その日、城東大学がある市の隣の市で日本初の地中都市、ジオシティ1号がオープンして多くの人が招かれていた。城東大学からも見学の為レオを含む学生達が招かれており、レオ、ワト、トオルと言った怪獣研究会メンバーはジオシティ1号内のビジネスガーデンエリアに足を踏み入れていた。
「ここが地底なのかあ。空も明るいし日中の地上とそう変わらないなあ」
「どうも、この地中のドーム内の天気を操作して晴になったり雨になったりすることもできるみたいですよ」
ジオシティ1号のドームの1つであるビジネスガーデンエリアはビルが建ち並び、その他にもあちこちに自然豊かな公園がある。まだオープンしたばかりなのでビル街で仕事を始めている企業は少なく飲食店などもあるにはあるが、疎らだ。
「皆さん、お待ちしておりました」
そんなジオシティ1号見学の一行を出迎えたのは若い女性だった。彼女の名は玉川ナナコ。ビジネスガーデンエリアのプロジェクトリーダーである。彼女はレオ達に挨拶するとビジネスガーデンエリア内の公園に案内した。
「ここは『緑』をテーマにしたエリアでして、様々な植物が植えられています。この公園は市民の憩いの場としても利用される予定です」
と説明する玉川。そして、公園内には大きな池がありその側にベンチがある。玉川は
「既にご存知の方もおられると思いますが、ジオシティ1号は主に3つのドームに別れていて観光向けのリゾートエリア、住民のベッドタウンである居住エリア、そしてジオシティ1号での経済活動を行うビジネスガーデンエリアとなっております。そして、ビジネスガーデンエリアは仕事の合間に人々が憩えるようにこの様な自然公園を各所に設けています」
と説明する。するとワトが
「そうなんですね!それは素晴らしいと思います!」
と言う。玉川はニッコリして、
「そう言っていただけると幸いです」
と言った。そして一行はビジネスガーデンエリアの見学を終え、自由行動となった。
レオ達はジオシティ1号、ビジネスガーデンエリアの公園の一角で自由行動をどうするか話していた。
「しっかし地中にこんな街を作るなんて凄い話だな」
「まあ、地下施設の規模が大きいものと考えれば納得かな?」
そう話すトオルとワトを見ながらレオはふと気になっていた事を口にした。
「そう言えば福島先輩、今日はサングラスを掛けてるんですね」
そう、今日のワトはサングラスを掛けていた。
「そういえばそうだな」
「折角のお出かけだからね、ちょっとお洒落をしたんだよ」
と答えるワト。
「それよりもお昼はどうしよう?色々な店があるみたいだけど」
とワトが言うとレオは
「それなら良い店があるんです。ここからすぐそこですから行きませんか?」
と言うと一行は移動を開始した……。
「ここがそのお店?」
「はい!ここのホットドッグ、凄く美味しいらしいですよ」
レオ達がやって来たのは地底都市ジオシティ1号のショッピングモール内にあるチェーンショップだ。メニューにはカフェオレや豆乳ラテなどもあり、ホットドッグも定番のソーセージに加えベーコンなどの具材があり豊富である。レオ達はそれぞれホットドッグと飲み物を注文する。
「あっ、美味しいね!このベーコン入りホットドッグ」
「チェーン店ってことは一定の味は保証されてるからな」
とワトとトオルが感想を述べる。レオも笑顔でホットドッグを食べる。ふと、トオルが
「それにしても福島が着けてるサングラスって流行ってんのか?このジオシティに招待された人達の中に同じサングラスを着けた人をちらほら見かけるけど」
と呟く。そのサングラスを着けているワトは、
「そうかなあ?偶然じゃない?」
と答える。レオも内心
(確かに似たサングラスを着けた人が居たなあ。偶然なのか?)
少し怪し気に思っていたが、
(まっ、いいか。さて、今回のレポートはどれだけ書けばいいのかな?)
とすぐに気持ちを切り替えるのであった。
◇ ◇ ◇
一方、ジオシティ1号を管理している管制センターではジオシティの建設・管理に携わっている会社、『ジオフロントコーポレーション』のCEOが来ていた。CEOは管制センターの管理人やスタッフ達に
「今のところ異常は起きていないな?」
と質問する。事の起こりはジオシティ1号の建設中、『ジオシティの建設を止めろ、さもないと攻撃するぞ』といった意味の脅迫状がジオフロントコーポレーションに届いた。CEOは脅迫状を悪戯と判断、ジオシティの建設を続行したのだが……。
「はい、今のところ異常はありません」
とスタッフの1人が答える。するとCEOは
「しかし油断はできないな。引き続き警戒を怠るな」
と言うのだった……。
レオ達がジオシティ1号のビジネスガーデンエリアでホットドッグを食べながら談笑している頃、そのビジネスガーデンエリアの別の場所では2人の人物が話していた。
「とうとうジオシティ1号が完成したか……我々の警告はどうやら無視されたようだ」
「どうする?奴等、調子に乗っているぞ。そろそろ攻撃しては?」
2人はワトが着けているサングラスと同じものを装着していた。
「うむ。これ以上地上人に地下へ進出されては困る。そろそろ怪獣を仕向け、奴らの横暴に終止符を打とう」
「リーダー、テレスドンとデットンは既に待機させている。我々が号令をかければすぐにでも攻撃できる」
「そうか、では早速……」
とリーダーと呼ばれた人物が言う。その頃、食事を終えたレオ達はリゾートエリアの方に向かってみるかと店を後にしようとした時である。にわかに地面が揺れ始める。
「何だ!?」
「地震か?」
と周囲が騒ぎ始める。レオ達は咄嗟に身を屈め、揺れをやり過ごす。そして揺れは直ぐに収まったのだが、直後にジオシティ1号に大きな咆哮が轟いた!見るとそこには怪獣、『地底怪獣テレスドン』の姿が!!どうやら先程の地面の揺れはこの怪獣が地中から出現した事によるものらしい……。
テレスドンは地底都市に入り込んだ異物を排除するため暴れ回る。すると今度は別の方向からも怪獣が現れる。その怪獣はテレスドンによく似ている、テレスドンと同族の怪獣『デットン』だった。デットンもテレスドンと共にジオシティ1号のビル街を破壊する。テレスドンは口から『熱線』を、デットンも口から『火炎』を発射してビル街を破壊。ジオシティ1号は瞬く間に大混乱に陥る。
「まずいな……」
レオが呟く。するとワトは
「あれはテレスドンだね。もう1体の怪獣も……似ているけどちょっと違うね」
と冷静に言う。トオルはカメラを取り出し、
「よし!1、2枚撮ってから避難だ!」
と怪獣達にカメラを向ける。だが、レオが
「それよりも迅速に避難しましょうよ!?」
とツッコむ。するとトオルは
「いや、この1枚で何が起こったか分かるから後々役に立つ筈だ!だから……うわっ!」
トオルが話している途中でテレスドンが尻尾を振り回して攻撃してきたので、慌てて逃げる。そしてワトはレオに、
「じゃあ避難しようか」
と言う。レオも
「はい」
と同意する。一方その頃、管制センターで怪獣出現の報を受けたCEOは
「ただちに地球防衛隊に救援を要請しろ!ビジネスガーデンエリア内の避難状況はどうなってる!?」
とスタッフに尋ねるが、スタッフは
「現在、避難中です。しかし怪獣の暴れ方が激しく……」
と言う。するとCEOは
「おのれ!ジオシティは私の若い頃からの夢なのに、どうしてこんなことに……!」
と嘆くのであった……。
◇ ◇ ◇
ジオシティ1号に突如現れた怪獣、『テレスドン』と『デットン』。2体の怪獣は暴れ回りビル街を破壊していく。レオ達は避難しながらその様子を撮影していた。
「よし!いい画を撮れたぞ!」
と満足気に言うトオル。するとテレスドン達が暴れたことで発生した瓦礫がこちらに飛んできた。
「危ないっ!」
レオ達は瓦礫を避ける。その時、砕けた瓦礫の破片がワトのサングラスに当たり、サングラスが地面に落ちた。レオとトオルはワトを見る。
「「!?」」
2人が驚いたのも無理はない。ワトの目があるべき箇所には厚い膜で覆われており、まるで暗い場所で生きてきて目が退化した生き物の様だった!
「なっ!?なっ!?」
「福島先輩……じゃない!?」
困惑する2人に対して福島ワトと思われていた人物は
「あーあ、ばれちゃった……」
と言う。レオは
「あなたは一体……」
と聞くが、その人物はワトの声で答える。
「私は地底人よ。福島ワトに化けさせて貰ったの」
「地底人!?」
「そう、有史以前のずっと昔に地下4万mに移り住んだ人類の末裔なの私達。でも地上人って本当に目障りよね、今更地底に進出しようとして来るなんて。警告も出したのに無視されて、お陰で貴方達はこの地中都市と一緒に死ぬんだわ」
とワトに化けた地底人は言う。そしてテレスドン達に向かって叫ぶ。
「さあ、貴方達!地上人の始末は任せたわよ!」
すると、その声を合図にテレスドン達がこちらに向かってきた!レオ達は慌てて逃げるが、崩れた建物や瓦礫に足を取られてしまう。
「しまった……」
レオが呟くのと同時にテレスドンが火炎を吐いた!
「うわあっ!!」
レオは間一髪で避けたが、トオルは攻撃の余波で気絶してしまった。
「尾前崎先輩!」
レオは叫ぶが、テレスドンの尻尾が迫って来る!
「くっ……!」
レオは咄嗟にバリアを張り攻撃を防ぐ。しかしテレスドンの勢いは強く、徐々に押されていく……。そして遂にバリアにヒビが入り始めた!
「まずいっ!」
レオはサンフラッシャーのスイッチを起動する。辺りに光があふれた!
「お前は……うわあああああああああっ!?」
地底人は強い光に弱く、サンフラッシャーからの光を浴びて多大なダメージを負った。
そしてウルトラマンテラスが現れ、そのままの勢いでテレスドンにタックルを行った。テレスドンは地面に倒れ、テラスは気絶しているトオルを手でつかみ安全な場所に移動させた後、テレスドンとデットンに向き合う。
「シュワッ!」
テラスはテレスドンにパンチを繰り出す。だがテレスドンの皮膚は硬く、攻撃が通らない。
「ジュアッ!?」
更に後方からデットンがテラスに尻尾を振るう。テラスは咄嗟に前転して躱し、デットンの尻尾攻撃はテレスドンに命中する。
「ジュア……」
2体の怪獣はテラスを挟み込む様に移動し、同時に火炎を吐く。テラスは両手からバリアを張って火炎を防ぐが、その直後にテレスドンとデットンが身体を高速回転させながら体当たりしてきた!彼らの種族が地中を移動する技の応用である。2体のスクリュータックルを受けたテラスはたまらずよろめく。
「ジュアアッ!?」
そして2体は同時に突進してきた!テラスは咄嗟にバリアを張り、攻撃を防ぐ。だがテレスドン達のパワーが勝り、徐々に押されていく……。
その頃、
「うう……」
トオルは気がついた。そして身を起こすと遠くでウルトラマンテラスと怪獣達が戦っているのが見えた。トオルは咄嗟に写真を取ろうとしたが、彼のカメラは破損していた。
「ああ……、折角のシャッターチャンスなのに……。くそっ、頑張れー!ウルトラマーン!」
トオルは応援することしかできないが、それでも希望を捨てずに叫ぶのであった……。
テレスドンとデットンの2体に突進され、力負けしつつあるテラス。内心
(くっ……、どうにかしないと……。でもどうする?)
とこの状況の打開策を模索する。そして、
(そうだ!怪獣研究会で習ったけど、地底の怪獣は強い光に慣れていないって話があった。それなら……)
テラスはカラータイマーに力を込め、カラータイマーから閃光を放った。突然の閃光で目をやられたテレスドンとデットンは目を押さえて動きを止める。テラスはその隙を逃さずデットンの尻尾を掴み、テレスドンに向かって投げ飛ばす。
「ジュアアッ!!」
2体は激突し、地面に倒れる。テラスはその隙をついて飛び上がると空中で回転しながらエネルギーをチャージした!
「デヤアアアッ!!」
テラスは両腕を合わせそこから光線『シューティングスパーク』を放った!2体の怪獣に直撃するシューティングスパーク。そのエネルギーが爆発すると2体の怪獣は大ダメージを受け、爆発四散するのだった。その様子を見ていた地底人達は、
「おのれウルトラマン!計画が台無しだ!」
「リーダー!早く逃げましょう!地球防衛隊が迫っています!」
「くっ、仕方がない。テレスドンとデットンはやられたが我々はまだ生きている!次の機を見よう!」
と言い、地底の暗闇に姿を消すのだった……。
◇ ◇ ◇
体の怪獣を倒したテラスはウルトラマンとしての変身を解き、レオに戻る。そして怪我をしているトオルに駆け寄るのだった。
「大丈夫ですか!?」
「あ、ああ……」
「あの地底人という人が化けた福島先輩は?」
「分からない。あっ、地球防衛隊だ!ちょっと遅かったけど助けに来てくれたみたいだ」
トオルが指さす方には要救助者を探す地球防衛隊の隊員達が居た。レオとトオルは隊員に無事を報告する。すると隊長らしき人物が
「君達が怪我人だね?もう大丈夫だ」
と言うのであった……。
地底人達が撤退した後、レオ達は避難所に向かうことにした。避難所には既に多くの市民が集まっていた。一息ついたトオルが、
「そういえば、本物の福島はどうしたんだろう?」
と呟く。後で分かった事だが、本物のワトは自宅で家族と共に縛られているのが発見された。彼女達に怪我は無かったが、縛られた前後の記憶が無くなっていたそうだ。
「無事だといいんですけど……」
とレオも答える。そして避難所では地底人について話題になっていた。
「あの地底人達、一体何が目的で地上に出てきたんだろう?」
「さあな?でも、また来るかもしれないぞ」
と不安を隠せない市民達。レオは
(地底人が地上に進出しようとしているのは確からしいけど……)
と考えていた。すると避難所にジオフロントコーポレーションのCEOが現れた。CEOは
「ジオシティの皆さま、今回は皆さまを危険にさらし、誠に申し訳ございませんでした!」
と謝罪する。市民達は
「あまり気負わないでください。ジオシティのお陰でビジネスは順調ですよ」
と言う。するとCEOは
「ありがとうございます!その御恩に報いるよう、これからも地底人との戦いを続けていく所存です!!」
と宣言するのだった。その後、ジオシティ1号はオープン初日にして怪獣の被害に遭った為、しばらくの間休業となった。だがCEOの地下開発への情熱はまだまだ冷めていないようであった。
しかし、いつまた地底人との戦いが起きるか分からない……。人類がジオフロンティアを求め続ける限りまだまだ彼らとの衝突も続くだろう……。
駄文閲覧ありがとうございました。ご感想等お待ちしております。