TS貴族令嬢の複雑すぎる婚活事情   作:桜木桜

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第6話

 トルーニア公爵領。

 オーセン狩猟地にて。

 

 記念すべき、第一回競馬大会が実施された。

 

「素晴らしいレースでした」

「ありがたき幸せ」

 

 私は馬の所有者にトロフィーを手渡す。

 それから騎手の健闘を称え、優勝レイを身に纏った馬の頭を軽く撫でる。

 

 閉幕の挨拶をしてから、壇を下りる。

 一先ず、狩猟前の余興としては成功した。

 

 私の面目も保たれた。

 胸を撫でおろしていると……。

 

「いやはや、面白い余興であった。年甲斐もなく、熱中してしまったぞ」

 

 父が話しかけて来た。

 本来、今回の狩猟大会には父は参加しないはずだった。

 

 というのも、元々父はカーヴェニル王子が主催する王家の狩猟に参加する予定だったからだ。

 私の狩猟大会とは予定が被るので、父は参加できないはずだった。

 

 それにオーセン伯爵領での狩猟大会は、私の派閥の諸侯や騎士たちが参加する、いわば“ロゼリア派決起集会”のようなものだったからだ。

 

 「私を支持する者はこんなにいるんだぞ!」と父にアピールするつもりだったのだ。

 

 しかし父が参加を表明したことで、政治色が薄れてしまった。

 参加を渋っていた者たちも父と一緒に来てしまったので、狩猟大会参加者=ロゼリア派とは言えなくなってしまったのだ。

 

 私からすれば半分、大会を乗っ取られたようなものだ。

 してやられた。

 

 ……そこはまあ、いい。

 こういうやり方もあるんだなと私も学ぶことができた。

 

「お褒めに預かり、光栄です。お父様」

 

 私は複雑で陰鬱な気分を隠しながら返答した。

 

 私がモヤモヤするのは……父がカーヴェニル王子よりも、私を優先したことだ。

 カーヴェニル王子の狩猟大会に欠席するよりも、私の狩猟大会を壊すことを優先した。

 私のことをそれだけ脅威と見做した。

 

 その事実に……傷ついた。

 私のことをそんなに信じてくれていないのかと……。

 

 しかし冷静に考えてみると、父の立場からすると、私のことを信じられるはずもない。

 反抗的な態度を取っているのは私で、父はそれに粛々と対応しているだけだ。

 

 だから傷ついている自分自身の矮小さに驚き、幻滅した。

 

 これは例えるなら……母親に「お前の不味い弁当なんていらない」と言った翌日、本当に弁当が用意されていなかったことに傷つく反抗期の子供みたいな……。

 

 そういう子供っぽい、行き場もない感傷だ。

 悪いのは全て私だ。

 

 我が儘を言っているのも私だ。

 

「しかし騎手ではなく、第一に馬とその所有者を讃えるというのは奇妙に思ったが……」

 

 父は私の顔を見ずに話を続ける。

 

 この世界にも競馬大会は存在した。

 しかし優勝者として第一に讃えられるのは、馬ではなく、馬の所有者でもなく、馬に乗っている人物だ。

 

 馬はあくまで乗り物であり、主役は乗り手。

 それがこの世界の競馬だ。

 

 この世界の競馬は「馬を使った人間のレース」なのだ。

 

 しかし馬の改良を主目的とする以上、「すごいのは乗り手」ではダメなのだ。

 いや、乗り手だって凄いし立派だけど。

 

 第一に主役は馬じゃないといけないし、第二にその馬の所有者が讃えられなければならない。

 その辺りの概念の説明には苦労した。

 

 特に苦労したのは、「馬の所有者」と「乗り手」の分離である。

 というのも、この世界の人間は自分の馬に乗ってレースに出るからだ。

 

 要するに「馬の所有者」=「乗り手」なのだ。

 別に自分の馬に乗ってレースに出ちゃいけないとは思わない。

 しかし「馬の所有者」と「乗り手」は分離させなければならない。

 

 馬には乗れないけど、馬を育ててみたい。

 馬産に手を出してみたい。

 名誉が欲しい。

 

 そういう金持ちを馬産に参加させるには、「馬の所有者」≠「乗り手」とする必要がある。

 

「代闘士のようなものだと思えば、確かに。おかしな話ではない」

 

 代闘士というのは、「決闘」の際に当事者の代わりに戦ってくれる人のことだ。

 「決闘」では必ずしも本人が戦わなければならないわけではない。

 それと同じで「競馬」だって、「所有者」が直接馬に乗る必要はない。

 

 私は「競馬」を「決闘」に見立てることで、主馬頭たちを納得させた。

 

「良く思いついたものだ」

「……ありがとうございます。せっかくですから、お父様も次の大会で馬を出場させては?」

「ふむ、そうだな。考えて置こう」

 

 ……どうせ考えるだけのくせに。

 

 

 

 

 余興が行われた翌日。

 今日は狩猟大会の本番だ。

 

 私はラザァーベル伯爵を始めとする諸侯、そして騎士たちと共に大きなテーブルを囲んでいた。

 

「それでは配置の確認を行います」

 

 オーセン狩猟地を担当する狩猟頭が、テーブルの上に石を置いていく。

 

 狩猟頭とは、騎士頭や主馬頭に並ぶ騎士の重要役職だ。

 三つ合わせて三頭と呼ばれている。

 

 主な職務は狩猟地の管理である。

 その他にも御料林や鉱山、塩田の管理なども狩猟頭の担当となる。

 

 裁判などを執り行う騎士頭と比較して政治権力はそれほどないが、管理費の名目で税を徴収できるので、ポジションとしてはかなり美味しい。

 

 騎士頭よりも、狩猟頭になりたいという騎士もいるだろう。

 

「今の季節、この辺りでは風は北から南へ吹きます。故に北から南へ、魔獣を追い込みます」

 

 今回の狩猟は以前に王領で行われたような二人一組でやるようなものではない。

 みんなで協力し、集団で魔獣を一網打尽にする形式で行われる。

 

 これは事実上、包囲戦の再現であり、軍事演習だ。

 そのため極めて政治性が強い。

 

「中央を担いますのはロゼリア様。右翼はラザァーベル伯爵。左翼は――」

 

 配置は中央、右翼、左翼、そして背面の四つ。

 中央に向かって右翼と左翼が包囲を縮め、背面の担当者が中央へと追い込んでいく。

 主役は中央だが、もっとも重要な役回りは背面だ。

 

 故に背面の担当者は、中央を担う主役がもっとも信頼・信用する人物が担うわけだが……。

 

「背面は公爵様が担います」

「任された」

 

 父は満面の笑みで頷いた。

 

 本当はラザァーベル伯爵の予定だったが。

 父が参加する以上、背面を父に任せないわけにはいかなかった。

 

 計画が台無しだ。 

 気分が晴れない。

 何だか、イライラする。

 頭まで痛くなってきた。

 

「それでは……姫様」

「はい。共に狩猟を成功させましょう!」

 

 私は貴族や騎士たちの顔を見渡しながら言った。

 早く終わらせたい。

 

 

 

 

 私が担当する“中央”は、狩猟地である森と平野の境界線に当たる場所だ。

 事前に下準備として樹木の伐採が行われており、見通しが良い。

 

 右翼・左翼・背面の担当者が魔獣を追い込み、魔獣を森から引きずり出す。

 それを魔法で一網打尽にするというのが今回の作戦である。

 

「姫様。皆さま、配置に付かれたようです」

 

 騎士スティーンが私にそう伝える。

 後は私が合図を出すだけで狩猟が始まる。

 

 私は手を空に向ける。

 

「攻撃……開始!!」

 

 号令を掛けた。

 同時に森の中から、次々と小さな爆発音のようなものが響き始める。

 

 音と光で魔獣を含めた動物たちを、追い込み始める。

 伝令が私と、父を含めた貴族たちの間を駆けまわる。

 

 穴が開かないように適切に指示を出していく。

 

「姫様!」

 

 森の中から大きな鹿が飛び出した。

 異常なまでに角が大きい。

 

「まずは一頭」

 

 私が放った矢が鹿の眉間を貫く。

 それを合図に魔獣たちが、次々と飛び出す。

 

 貴族たちは矢を用いて。

 そして距離を詰めて来た魔獣は騎士が槍を用いて。

 適切に処理していく。

 

 一方で魔獣ではない動物は攻撃せず、そのまま見逃す。

 森の奥からも、強力な魔力の反応や戦闘音が響き始めた。

 

 辺りに血の匂いが満ち始める。

 吐き気がする。

 

 私は込み上げてくる吐き気を堪えながら、攻撃を続ける。

 

 そして正午。

 早朝から約六時間以上の狩猟の成果として、千頭の魔獣を討伐することに成功した。

 

 正午から夕方にかけて、魔獣を解体する。

 得られた魔瘴石を貴族や騎士たちの間で分配する。

 

 肉については冷凍保存され、その殆どは商人たちに売却される。

 毛皮や角、牙なども同様だ。

 

 そして夜。

 大きなかがり火を焚き、キャンプファイヤーが始まった。

 

 貴族や騎士たちが互いの健闘を称え合う。

 魔獣の肉が料理され、酒が振る舞われる。

 

 ……この夜を乗り切れば、もう狩猟は終わりだ。

 

「ロゼリア」

 

 バカ騒ぎをしている貴族たちを眺めていると、声を掛けられた。

 声を掛けて来たのは父だ。

 

「見事な指揮であった」

「お褒めに預かり、光栄です」

 

 私は小さく頭を下げた。

 実質的な指揮を執ったのは私ではないが……。

 狩猟も戦争も大事なのは指揮官の任命を含めた事前準備。

 

 狩猟が上手な貴族と下手な貴族の差は、そういう部分にあるとされる。

 

「しかし至らぬ点も多かったかと思います」

「経験が浅いのだ。失敗の一つや二つ、あるだろう。少なくとも同い年の私よりは、遥かに巧みで堂々たる指揮であったぞ」

 

 そう言う父は上機嫌だった。

 本当に私の成長が嬉しいのか、お世辞なのか。

 暗がりで表情が読めない。

 

「せっかくだ。……少し二人で話をしないか?」

 

 取り留めもない雑談をしてから、父はそう切り出した。

 これは事前の打ち合わせ通りだ。

 騎士スティーンとデラーウィアの二人から伝えられていたことだけど……。 

 

 ズキッ……。

 頭痛がする。

 

「申し訳ございません」

「……」

 

 私は頭を下げた。

 

「少し体調が……優れず。今日は早めに寝ようと思っております」

 

 狩猟の最中から、ずっと気分が良くなかった。

 少し休んでから良くなったけど、さっき熊鍋を口にしてから、吐き気が戻って来た。

 

 脂が良くないのかもしれない。

 

 何にせよ、この状態でまともに話せる自信がない。

 

「……左様か」

 

 父は沈んだ声で答えた。

 

「それではまた後日。ゆっくり休むと良い」

 

 それから一転して明るい声になる。

 ……父の機嫌を損ねてしまっただろうか。

 

「それでは失礼いたします」

 

 失敗したかもしれない。

 あとで謝罪の手紙を送ろう。

 

 こうして狩猟大会は終了した。

 

 

 

 

 

 狩猟大会の翌日の夜。

 ブドゥーダル公爵マカートスとその臣下たちは、宿泊先の城の中で会議を行っていた。

重苦しい空気の中、マカートスが口を開く。

 

「まさか、娘に会話を拒絶されるとは。……初めての経験だ」

 

 軽口を叩くような口調でマカートスは言った。

 しかしながら事態は決して軽いとは言えなかった。

 

 マカートスはロゼリア主催の狩猟大会に自ら参加し、話し合いの場を設けようとした。

 これは父親として娘に対する最大限の譲歩と言える。

 そしてロゼリアもその会談を受け入れたはずだった。

 

 しかしそれを直前になって拒絶した。

 ロゼリアはマカートスの面子を潰したのだ。

 

「果たして、今のロゼリアとどうすれば話ができるのか。……そもそも、したところで意味はあるのか」

 

 現状、ロゼリアはマカートスに対して譲歩する姿勢を見せていない。

 会談すら、拒んだのだ。

 これでは手の打ちようがない。

 

「旦那様。ご進言をしてもよろしいでしょうか」

「発言を許す」

 

 筆頭騎士頭サンブラッグは前へと進み出る。

 騎士頭の代表者として発言した。

 

「これ以上、姫様を自由にさせておくとは邦のためにも、お家のためにも良いことではありません」

 

 これ以上、ロゼリアの我が儘を許せば邦と家の秩序に影響が出る。

 筆頭騎士頭サンブラッグの主張にマカートスは苦々しい表情で頷いた。

 

「あぁ……少々、ロゼリアの実力を甘く見ていた」

 

 どこかでロゼリアは折れるとマカートスは考えていた。

 結果としてロゼリアは折れず、邦を二分する事態となっている。

 

「あらためて会談に応じるように求めるべきであると進言いたします」

 

 ロゼリアに会談に応じるように求める。

 これは現状のマカートスにとってはリスクの大きい行為だ。

 

 そもそもとして、ブドゥーダル公爵であり、ロゼリアの父であるマカートスはロゼリアに対する命令権を持っている。

 しかしだからこそ、この命令権を行使できない。

 ロゼリアがこれを拒絶した時点で、両者の溝が決定的になってしまうからだ。

 

「……求める、か」

 

 故に「求める」という表現となる。

 「命令」はその後だ。

 「求める」は言ってしまえば最後通牒の一歩手前である。

 

「しかし会談を重ねたところで、ロゼリアに譲歩の意思がないようではな」

 

 マカートスは額に手を当てた。

 現状、ロゼリアは自身の政治的主張を曲げる気配がない。

 落としどころは見つかっていないのが実情だが……。

 

「旦那様。恐れながら……会談を重ねることに意味があるかと」

 

 マカートスとロゼリアが話し合っている。

 それだけで内外に与える印象は異なると、騎士頭ワンダーグラスは主張した。

 

 実際のところ、騎士たちにとっての最大の関心事は邦の一体化であり、内乱の回避である。

 最悪は両者が決裂することであり、また決裂しているように内外から見えることも重大だ。

 

 例え両者の主張が平行線であったとしても、内外から一枚岩であるように見えるのであれば、一先ず問題を先送りにできる。

 

「わかっている。しかしいつかは結論を出さねばならん。……しかし全く、治る気配がない」

「……まだ一年も経っておりませぬ。旦那様」

「侍女長からも姫様には旦那様に対する反抗の意思はないと聞いております。今は辛抱する時かと」

「あぁ……そうだな。そうだが、しかし……少し疲れた」

 

 マカートスにとって、ロゼリアは期待の後継者だった。

 自分は後継者に恵まれた幸福な領主であると思っており、余所の後継者問題を他人事と捉えていた。

 それ故にロゼリアの反抗的で強情な態度はショックだったのだ。

 

「そもそも……私は元々、公爵になるつもりはなかった。兄上が急死したから……この地位に就いただけのこと」

 

 マカートスには兄がいた。

 兄の名はグレイブス。

 あの冷酷で残忍なカラブルス公も、そして気難しいプルーメラ大公も、グレイブスのことは気に入っていた。

 誰もが認める、ブドゥーダル公爵家の後継者だった。

 

 元々、ロゼリアの母であるシルヴィアはグレイブスの婚約者だった。

 しかしグレイブスは“アーマリアの呪い”を受け、亡くなった。

 

 代わりにマカートスが後継者となり、シルヴィアと結婚することになった。

 そして生まれたのがロゼリアだ。

 

「……私は中継ぎの公爵だ。子育ても下手だ」

 

 シルヴィアが亡くなり、マカートスがアントシアと再婚した後。

 ロゼリアはプルーメラ大公によって誘拐され、プルーメラ大公領で次期プルーメラ大公として育てられることになった。

 

 数年後、プルーメラ大公との交渉がまとまり、マカートスは久方ぶりにロゼリアと再会し、愕然とした。

 当時、ロゼリアは六歳だった。

 しかし六歳とは思えないほどに優れた学識と教養、礼儀作法を身に着けていた。

 

 完璧な貴族令嬢だった。

 ロゼリアはプルーメラ大公領とブドゥーダル公爵領を行き来する生活を送っていたが、時が経つにつれて美しく、そして何より賢く成長した。

 

 そしてマカートスは自身の手で育てたブランシュとルージュを、ロゼリアと比較した。

 

 プルーメラ大公の方が遥かに教育者として優れている。

 自分と妻であるアントシアは、親としての能力に欠けている。

 それを認めざるを得なかった。

 

 そしてアントシアが不妊となり、男児を望めなくなった。

 自身の父のように、アントシアを殺害するような選択はできなかった。

 

 しかしブランシュとロゼリアを比較すると、血統的にも能力的にもブランシュは見劣りした。

 

 悩みに悩み、マカートスはロゼリアを後継者とすると決めた。

 

 ロゼリアは女子だったが、それを補って余りあるほどに優秀だった。

 後悔はなかった。 

 捕虜となっていた時、ロゼリアが単独で内乱を沈めたと聞いた時は、自分の選択は正解だったと喜んだ。

 

 しかし……。

 

「頼むから、どうか安心して後を託させてくれ。それとも私が……」

 

 誤っているというのだろうか。

 マカートスは大きなため息をつき、それから左右に大きく首を振る。

 

「すまない……主君としてあるまじき弱音を吐いた。忘れてくれ」

 

 マカートスは自身を鼓舞するように膝を打った。

 そして騎士たちに命じる。

 

「羊皮紙とインク、ペン、そして国璽を持ってきてくれ。ブドゥーダル公爵として、ロゼリアに手紙を出す」

 

 今までは貴族の一人、父親として、マカートスとして手紙を出していた。

 その名義をブドゥーダル公爵とする。

 

 それはロゼリアに対する圧力が一段、引き上がることを意味していた。

 マカートスの覚悟に騎士頭たちは頷き、手紙の準備を始め……。

 

「ご注進、ご注進でございます! 旦那様!!」

 

 と、そこで駆け込んできたのは一人の女性だった。

 マカートスにどことなく、顔立ちの似たその少女はロゼリア付きの専属侍従デラーウィアだ。

 

 息を切らし、その表情には焦りの色が見えた。

 

「何事か」

「お母……侍女長アールゴキアより、ご注進です。旦那様の耳にのみ、お伝えせねばならぬことがございます」

 

 筆頭騎士頭サンブラッグの問いに侍女デラーウィアは答えた。

 サンブラッグは怪訝そうな表情を浮かべる。

 そこでマカートスは立ち上がった。

 

「良いだろう。……人払いは必要か?」

「まずは密書をご確認ください」

 

 侍女デラーウィアは自身の父に手紙を渡す。

 マカートスは手紙を開き……。

 

「なっ……! ロ、ロゼリアが!?」

 

 顔が真っ青に染まった。

 




なお、グレイブスが死ぬ前のマカートスの婚約者はアントシアでした。
グレイブスが死亡したことで、玉突き事故によりアントシアが弾き飛ばされ、シルヴィアがマカートスと結婚することになりました。
アントシアがシルヴィアを恨んでいるのはそういう経緯です。
婚約破棄系ヒロインです。
第一部の時点では続くかどうかわからず、設定だけ存在していましたが……。
第一部8話で当てた人がいました。
すごいですね。ピタリ賞を差し上げます。

ちなみに当時のクーランベル伯爵は、抗議しつつも補償として利権ももらえた上に政略結婚の弾が戻ってきたと喜びました。


没設定1
大本の設定ではマカートスとアントシアの関係は「婚約破棄」ではなく「離婚」でした。
しかしさすがに可哀そうなのでやめました。

没設定2
当初の当初ではロゼリアには兄がいました。
アントシアのお腹にいる時点では嫡出だったけれど、生まれた時は非嫡出で、しかし再婚したことで嫡出に舞い戻るというそこそこ重い過去持ちでした。
ロゼリアに対しては攻撃的な上に男尊女卑的な思想の悪い奴で、ロゼリアが前を横切ったという理由だけで、蹴り飛ばすようなやつでした。
……と見せかけて、シスコンでした。
ロゼリアとの仲は意外と悪くなく、嫁ぎに行くロゼリアに「冠婚葬祭と祝い事がある時以外は顔を見せるな」(ちゃんと顔を見せろ)、「お前は意外と抜けているから、何かあるときは必ず報告しろ」(心配だから定期的に手紙を出せ)と声を掛けてくれる人でした。
ただ、こいつがいるとロゼリアが兄に頼り切りで、主人公として動いてくれなかったので、存在ごと抹消しました。
兄がいると、ロゼリアは「私、結婚したくないの。子供も作りたくないから。ビジネス結婚でいいよね?」などと舐めたことを言い出すので。
そもそも殺す予定のキャラだったので、だったらいなくても成立するかな……と。
ただ完全抹消されたわけではなく、ややブランシュちゃんに性格が引き継がれています。

没設定3
1と2を重ね合わせると、アントシアとマカートスが離婚した時にはお腹に男の子がいたけどに……。
というのが脳裏を過りましたが、いくら何でも重すぎるというか露悪的なものを感じたので、没になりました。


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