ウルトラマンテラス   作:クォーターシェル

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合体恐竜 キングダイナス 壺の精 マアジン 登場


第17話 カッコいい恐竜が欲しい!

ある日、月夜市近辺の山中から制作されて少なくとも300年は経つと目される壺が発見された。壺は城東大学に運び込まれ、調べられることになったのだが……

 

「あれが今回発見された壺か」

 

レオ、トオル、ワトの3人はプラミー教授の研究室に運び込まれた壺を見に来ていた。プラミー教授が、

 

「そうだとも、どうもこの壺はただの壺ではないらしいね」

 

「そうなんですか?」

 

「色々と分析しているのだが、壺の内部がどうなっているか地球にあるセンサーの類では調べることができないんだ」

 

「へえ、直接蓋を開けるのは?」

 

プラミー教授は頭を横に振り、

 

「蓋は固く封がされていてね、もし無理やり開けようとしても壺自体が壊れてしまうだろう」

 

と言う。その時ワトが、

 

「なんかこの壺ってマアジンの壺に似ていますね」

 

と言う。

 

「マアジンの壺?」

 

疑問を呈すプラミー教授。レオは、

 

「マアジンの壺って確かおとぎ話でしたっけ?」

 

そうワトに言う。ワトは、

 

「そうなの。私も小さい頃に絵本を読んだんだよ。壺の中には壺の精マアジンが居て、呪文を唱えればマアジンが中から出てきて願いを叶えてくれるの」

 

と子供の頃の思い出を回想する。トオルも、

 

「懐かしいなあ、マアジンの話。確かに絵本に描かれてた壺に似ている気がするな」

 

と言う。プラミー教授は、

 

「ほう、そんなにこの壺はそのマアジンの壺に似ているというのかね?そのマアジンを呼び出す呪文は?」

 

と興味本位で尋ねる。ワトが

 

「確か、あかさたなんなんまみむめもん……」

 

と呪文を唱えると、壺から煙が吹き出して来た。

 

「ええっ!?」

 

驚愕する一同。煙が晴れると、黒い帽子とマントを着けたおっさんが立っていた。

 

「数百年ぶりに外に出れたでガスよ!」

 

そう言うおっさんにレオは、

 

「ま、まさかマアジン!?」

 

と恐る恐る聞く。するとおっさんは、

 

「そうでガス。私は大魔法使いマアジンでガスよ」

 

と答える。プラミー教授は、

 

「ほう!伝説は実在の物だったという訳か!」

 

と、興味深げにマアジンを見ている。するとトオルが、

 

「じゃ、じゃあ願いを叶えてくれるのか!?俺、可愛い彼女が欲しいんだけど!」

 

と言い、ワトも、

 

「私も、最新のパソコンが欲しいな!」

 

と言う。しかしマアジンは顔をしかめ、

 

「私は汚い大人の願いを叶える気はないでガス!」

 

と言い放つ。

 

「ええーっ!?」

 

と驚く3人。マアジンは続けて、

 

「壺から出してくれたのは感謝するでガスが、私は良い子の願いだけを叶えるつもりでガス!ポポンのポン!」

 

と言って、煙と共に消えてしまった。それと同時にマアジンの壺も消えていた。

 

「何処に行ったんだ?」

 

そう言うトオルにレオが、

 

「良い子……、子供の居る所に行ったんじゃないですか?」

 

と言う。トオルは、

 

「ああ……、確かにそうかもしれないな」

 

と納得する。ワトは、

 

「でも私達も良い子だよね」

 

と言うが、レオは

 

「いや……どうだろ……」

 

と言ってしまう。そして3人は研究室を後にするのだった……。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

月夜市の昼下がりの公園、近所の小学生達が思い思いに過ごしていた時にマアジンが現れた。

 

「おじさんは誰?」

 

そう尋ねる近所の小学生の1人。マアジンは、

 

「私は壺の精霊、マアジンでガスよ」

 

と答える。

 

「あの絵本の?」

 

「そうでガス。そして私は大魔法使いでガス!」

 

そう言うマアジン。女の子が、

 

「本当にい?」

 

と疑う。マアジンは、

 

「本当でガスよ。じゃあその証拠に何か願いを言ってみるでガス」

 

と言った。女の子は、

 

「じゃあ、可愛いクマさんのぬいぐるみが欲しいな」

 

とおねだりした。するとマアジンは、

 

「よし分かったでガス!ポポンのポン!」

 

と言って壺から煙を出した。煙が晴れると、クマのぬいぐるみが女の子の手に握られていた。女の子は喜びながら、

 

「おじさん凄い!」

 

と言う。それを見た小学生達が集まってくる。

 

「ねえマアジン。俺の願いも叶えてよ!」

 

「僕がテストで100点取れるようにして!」

 

するとマアジンは、

 

「良いでガスがその代わり皆良い事をするでガス。街の掃除や家の手伝い、良いことをやって来た子の願いを叶えるでガス!」

 

と言う。小学生達は、

 

「分かった!」

 

と言って、公園を掃除したりゴミ拾いをしたりしだした。マアジンは子供達の願いを叶えて回るのだった……。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

その頃、3人はマアジンを探していた。

 

「何処に行っちゃったんだろう……?」

 

とワト。トオルが、

 

「俺達は大学生だ。ギリギリ子供の範疇に入ると思うぜ」

 

と言う。レオは、

 

「そうかなあ……?」

 

と疑問を呈すが、トオルは気にせずに探し続ける。すると3人の側を子供達が、

 

「良いことすると願いを叶えてくれるって本当か!?」

 

「この先の公園に居るらしいぜ!」

 

と話しながら走っていく。するとメカ子がスマホから、

 

『マスター。今の子供達が走っていった方向から怪電波をキャッチしました。おそらくマアジンかと思われます』

 

レオにそう言う。レオは、

 

「この先にマアジンが?」

 

と呟く。トオルは、

 

「行ってみよう!」

 

と言って走り出した。ワトもそれに続いて走り出す。レオも2人を追って走るのだった……。マアジンの居る公園では子供達が願い事を叶える為に並んでいた。

 

「洗濯物畳むの手伝ったよ!」

 

「父ちゃんの部屋の掃除したぜ!」

 

子供達は、マアジンに願いを叶えてもらうために自分のした善行を話していた。マアジンはうんうんと頷きながら、

 

「良いでガス。では願いを叶えるでガスよ!ポポンのポン!」

 

と言って壺から煙を出す。煙が晴れると、子供達は自分の欲しかった物品を手に入れていた。しかし、

 

「はあ……、はあ……、流石に疲れて来たでガスね……」

 

どうやらマアジンは子供の願いを叶えすぎて、疲労が溜まっているようだった。だが、次々と別の子供が来る。

 

「ねえマアジン!母ちゃんの手伝いしたから願い叶えてよ!」

 

「こっちは落ちてた小銭を交番に届けたよ!」

 

そんな中、レオ達がその場に来る。

 

「あっ!居た!」

 

「ちょっと待って、いきなり出てきたらまた逃げられてしまうかもしれないし、様子を見ようよ」

 

ワトのその言葉に2人は同意し、離れた物陰からマアジンの様子を見る。

 

「はあ……、はあ……、良いでガスが、少し待って欲しいでガス……」

 

と疲労困憊の様子で言うマアジン。しかし子供達はそんな事情など知らない。

 

「早くしてよ!」

 

「お願いだから!」

 

と口々に言う。そしてマアジンは、

 

「今日はもう疲れたから後1つだけ願いを叶えるでガス!そしたら今日はもう休ませて欲しいガスよ!」

 

と宣言した。それを聞いた子供達はジャンケンを始める。

 

「やった!勝った!」

 

「じゃあ、俺の願いは……」

 

そして子供達がマアジンの所に行き、1人が代表して言う。

 

「凄くカッコいい本物そっくりの恐竜の玩具を出してよ!」

 

「本物……、恐竜……、分かったでガス。今日はこれで最後でガス……。ポポンのポン!」

 

そう言うとマアジンは煙となって壺の中に戻ってしまった。しかし、

 

「あれ?恐竜の玩具が無いぞ。どうしたのかな?」

 

子供達は恐竜の玩具を探す。すると、1人があることに気づいた。

 

「あ……、あれ……」

 

その少年が指さす方を子供達が見ると、そこにはティラノサウルス、ステゴサウルス、トリケラトプスの3種類の恐竜が混ざったような姿の怪獣が居た。そう、疲れていたマアジンは願いを聞き間違えて、本物の恐竜の怪獣、キングダイナスを出してしまったのだ!現れたキングダイナスは目の前の街路樹をムシャムシャと食べる。

 

「皆、逃げるんだ!」

 

レオ達は物陰から飛び出して子供達に避難を促す。子供達は一目散に逃げ出した。

 

「よし、俺達も逃げよう!」

 

とトオルがワトの手を引いて逃げようとする。レオはというと、マアジンの壺を拾う。

 

「マアジンにお願いしてあの怪獣を消してもらおう!」

 

マアジンが出した怪獣なら、マアジンの力で退散させられる筈。そう考えたレオは、

 

「あかさたなんなんまみむめもん……」

 

呪文を唱えるが、壺からは煙と共に1枚の紙が出てくる。それにはこう書かれていた。

 

『しばらく寝るので出てこれないでガス。マアジンより』

 

「ええーっ!?」

 

驚くレオ。驚いた拍子に壺を落としてしまった。地面に落ちて壊れる壺。

 

「しまった!」

 

これでマアジンを呼び出すことは出来なくなってしまった。

 

「殿奈逃げるぞ!」

 

トオルがレオに呼びかける。

 

「あっ、ああ……!」

 

しょうがないのでレオは逃げるふりをして物陰に隠れ、サンフラッシャーを起動する。

 

「ジュアッ!」

 

ウルトラマンテラスがキングダイナスの前方に現れた。キングダイナスは我関せずと、街路樹を食べ続けている。テラスは先制攻撃としてシュリケンショットをキングダイナスに放った。

 

シュリケンショットがキングダイナスの体に命中する。すると、やっとテラスに気づいたキングダイナスは怒り出し、テラスに突進して来た。

 

「ジュアッ!?」

 

突進をくらうテラス。キングダイナスは尻尾を振るって攻撃してくる。何とか避けるテラスだが、その内に体当たりされ、倒れた所にさらに尻尾攻撃をくらった。

 

「ジュワア……!」

 

苦しむテラス。そこにキングダイナスが口から火球を放って攻撃する。転がってなんとか火球を避けるテラス。しかし、

 

「ジュアッ!?」

 

キングダイナスが尻尾を振り回した衝撃でテラスは吹っ飛ばされてしまった。何とか立ち上がるテラス。キングダイナスは鼻息を荒くし、再び突進する。テラスはキングダイナスの角を掴んで突進を受け止めるが、キングダイナスのパワーの前に後ろへと押される。

 

「ジュア……」

 

苦しむテラス。キングダイナスは角を掴まれたまま火球を放った。至近距離で火球をくらうテラス。

 

「ジュワアアアッ!?」

 

吹っ飛ぶテラスは地面に倒れる。テラスのカラータイマーが点滅する。

 

(くっ……。考えろ……)

 

どうするか思案するテラス。すると、

 

(そうだ!)

 

とある事を思いつく。

 

「ジュアッ!」

 

テラスはその辺の街路樹の1本を引っこ抜き、キングダイナスに見せながら手を振る。キングダイナスは、テラスの持つ街路樹に視線を集中する。そして、涎をたらして街路樹に向かって突っ込む。テラスはそのまま街路樹を手放す。すると、キングダイナスはテラスの手から離れた街路樹に噛みつくのだった。テラスに完全に後ろを見せるキングダイナス。絶好の攻撃の機会であった。

 

「ジュアアッ!」

 

テラスはエネルギーをチャージし、両腕を合わせてシューティングスパークを発射する。後方からシューティングスパークをまともにくらったキングダイナスは絶命して倒れ込み、その身体は砂の様になって消滅したのだった……。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

「すみません……、壺が壊れちゃいました……」

 

プラミー教授の研究室に戻って来た3人は、結局マアジンの壺を壊してしまったことを謝る。

 

「まあ、非常事態だったし仕方ないだろう」

 

そう言うプラミー教授。

 

「でも、マアジンに願い事を聞いてもらうのは無理になったね」

 

とワトが言う。それを聞いたトオルが、

 

「ああ……、彼女が欲しかったぜ……」

 

と言う。すると、プラミー教授がトオルに言う。

 

「そういうものは、自分の努力で手に入れて初めて価値があるのではないのかね?」

 

「それは、確かにそうですね……」

 

と納得するトオル。レオも、

 

「まあ、あのまま皆マアジンを求めて居たら、もしかしたら大変な事になったんじゃないですかね……。実際マアジンは怪獣すら呼び出せる力があったわけですし」

 

と言う。プラミー教授は、

 

「確かにな。もしマアジンの壺が悪意のある者の手に渡っていたら、地球が滅びる事態になったかもしれない」

 

と言う。ワトは、

 

「でも、マアジンは良い人だからそんな心配はないですよ」

 

と言うが、プラミー教授は、

 

「……いや、それはどうかな?」

 

と意味深な事を言う。トオルが、

 

「え……。それってどういう……」

 

と言いかけるが、プラミー教授は話を続ける。

 

「マアジンは確かに善良な精霊だが、子供達が本当に良い事をしたか詳しく調べたりせずに願いを叶えていた。もし子供達が嘘をついていたら……」

 

「う……。それは確かにそうかもしれませんけど……」

 

ワトがそう言うとプラミー教授は、

 

「あのマアジンの壺は今の地球人には過ぎた物だったかもしれないね」

 

と話を締める。

 

(おとぎ話は、おとぎ話のままでいい時もあるんだな……)

 

レオは今回の事件を思い返し、そんな所感を抱いていたのだった。

 




駄文閲覧ありがとうございました。感想等お待ちしております。
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