ウララ「トレーナー!この子飼ってもいーい?」ト「元いた場所に返してきなさい!(戦慄)」   作:コウハクまんじゅう

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 夏合宿三段活用(使いまわし)はもう終わりダァ…(ねっとり若本規夫ボイス)。



接触

 

 

 あちらこちらをキョロキョロ見渡し、()()()を探す。

 気配からして、かなり近くにいるのは分かる。試しに低くうなってみると、どうやら向こうもこっちに気づいたようだ。木々をなぎ倒す音が響き渡り、林の中から姿を見せた。

 

 夕闇の中にぼんやり浮かび上がる、真っ赤な光。それに照らされる無機質な眼球がギョロリと見下ろした。身長差のため、こちらが向こうを見上げる形となった。

 こいつこそ、探していた仲間の内の1人、鎌倉さん(シンゴジ)である。

 

『……ミレゴジ。息災か』

 

 ぶっきらぼうな口調で語り掛けてくるが、その声色は安堵と喜びに満ちていた。こいつはこんな見た目と喋り方で誤解されやすいが、仲間や家族の事を第一に考えて行動するいいヤツなのだ。

 

『まあな。久しぶりだな、シンゴジ。()()()の様子はどうだ?』

 

『…皆、健在だ。』

 

『そうか、そりゃよかった』

 

『…お前の縄張りはいいのか』

 

 ピクリとも動かない無機質な目が、こちらを気遣うように僅かに揺れた。それに対してフンスと自慢気に鼻息を吹き、耳をくりくりと動かした。

 

『まぁ、大丈夫だろ。エビラ共がウロウロしていたがぶっ飛ばしたし、もう湧いてこねーだろ。』

 

『…フ、相変わらずだな』

 

 表情と話し方が固い無骨なヤツに見えて、言葉の節々に感情豊かなのが伝わってくるのがこいつの面白いところだ。さて、世間話もほどほどにそろそろ本題に入るか。

 

『……んで、()()はなんだって?』

 

『…うむ。やはり、我らが主達は近い内に学園(ここ)を何かが襲うと予見された。よって我々は今この世界にいる面子をここに集結させて対処せねばならん』

 

 我ら一家が派遣されたのはそのためだ、と重々しく語られた。シンゴジ一家が来たからにはこれはただ事ではないなと思いつつも、疑問に思ったことを口に出す。

 

『……その時、俺達は表立って暴れられんのか?』

 

『…蒲田と品川によれば、ここを支配している上層部に話は行っているようだ。しかし、まだ大手を振って表を歩くことはできんな。』

 

 それに、と苦い顔をしながら続けた。

 

『ここの人間やウマ娘達の大半は我々(呉爾羅と怪獣)の事を知らぬ。一部の者は知っているようだが、やはり(いくさ)となったら人間、ウマ娘共に混乱するだろうな』

 

『そりゃ面倒だな』

 

 だが、と話を続ける。

 

『…主達から、ここの上層部に我らが受け入れられやすいように口添えしてくれるそうだ。今夜にでも話をつけてくれるだろう』

 

『おお、ありがてぇな』

 

 シンゴジの言葉に、つい最近助けたあの黒髪のウマ娘を思い出す。彼女が怪獣のことを知っているかどうかまでは分からないが、あの様子を見るに知らないのだろう。

 

『…必ず、守護(まも)りきるぞ』

 

『…ああ』

 

 守護(まも)りきる。その対象は、口に出さずとも解りきっていた。互いに今一度目を合わせ、決意を固くするのだった。

 

『この世界にはあと2人仲間がいる。さっさと集めなきゃな』 

 

『…そう憂う必要はないだろう。近い内に2人とも、必ず来る。』

 

 確信、というよりもまるで分かっているかのように言い切った。シンゴジに同じく、何となくそんな予感はするが。

 

『…所で、どうやってここへ来た。まさか、陸を渡ったわけではあるまいな。』

 

『あぁ、それか。()()を使ったんだよ。』

 

『…通路か。向こうで聞いてはいたがいつの間に繫げていたのか』

 

 通路とは、三女神がこの世界に作った抜け道のようなものである。出入り口には特殊な細工がしてあり、基本的に呉爾羅が使う時にしか現れない。しかもそのほとんどは人目につかない所に設置してあるので、目撃されることもない。

 

 そして、この通路は呉爾羅しか通れないというわけではなく、人間やウマ娘も通れる。

 三女神が呉爾羅の移動を円滑にするために考案されたもので、この通路はトレセン学園から至る所に伸びている。

 

『あの人達はあれでいて結構アクティブだからな』

 

『……そうだな。「手助けしてくる」「様子を見てくる」「あの2人もどかしいからちょっとやらしい雰囲気にしてくる」と言って、頻繁にこの世界に干渉している。昔からな』

 

 感慨にふけるように呟いたあと、突然何かを探すように視線を彷徨わせ、ある方向で止まった。気になって同じ方を向いてみると、慌ただしく何かが走り去っていくのが目に入った。

 

『なんだあれ』

 

『…あれが、蒲田と品川が世話になっている人間だ。』

 

『へぇ、あれが』

 

 夕闇に包みこまれた林の間からちらちら覗く影が遠ざかっていくのを見ながら呟く。特に興味も湧かなかったので、シンゴジと共に林の奥へと身を隠すのだった。

 

 

 

 

 

「やばいの見ちゃった…あぁ、理事長に何て言えばいいんだよ…」

 

 気分転換にと散歩に出たはずが、新しい爆弾を抱えて帰ってきてしまった。

 しかし、口ではぶつぶつと文句を垂れながら、頭では新しくトレセン学園にやってきた呉爾羅について報告書にどう付け加えようか考えを巡らせていた。

 

 いっそ悲しいくらい、トレーナーは優秀であった。同時に、最近お世話になっている薬局に行って胃薬を買おうと痛む腹をさすりながら足早に歩くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「慰労ッ!今日もご苦労であった!」

 

 勢いよく扇子を広げる音が響き渡る。その部屋には大量の資料が綺麗に整頓されていたが、対照的にその部屋にいる2人の顔には疲労の色が見て取れた。

 

「はい。お疲れ様でした理事長」

 

「感謝ッ!たづなもよくやってくれた!」

 

 お互いに労い合うと、軽く伸びをした後にたづなが先に退出した。それを見届けると、残りの資料を軽くまとめ始めた。こうでもしないと「働きすぎだ」と止められてしまうのだ。

 

「……ふぅ、さて。」

 

 ようやく今日の分の区切りがつき、理事長室を出ようとすると強烈な睡魔に襲われた。

 

「むぅ…?疲労か?このまま外を歩くのは危ないか…」

 

 仕方なくソファに横たわり、仮眠を取ることにした。目をつぶった途端、深い穴に落ちていくような感覚と共に意識が落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気がつくとどこまでも続いている平原が広がっていた。空は澄み切っていて青く、夢と現実の境目がまるで付かなかった。

 

「ここは…?」

 

 確か自分はソファーで仮眠を取っていたはず。そう思って呆然としていると、突然後ろから声をかけられた。 

 

「やあ!私達の可愛い水獣たちが世話になってるね!」

 

 あまりの声の大きさに思わず体を震わせて後ろを振り返ると、そこには赤い髪をしたウマ娘がいた。しかし彼女はどこかで…

 

「…ダーレー、突然騒がしくするなと言っただろう。」

 

「まぁいいじゃない。明るい所が、ダーレーの良いところよ」

 

 いつの間にか2人増えている。1人はこめかみに手を当てている黄色い服を来たウマ娘、もう1人は青い髪に青い服を着たウマ娘。

 

「な、なんだ…?」

 

 あまりの驚きに声を出せずにいると、こちらが放心状態に陥っているのを見かねて青い髪のウマ娘が話しかけてきた。

 

「今日は貴方に話があって来たの」

 

「話?私に?」

 

「ああ、そうだ。」

 

 帽子を被り直し、改まった様子で喋る黄色い服のウマ娘。それを引き継ぎ、赤髪のウマ娘が話し出した。

 

「キミも知っての通り、いま学園には変な生き物が潜んでいる。それこそが私達三女神に仕えている水獣、呉爾羅だ」

 

「三女神…呉爾羅…」

 

 突然のことで停止していた思考が再開した。どうやら今目の前にいる3人のウマ娘は三女神で、学園に入り込んできたあの珍妙な生き物は「呉爾羅」と言うらしい。

 

「呉爾羅とは、ウマ娘を守るために私達が送り込んだ水獣だ。今そっちには合計で6体いる。そして今、悪意のある何かが学園に近づいて来ている。」

 

「君には、いざという時呉爾羅達が動きやすいように取り計らってほしい」

 

「いきなり押しかけてこんな事を言われても混乱するのはわかっているけれど、そこを承知でお願いしたいの」

 

「なんと…し、しかし、動きやすいようにとは…」

 

 予想外過ぎて再び思考が宇宙に飛びそうになっていたが「学園に危険が迫っている」と聞いてなんとか踏みとどまり、気になった事を聞いて状況を整理していった。

 

「具体的には、学園にいる人達が呉爾羅を受け入れられるように手助けして欲しいんだ」

 

「いざという時に無用な混乱を無くすためにね。それに、呉爾羅は私達ができない形でウマ娘に寄り添って手助けする事ができる。」

 

「ふむ…近づいて来ている者とは?」

 

「分からない。けど、放っておいたらウマ娘が危なくなるのは確実だ。それに対抗するために、こっちから新たに3体呉爾羅を送ったんだ。その内の2体が、今ハルウララが『たくあん』『けちゃっぷ』と名付けて飼っている子だよ。」

 

「では、もう1体とは?」

 

「今は人の目を避けて学園の森の中に潜んでいるよ。それに、もう1体合流したみたいだね」

 

 一度冷静さを取り戻せば、整理していくことは簡単だ。どうやらハルウララが飼っているあの生物は「呉爾羅」と言い、ウマ娘を守るべく三女神様から差し向けられたと。

 そして私が知っているのは「たくあん」と「けちゃっぷ」のみであったが、それに加えて学園内にはもう2体増え、更にもう2体増える可能性があると。

 

「学園に4体…あともう2体…残りの2体はどこに?」

 

「2体とも海にいるよ。けど、学園に来るにはもう少しかかるかな。あと、学園への移動手段はこっちが用意しているから大丈夫だよ」

 

「ふむ…承知!かなり大変になりそうだが、これもウマ娘のため!何とかしてみよう!」

 

 力強く了承すると、三女神は安心したように微笑んだ。と同時に、世界が徐々に暗転し始めた。薄れゆく意識の中に、僅かに声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

「…はっ!今のは…夢か?」

 

 気が付くと、仮眠をとっていたソファーの上で上半身を起こしており、自分が起きたのだと自覚した。夢か現実か分からない曖昧な世界だったが、三女神と喋った記憶が確かにある。

 

「……呉爾羅、呉爾羅か」

 

 確かめるように口に出す。まさか、学園に迷い込んできたあの珍妙な生物が三女神様の使いだったとは夢にも思わなかった。

 

「…ふぅ。今日は疲れたな…」

 

 帰ってよく寝よう。そう決めると今度こそ部屋を後にしたのだった。

 尚、翌日トレーナー寮ではよほど悪い夢に襲われたのか、発狂しながら胃薬を引っ掴んで飛び起きたトレーナーがいたという。

 

 





「君がゴジラの世話してる子羊くんだね?」

「えっ、まぁ、はい」

「今後もっと増えるからよろしくね☆あと何かやばいの来るっぽいからゴジラと上手くやってね☆」

「亜゛っ゛!゛!゛」

 ちなみに、アンケート結果でどちらかの話が無くなる、ということは無いので、どちらが先に見たいかで選んでくれればそれで大丈夫です。

 期日は本日までとさせていただきます。

【追記】
 アンケート終了!ご協力ありがとうございました!思っていた以上に票入ってたので驚きました。やっぱ見てくれてるっていうのは嬉しいっすね!

 とりあえず学園で物語進行していきます。出会いもその内やると思いますので気長にお待ちくださいませ〜

気まぐれにちょっと聞きたい。次の話は…

  • ゴジラと三女神様の出会いッ!
  • 普通にトレセン学園で物語進行
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