とある街の地下、そこには侵略や闇商売によって利益を得る事を目的とする異星人達の基地が建設されていた。そこは地球における宇宙の犯罪者達の拠点になっており、日夜違法な取引が行われたりしている。彼らに明確なトップは無く、一応の幹部と言える存在はいるものの、トップが居ない故に根絶が難しい組織である。
その基地の一角、格納庫の1つで2人の異星人が黒いボディと金色の角を持つ怪獣、ブラックキングの前に立っていた。1人はブラックキングの主であるナックル星人ブロウ、もう1人は怪獣を資源として扱うことに長けている異星人であるノワール星人ダラルだった。ブロウは
「流石は怪獣改造の名手であるノワール星人だ。俺のブラックキングに見事な義手が出来たぜ」
そうダラルに言う。2人の前で眠っているブラックキングの右腕は機械製の義手になっていた。少し前に他の怪獣との戦いで右腕を失ったブラックキングにダラルが機械義手を制作して装着させたのだ。
「礼には及びませんよブロウさん。今回の改造は義手を用意するのと、義手を取り付けるアタッチメントの手術をすれは良いだけでしたからね、我々ノワール星人にとっては片手間で出来る事です」
ダラルはそう答える。そして、
「しかし、このブラックキングの改造には予算が掛かりましたからね……。ブロウさん、今回の報酬の代わりにやる事は分かっていますね?」
とブロウを見る。
「おう、最近この星に現れたウルトラマンテラスを倒せば、今回の改造料金はロハになるんだろう?」
「そうです。ウルトラマンテラスがいれば後々我々の邪魔になりかねませんからね。というか、この間手に入れる筈だったヘルベロスを倒されてしまいましたからね。ウルトラマンの存在のお陰で商売に大きな支障が出る前に潰さねばなりません……」
ダラルはそう呟き、ブラックキングを見る。
「ブロウさん、その為に貴方のブラックキングを改造したのです。暗殺宇宙人の異名を持つナックル星人の面目躍如をお願いしますよ」
「任せときな。ウルトラマンテラスの野郎、このナックル星人のブロウ様がぶっ倒してやるぜ!」
と自信満々に言うブロウだった。
◇ ◇ ◇
城東大学、レオは大学生らしく今日も今日とて講義を受けていた。
(サヨメさん、今日も帰ってきてないみたいだったな……)
レオはサヨメの事を考えつつ、講義を受けていた。講義をしている教授が、
「でだ、パゴス、ネロンガ、マグラー、ガボラ。これらの怪獣は共通の祖先を持つ近縁種、つまりは親戚同士という事になるな。次の宿題としてこれらの怪獣の共通点及び相違点についてのレポートをそれぞれ纏めてくるように」
と言った。
「じゃあ、今日の講義はここまで」
教授がそう言うと、チャイムが鳴り、学生達は帰っていく。レオも荷物をまとめて帰ろうとすると……、
「おーい!」
と声を掛けられた。声を掛けて来たのはワトだった。
「殿奈君も今帰りかな?」
「はい、福島先輩こそ早いですね?いつももっと遅いのに」
「まあね。今日はバイトも休みだったし、早く帰れる日だから」
とワトが言い、レオは
「そうでしたね」
と答える。ワトはふと周りを見回して、
「それにしても、ここ最近の殿奈君はちょっと浮かない顔が多いね?もしかして色恋絡み?」
と少しボリュームを抑えた声でそう尋ねる。レオは顔を赤くして、
「まっ、まさか!?違いますよ……、ちょっと知り合いと微妙な空気になったままでして……」
とワトに返す。すると、ワトは
「そっか……」
と呟き、
「まあ、その内仲直りできるよ」と励ましてくれた。レオは
「ありがとうございます……」
と言って大学を後にし、家路についた。
そして、部屋でレポートを書いていると室内に置いてあったサンフラッシャーがひとりでに転がって来てレオに接触したかと思うと、熱を放つ。レオがスマホでニュースをチェックするとここから遠くない港湾地に過去にも何度か出現例があるゲスラという怪獣が出現した旨の速報があった。
「行けってことか」
レオは部屋を少し整理すると、サンフラッシャーを起動した。
◇ ◇ ◇
上陸し、街を破壊するゲスラ。しかし、そのゲスラの頭部には過去に出現した個体とは違い機械が埋め込まれていた。どうやらこのゲスラは改造を受けていて他者にコントロールされているようである。そんなゲスラ・メカレーターの前にウルトラマンテラスが登場した。ゲスラ・メカレーターを前に構えるテラス。しかし、別方向から光線が飛んできてゲスラ・メカレーターの背ビレに命中する。
「ジュッ!?」
弱点である背ビレを破壊されたゲスラ・メカレーターはその場に倒れ込み、絶命した。テラスが光線が飛んできた方向を見ると、そこにはナックル星人ブロウとブラックキングがいた。
(何者だ!?)
「俺はナックル星人ブロウ。てめえの首を獲りに来たのさ!」
そう言ってブロウは相棒のブラックキングと共にテラスに襲い掛かる。ブラックキングの振るった腕を躱すテラス。しかしその先に居たブロウのパンチを受けてしまう。
「グアッ!?」
そのまま殴り飛ばされ、ビルに激突するテラス。そんなテラスに対し、ブロウはブラックキングと共に光線を放つ。テラスはそれを躱し、エネルギーを纏った蹴り、テラスキックを放つがブラックキングに弾き返されてしまった。
「ジュアッ!?」
そしてブラックキングは口から熱線、ヘルマグマを放つがテラスはそれをバリアで防ぐ。しかし、
「隙だらけだっ!」
バリアを張っていない背後からブロウに蹴りを入れられる。
「ジュアアッ!?」
地に転がるテラスだったが、シュリケンショットをブロウに放つ。
「おっと」
しかしブロウはブラックキングの陰に隠れ、ブラックキングを盾にする。そしてシュリケンショットはブラックキングの強靭な体表に弾かれるのだった……。
「へへっ、それくらいじゃあ俺のブラックキングはびくともしないぜ!」
そう言ったブロウはテラスの背後に回り込み羽交い締めにする。
「ジュアッ!?」
「そろそろとどめだ!やっちまえ!」
ブロウがそう言うとブラックキングの機械義手がドリルに変形した!そして、ブラックキングはドリルを回転させながら、動きを封じられたテラスに近づいていく。
「聞いたことがあるぜえ、お前らウルトラマンはカラータイマーが弱点だってな!このドリルはペダニウム装甲に穴を空けることが出来るんだよ!このままその胸のそれを粉々にしてやる!」
「ジュ……ジュア!(ま、まずい!)」
このままではウルトラマンテラスはその胸をドリルに貫かれてしまうだろう……。ブラックキングのドリルがテラスの胸に迫ったその時である!光弾が飛来し、ブラックキングとブロウに命中した。
「ぐおっ!?」
吹っ飛ばされる両者。テラスが光弾が飛来して来た方向を見やるとそこには、バルタン星人……、サヨメが居た。
「ジュア……!(さっ、サヨメさん!)」
サヨメはテラスの側まで来ると、
「おい、立てるか?」
と肩を貸す。テラスはサヨメに肩を借りつつ、立ち上がる。
「ジュア……(ありがとうございます)」
そして2人はブラックキングとブロウを見据える。
「何だてめえは?邪魔するんじゃねえ!」
「悪いが、この男を殺させる訳にはいかない」
「そうかい。なら一緒に死ねえ!」
ブロウがそう言うと同時にブラックキングは口から熱線を放つ!しかしサヨメはそれを躱す。そしてブロウにキックを放った。
「うっ!」
キックが命中し、ブロウは吹っ飛ぶ。
「ジュアッ!(今だ!)」
テラスも不意打ち気味に回し蹴りをブラックキングの顔面に炸裂させた。顔面への不意打ちは流石に効いたのか、ブラックキングの動きが止まる。
「ジュッジュア!」
その隙を逃さすテラスは更に打撃をブラックキングに与えていく。ブラックキングは反撃しようとするが、司令塔のブロウと分断されたこともあり、その動きは先ほどと比べて精彩を欠いていた。
「ちょこまかするんじゃねえこのアマ!」
一方ブロウはサヨメに向かって光線を発射するが、サヨメは光線を避けつつブロウに光弾を発射する。
「ぐおっ!?」
光弾を喰らいダメージを受けるブロウ。負けじとサヨメに殴り掛かるが、それも透明化で躱され逆にハサミ状の腕による打撃を受けた。
「うがあっ!?」
そしてサヨメはブロウをブラックキングの方に蹴り飛ばす。ブロウとブラックキングは激突して体勢を大きく崩した。それを見たテラスとサヨメはお互いに頷き合い、
「ジュアッ!!」
「はっ!!」
テラスは腕をL字に組みエルロンシュートを、サヨメは両腕から白色破壊光弾を発射し身動きの取れないブロウとブラックキングに命中させた。
「ぐああっ!?」
そのままブロウとブラックキングは共に爆発したのだった。そして、それを確認したテラスとサヨメは共に空へ飛び立ちその場を去るのだった。
◇ ◇ ◇
ブロウの戦いの様子をモニター越しに見ていたノワール星人ダラルは、
「やれやれ、ゲスラも貸したというのにこれでは大赤字ではありませんか」
と1人ため息をつく。そして、ダラルは
「ウルトラマンテラス……。これはそろそろ本格的に対策を考えた方がいいのかもしれませんね……」
と言って映像を切り、踵を返して基地の奥に消えていった。
◇ ◇ ◇
変身を解除したレオと地球人の姿になったサヨメは、並んで星雲荘への帰路を歩いていた。
「……」
「……」
2人は当初何も話さなかった。しかし、
「……その、今日はありがとうございます」
レオが口火を切った。サヨメも口を開く。
「そうか。……どうも、他にもお前の命を狙っている者がいるらしいな。気をつけるんだぞ」
「はい……、あのサヨメさん」
「何だ?」
「その……、俺、サヨメさんに嫌われてしまったのかと思っていました……」
レオはそう呟く。そして、
「……でも、それは俺の思い過ごしだったみたいですね」
と続けるのだった。するとサヨメも、
「ああ……、私もお前を嫌っている訳ではないさ」
と返すのだった。
「それで、サヨメさんはこれからどうするんです?」
「そうだな……、特に他に目的も無いし暫くは地球に滞在するつもりだ。纏まった路銀が無いと離れようにも離れられんしな」
「そうなんですか。じゃあまた一緒に戦ってくれるんですね」
レオがそう言うとサヨメは、
「……まあ、お前が良ければだがな……」
と少し照れ臭そうに言うのだった……。
「それにしてもアパートの隣人が異星人だったなんて驚きましたよ」
「……、君は気づいていないのか?あのアパートには他にも異星人が居るぞ」
「ええっ!?」
レオが鈍感だったのか、それともサヨメの勘が鋭かったのか……、それは誰にも分からない事だった……。
2人はその後少し会話した後、星雲荘に帰って行った。
駄文閲覧ありがとうございました。ご感想等お待ちしております。
当作でも色々募集することにしてみました。
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