クリーヴになり代わったのでペルヴィ曇らせのあらゆる要因を排除する 作:那珂テクス
ちょっ〜〜〜っと原神とスタレを楽しんでたらこんな日付になっちゃってて……ヘヘッ。
遅れて大変申し訳ございませんでした!!
「ここがあの龍のハウスね」
風龍廃墟の遥か彼方。セレスティアにすら届きそうな空の果てで、私は神妙に呟く。
視界いっぱいに広がるのは、原作におけるトワリン出現地点。一見すると虚空のようだが、実際には濃密な風元素が渦巻いている。かの龍がいつ現れてもいいように、私は西風剣(※3割引セール品)を低く構えた。
と、ここまでシリアス感たっぷりなムーヴだったにも関わらず、何故かパイモンたちが白い目を向けくる。
「また変なこと言ってるし……クリーヴ、お前ちょっとは緊張感を持てよな!」
いやちゃうんすよ、パイモンパイセン。これでも真面目にやってるんです。ただ骨の髄までネットミームというアビスに汚染されてるだけで……。
魔女裁判終了後、私たちはすぐにアビス教団の拠点を襲撃した。
トワリンを唆していた魔術師を討伐し、なんやかんやあって風龍廃墟に移動したわけだが……そうだね。また全カットだね。ほぼほぼカチコミ第一弾の焼き回しだから仕方ないね。
それはそうと、やっこさんはいつになったら現れるんだ?
もう1分くらい手持ち無沙汰なんだが?
緊張感に謎の気まずさが混ざってきた頃、蛍がおもむろに呟いた。
「来る」
────直後襲来する、群青色の巨影。
陽光に照らし出されたその姿は、まるで羽毛に覆われたトカゲのようだ。尤も、その巨大さと二対の翼を考慮しなければの話だが。
で、出たー! ペルヴィのスキル絶対無効化やつー!
一部プレイアブルキャラの天敵(システム的な意味で)、及び最弱の週ボスと名高いトワリンだが、この世界での実力は未知数。
まして岩蛍の出オチも旦那のヒノカミカグラも使えないのだから、慎重かつ大胆に戦わなければ。
「旅人はうなじの腫瘍を浄化して! みんなはトワリンを疲弊させるんだ!」
ウェンティの号令と同時に、巨龍が突進を仕掛けてくる。
各々が回避行動を取る中で、1人だけ微動だにしない者がいた。
ジンだ。
「危ない!!」
咄嗟に蛍が叫ぶ。だがもう遅い。
大地を抉る凶爪に、ジンは為す術なく引き裂かれる──── 「せあっ!」───ことはなく、なんか普通にパリィした。しかも爪の一部を破壊している。これには流石の蛍もドン引きのご様子。
ファルカといいジンといい、こいつらの括りは本当に『人類』で合ってるのか?
「ここは足場が脆い! 崩れる前に移動しなくては!」
体勢を整えたジンが声を張り上げる。その言葉通り、石畳の足場に深刻なダメージが見て取れた。この分だと突進もう1回で崩壊してしまうだろう。
「二手に分かれるぞ!」
「ボクに任せて!」
ディルックの声にウェンティが即応し、2つの風域を作り出す。各々で両隣の足場に飛び移った結果、片方は旅人ペアとウェンティ、もう片方はそれ以外という布陣になった。
さて、トワリンのヘイトは……蛍たちに向いてるな。ならこっちは弓チクでもしておくか。
私が剣から弓矢に持ち替えた、ちょうどその時。
目の前で、空間が裂けた。
『──教団に仇なす愚者どもよ。貴様らの蛮行はここまでだ』
空間の裂け目──いや境門というべきか──から、人型の魔物が現れた。それは身長2mほどの偉丈夫で、後頭部に光輪のような物体が浮かんでいる。全身の意匠が指し示すのは、アビスかはたまたカーンルイアか。
ファ!? アビスの詠唱者やんけ!?
トワリン戦にこいつ居たっけ!?
予想外の乱入者に思考停止する私。その一方で、ジンとディルックは至って平静な様子だ。
歴戦の騎士であることはもちろん、2人には原作知識という変なバイアスがかかっていない。それが功を奏したのかもしれない。
だが次の瞬間、彼らの顔が驚愕に染まった。
「何だ、あの数は……?」
ディルックが溢した言葉は、私たち全員の思いを代弁していた。
境門の向こう側に見えたのは、総数300を超える魔物の軍勢。
その全てがこちら側を目指し、我先と言わんばかりに押しかけて来ている。
『確かに貴様らは強い。雑兵をいくらぶつけたところで勝てはしないだろう。だが、その脆弱な足場はいつまで耐えられるかな?』
下卑た嗤い声が響き渡る。旅人たちが助けに入ろうとするが、トワリンに行く手を阻まれてしまった。
間髪入れずに魔物が境門を越える。その数10、20──まだ増える。足下からとうとう異音がし始めた。
「過重で足場が……!」
「ッ」
ジンとディルックが同時に駆け出す。足場が崩壊する前に魔物を殲滅する気なのだろう。的確かつ合理的な判断だ。
だが、所詮は次善策に過ぎない。
目の前で繰り広げられる激戦を尻目に、私はそっと弓を下ろした。
──さて、状況を整理しよう。
まず撤退は不可能。移動するにはウェンティだけが頼りだが、当の本人は旅人ペアの保護と回避行動で手一杯だ。
敵の殲滅も間に合わない。戦力的には可能だが、その前に紐なしバンジーをする羽目になる。
となると──
『さぁ、天から地に堕ち、跡形もなく弾けるがいい!!』
アビスの詠唱者が勝ち誇ったように吠える。対してジンとディルックは懸命に戦っているものの、魔物の処理数が投入数に追いついていない。
うん。やっぱ私が境門を破壊するしかないわ。
魔神オセル戦まで出しゃばらないつもりだったが、これ以上皆の命を危険に晒すわけにはいかない。
久しぶりに
「ディルックくん。私、今日で辞めるね」
「ッ、急に何を──!」
最初にディルック、一拍遅れてジンが、両目を見開いたまま静止する。
「クリーヴさん、それは……!」
驚愕する2人の視線は、ある一点へと収束していた。
私の首にかけられたペンダント──より正確には、その内奥で紫色の光を放つ、
「2年も面倒見てくれたんだし、ちょっとだけ見せてあげるね」
私は装備していた弓矢を消し去り、元素力で双剣を精製した。
装飾なんてものはない。ただ雷元素を殺意で押し固めただけの代物だ。
よし、いっちょやるか。
全身をリラックスさせたまま敵を見据える。暗殺術に、予備動作や構えは存在しない。
神の目を励起させた、次の瞬間────
稲妻が、走った。
『────は?』
間の抜けた声を発する詠唱者。その肉体は、既に首から下の部位が消滅している。程なくして、男の全てが灰燼に帰した。
アビスの詠唱者だけではない。
足場を埋め尽くさんばかりの魔物も、境門も、何もかもが消え失せた。
残されたのは、私の仲間たちとトワリンのみ。
「どう、見えた?」
手元でナイフを遊ばせつつ、私は渾身のドヤ顔を披露する。
あとは任せたぞ、
元素スキル:暗殺術 壱
自身に命の契約を200%付与し、稲妻となって周囲の敵を斬りつける。敵に斬りかかった際に命の契約を消費し、大ダメージを与える。
感想お待ちしてます。飢えてます。