俺達のラブコメは聖地巡礼先で!?   作:yuurin

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作者は誰?

 その日の放課後、ユリアを連れて文芸部の部室に向かうと、そこには副部長がいた。

 

「オイッス~。今日も仲が良さそうで何よりですな~。大変だったみたいだね? 推しのユウマさんは」

 

「げっ。なんで知ってるんですか」

 

「君のクラスに美咲ちゃんの友達いるでしょ~? イケてる女子って感じの」

 

「ああそうですね、よく美咲といっしょにいます」

 

「妹なんだよね~私の。あんま似てないっしょ~?」

 

「え! そうだったんですか!? 道理であのとき噂がすぐ広まったのかわかりましたよ」

 

「悪い子じゃないから仲良くしてあげてね~? 美咲ちゃんのことも私、昔からよく知ってるしそっちもよろしく~」

 

「言われなくても仲良くやりますよ。クラスメイトなんで」

 

「……クラスメイトは仲良くてまあ当然って考えが元陽キャの片鱗をのぞかせてるよねぇ佐藤くん。陰キャにはちょっと眩しいなぁ~」

 

「どうしました? 副部長?」

 

「どうしたんですか? 副部長さん」

 

「うお~眩しいなぁ~」

 

「それで、今日は部長はどこへ?」

 

「ん~今頃出版社かなぁ~」

 

「出版社!? デビューするんですか部長!?」

 

「まぁそんな感じらしいねぇ~。前の賞向けに書いてたやつが目に止まったらしいよぉ~」

 

「この部活から商業作家が……って考えるとすごいですね!」

 

「でしょでしょ~?」

 

「そういえば部長のペンネームって何ていうんです? そんなに面白いならちょっと呼んでみようと思うんですけど……」

 

「たしかね~えっとこのへんかな? 昨日一昨日あたりで二人でペンネーム考えてたんだよねぇ。本名じゃあれじゃん? つって」

 

 そうして出された紙に書いてある文字を見た瞬間、ユリアは目をまんまるに見開いていた。何があったのか、と思っていると近寄ってきて

 

「ユウマさん大変です。私このペンネーム知ってます。しかもよ~くよく知ってる感じです」

 

「おいまてよおまえがよく知っててしかも小声になるってことは……」

 

「はい。そのとおりです。このペンネームは『俺恋』の作者のものです」

 

「俺と美咲の恋を部長が!? なんでそんなことに……」

 

「わかりませんよ私にだって! びっくりしてるのは私も同じだったんですから!」

 

「あ~ごめん。これ最終決定じゃないからさ~。まだ担当がついたって感じだしそっちでいい感じの案が出るかもってことなんだけど……どうしたの~? 二人で顔合わせてヒソヒソと……」

 

「いえいえ! 何でもありません! それより副部長って部長と仲が良いんですね?」

 

「まあねぇ~? 私達幼馴染だしさぁ~」

 

「えっ初耳ですそれ」

 

「あえて言わないじゃん? 君だって仲の良かった幼馴染がいるじゃん? 部長は興味持ってたけど本人が言わないことまで聞きに行かせるのもどうかと思うしねぇ~」

 

「それは、まあ、あんま隠してはなかったですけど。聞かれました? 俺と美咲のこと」

 

「結構ねぇ~。美咲ちゃんとはうちも仲良いし、結構喋っちゃったのごめんねぇ~」

 

「別に俺は良いですけど、美咲はちゃんと知ってるんですよね? あとは……」

 

 気になることは聞いておこう。

 

「部長ってなんのジャンル書いてるんですか? 異世界物? ファンタジー系? 悪役令嬢?」

 

「いや~? ラブコメだよぉ~。しかも幼馴染至上主義者。ポッと出の転校生は許さない過激派だからねぇ~。私は転校生が持ってくの好きなタイプだけど」

 

「それ俺と美咲のこと反映されてます? まさか」

 

「う~んどうだろ~? 莉央にも男の幼馴染いるからねぇ。しかもラブラブな関係の」

 

「いよいよ持って初耳ですけど、言って良いんですか? 俺達に」

 

「良いって良いって~。本人が隠してないことだし惚気てくるしで大変なんだから~。後輩たちもちょっとは聞いてあげてよ~」

 

 なんだか最近人にはあまり言えない話を共有されることが多くなっている気がする。ユリアの未来うんぬんしかり。

 

「でも素敵ですよね幼馴染カップルって! そう思いますよね? ユウマさん!」

 

 と、ユリアは違うところで盛り上がっていた。

 

「あれ~? ユリアちゃんは幼馴染物好きなの~? じゃあ好きなジャンルラブコメって言ってたけど……」

 

「はい! 幼馴染良いですよね! 二人だけの甘い記憶! 共有してきた時間! 昔のとりとめもない約束がキーになる展開! どれもこれも魅力のあるジャンルですよ!」

 

 そうだった。顔の良さやら人当たりの良さやらといったスペック面で勘違いしていたが、こいつは時間を超えて旅するほどのオタクだったことを忘れていた。興奮するユリアは止まらない。

 

「成長速度の差からくる意識の違い! ぎこちなくなる関係が元に戻れないもどかしさと進んでいく新しい気持ちへと! 運命って時間で熟成されるものだと思うんです! おっとよだれが……」

 

「興奮しすぎだユリア。先輩を見ろ軽く引いてるじゃねぇか」

 

「あ! ゴメンなさい!」

 

「いやいや~良いもの見れたなぁ海外のオタク女子の早口トークってさ~。あいつにも共有してやろ~」

 

「部長さんの小説、見つけました! 幼馴染物だぁ! う~んこれは早速帰って読まなくては! それでは! また明日! ユウマさん!」

 

「おう。また明日な」

 

「ところで佐藤くん、やっぱユリアさんとどういう関係なの~? 幼馴染のことほっぽってユリアさんになびいてるけどそれっていわゆる解釈違いなの~? 美咲ちゃんのことは~?」

 

「だからなんでユリアとのことまだ誤解してるんですか? 友達ですよ友達」

 

「ごめんねぇ~私は異性間で友情は成立しない派閥なんで~。第2次性長期前じゃあるまいし、思春期の関係なんて知り合いから先は意識する関係でしょ~?」

 

「間延びした口調の割に結構な過激派派閥だった! そういえばこの人も文芸部入り浸りのオタクなんだった!」

 

「と、いうわけで~私と君の関係についてはなそうじゃないか~。知り合い? それとももっと先行っちゃう?」

 

「やめて怖い来ないで! 男の人呼んできてぇ!」

 

 慌てて俺は逃げ帰ったのだった。

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