ウララ「トレーナー!この子飼ってもいーい?」ト「元いた場所に返してきなさい!(戦慄)」   作:コウハクまんじゅう

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 皆様お久しぶりでございます!
 ようやく区切りがついたので、また書いていきます!アンケートの方もご協力ありがとうございました!とりあえず今後は12時あたりを目安に投稿していきます。あと今回ちょっと長めです



えっ、胃が破壊されるのはウラトレの専売特許じゃないんですか?

 

 

「苦悩ッ!何かいい案はないものか…」

 

 綺麗に整頓された書類の山に囲まれ、額に手を当て、小さな背中を更に小さく丸め込む秋川理事長。

 

「『呉爾羅が動きやすいように取り計らう』、か……ふむ。我ながら難解な問題を引き受けたな…」

 

 むむむ、と唸る声が部屋に響く。

 そうして唸りながら、何かいい案はないものかと周りに目を向けると、ちょうどそこには秋の大感謝祭のことを知らせるポスターが貼ってあった。

 

「ふむ、秋の大感謝祭か…今年もこの季節がやって…むむ!!」

 

 天啓!と書かれた扇子を大きく広げ、「これだ!」と叫ぶ。

 

「そうと決まれば早速…たづな!たづなはいるか!?」

 

 自身の考えを共有すべく、優秀な秘書を呼びに部屋を飛び出すのであった。

 なおこの後、呉爾羅以外の怪獣達(へんなやつら)に再び頭を悩まされることになるとは知る由もないのである。

 

 

 

─チームアスケラ─

 

 

 

 

「な、ななな何よこの子~!?」

 

 絶叫にも似た悲鳴、悲鳴にも似た絶叫、どちらとも取れる声が上がった。

 

「わかりません!」

 

「『わかりません!』じゃないわよ!どこから拾ってきたの!早く元いた場所へ帰してきなさい!」

 

「でもキングさん、この子はクラフトのお腹に乗っていたので、元の場所へと言われても…」

 

「えっ、そうなの?というかなんでクラフトさんのお腹に乗っていたのよ!?」

 

 聞けば聞くほどことの把握が難しくなっていくことに頭を抱えつつ、改めて今の状況を見つめ直す。

 事の発端は、クラフトさんとシーザリオさんが『チームアスケラ』の部室へ妙な生き物を持ち込んできたことから始まる。

 

 次のレースについてトレーナーと話をしていた所へクラフトさんが、「キングさん!なんか拾っちゃいました!」と、筆舌に尽くしがたいムササビのような生き物を胸に抱えて飛び込んできた。

 そこからは今と同じように、この珍妙な生物の扱いに頭を悩ませていた。

 

「もー!トレーナー何とかしなさいよ!」

 

「そ、そうは言っても…こんな事初めてだし…」

 

 考えあぐね、トレーナーに押し付けることにした。そもそもこういう事態にはトレーナーが対応するべきよね。うん。

 ……でもこの2人は私を頼ってきたわけだし、このままトレーナーにだけ押し付けるのは…

 

「いっそアスケラのマスコットにする?」

 

「このへっぽこー!」

 

 頓珍漢な提案に対し、やはり自分が考えるべきだったと思い直すのであった。

 

「しかし、どこから来たか分からない以上、下手に外に放すと他の生徒に何らかの被害が及ぶ可能性が…それに、クラフトに懐いているので離してしまうと何が起こるか分かりません。」

 

「う、ぐぐ…」

 

 オンモードとなったシーザリオさんの一理ある冷静な指摘にうなる。確かに、得体の知れない動物をウロウロさせるのはあまりよろしくない。

 いつの間にかよじ登ったのか、クラフトさんの頭の上に守護神のように鎮座しているムササビ(仮称)を見ながら考える。

 頭にしがみついて離れないムササビと戯れているクラフトさんから視線を外して壁を見ると、そこには秋の大感謝祭を知らせるポスターが貼ってあった。

 

「そういえばそろそろね、秋の大感謝祭」

 

「ああ、もうそんな時期か…うん?大感謝祭?秋の大感謝祭…あ」

 

 何かに気づいたように声を上げ、続けて額に手を当てるトレーナー。その様子を戸惑いながらも心配して声をかけると、こんなことを言い出した。

 

「…理事長か生徒会に言って引き取ってもらおうとも考えてたんだけど、今の時期は理事長も生徒会も忙しいだろうし、その子を引き取ってもらうのは難しいかなって…」 

 

「……え、それじゃあ…」

 

「…うん、そうだね。現状は引き取る以外に選択肢はない…かな」

 

「…ええええええ!?」

 

 素っ頓狂な悲鳴が、アスケラの部室にこだました。

 そして、その様子を影から眺める不審な生物がいた。やいのやいの騒いでいるアスケラ一同と、ムササビ(バラン)の姿をしばらく見た後、静かに姿を消した。

 

 

 

 

 

─チームカノープス─

 

 

 

 

「トレーナー!こいつ飼いたいぞ!」

 

 青い長髪をツインテールにまとめた活発そうな少女…ツインターボが、床で伏せている不思議な生き物を指さす。

 その生物の大きな特徴は、何と言っても背中に無数に生え揃っている棘だろう。蛍光灯に照らし出されたそれらは、金色に鈍く光っている。その姿はまるで、古代に生きた恐竜…アンキロサウルスのようにも見えた。

 

「か、飼うと言われましても…そもそもこの子はどこから?」

 

 少女の言葉を受けて、困ったように眉を下げる大人しそうな若年のトレーナー。彼は、この「チームカノープス」を率いるトレーナーだ。名を南坂という。

 

「なんか、ターボがウロで叫んでたら中からひょっこり出てきて…」

 

 自分でも訳が分からない、と言った様子で頬をかき、事情を説明するのはナイスネイチャ。自由奔放なツインターボの面倒を見、暴走しないように引き止める保護者的存在でもある。

 

「ウロから出てきた!?あのウロはおおよそ動物が住めるような場所ではないはずですが…」

 

「それにしてもこの動物…どう見ても普通ではない気が…」

 

「なんかトゲトゲ〜っとしておりますなぁ…むん」

 

 メガネをかけ直し、改めて目の前の生き物をまじまじと眺める三つ編みのウマ娘…イクノディクタス。

 奇妙な掛け声を発し、イクノディクタスと共に覗き込むのはマチカネタンホイザ。

 

 一同が話している間にも、謎の生物は特段騒ぐ様子も見せず、床に大人しく伏せていた。

 というのも、つい先程までツインターボが大玉ころがしよろしくトレセン学園の中をあちこち転がしまくっていた為、目を回してぐったりとしていたのだ。このアンキロサウルス(仮称)にしてみればとんだ災難である。

 

「とにかく、一度理事長とも話し合わないと…」

 

「しかし、仮に話したとしても第一発見者はターボさんですし、得体の知れない動物をそうやすやすと学園が引き取るでしょうか…」

 

「あーそっか〜、確かに。しかも今は秋の大感謝祭準備の時期でしょ?話したとしても結局私たち…というかトレーナーが面倒見ることになるんじゃ…」

 

「ええっ!?そんなぁ…」

 

 業務と心労が増えたことにがっくりとうなだれる南坂トレーナーであったが、頭を掻きながらとりあえず話に結論を出すことにした。

 

「…わかりました。とりあえずこの子は時期を見て私の方から理事長に報告させていただきます。それまではうち(カノープス)でお世話しましょうか。」

 

「うん!ターボお世話するー!」

 

「ただし、お世話に夢中になってトレーニングを疎かにしないこと。できますか?」

 

「うん!ターボトレーニング頑張るー!」

 

 満面の笑みで宣言するツインターボ。気に入った生き物の世話をできると聞いて舞い上がっている所に、さりげなくトレーニングの約束を取り付ける南坂トレーナーの強かさと手腕が伺える。流石中央トレーナーといったところか。

 

「あ、そうだ!預かるんだったら、名前をつけてあげた方がいいんじゃ?」

 

 パチンと両手を合わせ、そんなことを言うタンホイザ。その言葉に、確かにその方が良いなと頷く一同。

 

「どんな名前がいいかな〜…」

 

「はいっ!ターボ、いい名前思いついた!」

 

 勢いよく手を挙げ、フフンと得意げに胸をそらす。なんとなく嫌な予感を感じながらも、恐る恐る訊ねる。

 

「そ、その名前っていうのは?」

 

「はちみーだ!!」

 

 ギャグ漫画のようにド派手にずっこけるカノープス一同。恐らく心のなかではこう考えているだろう。

 

(((はちみー要素どこ?)))

 

 皆無である。どこからどう見てもはちみー要素皆無である。

 その中でツインターボだけは自信に満ちあふれた表情でアルマジロを抱き上げた。

 

「よし、お前は今日からはちみーだ!」

 

「ま、待って。ちょっと待ってターボ」

 

 このままでは本当にはちみーになりかねない。ターボが見つけたのだから名前は好きにすればいいと思っていたが、流石に「はちみー」は看過しかねる。

 ナイスネイチャはアンキロサウルスの名誉の為にも、とりあえず引き止める事にした。

 

「ん?どうしたネイチャ?」

 

「いやその…色々言いたいけど、なんではちみーに?」

 

「好きだから!この間もテイオーと一緒に飲んだし!」

 

 思ったよりも頭ごなしに否定しにくい理由に頭を悩ませる。

 ちなみに「テイオー」とは、かの有名な「トウカイテイオー」の事で、ターボは勝手にテイオーの終生のライバルを名乗っている。

 

 好きな物の名前を好きな物につける。これはとても素敵だし良いことだと思う。思うのだが…

 

「でも、はちみーはどうかな…?なんかこう、もっとこの子にあった名前…みたいな?」

 

「え〜、はちみーいいと思うんだけどなー…あっ!思いついた!」

 

 「はちみー」の反応が微妙な事に不満を抱きつつも、その有り余る想像力と周囲の予想の斜め上を行く発想力にかかれば、新たな名前を考えることなど容易いことだった。

 

「ゴロゴロ転がるから、ゴロ!どうだ!」

 

「お〜、ゴロか…うん、まぁいいんじゃない?」

 

 未だに目をぐるぐるさせながらターボにされるがままのアンキロサウルスを見ながら相槌を打ち、とりあえず「はちみー」は避けられた事に安堵する。

 

 こうして、ひとまずカノープスに引き取られたのであった。

 

 

 

 

■□■

 

 

 

 

「………」

 

 なんか、思っていたよりも上手くやっている…

 振り回されているアンギラスをドアの隙間から眺めて考える。気配からして悪意のあるものではない事は分かっていたが、まさかここまで受け入れられるとは…やはりウマ娘は未知への恐怖がないのだろうか?

 

 そんな事を考えながらドアの前から離れ、芝の上に降り立つ。うす黄色の体が緑の芝とミスマッチしており、どこか歪さを感じさせる。

 芝の上には蛇のように長い尻尾が伸びており、背中にはヒイラギの葉のようにギザギザした背びれが芝と共に揺れている。

 目は魚のようにギョロリと飛び出し、どこに視線を向けているかは定かではない。

 

 この生物の名はたくあん。この名は彼の現在の飼い主であるハルウララから授かった名だ。こう見えて彼は三女神様に仕えている水獣であり、ウマ娘を守る使命を与えられている…いわばウマ娘の守護神のようなものである。

 

 彼は現在、学園に突然現れた何かを調べるべく、直接現地に赴いていた。しかし、今しがた見た通り各々拾われ、なんとなく馴染んでいる。万が一危害を加えようものなら飛び出していったところだが、あの様子だと心配なさそうだ。

 とりあえず噴水に戻ろう。あいつ(けちゃっぷ)もじきに戻ってくるだろうし。そう考えていた時だった。

 

「…ピクッ」

 

 突然、何かの気配を感じ取った。

 今日はやけに訪問者が多いな…と思ったが、なにやら今までのものとは違うらしいことに気づいた。

 

 …あれ、この気配はひょっとして─

 気配が現れた方向に向かって、体をズリズリ引きずりながら向かう。

 

 

 

 

 

■□■

 

 

 

 

 

「……」

 

 パキリ、と小枝を踏み折る。2つに割れた枝と柔らかな土の感触が足の裏に直に伝わる。

 グルル、と低く唸った後に周りを見渡しながら静かに歩みを進める。上を見上げれば木々の間から漏れ出た光が自身を含めた周囲を淡く照らす。

 

 ふと、茂みが動きながらこちらへ徐々に近づいてくるのを発見し、足を止める。しばらく見ていると、約2メートル地点で動きが止まり、そこからひょこっと顔を出した。

 

『やあ、ひさしぶり。キリュー』

 

『…蒲田』

 

 キリュー、と自身を呼ぶそれは、うんしょうんしょと身をよじりながら茂みから体を引っ張り出す。

 

『起きたんだ…あれ?ドハは?』

 

『たぶん、まだ寝てる。そのうちくると思う』

 

『あぁ、そう』

 

『それにしても、ずいぶんと賑やかだね、ここ』

 

 いつから怪獣(ランド)に?と言外に含みをもたせる。

 

『なんか今日、とつぜんやってきた』

 

『今日?』

 

『うん。いつも通り流れ着いてきた感じだけど、一度に同じ箇所に来るのはおかしい』

 

 原因はわかんないけど、とつけたした後にシンゴジ(蒲田くん)は不思議そうに首をひねった。 

 

『やっぱり、何か来るね』

 

『うん。来る。だからこうして僕たちが集められた。』

 

 淡々としたテレパシーでの会話に、にわかに緊張の色が帯び始めた。そんな空気から逃れるように一度視線を外し、シパシパと瞬きをした後にこんなことを訊ねた。

 

『みんなは元気?』

 

『元気だったよ。シンゴジ一家(ぼくたち)も、向こうも』

 

『そう、よかった。もう向こうが懐かしいよ』

 

『こっちに来て何百年?何千年?だっけ?』

 

『数えてないや』

 

 クツクツと喉を鳴らして笑う。とは言っても、はたから見れば唸っているだけにしか聞こえないだろうし、笑っているようには見えないだろうけど。

 

『今いるのはそっち(シンゴジ一家)とおれだけ?』

 

『ドハ除いてみんないるよ』

 

『ありゃ、ちょっと寝坊したかな』

 

『まぁ、大丈夫でしょ。あと、僕たちの存在はまだおおやけにはなってないから、あんまり出歩かないでね』

 

 その言葉にこくりと頷くと同時に、木々がかき分けられた。その方向に視線をやると、そこにはミレと鎌倉さん(シンゴジ)がいた。

 

『ひさしぶり』

 

『おお、キリュウ!ひさしいな』

 

『……元気なようで、なによりだ』

 

 活発そうで元気なのがミレ、ぶっきらぼうな声色だがこちらを想う優しさを感じるのがシンゴジ。どちらも大切な仲間であり家族だ。

 

『ちょうど暇してたんだ。なんか話そうぜ』

 

『うん。いいよ』

 

 そうして仲間の元へと歩み寄っていくのだった。

 

 

 





 いつから胃が破壊されるのはウラトレだけだと錯覚していた?
 というわけで、他トレーナー参戦です。でもなんやかんやで巡り巡ってウラトレになんらかの被害は来そうな気はする(小並感)

 さて、銀色の背びれのゴジラは機龍ゴジ(東京sosゴジラの方)でしたね。
 ゴジラをテレパシーで会話させる時、どういうキャラなのか考えるの何気に苦労しました。そもそもゴジラを(テレパシーといえど)喋らせてよいのか?と常々思っているので、なるべく喋らせないようにしたいです。

 ちなみにエースと出会ったバラゴンは、「畑を守護(まも)る」という条件で棲み着くのを許されました。

【追記】
「キリュウ」と呼ばれていたゴジラですが、じつはこれ「三式機龍」のことではなく、「東京sosゴジラ」のことです。「えっ?」と思われる方が大多数かと思われますが、これはエアプや知識不足ではなく、あえてキリュウと呼ばせています。誤解を与える表記をしてしまい申し訳ありません。

それと、あとがきの「機龍ゴジ」もニュアンスとしては「東京sosゴジラ」の事を言いたかったのですが、この表記だとどう見ても「メカゴジラの方の機龍」にしか見えませんでした。本当に申し訳ございません。
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