ウララ「トレーナー!この子飼ってもいーい?」ト「元いた場所に返してきなさい!(戦慄)」 作:コウハクまんじゅう
待たせたな!(cv若本規夫)
インフルエンザやっちゃいました…ここ最近投稿していなかったのもそれが原因です。今は平気ですが、皆様もインフルにはお気をつけくださいませ…
感想、評価ありがとうございます。執筆の励みになっています。これからもガツガツやってくれると嬉しいです(狂喜乱舞)
暖かな日差しが大地を照らすお昼時。昼食を終えた生徒たちは再び活動を開始しており、校内には再び活気が満ちていた。
しかしそんな明るく賑やかな雰囲気にはそぐわない、緊迫感に包まれた場所があった。人目につかず、整備が行き届いていないのか雑草が生い茂った校庭のとある一角。
そこには2人のウマ娘と3匹の奇妙な生き物がいた。
「う…」
(お、大きい…遠目から見ても思ったけど、近くで見ると一層威圧感がある…)
突然背後に現れた異形の怪物を前に一切身動きをとれずにいると、ハルウララにたくあん、けちゃっぷと名付けられた珍妙な生き物達が私の前に出てきた。
「えっ、たくあん、けちゃっぷ!?どーしたの!?」
「お待ちなさいな。」
明らかに危険な目の前の怪物に怯むことなく近づいていく2匹をハルウララが心配するが、ラモーヌがそれを制した。
無警戒に近づいていく2匹だったが、怪物の前まで来るとおもむろに首を持ち上げて目を見つめ始めた。その様子を見るに、どうやら意思疎通を図っているようだが声一つ上げずにどうやっているのか。
ラモーヌも同様の結論に至ったのか沈黙して3匹の様子を見守り、ハルウララも場の空気を感じ取って大人しくしていた。
「「「…………」」」
3匹はしばらく見つめ合っていたが、突然真っ黒な怪物が動き出した。その様子を固唾をのんで見守っていたが、特にこちらへ向かってくる様子は見せず周囲の草をなぎ倒しながら奥地に消えていった。
「ばいばーい!」
「………」
怪物が去ったのと同時に緊張が解け、脱力して地面に座り込んでしまった。ついさきほどまでそこにいたはずの異形の怪物でさえ、去ってしまえば夢だったのではと錯覚させられる。
しかし怪物がいたところには巨大な足跡と尻尾を引きずった跡が確かに残っていた。茂みの奥を見ながら呆然としていると、背後から物音がした。
「あれ?ウララと…え!?たくあんとけちゃっぷ!?なんでここにいるんだ!?それにミスターシービーとメジロラモーヌまで…一体どうなってるんだ…」
どうやらハルウララのトレーナーが来たようだ。この珍妙な2匹の名前を知っているあたり、彼も何かしら噛んでいるのだろう。
「トレーナー!あのねー!」
ハルウララがかくかくしかじか事情を説明すると、トレーナーは気の毒になるほど顔を真っ青にしながらお腹を抑えていた。そんなトレーナーに追い打ちをかける知らせがやって来た。
「あっ、トレーナーさん!」
校舎の向こうから誰かが走ってきた。緑の帽子に緑のスーツが特徴の理事長秘書の駿川たづなだ。その姿を捉えるや否やたくあんとけちゃっぷは雑草の中に体を突っ込んで身を隠した。
「たづなさん?どうかしたんですか?」
「はい…ってあら?ミスターシービーさんに…メジロラモーヌさんに、ハルウララさん?」
なんとも奇妙な組み合わせに一瞬立ち止まって首を傾げるも、トレーナーに促されて話を始めた。
「理事長がお呼びです」
死刑宣告を受けたトレーナーは胃薬の在庫はあったかどうか心配しつつも「すぐに行きます」と返答したあと処刑台を一歩ずつ登る死刑囚の如く重い足取りで場を後にした。
「はは、理事長のお呼び出しかぁ…君のトレーナーも大変だね」
なんとか立てるほどになったが、まだ足取りがふらふらしておぼつかない。やはり先程の衝撃は相当だったようだ。
「トレーナー、どうしたんだろ?」
「まぁ…大丈夫じゃない?」
明らかに大丈夫そうな雰囲気ではなかったが…まあ彼が何かしたのだろうから私には関係のないことだ。
「………」
ガサガサと草をかき分けて先程の2匹が出てきた。2匹はのそのそと私の横を通り過ぎ、そのままハルウララの元へと戻った。それを見ながらふと疑問に思ったことを口にした。
「…そういえば。ずっと聞きたかったんだけどさ、その子達って何なの?」
「わかんない!」
そう屈託のない笑顔で言い切られてしまうと何も言えなくなってしまう。飼い主である彼女が分からないのであれば、これ以上追求できないだろう。そう判断して「そっか」とだけ言い、校舎へ戻ろうとし、立ち止まった。
「あっ、そうだ。たまに部屋に遊びに行ってもいい?」
くるりと振り返り、ハルウララとそのそばに控えている2匹を見やった。ハルウララは「いいよっ!」と二つ返事でOKをくれた。
「あら、じゃあ私も気が向いたら伺おうかしら。」
「うん!いつでもうぇるかむだよ!」
そのやり取りを微笑みながらみていたが、踵を返すと今度こそ振り返らずに校舎へと戻った。
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「おお、シービー。どこ行ってたんだ?」
「ちょっとその辺」
校舎に戻った私は特にやることもなかったので、エースの元を訪れていた。こうして彼女と話していると先程あった事がすべて夢だったのではないかと思えてくる。
「…ん?シービー、なんか楽しいことでもあったのか?」
「べつに〜」
購買で買った『しゅわしゅわサイダー』なる炭酸飲料水を口に含む。口の中で炭酸の泡が弾け、口内の粘膜がひりつく。
「………やっぱなんかあったろ、顔に出てるぞ!」
「そう?」
じっと顔を見つめてくるので見つめ返していると顔を赤くして背けてしまった。残念、もっと見たかったのに。
「と、とにかく!楽しいのはいいが、夏合宿も近いんだからあまりはしゃぎ過ぎるなよ?」
「わかってるって…そういえばあったね、夏合宿」
合宿中はあの子達に会えないので残念だ。せっかく楽しそうなことを見つけてもすぐに予定が入ってしまう。
「ま、エースがいるし、いっか」
「?あたしがどうしたって?」
「なんでも〜。それよりも、このあと走ろう。今とっても走り出したい気分なんだ」
「おう!いいぜ、とことん付き合ってやる!」
それを聞きながら、残りの炭酸水を一気に飲み干し、共にレース場へと向かったのだった。
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気の進まない、といった様子で礼儀正しくドアをノックする音が廊下に響き渡る。
「どうぞ〜」
中からおっとりとした女性の声がした。それを聞いていよいよ覚悟を決めてドアノブを捻るトレーナー。ガチャリ、と厳かな音を立てて静かにドアが開いた。
「感謝!忙しい中よく来てくれた!」
そこには大きなデスクとは不釣り合いな小さな少女が扇子を広げて座っていた。少女の頭の上には猫が乗っており「なーお」と眠たそうに鳴いていた。
少女の隣には理事長秘書である駿川たづなと、生徒会長であるシンボリルドルフが控えていた。
生徒会長、理事長秘書、理事長。もうどうあがいても絶望しかないような面々を見て、俺もこれまでかと思いながら口を開く。
「はい、それで今回は一体どのような…?」
もう分かりきってはいるが念の為に聞いてみる。トレーナーの言葉にうむ、と頷くと少女…トレセン学園理事長、秋川やよいはおもむろに口を開いた。
「単刀直入に言わせてもらうと、君と君の担当しているウマ娘が飼っているという、謎の生物についてだ。」
ついに恐れていた事が現実になった。そう認識するとトレーナーの胃が激しく痛みを訴え始めたのだった。
一話越しにようやくちゃんとトレーナーの胃を破壊できた…(満足)
8話の時点で盛大に「ぶっ壊す」とか言ってたのに思ったような感じにならなかったので「一分一秒でも早くトレーナーの胃をぶっ壊したい!」と虎視眈々と機会を狙っていた次第です。