やさぐれ天使と俺の、厄災をうちはらう正義の話(旧タイトル:でこぼこバディ)   作:朝食付き

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7.残された者たち

 この街の空を覆い隠すほどの巨大なゲートが閉じていく。呆れるほど巨大な怪鳥は、それを上回る巨大な門に引きずられていった。

 ゲートからは地響きすら生ぬるいような大きな音がしている。ゴゴゴと肌すら震える響きが続き、最後にゴンとひときわ大きく響いたのが終わりだった。

 

 ゲートが消えた後には何もなく、ただ青空が広がっている。あれほどまで激しい戦いがあったことを微塵も感じさせない、穏やかな風だけが吹き抜けていく。

 その空からホーリーエンジェモンがバサバサと翼を羽ばたかせて降りてくる。

 

 テイルモンは、高間こよりを支えながら見ている。

 ざっざと音を立てて着地したホーリーエンジェモンは、二人の前を無言で通り過ぎ、ビルの間際、フェンスを叩きつけるように蹴り飛ばす。がしゃんと大きな音が響く。ビルの間で反響するその音は、徐々に薄れ消えていく。

 息を荒げたまま、肩を上下させて、憤懣やるかたない様子で何度も深呼吸を繰り返している。その横に草太の姿はない。

 

 いるはずの人間がいない。ここにきてテイルモンもただの空白が、嫌な予感に変わっていく。

 ぼんやりとそれを見ている高間こよりはまだ状況を理解していない。

 一足先に降りてきていたケレスモンメディウムは目を伏せている。

 

 どれくらいの呼吸を重ねたのか。ホーリーエンジェモンがテイルモンたちへと向き直り、歩いてくる。

 ごくりとテイルモンは唾をのみ、尋ねる。

 

「そ、草太さんは、どうなりましたか?」

「知らん!ああ、奴がどこにいるかなど私が知るものか!!あの考えなしの唐変木め!!」

「ホーリーエンジェモン!落ち着きなさい!……私たちには状況が見えていません。あなたには、説明する義務があります。いいですか、もう一度聞きます。草太さんは今、どういう状況にありますか?」

「……黒い靄の腕がヘブンズゲートを防いでいた。黒い腕を切るだけでは足りなかった。だから、奴がパンドラモンの力の塊を直接蹴とばしに行った。ゲート送りを完遂したが、やつはゲートの中からは出てこれなかった。」

「では草太さんは……。」

 

 思わずテイルモンは口をはさむ。できればその先は聞きたくなかったからだ。気難しいところはあるが、やさしさと強さを持つまっすぐな少年だった。

 彼が失われたなどと、そんな言葉をホーリーエンジェモンからは聞きたくなかった。

 

「……話を聞け。聞いたのは貴様だろう。あいにく奴ならデジタルワールドだ。ゲートの中にもう一つ、ヘブンズゲートを開いた。接続先は普段の通りだったが、二重のゲートなど初めてだったからな。デジタルワールドのどこにつながったかまではわからん。だが、確実に、デジタルワールドへ送った。確実にだ。」

 

 テイルモンの力が抜ける。

 

「まあ、悪運の強いやつのことだ。どこか適当なところに放り出されているだろうよ。」

 

 

 

***

 

エピローグ おいでませデジタルワールド

 

 ピピピと鳥の鳴き声。瞼を明るい光が刺激する。

 うっすらと目を開ける。寝起きでぼやけた視界には黄色い熊が映る。

 ……そんなことがあるか?

 何度か目を瞬かせるが、結果は変わらない。

 

「おや、起きたみたいだね。話せるかい?」

「……、ここは?」

「ふふふ、そうだね。きっとそうだと思っていたけれど。」

 

 眉を顰める。状況もわからないままに勝手に自己完結されるのは不快だ。まして起き抜けで禅問答などしたくはない。

 

「ああ、ごめんよ。そうそうあることではないから興奮してしまった。」

 

 やけにコミカルな動きの熊である。

 

「まずは自己紹介からとしよう。私の名前はもんざえモン。どうぞよろしく。そしてここはおもちゃの街。まあ街はずれの街道になるね。いや、君の知りたいことはそれではないか。つまり、ようこそ、デジタルワールドへってことだね。」

 

 

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