ウルトラマンテラス   作:クォーターシェル

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超獣人間 コオクス 異次元人 ヤプール 登場


第20話 堀田教授の逆襲

夜間の城東大学、その一室で堀田教授は酒をあおっていた。

 

「うう……、異星人め……!」

 

ガストロポッドの事件以降、大々的に主張していた理論が間違っていた上にこの事件を解決したのが、ウルトラマンテラスだと広く知られて逆に堀田教授の名声は地に落ちた。

 

「大学に居れば安泰だと思っていたが、こんな屈辱的な事になるとは……」

 

その時堀田教授の部屋内で奇妙な声が堀田教授の耳に聞こえて来た。

 

『お前はウルトラマンを恨んでいるか……?』

 

「!?」

 

思わず周囲を見渡す堀田教授。しかし、声の主は居ない。

 

「だ、誰だ……?」

 

『私はお前の味方だ……。ウルトラマンを恨んではいないか……?』

 

再び聞こえて来た声。それは正に悪魔のささやきだった……。

 

「た、確かに……、私はウルトラマンテラスを恨んでいるが、一体何者なんだ……?」

 

『私は異次元人ヤプール……。お前と同じくウルトラマンを恨む者だ……!』

 

「何っ!?」

 

『ウルトラマンに復讐したいとは思わないか……?』

 

「そ、それは……」

 

思わず黙ってしまう堀田教授。そしてヤプールは、

 

『私の力があれば、お前はウルトラマンに復讐する事が出来るぞ……!お前は自らの名誉を潰したウルトラマンを憎いと思っていないのか?』

 

と堀田教授の心の闇を煽る。

 

「確かに……、ウルトラマンを恨む気持ちはある。しかし私の力で果たして復讐など出来るだろうか……?」

 

『心配する事は無い。私には様々な力がある……』

 

ヤプールは堀田教授の耳元でささやく様に言う。

 

『私なら、お前の力になってやる事が出来るぞ……?』

 

「……わかった」

 

こうして堀田教授はヤプールの誘いに乗ってしまったのだった……。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

月夜市に赤いトサカと長い牙が特徴的な怪獣が現れた。いや、それは怪獣では無い。異次元人ヤプールが生み出した恐るべき生物兵器の1体、超獣のコオクスだった。街を破壊するコオクス。

 

「キャーッ!」

 

と逃げ惑う人々。そんな人々を嘲笑うかの様にコオクスは腕からロケット弾を放つ。炎に包まれたビルや家屋が崩れていく中、上空に1人の巨人が現れた。ウルトラマンテラスだ!

 

「ジュアッ!」

 

現れたウルトラマンテラスに向けてコオクスがロケット弾を放つが、それをバリアで防ぐテラス。そしてテラスは地上に降り立ち、コオクスに向かって構える。コオクスは指先をテラスに向けて、赤い閃光を放った。

 

「ジュアッ!?」

 

すると、テラスの視界は赤く染まり、コオクスが多重に見えるなどの幻覚が見え始めた。思わず尻もちをついてしまうテラス。コオクスは不気味な笑い声をあげると、その場から姿を消すのだった……。テラスもふらついたまま、姿を消した。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

翌日の城東大学。そこではとある事件が起こっていた。前にプラミー教授が製作して、その後大学の警備に当たっていたロボット、ユートムが突如暴れはじめたのである。ショックガンを発砲したり、ハンマーアームで構内の備品を破壊したりするユートムに他の警備員は手が付けられない。開発者のプラミー教授が呼ばれたのだが……。

 

「おや?操作を受け付けないぞ。どうやら完全な暴走状態にあるようだ」

 

プラミー教授が端末を操作してユートムをコントロールしようとするのだが、ユートムは端末からの操作を受け付けず、まるで自分の意志で動いているかの様だった。

 

「これは、一体……」

 

とプラミー教授が呟く中、ユートムは暴走を続け、遂に学内を破壊し始めた。

 

「いかん!」

 

慌ててプラミー教授は研究室に駆け込み、操作を受け付けないユートムを強制停止させる装置を起動する。するとユートムは機能を停止してその場に倒れた。

 

「ふう……、危なかった」

 

額の汗を拭うプラミー教授。その時、堀田教授が他の教員を引き連れてやって来た。ギャラリーが見守る中、堀田教授はプラミー教授に、

 

「これはどういう事だねプラミー教授!?」

 

と怒鳴る。そして、

 

「あのロボットを作成したのは貴方でしょう!これは重大な責任問題になりますぞ!」

 

と、プラミー教授を責め立てた。

 

「待ってくれ。ユートムには悪質なコンピューターウイルスの類を仕込まれたとしか思えない。誰かがユートムをハッキングしたのだ」

 

とプラミー教授が弁明するが、

 

「それは誰だと言うのだね!?どの道貴方には管理不行き届きとして処分が下るでしょうな!」

 

と堀田教授は聞く耳を持たない。

 

「なんて事だ……」

 

プラミー教授は頭を抱えた……。

 

そんな教員達のやり取りを見ていた怪獣研究会の面々。トオルは、

 

「プラミー教授の言う通りだと思うぜ、ユートムは昨日まで正常に役目を果たしていたんだ」

 

と呟く。

 

「堀田教授、まるで鬼の首を取ったようだったね……。プラミー教授、この大学をクビにならないといいんだけど」

 

そう言うワト。レオはというと、

 

「……」

 

ぼんやりとした表情をしている。トオルが、

 

「殿奈、どうした?調子が悪いのか?」

 

と聞くと、レオはハッとして、

 

「あ、はい。何だか昨日から気分が悪くて……」

 

と答える。

 

「大丈夫か?無理しない方がいいぞ」

 

とトオル。するとワトは、

 

「殿奈君は最近働き過ぎだよ。たまには休まないとね」

 

と言った。

 

「はい……」

 

そう答えるレオだが、その目はどこか虚ろだった……。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

城東大学でユートムが暴走したというニュースは瞬く間に広がり、市民を不安にさせた。そんな中、レオ、トオル、ワトの3人が大学構内で歩いていると、

 

「あっ、怪獣!」

 

レオは窓の外に超獣コオクスの姿を見た。ちなみにコオクスのことを怪獣では無く超獣だと知る人間はまだこの世界に居ない。

 

「何だって!?」

 

トオルがカメラを取り出す。しかし、

 

「なんだ、何もいないじゃないか!」

 

コオクスの姿は無かった。ワトも、

 

「殿奈君、何かを見間違えたんじゃないの?」

 

と言う。

 

「そうでしょうか……?」

 

レオは首を傾げるのだった……。

 

(そんな、俺はさっき確かにあの怪獣の姿が見えた。幻覚でも見たというのか……?)

 

内心そう考えながら、レオは昼飯を食べに食堂に行く。

 

「さて、今日はどのランチにしようかな……」

 

レオはランチセットを吟味する。その時である。レオの耳に不気味な声が聞こえて来た。

 

『見つけたぞ……。この世界のウルトラマンよ!』

 

「えっ!?」

 

レオは思わず辺りを見渡す。しかし、特に他の客が居るだけで、なにか変わった様子はない。

 

「あれ?気のせいか?」

 

首を傾げるレオ。そしてそのままランチセットを注文し、席に着く。その時だった。

 

『貴様がウルトラマンだと言うことは分かっているのだ!私はヤプールだ!お前の命は貰った!』

 

再び聞こえて来た声。しかし、今度ははっきりと聞こえた。しかもその声はレオの脳内に直接響いている様に感じられた……。

 

「な、何だこれは!?」

 

思わず立ち上がるレオ。周囲の客も驚いてレオの方を見るが、すぐに興味を失ったように食事に戻る。何かがおかしいと感じたレオは食堂を飛び出す。

 

「おい、どうした!?」

 

トオルとワトがレオに呼びかける。しかしレオは2人の声に答えず、そのまま大学を飛び出した。そしてそのまま町を駆ける。

 

(ヤプール……、一体何者なんだ!?)

 

そう思いながら走るレオ。レオはスマホ内のメカ子に、

 

「ヤプールが何者か分からないか?」

 

と聞く。メカ子は

 

『先日の怪獣の出現形跡を分析したところ、四次元空間とは別の次元移動の痕跡を確認できました。恐らくヤプールはギランボのような異次元の生命体かと』

 

と答えた。

 

「そうか……、じゃあヤプールが何処に潜んでいるかとかは分からないか?」

 

『それについては、まだ手元にある情報が不足しています』

 

「そうか……」

 

メカ子との話を終えたレオは、一旦公園のベンチで休むのだった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

(堀田教授の様子、どうも変だった……)

 

その頃プラミー教授は研究室で堀田教授を怪しんでいた。

 

(彼は前から私を目の敵にしていたが、それにしても最近の彼は尋常でないものを感じるな……)

 

「そうだな、うむ。やってみるか」

 

プラミー教授は試作途中のあるものの開発に着手するのだった。

 

一方堀田教授は自室でヤプールと会話する。

 

「まさか私が異星人に復讐する為に別の異星人の力を借りることになるとはな……」

 

『私は異次元人だ……!異星人では無い、さらに崇高な生命体だ……!』

 

「しかし、お前は確かに私に復讐する機会を与えてくれた。感謝するぞ」

 

『あのザム星人にも恨みを持っているのだろう?ならば遠慮することは無い』

 

「うむ……」

 

堀田教授は自分が持っている、とっておきのワインの蓋を開ける……。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

ヤプールとの対話を終えて翌日。堀田教授が向かった先は、城東大学の学長室だった。ノックし中に入ると、そこには学長の他、プラミー教授が居た。

 

「おや、堀田君じゃないか」

 

笑顔で出迎える学長。堀田教授は、

 

「プラミー教授の処分は決まりましたか?危うくこの大学の人間に危害を加えかねなかったので、重い処分は当然でしょうがね」

 

と言った。

 

「処分か……、それについてなのだが、プラミー教授から話があってな」

 

学長はプラミー教授に視線を移す。

 

「話ですか?」

 

「はい。此処よりも広い場所でしたいですな。他にも証人がいると直良い」

 

「わかったわかった……。どのような言い訳をするかは知りませんが逃れられるとは思わないことですな」

 

プラミー教授と堀田教授は大学のグラウンドに向かう。そこには大勢の見物人が集まっていた。プラミー教授は堀田教授の方を向き、

 

「堀田君……、正直私は君を疑っている」

 

と言う。

 

「なんだと?」

 

「私は君が上昇志向の強い人間だとは思っているが、それでもこのような暴走行為に及ぶ様な人間では無いと私は思っている」

 

「何を訳の分からない事を……」

 

プラミー教授は懐から小さな機械を取り出す。それを見た堀田教授は怪訝な顔をする。

 

「なんだそれは!?」

 

「これは私が試作した、人間に憑りつくタイプの怪獣を分離する装置だ。ここ数日の君は何かおかしい。これで確かめさせてもらうよ」

 

光線銃の様な形状をしたその装置が作動し、堀田教授に電流の様なものを浴びせる。

 

「うおおっ!?」

 

「安心して欲しい。人体は傷つけないように設計してある」

 

装置から電流を流すプラミー教授。しかし、

 

「ふふふ……、“憑りついている”か。それは少し間違っているな……!」

 

「何?」

 

堀田教授の目が真っ赤に染まっていた。堀田教授は言う。

 

「プラミー教授。私は異星人が嫌いだ。頑張っている人間の努力を簡単に超えていく。だから貴方も気に入らなかった……!」

 

「堀田教授……!」

 

「あのウルトラマンテラスもそうだ。私が英雄になれるチャンスを簡単に奪っていく。だから私はウルトラマンを恨むことにしたのだ……!」

 

そして堀田教授は言葉を続ける。

 

「そして私は怪獣を超えた存在、超獣人間コオクスとなったのだ!プラミー教授、お前もウルトラマンテラスも私が殺してやる!」

 

堀田教授は人間大のコオクスに変身しプラミー教授に殴りかかる。しかし、プラミー教授はそれをかわした。

 

「超獣だと?まさか異次元の悪魔と呼ばれるヤプール人に魂を売ったのか君は!?」

 

「ああそうさ。私はこの力でウルトラマンテラスを倒すのだ!」

 

堀田教授、いや超獣人間コオクスはそのまま巨大化していく。コオクスが巨大化した事で集まっていたギャラリーは一目散に逃げだす。その中にはレオも居た。

 

「まさか堀田教授がヤプールと通じてたなんて……」

 

避難する群衆に紛れてレオは物陰に隠れて、サンフラッシャーを起動した。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

街中で対峙するウルトラマンテラスとコオクス。テラスがシュリケンショットを発射しようとするが、それよりも先にコオクスが指先から閃光を放った。

 

「ジュアッ!?」

 

閃光を見てしまった為、またも幻覚を見るテラス。その隙にコオクスはテラスを殴りつける。

 

「ジュアッ……!」

 

コオクスの攻撃をくらって、思わず倒れるテラス。そのままコオクスは飛び上がると、上空からテラスにロケット弾を発射した。

 

「ジュアア……」

 

ダメージを負うテラス。なんとか立ち上がるが、幻覚を見たままであり、その足元はふらついていた……。それを見て不気味な笑い声を上げるコオクスは、テラスに接近してテラスを蹴りつける。そしてまたも倒れてしまったテラスを足蹴にするのだった……。

 

その頃地上では、プラミー教授がテラスがコオクスに痛めつけられる光景を見ながら地球防衛隊に、

 

「奴のウィークポイントは指だ!恐らくそこからの術にウルトラマンテラスは嵌っているのだろう」

 

と連絡する。連絡を受けた防衛隊の隊員は隊長に、

 

「……とのことです」

 

と報告する。隊長は、

 

「プラミー教授の見立てなら狙う価値はあるだろう。我々もウルトラマンの援護に回ろう」

 

と指示を出す。そして、防衛隊はコオクスに向けて攻撃を始めた……。防衛隊の攻撃に対し、コオクスはロケット弾で対空砲火を行う。何機かが被弾するが、その間に地上の部隊が対怪獣武器でコオクスの指に狙いを定める。テラスは再び立ち上がろうとするが、コオクスはもう一度テラスを痛めつける為に指をテラスに向ける。

 

「今だ!」

 

狙いを定めていた隊員が、コオクスの指に射撃を行う。攻撃が命中し、コオクスの指は破壊された。

 

「!?」

 

動揺するコオクス。それと共にテラスも幻覚から解放された。テラスは自らの身体を蒼い光に包み、テラス・フォトンアースに強化変身する。コオクスはテラス・フォトンアースに向かってトサカから熱線を発射するが、テラス・フォトンアースはびくともしない。テラス・フォトンアースはコオクスに接近して連続パンチを叩き込み、締めにラリアットをくらわせた。

 

「ジュアッ!」

 

一度倒れ込むが立ち上がるコオクス。テラス・フォトンアースに殴り掛かるが、テラス・フォトンアースはそれをかわすと、コオクスの腕を掴み投げ飛ばした。

 

「ジュアッ……!」

 

地面を転がるコオクス。起き上がると今度はロケット弾を発射する。しかし、それもテラス・フォトンアースは片手で防いだ。そしてそのままコオクスに接近すると、ソバットを決める。

 

吹っ飛ばされ、なおも立ち上がろうとするコオクスにテラス・フォトンアースは還元光線、セルチェンジレイを放つ。セルチェンジレイが命中したコオクスは苦しみながら、小さくなっていった……。そして、カラータイマーが点滅するテラス・フォトンアースは空へ飛び立っていったのだった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

「がああああああああ!?ああああああああああああ!?」

 

セルチェンジレイの効果で人間に戻った堀田教授が苦しみもがきながら担架で運ばれていく。どうやら人間には戻れたが、心身に多大なダメージを負ったらしい。その様子を見たレオは、

 

「まさか堀田教授が超獣だったなんて……」

 

と呟く。それを聞いたプラミー教授は、

 

「いいや、彼はただの人間だよ。それ故に悪魔の誘いに乗ってしまったのだ……」

 

とレオに言う。そして、

 

「人間とは難しいものだ、彼も才能があったのに嫉妬心が強すぎたせいで、ああなってしまった。しかし、私は彼の才能を惜しむよ」

 

と付け加えた……。そして、遠くから更にその様子を見ていたヤプール人は、

 

『……チッ!』

 

と舌打ちを残して次元の狭間に消えていった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

コオクスの影響で敷地内に被害を受けた城東大学は少しの間休校になるのだった。

 




駄文閲覧ありがとうございました。ご感想等お待ちしております。
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