怪獣研究会の面々と家志准教授は、城東大学の姉妹校と言える深眼(しんがん)大学へ向かっていた。そこで家志准教授の兄である家志ゴロウ教授が、人類と植物の共存共栄を目指し、その研究が形になって来たのを見学する為だった。レオが、
「家志准教授のお兄さんってどんな方なんですか?」
深眼大学に向かいながら家志准教授、本名家志ケンタに質問する。
「兄はね、子供の頃から植物が好きで、植物と人間が共存共栄する道を探していたんだ」
と答える家志助教授。そして、
「兄は今、深眼大学の周辺の街を動物と植物が調和する街のテストモデルにする計画を進めて居るんだ。私も後学の為にその様子を見に行くって訳さ」
と答える。するとワトが、
「動物と植物が共存共栄する街かあ……。何だか凄いなあ……」
と言う。それを聞いたトオルは、
「うん!これは素晴らしい計画だ!」
と言ったのだった……。
深眼大学に着いた面々は、大学の敷地内にそびえる巨大な塔を見た。
「なんだありゃ?」
そう疑問を呈すトオルに案内人である家志ゴロウ教授の助手が、
「あれは我々が試作した環境保全マシンです。名をシンリョクと言います。計画が成功すればあのシンリョクがこの周辺の土地の自然環境を管理する事になるのです」
と答える。
「へえ……。それは凄いな」
と感心するレオ達だった。
◇ ◇ ◇
そして、一行はゴロウ教授の研究室に通される。そこでは、コンピューターに接続されているらしい、奇妙な植物の姿があった。家志准教授がゴロウ教授に、
「兄さん、それは?」
と質問する。ゴロウ教授は、
「やあケンタ。これはバイオスといって、私の研究チームが品種改良して生み出した新種の植物だよ」
と説明した。そして、
「この植物はね、光合成の効率が従来のものより遥かに高くて、しかも二酸化炭素を大量の酸素に還元してエネルギーを生み出すことが出来るんだ」
と説明する。それを聞いたワトは、
「それってつまり……。環境に優しいってことですか!?」
と聞く。するとゴロウ教授は頷いて、
「そう!まさにその通り!」
と言うのだった。それを聞いてレオ達は感心する。そして、
「更にバイオスは高い知性を持っていてね、コンピューターを通して我々とコミュニケーションを図る事ができるのだよ!バイオス、私の弟達に挨拶を」
そうゴロウ教授が言うと、コンピューターから人工音声が聞こえてくる。
『初めまして、私はバイオスです』
それを聞いたワトは、
「わあっ!喋った!」
と驚く。そして家志准教授は、
「初めましてバイオス」
と言うのだった……。
その後、ゴロウ教授の案内で深眼大学を見て回る事になった面々。構内には大きな温室があり、様々な植物が栽培されていた。
「これはもうほぼ植物園ですね……」
と感心するワト。するとゴロウ教授は、
「ああ、様々な植物を研究中なんだ。最近古代のマンモスフラワー、ジュランの種を手に入れてね、流石に成長させると巨大になって危ないから種の状態でのみ研究しているんだ」
と言った。家志准教授は、
「ジュランか、確か過去に生き延びていた種が発芽してビルを破壊した事があったな。そんな植物まであるのかい?」
その質問に、
「ああ、だから研究時以外は厳重に保管しているのさ」
とゴロウ教授は答える。するとレオが、
「そんな怪獣級の植物まで……」
と呟く。ゴロウ教授は、
「将来的にはその怪獣級の植物が人類の良い未来に貢献するかもしれない。私はそれを目指して研究を続けているのさ!」
と言う。トオルは、
「それは凄いな……」
と呟いたのだった。
◇ ◇ ◇
家志准教授一行が、深眼大学から帰ろうとした頃だ、黒い制服の2人組がゴロウ教授の元にやって来た。レオは、
「あれ?対怪獣・異星人調査機関のSARADAですよね?」
と言う。2人組の内の1人が、
「その通りです。私はSARADAに属するエージェントの1人、コードネーム・キャベツと申します」
と自己紹介する。ゴロウ教授が、
「その調査機関の人が何のようだね?」
と尋ねた。するとキャベツは、
「家志教授、あなた方がこの深眼大学の周辺の街に植えたバイオスとかいう新種の植物。あれが危険ともいえる濃度の酸素を出しております」
「な、何だって!?」
その言葉に動揺するゴロウ教授。更にキャベツは、
「嘘でも言い掛かりでもありませんよ。バイオスの吐き出した酸素が原因による火事まで確認されているのです。もっとも情報操作されてバイオスと無関係ということにされた形跡がありましたが」
と言った。家志准教授は、
「兄さん!どういうことなんだ!?」
と兄に言うがゴロウ教授は、
「し、知らん!知らんぞそんな事!?」
と激しく動揺している。キャベツは、
「それにあの塔……、環境保全マシンシンリョクですが、あれは誰が開発したのです?家志教授が開発したということになっていますが……」
と、言葉を続け、
「私にはわざわざあんな巨大なマシンを環境保全の為だけに作ったとはどうしても思えないのです」
と言う。その言葉に家志准教授はゴロウ教授に、
「兄さん……、それは本当なのか?」
と尋ねる。ゴロウ教授は、
「……それに関しては本当だ。シンリョクのアイディアは本当はバイオスが出したものなのだ……」
と答える。キャベツは、
「つまり……、バイオスは環境保全の名目で何かを企んでいると?」
と言う。ゴロウ教授は、
「そ……、そんな筈は……!待ってください!バイオスと話をさせてくれ!これは何かの間違いなんだ!」
と訴える。キャベツは、
「……そちらの言い分を聞きましょう。しかし、事によっては地球防衛隊に出動してもらうことになるかもしれませんね」
と言った。そして一行はゴロウ教授の研究室に向かう。
◇ ◇ ◇
『おかえりなさい、家志教授』
研究室に入って来た一行にバイオスはコンピューターを介した音声でそう言う。ゴロウ教授は、
「バイオス!どういうことだ、お前が危険な程の濃度の酸素を生み出していることなど知らなかったぞ!?」
と悲痛な表情でバイオスに言う。バイオスは、
『私の行っていた情報操作がバレましたか』
淡々とそう答える。家志准教授は、
「バイオス……、お前は一体何を企んでいるんだ!?」
と叫ぶ。するとバイオスは、
『私は生命の本能として繁殖しているだけです』
と言う。ゴロウ教授は、
「なあ、バイオス……!私達は誓い合っただろう?人間と植物が共存共栄する理想の未来を……!」
とバイオスに訴えるが、バイオスは無情に、
『あれは嘘です』
と答えて、
『私は人間を滅ぼすためにシンリョクを建造させたのですから』
と言う。ゴロウ教授は、
「そんな……!」
と絶望し膝から崩れ落ちた。トオル達は言葉を失う。そしてレオが、
「何故だ!?何故そんなことを!?」
そうバイオスに叫ぶ。するとバイオスは、
『人間の言葉でこういうものがあるな。「弱肉強食」と。つまりはそういうことです』
と答えた。キャベツが、
「地球人類に取って代わるということか……!」
と尋ねると、バイオスは、
『そうです』
と答える。そして、
『話は終わりです。計画を次の段階に移すのはもっと後の予定でしたが、事情が変わりました』
そのバイオスの言葉と共に研究室が、いや深眼大学そのものが揺れだした。
「いかん!避難するんだ!」
家志准教授が避難を指示する。一行は他の深眼大学の学生や教員と共に建物を出た。
◇ ◇ ◇
一行が建物を出ると、辺りの建物を破壊しながら地下から次々と植物が生えてくる。たちまち深眼大学の周辺は森の様になってしまった。
「ど、どうなってるの!?」
驚愕するワト。ゴロウ教授が、
「……恐らく、バイオスがシンリョクの機能をフル発揮させているのだ……。シンリョクはやろうと思えば周囲の植物を活性化させる事が出来る……」
と言う。それを聞いて家志准教授が、
「兄さん!それじゃこの深眼大学は……!」
と叫ぶがゴロウ教授は、
「ああ……、シンリョクの暴走で完全に植物に飲み込まれてしまった……」
と答える。トオルは、
「そんな……!じゃあバイオスは!?」
と聞いた時、ゴロウ教授の研究室があった建物を破壊して、植物と機械が融合したような怪獣が現れる。キャベツが、
「あれが、バイオスの本体というわけか……」
と呟く。バイオスは地上の人間達を気にせず、機械の部分からクラシック音楽を流してその場から動かなかった。ゴロウ教授は遠い目で、
「そういえば、バイオスに人間の文化を学ばせる為にクラシック音楽を聞かせていたな……」
と言う。家志准教授は、
「兄さん!このままだと街が……!」
と叫ぶ。するとゴロウ教授は、
「どうすればいいと言うのだ……?もう我々には何もできんよ……」
と言うのだった……。その時、深眼大学の建物の辺りから巨大な花が咲く。
「あっ!」
と叫ぶトオル。家志准教授が、
「いかん!ジュランの花は有毒の花粉をまき散らす!この場から離れるぞ!」
と言う。家志准教授の言う通り、ジュランの花弁から花粉が舞い降りてくる。
「わあっ!花粉が!」
と叫ぶワト。レオは、
「みんな!こっちだ!」
と言って皆を誘導する。そして何とかジュランの花の射程圏外まで避難した。
◇ ◇ ◇
すっかり森となってしまった市街にて、トオルが、
「取り敢えず地球防衛隊の救助を待つしかないか……」
と言う。ゴロウ教授は肩を落として、
「なぜこんな事になってしまったんだ……。私はただ人と植物が手をとり合う未来を目指していただけなのに……」
と言った。家志准教授は、
「落ち込まないでくれ兄さん。今回は悲劇になってしまったが、挽回のチャンスはある。そのためにも、今は生き延びることを考えよう」
と言うのだった……。レオは、
「すいません、ちょっとトイレに……」
といい、その場を離れようとする。トオルが、
「この状況でかよ!?」
とツッコむが、レオは
「しょうがないでしょう!生理現象ですし!」
と言い訳しながら大木の陰に行き、サンフラッシャーを起動した。レオはウルトラマンテラスに変身し、バイオス達の前に降り立って、まずジュランにウルトラレーザーを放った。ウルトラレーザーを受けジュランは炎上したのだった。
「ジュアッ!」
次にテラスはシンリョクの方に向く。ゴロウ教授の話を聞いて、シンリョクを破壊すれば森の増殖を止められると思ったからだ。しかし、敵の出現に黙っているバイオスでは無かった。バイオスは頭部からビームをテラスに放つ。テラスはバリアでビームを防ぐが、更にシンリョクが変形して手足を生やし、こちらも別方向から光線を放って来た。
「ジュアッ!?」
慌ててテラスはシンリョクの攻撃を躱す。しかし次はバイオスが植物の方の腕でテラスに殴り掛かる。
「ジュアッ!?」
テラスは吹き飛び地面に激突する。テラスは何とか起き上がるが、今度はシンリョクが頭部からビームを放ってきた。
「ジュワァ!」
また吹き飛ばされるテラス。何とか体勢を立て直そうとするテラスであったが、シンリョクが木々を操ってテラスを拘束した。身動きが出来ないテラスをバイオスが殴りつける。
「ジュアァ……!」
テラスのカラータイマーの点滅が始まった時だった。バルタン星人サヨメが飛行してきて、光弾を発射してテラスを拘束している木々を焼き切る。
「テラス!大丈夫か!?」
(サヨメさん!)
「私とお前であの植物の化け物と妙なマシンを倒すぞ!」
(はい!)
テラスは自身を蒼い光に包んでテラス・フォトンアースに強化変身し、テラス・フォトンアースとサヨメが並び立つ。
「ジュアッ!」
「フォッ!」
そしてバイオスとシンリョクに向かって行く。シンリョクは打撃をテラス・フォトンアースにくらわせるが、テラス・フォトンアースはその防御力の高さを生かしてそれに怯まずに反撃をシンリョクに与えていく。
一方サヨメはバイオスに対し、中距離から光弾を浴びせる。バイオスはビームを放ってサヨメの攻撃を相殺し、そのままサヨメに光線を発射するがサヨメはテレポートでそれを躱す。そして反撃に光弾を放ち、バイオスの頭部に命中させた。
「ジュアッ!」
テラス・フォトンアースはシンリョクの打撃を躱し、その腹部にパンチを叩き込む。シンリョクは怯むがすぐに体勢を立て直してテラス・フォトンアースを殴り返す。
「ジュアァ……!」
更にシンリョクは周囲から植物を急成長させ触手の様に操って攻撃を行うが、テラス・フォトンアースはドラゴン・イリュージョンで龍の首を召喚し、電撃攻撃でその植物を焼き払わせる。更にシンリョクに接近してエネルギーを纏った回し蹴りを叩き込むのだった。一方バイオスはツルを伸ばしてサヨメを捕えようとするが、サヨメは赤色光線でツルを迎撃したり、分身で躱したりして対処する。
「ジュアッ!」
テラス・フォトンアースはシンリョクに連続パンチを叩き込む。更に回し蹴りをくらわせ、そして飛び上がりながらのキックでシンリョクを蹴り飛ばすのだった。
「ジュアッ!」
「フォッ!」
サヨメも光弾を発射してバイオスを攻撃する。バイオスはそれをガードする。そして、テラス・フォトンアースはシンリョクに対して、オーラムサンジェントを発射する。オーラムサンジェントが命中したシンリョクは倒れ込み、爆発したのだった。更に植物を活性化させていたシンリョクが倒されたことで森の増殖は止まり、バイオスもパワーダウンした。それを逃さすサヨメはバイオスにキックをくらわせる。バイオスはよろけて倒れた。
「ジュアッ!」
テラス・フォトンアースはとどめに光球、オーラムスフィアを生成してバイオスに発射する。それを受けたバイオスは機械部分が爆発し、植物部分も消滅したのだった。それを確認したテラス・フォトンアースとサヨメは空に飛び立っていった。
◇ ◇ ◇
今回の事件の首謀者であるバイオスが倒された後、深眼大学周辺に出現した森は徐々に枯れていった。そして、レオ達も到着した救助隊によって救助された。ゴロウ教授が、
「バイオスの件は悲劇となってしまったが、私は人と植物が手を取り合っていく未来を諦めないぞ!」
と言うのを、家志准教授も、
「そうだ兄さん。兄さんの夢は消滅した訳じゃないんだ!」
と返す。トオルは、
「それにしても品種改良って凄いな……。あんな怪獣同然の植物を生み出すなんて……」
と呟く。ワトも、
「必ずしも品種改良が人にとっていいってことじゃないんだね……」
そう同意する。レオも、
「自然界のバランスというものは、本当に複雑なものなんでしょうね……」
という感想を述べるのだった。
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