ウルトラマンテラス   作:クォーターシェル

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変身生命体 リュグロー一家 登場


第15話 キッチンカーの家族

城東大学のある月夜(つくよ)市、今そのエリアでは市内を巡回して販売を行っているキッチンカーが徐々に話題になりつつあった。そのキッチンカーはハンバーガーの屋台で、イタリア系の外国人の夫妻が経営していた。やれそこの屋台の親父は愛想は悪いがハンバーガーの味は格別だの、奥さんの方は美人で気立てがいいだの、噂は広まっていった。そして今日もまた夫婦が屋台でハンバーガーを焼いていた時であった。

 

「あっ、やってるやってる。ここが今人気のハンバーガー屋なんだよ!」

 

ワトがレオとトオルを連れてやって来た。今キッチンカーがある場所は城東大学傍の公園だった。3人は話題のハンバーガー屋に昼飯に来たようだ。

 

「俺、チェーン店以外でハンバーガーって初めてだよ」

 

トオルは興奮しながら言う。レオは

 

「確かに珍しいな、イタリア系のご夫婦がやっているキッチンカーの屋台なんて……。まあ、異星人とかに比べればそこまででも無いか……」

 

と言う。トオルは

 

「うちの大学は普通に宇宙人の教授がいるからなあ」

 

と苦笑いしながら言う。レオは

 

「確かに……。それじゃ、早速ハンバーガーを買ってみますか」

 

と言ってキッチンカーのメニュー表を見るのだった……。

 

3人はそれぞれ注文したハンバーガーを食べている。ワトはチーズバーガーでトオルはベーコンレタスバーガー、そしてレオはダブルチーズバーガーだ。ワトが

 

「うん!美味しい!」

 

と言う。するとトオルも、

 

「ああ、本当に美味いな!」

 

と同意しレオも、

 

「そうですね!食材は何処の物を使ってるんですか?」

 

そうハンバーガー屋の夫婦の奥さんの方に尋ねる。尋ねられた店員のベロニカは、

 

「そうね、肉はオーストラリア産よ。野菜とかは、この国で仕入れてるわね」

 

と答え、レオは

 

「なるほど……」

 

と言う。トオルが、

 

「でも、この味なら人気が出るのも納得だな!」

 

と言うとベロニカは、

 

「ありがとう」

 

と言って微笑むのだった……。

そして、

 

「リュグロー、日本はいい所ね……」

 

そうハンバーガー屋の主人である夫のリュグローに言う。リュグローは

 

「そうだな」

 

とだけ言った。ベロニカはレオ達に、

 

「ごめんなさいね。うちの主人は人見知りで……。でも喜んでると思うわ」

 

と言う。レオは

 

「いえいえ、気にしていませんから……」

 

と答えたのだった……。

 

キッチンカーの屋台を畳み、帰宅するベロニカとリュグロー。キッチンカーを運転するリュグローは不意に、

 

「尾行されている気がするぞ……!」

 

と発言する。その言葉にベロニカは、

 

「まさか。ここに来てそんなに経ってないし、私も貴方も地球人が使えない力は使ってないわ」

 

リュグローの不安を気のせいだと諭す。しかし、リュグローは

 

「いや、気の所為じゃない!確かに尾行されてる!」

 

と強く主張する。それに対しベロニカは、

 

「じゃあ、テレーザには悪いけどちょっと遠回りして帰りましょう。貴方」

 

とリュグローに提案する。リュグローも、

 

「そうしよう」

 

と答えるのだった……。そして、キッチンカーはいつもの帰路とは別の道を行き、夫妻が借りているマンションに帰って来た。そして、

 

「テレーザ、もういいわよ」

 

ベロニカのその言葉と共にキッチンカーの中に置いてあったぬいぐるみが5歳程の少女の姿に変わった。

 

「あーあ、昼間は本当に暇!パパとママの仕事を邪魔しないで動かないといけないんだから!」

 

リュグローとベロニカの娘、テレーザはそう文句を言う。ベロニカは、

 

「ごめんなさいねテレーザ。でも、あなたの安全の為なの」

 

と言い、リュグローも

 

「そうだ、俺達の正体が知れたら怖い人達に連れていかれるかもしれないんだ。分かってくれ、テレーザ」

 

と言う。テレーザは不貞腐れながら「はーい」と返事をするのだった……。

 

リュグロー一家がマンションで団欒している頃、マンションの外では何人かの人間が様子を窺がっているようだった。監視をしているらしい1人が通信機を取り出す。

 

「こちらコードネーム・トマト。はい、対象は依然としてこのマンションを拠点としているようです……」

 

そう通信機で連絡を取ると、監視をしていた者達はマンションから離れていく。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

「トマト」からの通信を受けた男は、

 

「了解した。そのまま監視を続けろ」

 

と言う。すると別の男が、

 

「しかしボス、本当にこのマンションに奴らが潜伏しているんですか?ただの偶然では?」

 

と質問する。ボスと呼ばれた男、コードネーム・オニオンは、

 

「まあ、確かにな……」

 

と同意するが、すぐに

 

「だが俺は俺の勘を信じる。それにそろそろ手柄を立てないと、対怪獣・異星人調査組織として何をやっているのかと上にどやされるしな」

 

と言う。

 

「まあ、それは分かりますが……」

 

と納得する男。オニオンは部下に

 

「取り敢えず警戒は怠るなよ」

 

と言う。部下の男は、

 

「はい!」

 

と返事をするのだった……。

 

翌日もリュグロー一家はキッチンカーでハンバーガーを売っていた。今日はレオがサヨメを誘って来店していた。

 

「正午はとっくに過ぎたっていうのに人気だなあ」

 

サヨメを連れて来たレオはそう言う。

 

「ハンバーガーか……。私は食べたことがないのだが、美味いのか?」

 

そう尋ねるサヨメにレオは

 

「ああ、美味いですよ。それにリュグローさんの作るハンバーガーは格別だ!」

 

と答える。サヨメは興味深げにメニュー表を見た後、注文する。

 

「それでは私はチーズバーガーにしよう」

 

するとキッチンカーの中に居るベロニカが、

 

「いらっしゃい!あれ?昨日も来てたわね?」

 

と聞く。それを聞いてサヨメは不思議そうな顔をして、

 

「そうなのか?」

 

と言う。それに対しレオが、

 

「昨日気に入ったからサヨメさんも連れて来たんですよ」

 

と説明し、サヨメも

 

「ああ」

 

と答える。そしてベロニカはキッチンカーから出て来ながら、

 

「ご注文は何にするの?」

 

と聞く。サヨメはメニュー表を見て、

 

「それではチーズバーガーを頼む」

 

と言う。ベロニカは、

 

「はい!チーズバーガーね!」

 

と言いキッチンカーの中に戻る。すると2人に話しかけてくる人物がいた。その人物は黒髪細目の細身の男で、

 

「おやあ?殿奈はんとサヨメはんやないですか。貴方らもここのハンバーガーを食べに来たんやね」

 

そう言って来た。レオは、

 

「貴方は確か……」

 

とその人物の事を思い出そうとする。その男は、

 

「ワイは星雲荘の203号室のデスマスや。何度か顔を合わせた筈やけど」

 

そう2人に言う。サヨメはデスマスに、

 

「そういえば、引っ越し蕎麦を配った時に会っていたな」

 

と言う。デスマスは、

 

「そうそう!あの引っ越し蕎麦ご馳走になったで!」

 

と言う。するとレオも、

 

「どうもデスマスさん」

 

と言い挨拶する。そしてキッチンカーから、

 

「ほら!出来たわよ!」

 

とベロニカが声を掛ける。サヨメはチーズバーガーの代金を支払って受け取り、レオとサヨメはベロニカに礼を言ってキッチンカーの周囲に用意されてあるテーブルと椅子に腰かけた。デスマスはベロニカに、

 

「目玉焼きバーガーを注文するで!」

 

と注文をする。それを見ながらレオは前にサヨメと話した事を思い出し、小声で

 

「そういえば、デスマスさんも異星人なんですか?」

 

そうサヨメに尋ねる。

 

「ああ、何処の星の出身かまでは分からないが、あの男も地球人に変装している」

 

その答えに、

 

「へえ……」

 

とちらりとデスマスの方を見るレオ。するとサヨメが、

 

「あと、あのハンバーガー屋の店員達も宇宙人だぞ」

 

と言った。

 

「ええっ!」

 

レオは思わず声を上げてしまう。そして、

 

「あの店員さん達って異星人だったんですか?」

 

と確認する。サヨメは、

 

「そうだ」と答えるのだった……。

 

「リュグローさんとベロニカさんが……」

 

そう呟くレオに、

 

「あともう1人、どうやって隠れているかは分からないが、キッチンカーの辺りにいるな」

 

その言葉を付け加えるサヨメ。レオは、

 

「もう1人?」

 

と聞く。サヨメは

 

「ああ、キッチンカーの辺りで何か怪しい動きをしていたな」

 

と言うが、その時にはデスマスは注文した目玉焼きバーガーを受け取っていた。そしてデスマスもテーブルについて食事を始める。レオとサヨメもチーズバーガーを食べ始める。

 

「うん!美味い!」

 

レオは取り敢えずそう感想を言うのだった……。

 

3人は食事をしながら雑談をする。すると、突然地球防衛隊の部隊が現れる。そして、その場に居た客達に、

 

「これから防衛隊は作戦を開始します!避難してください!」

 

と呼びかける。レオがなんだろう?と思っていると、防衛隊の部隊は手持ちの銃をキッチンカーの方へ向ける。

 

「貴方方に不正入星の疑いがある!大人しく投降しろ!」

 

と叫ぶ。レオは、

 

「えっ?不正入星?」

 

と驚く。ベロニカが、

 

「すみません隊員さん。何の事か私達はさっぱり分からないのですけど」

 

と申し訳なさそうに言う。するとリュグローが、

 

「皆さん下がってください!」

 

とキッチンカーから出て来る。そして隊員達に対し、

 

「我々はただここでハンバーガーを売っているだけです!不正入星なんて身に覚えはありません!」

 

と訴える。しかし隊員達は、

 

「そんな言い訳が通じると思うのか?」

 

と言って銃をリュグロー達に構える。その時、キッチンカー内のぬいぐるみに変身していたテレーザが、

 

「パパとママは何も悪いことはしてないわ!」

 

と少女の姿になって出てくる。

 

「テレーザ!下がってなさい!」

 

と言うベロニカ。しかしテレーザは

 

「嫌よ!私はパパとママの無実を証明するんだから!」

 

と言ってリュグロー達の前に出る。すると、防衛隊の1人が、

 

「どうします?」

 

と部隊の隊長に言う。隊長は、

 

「やむを得ん。纏めて拘束しろ!」

 

と指示を出す。すると、リュグローが、

 

「野蛮な地球人め!家族は傷つけさせんぞ!」

 

と言って、その姿が消える。その次の瞬間、街中に大きな角を持つスライムの様な怪獣が現れた。どうやらリュグローが変身した姿らしい。

 

「やめてリュグロー!」

 

そう言うベロニカ。防衛隊の部隊は突然巨大化したリュグローに向かって発砲するが、リュグローはお返しとばかりに鎌の様な形の腕の先から光線を発射する。

 

「撤退!撤退!」

 

たまらず撤退する防衛隊の部隊。しかし、リュグローに対して待機していた防衛隊の航空戦力、機体左右に大型ローターを備えた機体が現れ、機関砲を撃つ。リュグローは光線で応戦するが、煙幕弾を受ける。その隙をついて防衛隊の機体はミサイルを発射する。ミサイルはリュグローに命中し爆発を起こす。

 

「リュグロー!」

 

と叫ぶレオ達。しかし爆炎の中から無傷のリュグローが現れるのだった……。

キッチンカーの前で防衛隊の部隊に攻撃されたリュグローは怒り心頭であった。

 

「よくもやってくれたな!この地球人め!」

 

そう言って防衛隊の部隊を攻撃するリュグロー。

 

「エライ事になってきましたなあ……」

 

目の前で起きていることにそう呟くデスマス。レオとサヨメは目くばせをすると、レオは物陰に行き、サンフラッシャーを起動する。暴れるリュグローの前にウルトラマンテラスが現れた。

 

「ジュアッ(やめるんだ!リュグロー)」

 

テラスはリュグローを止めるべく呼びかける。しかし、頭に血が上っているリュグローは、

 

「邪魔をするな!」

 

と鎌状の腕でテラスを殴りつける。テラスはリュグローの攻撃を受けながらも、

 

「ジュアッ!ジュアッ!ジュアッ!」

 

と必死に呼びかける。そして、

 

「ジュアァッ!!」

 

と気合を込めながらリュグローに体当たりする。リュグローは突き飛ばされて地面に倒れるが、すぐに立ち上がり、

 

「おのれ……。この俺によくもやってくれたな!」

 

と言ってテラスに突進してくる。テラスはリュグローの攻撃をかわしながら説得を試みる。しかしリュグローにはその声が届かないようだ……。テラスはやむを得ず、生命体の動きを麻痺させるスタン光線を片手から放つ。すると、スタン光線が当たる前にリュグローの姿が消えた。

 

「ジュアッ!?」

 

驚くテラス。どうやらリュグローは光線が命中する直前に何か別の物に変身して攻撃を躱したようだ。そしてテラスの背後にリュグローが現れて大きな角を振り下ろす。テラスは咄嗟に振り向いてリュグローの攻撃を腕で防ぐが、その衝撃で地面に倒れるのだった。

 

「ジュアァッ!!」

 

と叫ぶテラス。そして倒れたままスタン光線を放つが、今度はリュグローが素早く移動して避ける。起き上がるテラスだが、再びリュグローは姿を消す。

 

「ジュアア……」

 

しかしテラスは慌てずにリュグローが背後に出現したと同時に、リュグローの攻撃をいなす。リュグローは光線を連射するが、テラスはバリアを張ってそれを防いだ。そして、

 

(これ以上は貴方の家族にも危険が及ぶぞ!)

 

と、ベロニカ達の事を呼びかける。リュグローはキッチンカーの辺りを見る。そこには心配そうにテラスとリュグローの戦いを見るベロニカとテレーザの姿があった。ハッとしたリュグローは、

 

「分かった。ここは引こう」

 

と言ってテレポートで姿を消すのだった……。テラスも空へ飛び立つ。

 

防衛隊の部隊はウルトラマンテラスと怪獣の戦いを物陰から見ていた。そして隊長が、

 

「よし!撤退!」

 

と指示を出す。すると隊員達は一斉にその場から撤退するのだった……。

 

落ち着いたリュグローは地球人の姿になり、キッチンカーの前に姿を現す。

 

「リュグロー!」

 

「パパ!」

 

リュグローの元に駆け寄るベロニカとテレーザ。リュグローは2人を抱きしめ、

 

「すまない。心配をかけたな……」

 

と謝る。サヨメが

 

「しかし、入星の許可は取っていないのか?私と違って貴方方は別にならず者や傭兵では無さそうだが……」

 

と質問する。ベロニカが、

 

「そういうものがあるとは知らなかったのよ。何せ私達の故郷の星は滅亡してとてもそんな事を確認する余裕が無かったもの」

 

と答えた。

 

「つまり、難民の様なものか」

 

とサヨメは解釈する。そしてリュグローが、

 

「しかし、ここの星の当局は信用できるのか?我々は攻撃されそうになったぞ」

 

と指摘する。するとレオが、

 

「ああ……。すみません。防衛隊が混乱していたんだと思います」

 

とリュグローに謝る。すると、その場に防衛隊とは違う黒い制服を着た人々が現れる。その中にはリュグロー一家を見張っていたトマトの姿もあった。

 

「難民申請の交渉等をお手伝いしましょうか?」

 

と言うトマトにベロニカが、

 

「貴方方は?」

 

と聞く。

 

「我々は対怪獣・異星人調査機関、通称SARADAと言います。怪獣への調査や地球上における異星人絡みのトラブルの解決を請け負っている組織です」

 

そう答えるトマト。レオは

 

「ああ、そんな組織何処かで聞いたような……」

 

と呟く。そして、

 

「信用できるのか?」

 

と訝しげな顔をするリュグロー。トマトは、

 

「勿論!異星人の難民案件は珍しいですが、各所への交渉の実績はあります。長くはなりますが、手続きさえ済ませればあなた方も犯罪さえ犯さなければ地球で自由にできますよ」

 

と説明する。リュグローは、

 

「そうか……」

 

と言う。サヨメは

 

「ここは話に乗ったらどうだ?お前は理由はどうあれ暴れたしこのままでは追われるだけになる。そこを頼れば弁護士も呼べるのではないか?」

 

と言う。リュグローは

 

「ああ、そうだな」

 

と納得するのだった。そして、

 

「ベロニカ、テレーザ。それでいいか?」

 

2人は

 

「ええ」

 

「うん!」

 

と頷く。その場にまだ居たデスマスは、

 

「自由になったらあんさんらのハンバーガーをまた食べさせてや!」

 

と、リュグロー一家に励ましの声をかける。リュグローは、

 

「ああ、分かった」

 

と頷いた。そしてトマトに向き直り、

 

「では決まりだな。手続きを頼む」

 

と言うのだった。

SARADAのメンバーはリュグロー一家と共にその場を立ち去ったのだった。残されたレオ達は、

 

「うまくいくといいですね」

 

「ああ、街を破壊した事は不利になるだろうが、先に手を出したのは防衛隊だ。きっと大丈夫さ」

 

と言うのだった……。

 




今回から登場するデスマスはバスクケーキ様が考案したキャラです。ありがとうございました。

駄文閲覧ありがとうございました。ご感想等お待ちしております。
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