あとがきです。
でも、落ち着いて考えてみたら特に言うことないわ(白目)
トライガンという自分にとってかけがえのない思い出の作品を題材にした本作の中に、語りたいことなどは全て詰め込みましたので、これ以上の自分語りは蛇足かなと感じました。
第一話のまえがきで書いたように「トライガンのクロスオーバーをずっと待ってた」というのは嘘ではなく、逆に言うと自分でこういう作品を書くのにすごく覚悟が必要だったという話なんですよね。
好きな作品なだけに、キャラや物語に違和感のある内容は書きたくないし、書けない。
だから、書き始めるのにかなりの期間躊躇いがありました。
書くにしても中編ぐらいの、長々と書いて整合性などに矛盾が出ない範囲が限界だろうなと感じながら書き始めました。
しかし、実際に書いてみてこうして完結すると「もっとこの世界観で話を書きたいな」と思ってしまっているから不思議なものです。
本作はとりあえずこれで完結としますが「この後の更なる後日談を見たい」という声も感想で幾つかいただいているので、しばらく時間を置いた後にそういった話を書こうかと思っています。
一応、今考えてる内容としては「ヴァッシュが帰還した後のアビドスや便利屋あるいは他のブルアカキャラを題材にした短編集」と「この世界線でのトライガン側の話」……あと、これは本当に書けるかどうか不安なので断言出来ませんが「ウルフウッドとアリウスの話」もちょっと考えてたりします。
上記のいずれが実現出来るかは分かりませんし、正直完結したテンションで不用意に口走ってね? と自分で不安になってたりもしますが、もしよろしければ気長にお待ちください。
とにかく、ここまで本作を読んでいただきありがとうございました。
残りは、クロスオーバー要素によって原作から変化した部分の解説や、テンポを重視して描写を省いた物語の背景や設定の説明など、とりとめのない『雑想』を書いていこうと思います。
本編後の余韻として、適当に流し読みでもしていただき、暇つぶしにでもなれば幸いです。
◆
・トライガン・アーカイブ世界線のキャラ解説
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード】
原作との違いは無印最終話で着ていなかった赤いコートをこの世界線では着ていたことだよ(白目)
正直、原作で一番思い入れが強いキャラなので、異なる世界で彼らしい言動をトレース出来るか少し不安だったが、実際に書いてみたら一番書きやすかった。
ヴァッシュのキャラクター像に関しては、クロスオーバーによる影響や変化はほとんどないので、もう原作読んでくれとしか言いようがない。
あえてこの世界線特有の変化を挙げるなら、アビドスで過ごした日々のおかげでメンタル面は原作以上に改善されており、また原作にはない段階でプラントの力を使用したのでその制御方法をある程度把握している状態でマキシマムのストーリーが始まっている。
最終話でヴァッシュの黒髪化が「一房分の金髪が残っている」とした描写は作者の記憶間違いではなく、原作よりも余力を残してナイブズとの決着を終えたから(原作ではほぼ完全に黒髪=プラントの力はもう使えない状態)
これは「原作であんなに苦労したんだから余命おまけしろよ!」という作者の願望と同時に、本作を書いてる最中にモチベーションが上がって「ひょっとしたらブルアカ原作ストーリーに介入する話書くかもしれないから、それに備えた伏線を今のうちに入れとこ」と思ったから。
現在の状態ならば、あと一発か二発はA・ARMが全力で撃てるのでキヴォトス名物のワールドエンド案件に対する切り札として控えている。
ただし、事情を知ったユメとホシノが死んでも撃たせようとしない。
でも必要なら撃っちゃう。
これがヴァッシュ・ザ・スタンピードの恐ろしい所なんですよ。
アビドスで過ごした平穏な日々をかけがえのない記憶として刻んでおり、「学校」という長い人生で一度も経験したことのない場所と時間を特別なものとして捉えている。
ヴァッシュの学生証はかなり重要なアイテムなんだけど、最終話では終盤の捲し立てるようなテンポの良さが重要だったのでかなり描写を省いてしまった。
本当はノーマンズランドの砂埃で薄汚れてたり、強い日差しで焼けてたりして、過酷な環境で劣化が激しいんだけどそれでもヴァッシュは肌身離さず持ち歩いて心の支えにしていたとか描写を入れたかった。
アビドスでの経験のおかげで、ホッパード戦でも心は折れずに力も暴走させない(代わりに抵抗する気満々のヴァッシュに対してホッパードの復讐心とテンションも上がりっぱなしになる)
ナイブズと対峙した時に学生証について触れられて「全てを知ったつもりで世界を見限る前に、お前も学校に通うべきだよ。色んなことが学べる」なんて軽口を叩いちゃったりする。
個人的にヴァッシュはもっと周りからチヤホヤされるべきだと思う。
ブルアカ世界はヒロイン過多なので、原作ゲームでは『先生』一人に集中していた好意の幾つかがヴァッシュに向かう展開を想定している。
本編ではユメ、ホシノ、ハルカを明確にそれとして描写したが、他にムツキとカヨコとの絡みも書きたい。
ムツキはもう書くまでもなく振り回されるシーンが思い浮かぶし、ハードボイルド適正のあるカヨコがヴァッシュの人柄と過去を知って静かに寄り添う姿なんて容易に想像出来る。
他にヴァッシュに好意と湿気を飛ばしてくるブルアカキャラって誰がいいだろう?
ヴァッシュにとって未経験の「いじめ」という曇らせ要素がはびこるトリニティの生徒が新鮮で、絡むと面白いと個人的に思う。
ミカもいいけど、疑心暗鬼のナギちゃんに関わって閉ざした心の扉を開いて欲しいなぁ。男性観歪むような深い領域の扉まで。
砂漠の惑星を百年以上も彷徨って水分が恋しいだろ?
キヴォトスは湿度が高くて過ごしやすいぞ(レガートスマイル)
【小鳥遊ホシノ】
「ホシノ好きだわ~。ヴァッシュみたいな言動させてみてぇわ~」というのが、このクロスオーバー作品を書き始めるきっかけだった。
個人的にクロスオーバー先の台詞を言わせる場合、その台詞を発した場面や背景を背負える説得力が言わせるキャラには欲しいと思う。
ただ単に台詞を言わせたり、行動をトレースするのはいまいち感情移入が出来ない。
じゃあ、どうするか?
ホシノ、お前ヴァッシュと同じ体験してみろ(ナイブズスマイル)
あとはもう本編見てもらえれば分かると思う。
正直、ホシノが第一話からヴァッシュを疑って恐れて敵対して撃って後悔して打ちのめされて救われたと思ったら自分のせいで決別することになって――この一連の流れは、エピローグでホシノをウヘウヘツヨツヨ愛というカゲロウを追い続ける狩人おじさんにする為の長い前準備だった。
エピローグ冒頭のヒナちゃんとの会話シーンが、このクロスオーバー作品を書き続けた最終目標と言っても過言ではない。
トライガン式ブートキャンプによって、この世界線のホシノはメンタル面も戦闘力面も原作より強化されている。
神秘の不思議パワーもテラー化一歩手前くらいまで使いこなせるようになっているが、同時に銃を撃つことに強いブレーキを掛けている為、対人戦ではどうしても後手に回りがち。
ただし、それは単純に欠点というワケではなく、大人としての包容力や優しさを備えたので、ある種原作の「先生」のような若い生徒に対する精神的特攻のようなものを備えたキャラに成長した。
原作では襲ってきたところを容赦なく撃退するという結構殺伐としたシロコの初邂逅も、本作では優しく歩み寄るものへと変わり、アビドスの後輩達からは原作よりも更に深く慕われ、尊敬されている。
あと、ヒナちゃんとの会話は二年の歳月で変化したホシノの現状を説明する必要に迫られて設けた場面だが、書いてる内にヒナ側の心境が幾らでも深読み出来る内容になってるのに気づいた。
全然意識してなかったけど、これヒナちゃんホシノの生き方見て大分脳みそ焼かれてるよね。
ホシノに関わるユメとヴァッシュも含めて三人に向ける感情滅茶苦茶拗らせてそう。
下記で解説するが黒服からも、かなり拗れた感情を向けられている。
過去の辛い経験と後悔から大人へと成長して強く優しくなったけど時折見せる寂しげな表情が拗らせオタクを量産する罪深きおじさん……。
【梔子ユメ】
「ユメ先輩好きだわ~。命助けるのは大前提だけどそれ以上に一人のキャラとして生き生きと動く様が見てぇわ~」というのが、時系列をアビドス過去編に決めたきっかけだった。
ユメ先輩の救済ルートは二次創作で色々見たし、原作もホシノのトラウマを癒すという意味では救済されてるけど、その張本人であるユメは何処か「命が助かったら一番の目標達成」みたいな感じに、キャラの描写としてはそこがピークみたいな印象を抱いてしまった。
舞台装置というと表現が悪すぎるかもしれないけど、ホシノというキャラのストーリーに付随するサブキャラみたいな立場になってしまうことが多い(もちろん、そんなユメをメインキャラとしてしっかりストーリーに組み込む二次創作もあります)
二次創作でわざと扱いが悪いとかではなく、原作で故人である以上キャラを把握しきれなくてメインとして長く動かすには性格や行動原理の補完が足りず、どうしようもない部分も大きいと思う。
三年生だから原作ストーリーに合流させるには設定にひと捻り必要だしね。
見た目のデザインも好きだし、一人のキャラとしてもっと生き生きと動いてるところを見たい。おっぱいもデカイしなぁ!(突然興奮する作者)
じゃあ、どうするか?
ユメ、お前ホシノと同じ体験してみろ(チャペルスマイル)
キャラに生きた魅力を与えるのは喜怒哀楽の激しさだ。
まずは苦しめ。怒れ。そして哀しめ。その先に真の喜びがある。
原作で暴力的な過去ホシノを相手にしてもニコニコと笑顔の君も美しいが、俺は君自身も気付いていない剥き出しのハラワタが見たいんだよ。
フッ! ハッ! どうしたユメ? 何故覚醒しない?
俺に梔子ユメという人間を理解させてくれ。
まず君には関わるキャラが少なすぎるからホシノ以外に大切な人間を増やして、その二人が傷つけ合う様を見てみな。(理性が)飛ぶぞ。
そんな感じで、原作でのキャラの補完が難しいので「この世界線ではユメ先輩はこんな人」という区切りをつけて、色んな経験(意味深)をさせてキャラを肉付けしてみた。
ユメが原作の「先生」という立場に収まったのも、話の流れや状況の必要性からの採用だったりする。
ここまで来てユメだけ原作ストーリーからハブりたくないなー、どうやってキヴォトスに帰ってこさせるかなーと考えた結果、某掲示板の「ユメ先生」というアイデアに触発されて、「原作よりも未熟な先生をフォローする形でホシノとヴァッシュを絡ませれば自然だ」という打算で決定した。
このユメ先生は原作の先生よりも迂闊でポンコツだけど、大人の先生には出来ない向こう見ずで生徒の心に遠慮なしに踏み込める強みも持っていると思う。
多分、刺さる生徒にはめっちゃ刺さる。
ひとまずは、事務仕事とか苦手そうだから過去ホシノの如くユウカに小言言われてると思う。そして、世話好きなユウカは満更でもないんだ。二次創作を見て俺は詳しいんだ。
上半身担当のユメと下半身担当のユウカか……胸が熱くなるな。
こういう別キャラが「先生」になる展開でよく取り沙汰される「イオリの足舐めイベント」に関しては、問題なく舐める。
何故なら、自分の為にヴァッシュが裸で犬の真似をする場面が記憶に焼き付いてるから、生徒の為に同じことをする覚悟が完了している。
ちょっとした軽口や冗談のつもりだったのに、普段の能天気な笑顔を消して鋼の決意で靴を舐めようとするユメ先生の覚悟と後方でパペットマスター戦のヴァッシュみたいな顔で見てるホシノがいて涙目になるイオリ……。
こういったシーンも含めて、ユメ先生を補完する設定や背景は幾つかあるけど、最終話に入れるとテンポが悪くなるので大部分は省いてしまった。
特にアロナ周りは更なる説明が必要になるので登場すらカットしてしまったのは非常に未練あり。
いつか外伝か何かでガッツリ書きたいと思う。
【黒服】
「こいつ、ここで解説するほど重要なキャラなの?」と聞かれると無言で目を逸らすが、最初はホシノとのちょっとした絡み役だったつもりが会話を重ねるごとに設定や背景が思いついて面白くなってきたので、ここで詳細を解説したいと思う。
今後、後日談や外伝を書くにしてもこいつを主観にした話は絶対書かないだろうし、匂わせるくらいしか描写しないだろうから、ここに全て書き記しておく。
昔は原作通りの怪しいゲマトリアおじさんだったのだが、脳を焼かれてしまってな……。
キヴォトス最高の神秘であるホシノに前々から目を付けていたが、そこに加えてヴァッシュの力を観測したことで、原作よりも早くアビドスに直接的な干渉を始める。
最初はヴァッシュの力を「とてつもない力のパワー」みたいな信じられないほど強大だけど方向性はないフワッとしたイメージで捉えていて、その具体的な動きを見る為にビナーを誘導して反応を観察しようとしたが、原子炉だと思った物が実は波動砲だったことに気付いて心底ビビる。
結局、世界は滅ばず、改めて研究対象になり得たヴァッシュ自身はその本質を見極める前に世界から消えてしまったので、いつものゲマトリアおじさんに戻ろうとしていたのだが――すでに手遅れだった。
本人も全く予想していなかった方向から、変化は始まっていた。
ホシノの精神的成長という子供から大人へと変わる過程を目にして、研究対象に過ぎなかった存在が自分の中でまた別の価値を持ち始めたことに無意識下で戸惑う。
当初は「興味深い変化ですね。これによって暁のホルスの神秘がどのように変化するのか研究しなければ」みたいに余裕ぶっこいてホシノに干渉を続けていたが、二年間アビドスヴァッシュモドキの活動を見続けた上に言葉を交わして日々の成長を感じ続けた結果、見事拗らせる。
今や立派なホシノの後方教師面。
自分がホシノに本気で嫌われていることは理解しているし、それだけのことをしたと自覚しているが、そんな憎むべき自分と割り切って関係を続けた上に自分の選択とその責任を背負い続けるホシノの成長を密かに賞賛している。
「私の浅はかな行動で、ホシノさんには気の毒なことをしました。しかし、彼女はそれをきっかけに成長したのです。さすがです、『暁のホルス』――いえ、小鳥遊ホシノさん」みたいな感じ。
過去の事情を全て知ったらユメ先輩が助走つけて殴ると思う。
味方面するつもりは毛頭ないが、立ち位置は大体ドノツラフレンズ。
原作の「先生」に対する関係や言動をホシノに置き換えた感じだが、相手が女子高生なので大分ヤバイ絵面になっている。
客観的に見ると「母校や後輩のことを想って心底嫌ってる相手との関係をズルズルと二年間続けている健気なロリ体型の女子高生に怪しげな組織への勧誘を迫る謎の理解者面おじさん」なので、もしもアビドスの先輩と後輩がこのことを知ったら憤死レベルの案件。
本編のホシノと黒服の会話シーンで「なんか援交みたい」とあらぬ妄想をしてしまった読者がいたら安心してくれ。そういうイメージで書いたから。
多分、この世界線のシロコ・テラーはゲマトリア襲撃時に黒服に対してだけ殺意100%で撃ってると思う。
黒服本人は、ホシノからの認識は正確に理解しているが、そんなホシノへの言動が周囲にどう見られているかは全く関心がないので気付いていない。
ゲマトリアのメンバーを含めて、大体の相手からホシノに入れ込んでることは気付かれている。
ホシノに関する話をする時は「『暁のホルス』――いえ、小鳥遊ホシノは」という訂正の前置きを毎回入れるので会話するのが面倒くさい。
・黒服に対する関係者のコメント
マエストロ
「こいつ、小鳥遊ホシノの話をする時早口になるよな」
フランシス
「こいつ、小鳥遊ホシノの話をする時早口になるよな」
ゴルコンダ&デカルコマニー
「こいつ、小鳥遊ホシノの話をする時早口になるよな」
「そういうこった! ……マジでこいつ、小鳥遊ホシノの話をする時早口になるよな」
ベアトリーチェ
「元々方針の違いで考え方の合わない相手だったが、最近事あるごとに『もしも小鳥遊ホシノならば~』とか聞いてもいない比較をしてきて非常にウザイ。一度『所詮、子供は大人が搾取すべきもの』と反論した時は『アナタが大人ですか』と鼻で笑われて割と本気で殺意を覚えた。元凶である小鳥遊ホシノも目障りなので消してしまいたい」
カイザー理事
「アビドスの買収どころか凄い勢いで借金返されてるし、小鳥遊ホシノの行動がイチイチこちらの痛い所を抉ってきて辛い状況なのに……なんかお前ホシノの肩持つ言動多くね? 一応、お前カイザーの協力者だよね? 最近、協力らしい協力してもらった覚えないんだけど? せめてこっちが愚痴こぼす度に『アナタは小鳥遊ホシノのことを何も分かっていない』って口挟むのやめてくんない!? 神経逆撫でされるんですけどォ!? お前、味方だよねェェェーーー!?」
↓ここから先、閲覧注意↓
トライガン・アーカイブ世界線の「ホシノ・テラー」に関する考察・設定が書かれています。
その誕生経緯から、かなりハードな設定となっていますので、本編のハッピーエンドの余韻を曇らせたくない人は見ないでください。
ただ、一つフォローするならば、原作のシロコ・テラーのようにこの設定のホシノも最終的には救済されて、日常に交われる穏やかな結末を前提としております。
ホシノを精神的に成長させる以上付きまとう『テラー化はするのか?』という疑問への妄想が思ったよりもはかどったので、文章として起こしてみました。
そういった情報にも興味がある方だけ読んでください。
あと、自分で想像して自分でダメージ受けたから、皆も一緒に苦しんでくれや(道連れ)
【ホシノ・ザ・ナイブズ(ホシノ・テラー?)】
本編十話でヴァッシュを撃ってしまった時間軸の小鳥遊ホシノ。
ヴァッシュの生命活動を停止させたことで暴走による『門』も閉じることには成功したが――すでに充填されていたエネルギーを消滅させることは出来ず、残った分が『弾丸』として発射され、アビドスを半壊させる。
至近距離にいたホシノとユメはその余波によって重傷を負い、ホシノは一命を取り留めるも、既に大きなダメージを負っていたユメは死亡してしまう。
自らの引いた引き金が二人の命を奪ってしまった事実に絶望するホシノだったが、自らの選択とその責任を背負うことを決めた心はかろうじて折れず、ヴァッシュがジュライの罪を背負ったように自らも罪を背負って生きる覚悟を決める。
しかし、同時にヴァッシュと同じ「この世界に自分が生きる価値」を失ってしまう。
本当の意味でアビドスヴァッシュモドキになってしまったホシノは、それでも半壊したアビドスで生きていく。
幸い、ヴァッシュの残した木やシロコとの出会いはあったので、それによって少し心を持ち直す。
しかし、現状では復興はおろか借金問題すら解決の糸口が見えないので、アビドスはゆるやかに滅びの道を歩んでいく。
初等部の子供達はもちろん、本来入学するはずだったノノミ、セリカ、アヤネすら受け入れることが出来ない。
終末世界のような環境の中、シロコと二人で静かに生きていたが――そこへ世界を渡ってナイブズがキヴォトスに現れる。
異なる世界でありながら、自らの半身であるヴァッシュの死を本能で察したナイブズは、本当の意味で孤独となり、かろうじて世界に自分を繋いでいた最後の一線を失う。
ヴァッシュが死んだことで原作以上に人類との戦力差は絶望的なものとなったが、そもそもがナイブズにとって人間は全て敵なので最終的に味方も含めて等しく全滅させることになる。
ヴァッシュへの刺客としての役割があったGUNG-HO-GUNSは戦力として使う意味も薄いので早々に抹殺。
レガート達忠臣も最終決戦に利用する駒でしかなく、ヴァッシュを失ったことである種の自暴自棄になっていたナイブズは、戦略性などもおざなりにして衝動に任せるまま人類を平等に殺していく。
結果、人類側の被害こそ原作よりはるかに甚大だったが、地球から来た大艦隊と戦力的に拮抗するという状況は変わらない。
原作通り、艦隊相手にも勝利を収め、ノーマンズランドの人類は全滅するが、ナイブズ自身も力を無作為に使用し続けた結果黒髪化が大きく進行する。
人類への底知れぬ憎悪。
ヴァッシュという枷であり己の苦悩に応える相手を失い、惑星一つの人間を殺し尽くしても止められない狂気は、更なる力の暴走を招き、ついには世界を超越する。
そして、ヴァッシュと同じ経緯でキヴォトスに渡ったナイブズはホシノと邂逅するに至る。
ホシノは、ヴァッシュを追い詰めた元凶である男を。
ナイブズは、ヴァッシュの命を奪った元凶である少女を。
本能で知る。
そして、世界を滅ぼす殺し合いが始まった。
お互いに、相手を殺したいほどに憎む理由がある。
しかし同時に、ヴァッシュという人間を『追い詰めた・殺した』という負い目が心の底に根付いている。
八つ当たりのような感情で、目の前の存在を抹消しようとする二人の戦闘は拮抗する。
本来ならば、ナイブズの力が圧倒的のはずだが、黒髪化の進行が深刻な彼は既に命が尽きかけていた。
最終決戦のヴァッシュが使う『尖翼』のように劣化した力しか使えないナイブズだったが、それでも尚その力と狂気は凄まじかった。
戦いの結果は――ほぼ相打ち。
わずかにナイブズが勝った。
ホシノは左半身を切り飛ばされ、肉体的には即死。
ヘイローによる不可思議な力でかろうじて意識は残っている。
ナイブズの方も致命傷を受け、黒髪化も末期でこのまま死を待つばかり。
この状況で、ナイブズは笑った。
――これでやっと楽になれる。
――お前は、生きて苦しめ。
――俺の半身を奪ったお前を殺してなどやらん。
――このクソ溜めのような世界で、血を吐きながら生き続けるがいい。
プラントの力とキヴォトスの神秘が干渉し合うことで、一人の人間が世界を渡るという途方もない現象が起こった。
それをナイブズは利用した。
自分の力を、ホシノの神秘と融合させたのだ。
ナイブズは絶命した。
そして、ホシノは生き返った。
『暁のホルス』でも『プラントの自立種』でもない――二つの力を持つ異形の存在として。
一方、ホシノとナイブズの戦闘の余波で重傷を負い、その結末に干渉すら出来なかったシロコは絶望していた。
半身を切り飛ばされて絶命したホシノを見て、己の死を受け入れた所へ原作通り『無名の司祭』が現れて『色彩』と接触させる。
死の神『アヌビス』として覚醒し、キヴォトスに滅びを振り撒く――その寸前『ホシノ・ザ・ナイブズ』が覚醒する。
この世界には存在しない、完全なるイレギュラー。
――理解出来ぬ。
それが『無名の司祭』が心の底から発した最期の言葉となった。
ホシノの力は、キヴォトスに生きる全ての人々を消滅させた。
干された洗濯物。
湯気をあげる飲みかけのコーヒー。
エンジンが掛かったまま停止した車両。
何もかもが日常を留めたまま、キヴォトスで生きる存在だけが一つ残らず消滅していた。
それは、融合したナイブズの力に残った人類への憎悪が起こした暴走であると同時に――シロコに罪を背負わせまいとするホシノの意思が反映された結果でもあった。
――私が撃ったんだ。
――私が、撃ったんだよ。
――責任は、全部私が持っていくからね。
その世界は滅んだ。
街は朽ち果て、ヴァッシュの残した木は枯れ折れた。
残されたのは、泣きじゃくるシロコ・テラーと、異形の肉体に傷だらけの心を抱えたホシノだけだった。
そして――。
二人は世界を渡る。
シロコ・テラーは、ホシノが導くままに。
そして、ホシノが世界を渡った先で求めるものは更なる滅びか――あるいは。
ネタバレ:この後くっそお労しい戦いや展開を経ながらも、最終的には何とかなります(断言)