ウララ「トレーナー!この子飼ってもいーい?」ト「元いた場所に返してきなさい!(戦慄)」 作:コウハクまんじゅう
予告通りトレーナーの胃をぶっ壊します。
今回は怪獣増えません。今回は。(大事な事なのでry)
ちょっとどころじゃないキャラ崩壊ネタが最後の方にあるので、苦手な方はご注意を。
─同時刻、生徒会室にて─
トレーナー室からは遠く離れた場所に、前を通ることすら憚られる重厚な作りの両開きの扉があった。その扉の上には堂々とした威厳のある文字で『生徒会室』と書かれた看板が掛けられ、廊下を厳かに見下ろしていた。部屋の中は整理が行き届いており、ホコリ一つ資料一枚落ちていない。窓から差し込む光が、それを強調していた。
そして壁には『
「急に集まってもらってすまない。どうしても2人の耳に入れておきたい情報があるんだ」
凛として芯の通った力強い声が朝の生徒会室に響く。現在、生徒会室には三人のウマ娘がテーブルを挟んで向かい合っていた。二人のウマ娘の向かいに座っているのは生徒会長シンボリルドルフ。世間からは『皇帝』と名高い史上初の無敗の三冠ウマ娘である。
「いえ、会長の招集とあらばいつでも。」
毅然とした態度でそう返したのは生徒会長副会長エアグルーヴ。彼女はティアラ路線で大いに活躍したウマ娘で、その輝かしい戦績と圧倒的な実力から『女帝』と呼ばれている。
「面倒だ。さっさと終わらせろ」
「おい!」
一方で、思わず見惚れてしまうほど美しい線をしている足を組んでぶっきらぼうに呟くのは同じく生徒会副会長のナリタブライアンだ。彼女はクラシック路線を暴れまわったウマ娘であり、会長であるシンボリルドルフと同じく三冠を達成した猛者だ。
不遜な物言いをエアグルーヴは咎めるが、ルドルフはそれを「構わないよ」と宥めると咳払いを一つして話を始めた。
「単刀直入に言おう。トレセン学園に変な生き物が入り込んだ。」
「…?変な生き物、ですか?」
「だったら保護するか追い返すかすればいいだろう。」
両者それぞれの反応を見せると、ルドルフはそれに頷いた後に困ったように眉を顰めた。
「ああ。本来であればブライアンの言う通り、学園で保護するか、近くの山に帰すのが一番なんだが…」
そこで言葉を切って少し間を置くと、考え込むしぐさを見せた後に言葉を選びながらこう切り出した。
「それはあくまで正体がハッキリと割れている動物に限る。」
「「……?」」
言ったことの意味が分からない、といった様子で首を傾げる2人。それに対してルドルフはまたもや困ったように笑う。
「まぁ…こう言ったとて分からないだろう。何より私自身もまだ理解が追いついていないからな」
「……つまり何か?学園に変な生き物が迷い込んだが、その正体が分からないので手の打ちようがないと?」
全く予想外の話だったのでエアグルーヴがフリーズしている中、なんとか頭が働いたナリタブライアンが状況を整理する。ルドルフはそれに頷きつつ話を引き継いだ。
「それに、今は生徒とそのトレーナーが保護しているからな。」
「学園の生徒が、ですか?」
ここでようやく整理がついたエアグルーヴが話に参入してくる。それに対してまたもや頷いたが「しかし」と難色を示した。
「得体のしれない生き物を学園の生徒に預けさせていいのでしょうか…いくらトレーナーがいるとはいえ…」
「それについては問題ない。私もその生物にじかに会ってみたが、危険性はない。その場にはラモーヌとメジロアルダンもいたが、2人に対しても友好的な姿勢を見せていたので、安全だと判断した。それに、その生徒に懐いていたからな」
きっぱりとそう断定した。意外な人物の名が出たことで2人は一瞬驚いたが聡明な会長、加えてあのメジロラモーヌがじかに見て危険性はないと判断したのなら、これ以上言うことはない。そう判断するとエアグルーヴは静かに口を噤んだ。しかしもう1人の副会長はそうはいかないらしい。
「だがもし万が一があったらどうするんだ。」
狼のように鋭い目つきで、生徒会会長に怯まず噛みつく。しかしルドルフはそれを意に介さず、飄々と言い切った。
「ああ。だからこそ、しばらくは私達生徒会でもその生物を監視する。2人にも手伝ってもらうが、あくまでも自分の生活を優先して欲しい。決して無理はしないように。」
そう釘を差すと、「理事長のほうには私から報告しておく。あと、その生物を保護している生徒とトレーナーには私が直接話を聞こう。」と付け加えた。そして何かを思いついたようにスマホを取り出した。
「2人にはその謎の生物の姿を見せておこう。」
そう言いながらスマホを操作し、密かに撮っておいた画像を2人に見せた。画像を見た瞬間に両者は目を見開いて驚いた。
「これは…」
「……なんなんだ、こいつは」
「さぁ…分からない。先程も言ったが、私にも未だに理解が追いついていないんだ」
その画像に写っていたのは、なんとも言い難い歪な…言ってしまえば怪物に近い生物だった。ギョロリとした目、半端に開いた口から覗く鋭い牙、背中に生え揃っている柊の葉のような尖った背鰭、ラブカのような生々しいエラ、蛇のごとく長くうねった尻尾。
まさしく、常軌を逸した怪物。そして、その隣には夕日にたなびく桃色の髪を翻し、満面の笑顔を浮かべている1人の少女がいた。
「あれ?これって…」
ハッとした顔でルドルフを振り返る。ルドルフは口元に小さな笑みを浮かべており、視線は画像に向けられていた。
「…まさか会長。この生物を監視するだけの措置を取ったのって…」
ああ、とエアグルーヴの言葉に返した後、静かに足を組み、右腕を肘掛けに置いた後に頬杖をついて威厳に満ちた声色で重々しく口を開いた。
「ウララちゃんはべt…ちょっと待ってくれそんな顔で私を見ないでくれ私が悪かったからああちょっと待ってお願いこれは場を和ませるためのジョークであって」
その後、耳がすっかり垂れてしまったションボリルドルフが見られたと言う。
遅かれ早かれ、トレーナーは理事長室へ呼び出しです。
え?ウララは大丈夫なのかって?その答えは本文にあり。