ウララ「トレーナー!この子飼ってもいーい?」ト「元いた場所に返してきなさい!(戦慄)」 作:コウハクまんじゅう
大変長らくお待たせいたしました!
今回は新しい怪獣が何体か出てきます。
畑でカツラギエースと
「う〜ん…もう食べられないよ〜…むにゃむにゃ…」
幸せそうにつぶやき、芝の上に転がって陽の光を浴びている、左耳に流れ星の髪飾りをつけたウマ娘。
ご馳走でも食べている夢を見ているのだろうか、口の端から涎を垂らしている。
そして、彼女の腹には不思議な動物が乗っていた。
「………」
体から生えた四つの足を目いっぱい広げ、まるで彼女の布団のように覆いかぶさっている。
腕から足にかけて皮膜のようなものが伸びており、さながらムササビのようであった。
しかし羅列した特徴に反して顔は猛獣のごとく逞しく、背中には鋭い棘が生えていた。
そんな得体の知れない猛獣が、いたいけなウマ娘の布団にされているのである。不可思議ここに極まれり。
少女は自分の腹に何かが乗っているのは分かっているようだが、眠りが深いためその正体に気づくことはない。
「えへへ〜…むにゃむにゃ…」
「!?」
何を血迷ったか、少女は両手と両足を動かして腹の上に乗った何かを抱き枕のように抱きしめた。幸い背中の棘に触れることはなかったが、これでムササビのような生物は完全に動けなくなってしまった。
進退窮まってしまい、少女のされるがままになっていると「クラフトー?どこにいるの?」と誰かの名前を呼ぶ声が聞こえた。
「クラフトー?クラフ…クラフト?」
戸惑う様子を見せながら足を止める音がした。
抱きかかえられた生物は器用に首を回してその方向を見た。
気高く気品のある青髪が風に揺れ、慈愛に満ちた瞳が困惑に揺れている。左耳には金色の飾りが輝いていた。
「えっ、と…」
言葉を詰まらせ、何を言っていいか分からないと言った様子。友人を呼びに来たら、妙な動物を抱いて寝ているのだから当然と言えば当然である。
「う〜ん…?し〜ざりお……」
むにゃむにゃと口を動かしながら涎を拭い、のっそりと起き上った。そうすると、いの一番に目に入るのは腹の上に乗った妙な生物である。
「……え」
寝起きとはいえ、流石に状況を理解したようで慌てて飛び起きた。ピコピコと耳をあちらこちらへ動かし、混乱している様子。
「ちょ、ちょちょちょ、シーザリオ!!この子何ー!?」
「あはは…どちらかと言うと、私の方が聞きたいかな?クラフト…」
ムササビ(仮称)をだっこし、ジタバタする少女…ラインクラフトを苦笑いを浮かべ、どうしたものかと頭を悩ませる少女…シーザリオ。
しばらくムササビを抱えてあたふたしていたラインクラフトだったが、突然「我、天啓を得たり」といった表情でシーザリオに提案した。
「とりあえず、キングさんのところへ連れて行こう!」
「そうだね、そうしようか」
こうして、あれよこれよと言う間にムササビは、ラインクラフトに抱きかかえられて連れて行かれるのであった。
なお、このあと某一流トレーナーと某一流ウマ娘が頭を抱えることになるのはまた別の話。
「あははは!いけー!ゴロゴロゴロゴロ〜!」
「ちょ、ターボ!?どこまで行くのー!?」
「なにしてんだろ、あの2人…というかターボが転がしてるあのボールなに!?めっちゃトゲトゲしてるような…」
「もしや早めの体育祭か!?乗るしかないっしょー♪うぇいうぇーい☆」
─三女神様の噴水─
「……」
むくりと顔を上げ、隣で静かに横たわる仲間を見やる。
仲間もそれに応え、同じく顔をこちらに向ける。
「「…………」」
感じる。
何かが来た。
今のところはウマ娘にとって脅威になるようなものではない。かと言って放っておくのも心配だ。
おもむろに体を起こす。冷えて固まった体をほぐし、尻尾と脚を使って静かに体を浮かばせる。感じた気配は3つ。2つは近いが、もう1つが少し遠い。
これは骨が折れそうだな、と首を振ると仲間がこちらを見ているのに気づいた。
「……」
『一緒に行くか?』と言いたげな表情を浮かべている。
「………」
『うん、お願い』とでもいうかのように、僅かに首を振った。
それを受けて仲間も体を起こし、おもむろに首を水面へと向けた。
多少リスクはあるだろうが、それでも行かねばなるまい。
噴水に、小さな影が2つ浮かび上がった。
─トレセン学園、某所─
太陽の光がほとんど届かない薄暗い森の中。彼らはそこにひっそりと息を潜めていた。
一体はガッチリとした体にワニのような頭が乗った怪物。背には揺らめく炎のような立派な背びれが立っていた。しかし目は猫のようにくりくりとして耳は尖っており、その独特の風貌にはどこか愛嬌があった。
もう一体は全身が黒曜石を連想させるほど深い漆黒に覆われているナニか。その怪物の上半身には溶岩を彷彿とさせるモノがひび割れた体表から覗いており、背丈を超えた尻尾は右へ左へと生き物のようにうねっていた。
「………」
何かを感じ取ったのかピクリと片耳を動かし、明後日の方向へと首をぐるりと動かすワニのような怪物。それに続いて、黒曜石の如き漆黒を纏った怪物も目だけをギョロリと動かした。
「……」
二体とも同じ方向を見ていることから、どちらも同じものを感じ取っていることは間違いなさそうだ。しばらく一緒になって見つめていたが、視線を外すと2体一緒に奥へと消えていった。
─海底─
光がほとんど届かぬ海の底。無骨な岩の山が立ち並び、冷え切った海水が空間を支配する。暗闇と冷水が支配する世界の中に、一つの鮮やかな青い光が生まれた。
ドクン、 ドクンと脈打つように点滅を繰り返すたびに光は強さを増していく。
あまりの美しさと神々しさに魚たちが好奇心から近寄っていく。しかし、光に惹かれた者は魚だけではなかった。
巨大な黒い影が岩の合間を巧みに縫って近づいていく。
住人達はその影を目にした途端一目散に逃げ出していった。影は自身の目の前を横切った無礼者を平らげながら悠然と光に近づいていった。
光は、どうやら銀の岩から発せられているようだった。
この海底に、発光する物体はほとんどない。あるとすれば、住人か、ニンゲンのキカイか。しかし目の前の岩はこのどちらにも当てはまらない。
警戒しながら近づいていくと、光は呼応するように強くなっていった。
まるで警告しているように。
『来るな』
近づけば近づくほど感じる、確かな敵意と殺意。
同類か。ならば、喰らうのみ。
影の目には、もはや銀の岩ではなく喰らうべき敵として写っていた。
光の中に徐々に浮かび上がる影の顔には、口から覗く鋭い牙があった。顔の周りには堅固な甲殻が張り巡らされ、縦長に伸びた瞳孔は蛇のよう。
その姿は、東洋の伝説に出てくる「龍」のようであった。
龍は口を最大限まで開け、岩を削り取らんと一気に襲いかかった。
その時。青白い光が目の前で弾け、周囲の岩が爆発四散した。衝撃で大きく後ろへ吹き飛び、体勢が崩れた。
すぐさま立て直すと、忌々しげに岩のあった方を睨みつける。そこには爆発の影響で砂が舞っていた。青白い光に照らされ海を漂う姿は、さながら粉雪のようだ。
粉塵が収まっていくと、砂越しにしか見えなかった何かの姿がハッキリと浮かび上がってきた。
青白い光を放つ、小高い山のような銀の背びれ。光に照らされ、僅かにその姿を見せる金色の虹彩と漆黒の瞳孔。開いた口から覗く、獰猛な金色の牙。
それの目は、静かに龍を捕捉した。
ガボ、と口の端から泡が吹き出て昇っていく。
それは、自身こそが王者であると主張するように高らかに咆哮を上げた。
「■■■■■■■■■■■!!!」
あまりの恐ろしさに龍は恐れをなしたが、それは一瞬のことであった。
すぐさま咆哮を上げてそれに突っ込む。どうやらそれの動きは鈍いようで、こちらの速さにはついてこれないようだ。それが体を動かそうとしたときには、既に体を締め上げていたからだ。
苦しそうに呻き、なんとか拘束を解こうと体を掴む。しかし、一度締め上げたらこの身は二度と離すことはない。ますます力を込めていき、拘束は完全なものへと成った。
龍は完全にまな板の上の鯉となったそれの姿に、口元を愉悦に歪めた。
突然、龍を掴む力が強烈に強くなった。その強固さは「絶対に離さない」という意思の表れのようであった。
同時に、にわかに光が強くなっていき、背中の背鰭が激しく明滅し始めた。
それの体から急速に力が溢れ出てくる。その意味を理解した時、龍は拘束を解こうとしたがもう遅い。
─愚か者めが
蒼い稲妻が一閃した。
岩が並び立ったその場所は、数刻前の静けさを取り戻していた。変わりに、海中には引き裂かれた無数の肉が虚しげに浮かんでいた。
肉となる前は、かつて一帯を支配していた龍であった。
その血煙と肉の中を悠々と進んでいく影が一つ。それこそが龍を肉へと変えた張本人である。
もはやただの肉と化した龍に興味を示すこと無く、それは岩の間へと静かに消えていった。
それの行方は、誰も知らない。
銀色の背鰭に青い熱線…もう、あの人(?)しかいないですね
ちなみに、龍はマンダのことです。寝起きで喧嘩売ったらそりゃキレられるよね…
投稿する時間、いつがいいですかね
-
7時!
-
12時!
-
17時!
-
21時!