……あちぃな」

 「そうだね」

 「そうだな」

 「あ、暑いですね……」

 「暑いな」

 「…………まぁね」

 

 

 だから基本的にアウトドアな俺も、思わず室内でエアコンに涼んでいるわけだ。

 いやはや、大変だったぜェ?なんせエアコンが碌に作動しねェのなんの。だから全教室に配置されているエアコンを全部直すか取っ替えて新しくするなりして、この夏を乗り越える為に全ての準備を完了させた。

 

 ………なのに、暑い。

 『可笑しいな』、『俺の体、どっか悪いんじゃねェか?』────なんて思うわけもなく、原因は至ってシンプルで、かつ俺を苛立たせるのには充分な理由だった。

 

 

 「─────改めて聞くが、本当に暑いと思ってるんだよな?」

 『うん』

 

 

 示し合わせるかのようにハモるコイツらを見て─────いよいよ堪忍袋の緒が切れた。

 

 

 「ならさっさと退けろや、テメェら!!!」

 

 

 俺は()()()()()()()ガキどもに怒鳴り散らす。

 

 どういう状況かを説明すれば、俺の両肩にはアズサとヒヨリがぶら下がり、両脇腹に寄りかかるようにして目を瞑っているのはサオリとミサキ。そして、胡座をかいて出来た中央スペースにて堂々と居座るアツコがいる。

 流石にこの状態は、いくらエアコンの付いた状態であるこの部屋でも暑かろうて。

 

 つーか、コイツら暑いとかほざいている癖に何故俺に密集している……?暑さで頭まで可笑しくなったのか?

 

 ─────ハッ!!もしやこれも反抗的な行為なのでは!?

 自分たちを犠牲にしてでも俺に負傷を負わせようとしているのか……!?思いっきり主人公みたいなことをしているじゃねェか、テメェら!!

 

 ククッ、まさしくミツバチ攻撃*1ってなァ?

 

 「サド、我慢して」

 「サ、サドさんは暑いというか……」

 「うん、なんかポカポカする」

 「サドさんがどうしてもと言うなら離れることも考えないこともないが………余程のことがない限りないものと思ってくれ」

 「…………うるさい」

 

 コ、コイツら……!!黙っていれば好き勝手言いやがって……!!

 しかし、サオリが言ったようにコイツらは梃子でも動かないといった強固な意志を持って俺に貼り付いている。並大抵のことでは引き離すことは出来ないだろう。

 

 クソッ!まさか最恐最悪のサディストであるこの俺が、自身の道具に追い詰められているという醜態を晒すハメになるとは!!

 どうにかしてコイツらを退かさなければ……。コイツらが思わず離れたいと思うような、そんな虐待を───────

 

 

 「フハッ、フハハハッ──────ハーッハッハッハ!!!

 「あっ、サドが壊れちゃった」

 「いつもこんな感じでしょ」

 

 

 あった!あったぞ!!この時期にピッタリな虐待がッ!!

 ついでに俺もコイツらも適度に休めて、かつ虐待出来るご都合すぎる場所がよ!!

 

 「テメェら!!外出の準備をしてこい!」

 「外出?」

 「ど、何処か行くんですか……?」

 

 あぁん?何処って────そんなの一つしかねェだろ!!

 

 

 

 

 

 ()に行くぞ、海!!」

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 ─────水着店

 

 

 「さぁ、テメェら!好きなだけ()ってこい!!」

 

 『わ〜〜い!!』

 

 

 アリウス自治区につながるカタコンベを抜け出し、しばらく移動してやって来たのは超巨大なショッピングモールだ。

 そして、目の前にあるピンクに彩られたキャピキャピとした店こそが女性用のランジェリー店であり、()()()()の目的地でもある。

 

 それにしてもビックリだぜ。まさかコイツらが()()()()()()()()()なんてよォ……

 お陰で直行で海に行く予定だったのを急遽変更してショッピングモールで買い物をするハメになっちまった。

 

 だが、それが全て悪かったかと言われたらそうでもない。なんせ、この道中でかなり面白いものが見れたからなァ。

 

 まるで初めて乗ったかのような反応をした電車では特に面白かったな!全員が急速に移り変わっていく景色に目を丸くしていたぜ!それとアリウスにはない高層ビルやら都市特有の騒音にやたら驚いていたよなァ?

 

 ククッ、どうやらガキどもは理解しちまったらしい────テメェらは都会人の“と”の字もない田舎者だったってことがよォ!

 “井の中の蛙大海を知らず”とはまさにこのこと。ベアトリーチェに甘やかされてきたせいか、自分たちが上級層だと勘違いしていたかもしれねェが……本物の上級層はああいった高級マンションに住み着くんだよ!!残念だったな!!

 

 

 ────さて、そんな喜劇は置いておこう。

 今はガキどもの水着選びの時間だからな。

 

 なんか妙にウキウキしているガキどもだが……この俺が()()()()()ただ買い物をさせるとでも思っているのかね?

 

 「オイ、ガキども!水着を買うにあたって、一つだけ()()がある!」

 「条件……?」

 

 ククッ、喰いつきがいいなァ。早く水着を買いたくてウズウズしているのだろう。

 そんなテメェらを一気に地の底へと突き落としてやるよ!

 

 

 「水着を買う条件────それは、お前らが試着した水着を俺に見せることだァ!!」

 

 

 ここにきて最低最悪の提案を突き出す!

 

 以前にも言ったと思うが、コイツらもガキといえど一端の淑女であり乙女だ。他人に───それも大人の異性であり、心底憎くてたまらない(ヤツ)に一瞬とはいえ裸体を見せるのだ。

 あぁ、最悪だろうな!俺だったら吐き気がして仕方がないね!だけど見せなければならない────何故なら見せなければ水着を買うことは出来ず、水着を買うことが出来なければ海に入ることは出来ないというワケだ!

 

 ククッ、なんてコスパのいい虐待なんだ。コッチとしてはガキどもの水着姿なんて砂の一粒ほども興味はねェが、その虐待で苦しむ姿は宇宙の全貌よりも興味がある。

 さぁ、まずは俺の言葉を聞いたコイツらの反応を楽しもうじゃないか!

 

 

 『…………………』

 

 

 ククッ……!!ハーッハッハッハ!!!見ろ!!全員が絶句してやがる!!あまりの非常識さに言葉も出ないのだろう!!

 素晴らしい!そんな反応を見たかったんだ!!

 

 ……ただ、ちょっと気になるのはガキどもの目だな。

 なんかやけにやる気というか、捕食者の目のような迫力があるぜ。

 

 「ククッ、何をいってもこの条件だけは変えねェよ!さぁ、どうす──────」

 「早く行こ?」

 「“善は急げ”……だったか?とにかく急いだ方がいいのは変わりないな」

 「えへ、えへへ……!楽しみです……!」

 「よく分からないが、高性能な水着を探し出せばサドに褒めてもらえるのか?」

 「水着に高性能も何もないと思うけど」

 

 うおっ!?なんかやけに力強く引っ張ってくるじゃねェか!?

 ……成程、ここぞとばかりにせめてもの反抗を仕込んでくるその胆力……やはりテメェらは最高で飽きのこない野郎どもだなァ!!ハーッハッハッハ!!!

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 「よし、全員ちゃんといるか点呼しろ!」

 

 

 水着を買い揃え、それにプラスして遠出期間中の私服も同時に買い揃えた俺たちは、ショッピングモールの大ホールにて集まっていた。

 こういう時にこそ、この前作成した隊が活かされる場面よな。それぞれのリーダーが人数を確認して俺に報告する────間接的に道具の管理をやらされるってわけだ!さぞ屈辱的だろうな!

 

 「サ、サドさんッ!!」

 

 やけに焦ったような声を上げるサオリに顔を向ける。なんかイヤな予感がするんだが……

 

 「どうした!」

 「アズサがいない!さっきまではいた筈なんだがッ……」

 

 ア〜〜ズ〜〜サ〜〜!!

 

 あの野郎、勝手に隊列を崩しやがって!許すまじ!俺が直々に罰してやらァ!!

 

 ……だが、アズサがこういった行動に出ることに些か疑問は持つ。

 アイツはサオリと似たタイプだ。たまにイカれた行動に出るが、基本的に生真面目な部分がある。だから集団行動から逸れた行動はしないヤツだと思っていたが……

 もしかしたら、アイツがハグれた理由も何かしらあるのかもしれないなァ。

 

 それでも虐待はするけどな!!当然だッ!!

 

 「俺が探し出してくる!テメェらはこのホールから一歩も出るなよ!」

 「ま、待ってくれ、サドさん!この件は全て私に責任がある!だから私がアズサを探しに─────」

 

 ────などと言っているが、俺には分かっているんだぜ?

 お前は仲間想いだからなァ、だから俺が直々に出迎えに行ったらアイツが何かされてしまうと察したのだろう。

 実際その通りだが、コイツは一つ勘違いしてやがるな?

 

 「テメェは俺の道具だ。なら、この件がサオリ(道具)の責任であるならば、その責任もまた()()()()()。だからお前はここで俺の命令を大人しく聞いておけばいいんだよ!分かったか!」

 「ッ─────すまない、サドさん……」

 

 ケッ、分かればいいんだよ、分かれば。

 さ〜〜て、アズサの馬鹿野郎は何処に─────あ?なに笑ってんだ?アツコのヤツ。

 

 「なんだよ」

 「フフッ、懐かしいなって」

 「はぁ?」

 「ううん、何でもない。気をつけてね」

 「ハッ、誰に言ってやがる」

 

 道具として義務的に発せられた心にもない言葉を背中に受けながらホールを出る。そこからは勘のみでアズサが向かいそうな場所に宛もなく向かっている。

 

 ククッ……!俺は今()()()()で来た道を戻っている。しかし、この“何となく”がどうしようもないほどに()()を持って俺の足を進ませているのだ。

 

 それはまるで“運命の赤い糸”───なんてロマンチックな言葉で片付けられるほど綺麗なものでも何でもない。

 これは………そう!この繋がりを言葉にするなら、これはつまり“()()()()()()”────つまり“()()()()()()”という最低最悪のロマンチックなんてゴミ箱に捨ててきたような繋がりが俺とアイツを引き合わせるのだッ!!

 

 

 「───ククッ、やはり都会はいいな……。ついている」

 

 

 俺の視線の先────そこには窓に張り付くかの如く()()を熱心に見ているアズサを発見した。

 ……何見てんだ?アイツ。

 

 

 バレないようにこっそり近づき、後ろからアズサが眺めているものを覗き見る。そこには奇形な造形をした()()()()()()()()()()が置かれてあった。

 ははーん?さてはコイツ─────

 

 

 「欲しいのか?ソイツ」

 「ッッッ!?!?!!サ、サドッ!?!?」

 

 背骨が抜けるんじゃないかと思うほどに仰け反るアズサを見て愉悦に浸る。

 もはやここまで俺に対する拒絶反応があるというのなら、こちらとしても虐待のしがいがあるってモンだ。

 

 「それでどうなんだ?コイツが欲しいのか?」

 「いやっ、あの…………その…………」

 

 口には出さないが、その視線と忙しなく絡まる人差し指が答えを言っている。

 『私はアレが欲しい』と、『欲しくて欲しくて堪らない』と!

 

 宜しい、ならば買ってやろう─────お前たちにとって諸悪の根源であるこの俺がな!!

 

 「ククッ、そこで待っていろ」

 「えっ!?あっ……」

 

 アズサの何か言いたげな声に後ろ髪を引かれる思いなど一欠片もせず、むしろ背中を押される形で入店していき、チャチャっとガイコツのぬいぐるみをゲットしてきた。

 コイツの名前、“スカルマン”っつーらしい。そのまんまだな。

 

 「オラ、やるよ」

 「ほ、本当にいいの……?」

 

 戸惑い気味なアズサだが、その腰に付いてある羽はバサバサと揺れ動いている。コレだけで大体アズサがどういった気持ちなのか理解出来た。

 “不憫な(分かりやすい)体してんなァ”とは思うが、これは虐待とは関係ないのでスルーさせてもらう。

 

 しかしアズサのヤツ……ククッ、もはやタダで貰えるだなんて考えているんじゃなかろうな?俺はそんな甘ちゃんじゃねェよ!

 集団行動を乱したお前には、生涯残り続ける()()をしてやる!!

 

 「いいか?よ〜〜く聞けよ。お前は生涯、このぬいぐるみを()()()()()()大切に扱え。ずっと、永遠にだ。いいなァ?」

 

 そう言って直接アズサの胸元に抱えさせれば、まるで信じられないといった風に目を見開くコイツの顔を見て虐待が成功したのだと確信を得た。

 それもそうだろう。なんせ俺はお前を天国から一気に地獄へと堕としてやったんだからな!

 

 嗚呼、隊列を乱すほどにまで一目惚れをしてしまったぬいぐるみに、よりによって嫌いで嫌いでしょうがない俺の姿を重ね合わせろだなんて……なんてド畜生なんだよ俺は!!

 そして、そのぬいぐるみを捨てることさえ出来ない!このぬいぐるみへの愛情は勿論のこと、もし命令を破って捨てたりでもしたら何をされるか分かったもんじゃないからなァ?

 だが、こんなことを言っておいてなんだが、俺的には別に捨てられても何かしようとは思わない。コイツが虐待に苦しむ姿を見れれば満足だからなァ!!

 

 さぁ、反応は如何に─────!!

 

 

 「─────うん……うんッッ。ありがとう、サド……!」

 

 

 まるで我が子を抱くように大切そうに抱き抱えるアズサ。スカルマンくんの首がはち切れんばかりに力強く抱くその姿は、このぬいぐるみに対する愛おしさと憎しみや怒りがごちゃ混ぜになったような感じで─────そう、まさにこれこそ俺の見たかった反応だ!

 ククッ……!クククッ……!!ハーッハッハッハ!!どうだ!!虐待成功率100%を誇る俺の手腕を見たかァ!!へへっ、ここまで上手くいくと逆に怖くなってくるぜ……

 

 さ〜〜て、気も済んだしアイツらのところに戻りますか!!

 

 今日はもう夕方だし、海は明日にしよう。

 なぁに、焦ることはない。なんせ今回の遠出は3泊4日も設けてあるんだからな!時間はたっぷりある、だから今日は明日の虐待に備えるとしよう。宿でゆっくりと英気を養うことも遠回しに虐待となるんだぜ?

 

 「オラ、行くぞ!」

 「えへっ、えへへ………─────あ、ま、待って!サド!」

 

 

 

 

 

 

 

 その後、俺はアズサの手を繋いでガキどものいるホールへ戻っていった。

 一応またはぐれないようにという予防線で手を握っていたが、アズサも負けじと手を握り返してきた。顔を真っ赤にしながらな!

 ククッ、さぞ莫大な怒りをその小さな体に増幅させていることだろうよ!

*1
別名:熱殺蜂球。ミツバチは天敵のオオスズメバチを倒すために、数百匹で包み込んで蒸し殺す習性があるぞ!




未来永劫に取り除くことの出来ない呪いを植え付けたコイツは地獄行き決定です。
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