陽だまりに焦がれて   作:oir.1

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第十一話

 

 

 

 

ゴテンクスは女性のような風貌となった魔人ブウに疑問を残しながらも,戦闘を続ける。

…………しかし結局のところ,超サイヤ人3となった影響から合体時間が少し短くなってしまい,元の悟天とトランクスの状態に戻ってしまう。

絶体絶命かと誰もが思ったその時,ヒーローがやってくる。

 

「……兄ちゃん!生きてたんだね」

 

「……あぁ後は俺がやる。みんなは下がっていてくれ」

 

ーーーあ……あれが悟飯か……見違えた……

 

弟である悟天と親しげに会話する悟飯は,従来の優しさを感じられるが,その雰囲気や感じる気は別人のように強く,そして鋭いものとなっていたことに師であるピッコロは驚く。

 

そしてやってきた悟飯は潜在能力を解放された事によって覚醒した力で魔人ブウを圧倒する。

 

……悟飯は油断や遊びが一切なく,そのまま堅実に魔人ブウを追い込んでいった。

そしてセルの時の事を振り返って考え,跡形もなく木っ端微塵にしようとするが,何処か躊躇するような姿勢が感じられる。

 

「……ぐぅぅぅッ!!オマエだけは……絶対にぜーったいにユルサナイゾ!!!」

 

「………………」

 

「悟飯!!いいぞ!そのまま魔人ブウを倒してしまえ……!!!」

 

魔人ブウは激昂しているが,頭の中では冷静に今の状況をどうするべきか考えている。

……どうにも相手は自分の事を殺すつもりはないらしい。先程からどんなに追い詰めようとも,絶対にトドメまでは刺してこない。どうにかそこにつけ込めれば………………

 

「……どうしたの?兄ちゃん!なんでトドメを刺さないの!?」

 

「…………魔人ブウはルナさんを吸収している。」

 

「!?」

 

悟飯は現地の様子を見ていた界王神や悟空からルナが魔人ブウによって吸収されたと聞いていた。

……もし魔人ブウを殺せば,中にいるであろうルナも殺すことになる。ドラゴンボールで生き返れるはず……そう冷静に考えても悟飯には感情的な部分でどうしても躊躇が生まれてしまう。

 

「…………なるほど奴の見た目が変わったのはそれのせいだったのか……」

 

「……え?お姉さんを吸収したってことは……もしかして魔人ブウを殺したら……」

 

ピッコロはようやく謎が1つ解けたと納得の表情を浮かべ,悟天は兄が魔人ブウにトドメを刺すことを躊躇している理由を察してしまう。

 

「……何とかルナさんを救出する術を探したいが…だがそれで俺たちまで()()()()()()()()()()()()()()()()で魔人ブウに取り込まれてしまったらお終いだ……まだまだ油断はできない」

 

悟飯は冷静に決して敵を侮ることはなく,身構える。

……だがそんな悟飯のある一言で魔人ブウは勝機を見出した。

 

 

ーーーオレが誰かを吸収した記憶はないが……アイツ…オレの吸収する方法を分かっていないのか……?

 

魔人ブウは悟飯に自身の吸収の能力がバレていることを察して,勝機を失ったものだと思っていたが……どうやら悟飯は自身の吸収の方法を分かっていないらしい。

 

……ここで痛恨の連携ミスが起こる。界王神達は悟飯にルナが吸収された事,地球の皆がお菓子に変えられて魔人ブウに殺されたことの現状を伝えたのはいいが,肝心な吸収の方法について詳しく悟飯に説明していなかったのだ。

……だからこそ悟飯はその説明が合わさって,魔人ブウの吸収の方法は触手からのビームによるものだと考えてしまっている。

 

 

ーーー占めた……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分が生きるための作戦を思いついた魔人ブウはその後,自爆に近いような形で姿をくらまし,その後一旦その場を離れた悟飯達は何とか逃げていたデンデや地球をさまよっていたミスターサタンと出会い時間が経過する。

 

……そして暫く経つと再び魔人ブウが姿を現した。

 

「……おいチビ共オレはオマエラと決着をつけたい……!」

 

「……勘違いするな貴様の相手はこの俺だ……どうした?俺を倒したいんじゃなかったのか?」

 

現れた魔人ブウは,回りくどくもゴテンクスと決着をつけたいと要求する。

……その要求にピッコロと悟飯が不審な目を向けるが,魔人ブウの煽るような口調によって悟天とトランクスは結局再びフュージョンをした。

 

「……なるほどな。悟天とトランクス…気をつけろ。あいつは恐らくお前達を吸収して,俺を倒すために力をつけるつもりだ。触手のビームには気をつけた方がいい。」

 

「……へっへーん!!そんな簡単に俺達がお菓子に変えられるわけないだろ!!ギッタンギッタンにしてやるぜ!!」

 

悟飯は冷静な思考で魔人ブウの目的を察し,ゴテンクスに注意を促す。

ゴテンクスは真正面からビームを打たれようと当たらないと……そんな自信を持って身構える。

……合体したゴテンクスの実力を見て,悟飯は一旦任せることにし,何とかルナを助ける方法を考えることにしたのだった。

 

…………それが根本的に勘違いしていることを気づかずに

 

 

 

 

「……うわッ!」

 

「な……なんだ!?」

 

その瞬間。ゴテンクスとピッコロをピンク色の肉塊が包む。

……悟飯が動揺で,動けない中その2人を包んだ肉塊は魔人ブウに吸収された。

 

 

「……どうかな悟飯くん。無事作戦成功だよ」

 

「ち……ちくしょう……!完全に見誤った!そ……そんな技が」

 

悟飯はその時初めて間違いに気づいた。魔人ブウの吸収と,ビームは別物であることに。

 

……ゴテンクスとピッコロを吸収した魔人ブウは今の悟飯よりも強くなってしまった。

だが……悟飯はその程度で諦めたりはしない。

 

……今最凶の魔人と最強の戦士の戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

ーーー何故だ

 

 

 

魔人ブウは心の内で,少しの動揺を覚えた。

 

今のわたしはアイツよりも大きく力を増したはずだ。……だが予想外にもアイツはかなり善戦し,互角に食らいついてくる。一体どこにそんな力が……

 

 

 

「……はぁはぁ。どうした……少し焦り始めたんじゃないか……!!貴様が何人吸収した所で俺は負けない……!!」

 

「……随分な強がりじゃないか…。ならそろそろ終わりにするとしよう……悟飯くん」

 

悟飯の消えない闘志を見て,魔人ブウは一瞬無意識のうちに体が1歩分程後ろに後退りした。

……正しく恐怖という感情。だが魔人ブウはそんな事は認めないというように…………その一瞬感じた感情を振り払うように大きく気を溜める。

 

……それを見ても悟飯はまだ対抗するように気を溜めるが,その刹那。魔人ブウが不意に吹き飛ばされた。

 

「グハッ!!」

 

「……お父さん!何故下界に!?」

 

「……悟飯!これをッ!」

 

「わっ……とと!」

 

突然下界に現れた死んだはずの父親に動揺している最中,悟飯は悟空によって合体するために老界王神から貰い受けたアイテムーーーポタラを投げられるが,あまりに突拍子も無く,動揺もまだ落ち着いてない中投げられ,更に悟空も投擲が雑すぎたため,悟飯はそれを取り損ねる。

………瞬間移動で渡せばよかったのではなかろうか…?

 

「い!?は……はやくそれを拾って右の耳に付けろ!オラと合体してブウを倒すんだっ!」

 

「何……?合体……?」

 

悟空は焦って,ポタラの使用方法を大声で悟飯に話してしまい,結果的に魔人ブウにもそれは伝わってしまった。今の魔人ブウはそれを易々と許すほど甘い存在ではない……

 

「あ……あった!お父さん!ありましたよ!」

 

「させるものかッ!!」

 

「くっ……!!」

 

魔人ブウがポタラでの合体を阻止するために,悟飯を吸収しようとし,悟飯の背後から肉塊が広がる。

……しかし悟飯は1度ゴテンクス達が吸収されたのを見てからどんな状況でも常に吸収に気をつけ,今も動揺しつつ警戒から気を張っていた為に,何とか回避する。

 

「……ちっ!!孫悟飯!!厄介な奴だ!!」

 

「あ……危ねぇ……よく避けたぞ!悟飯!さぁはやくそれを右耳に!!」

 

「分かりました!!」

 

ーーー不味いゾ……あれがどれほどの物かは分からないが……嫌な予感がする。……孫悟飯。奴は戦闘能力もさながら,頭も切れる………その上あの常に油断の無い精神力も厄介だ……奴を止めるのは困難か………ならば…!

 

「……今の私なら貴様は蟻同然だ…孫悟飯を止めれないのならば……貴様を合体出来ないよう殺すまでだ……!!孫悟空ッ!!」

 

「……やべぇッ!!」

 

悟飯を止めることが出来ないことを察して,直ぐに標的を切り替えて悟空を殺そうと目にも止まらぬ速度で魔人ブウは特攻する。

 

最初の一撃は何とか避けた悟空だが,至近距離までの接近を許してしまったため,瞬間移動をする隙もない。

……今の悟空と魔人ブウでは天と地の差がある。悟空に……次の魔人ブウの一撃を避ける術は………無かった。

 

 

 

 

 

 

グシャッ……

 

 

 

 

 

 

 

鮮血が悟空の道着に舞った。びちゃびちゃと自身の顔や体を汚す真っ赤な鮮血を悟空は呆然と見ていた。

……悟空の首にかかる逞しい腕。幼い頃よりもずっと成長を感じられた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……自身の息子が正面から抱き締めるように自分を庇っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ご…はん」

 

「……大丈夫…です。お父さん……何とか致命傷は免れました……すみません……あのピアスを…付ければよかったかもしれないですけど……ゴホッ……!!

 

悟飯の脇腹をブウの腕が貫いていた。……何とか直前に致命傷は免れたようだ。

 

ーーーすぐにポタラを付ければ,父は別に助かったのかもしれない

 

……だが悟飯は見ず知らずのアイテムに父の命を賭けることが出来なかった。

……悟飯にとって,戦う意味とは,誰かを救うこと……誰かを護ること……悟飯は咄嗟の判断で決して非情にはなれなかった,合理的な判断を下せなかった。

 

……だが後悔はしていない。自身にとって憧れで,一番のヒーローである父を護れるくらいに強く,立派になれた気がしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

……あの時の(自身の為に命を懸けてくれた)父の背中に追いつける気がした。

 

 

 

 

 

……あの日(ルナとの約束)の誓いを果たせるくらい強くなれる気がした

 

 

 

 

……あの戦い(セルとの決戦)での悔しさを晴らせる気がした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーいつも……守って貰ってばかりの僕だけど……今度は…僕がお父さんを守れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー僕も…少しはお父さんみたいに強くなれたかなぁ…………

 

 

 

 

 

 

悟空の首にかかっていた悟飯の腕が力無く垂れ,そのまま宙から地へと吸い込まれるように落ちていく。

 

 

 

「悟飯ッ!!!!!」

 

 

悟空が,自身の息子を助けるために急いで受け止めようと手を伸ばしながら落ちていく悟飯を追っていくが…………

 

 

「ハーハッハッハッ!!!孫悟空を殺すつもりだったが……思わぬ収穫だ……!!」

 

魔人ブウの方が…………早かった

その瞬間。魔人ブウは落ちていく悟飯を包み込むように飲み込み,再び姿を変化させる。

 

「ふ……ふはははッ!これはいい!前より更にパワーアップしてしまったぞ!」

 

「〜ッ!!……ちくしょうッ!!ぜってぇ許さねぇぞ……!!」

 

悟飯を吸収したことにより,ゴテンクスの時のように時間を気にすることもなく圧倒的なパワーを手に入れた魔人ブウ。

悟空はそんな魔人ブウに対し,自身を庇い,そのまま吸収された息子を想って怒りから身体からスパークが漏れ出る。

 

……しかし今の悟空ではどう足掻いても魔人ブウには歯が立たない。悟空は今は怒りを抑え,どうにかこの魔人ブウに対抗する手段を考える。

……すると突然この地球上に見知った気が現れた。悟空は急いで瞬間移動でその場へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

その後……地球上へと占いババに連れられ戻ってきたベジータと合流した悟空は何とか説得の末にベジータにポタラを付けてもらい,合体戦士ーーーベジットへと変貌を遂げ,魔人ブウを圧倒する。

 

……しかしベジットの目的は魔人ブウをこの場で倒すことではなく,吸収された皆の救出であった。そのためベジットはバリアを張りながらあえて魔人ブウに吸収されることにより,魔人ブウの体内への侵入に成功する。だが不思議なことにその際に一生戻らないと思われていたポタラも解けてしまった。

そして魔人ブウの体内で悟空とベジータは吸収された悟飯達の探索を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何とか悟飯達は助けたけんど……ルナは何処だ…?」

 

「あの女も吸収されているのか……?」

 

「あぁ……だがそん時のブウがどうも様子が変でよ。最初にルナを吸収した時は……正直やべぇと思った。実力もそうだが……何よりあん時ルナを吸収したブウは死んだブルマを()()()()()()。」

 

悟飯達を何とか助けた悟空とベジータ。

だが一向にルナが見当たらない。……その際に悟空がルナを吸収した際の魔人ブウの様子をベジータに説明するが,その様子は見るのすらおぞましい程の狂気的な様子だった。

……ベジータはその説明に自身の妻の最期を想像し,不愉快そうに顔を歪めた。

 

「……けどその後すぐ,動きがぱったりと止まったと思ったら普通の魔人ブウと変わんねぇ様子に戻って,力だって全く変化しないままになっちまったんだ……どうもルナを吸収した時だけ様子が変だったんだよな……それが関係あんのか?」

 

「……おいカカロット。あれを見ろ」

 

悟空は他と比べてルナを吸収した時だけ異様だった魔人ブウの様子を振り返り,ルナが見当たらない原因を考える。

……しかしベジータはそんな悟空の言葉を話半分に,何かを見つけたようで,そのベジータの視線が促す先を悟空も見てみる。

 

「……なんだありゃ」

 

その先にあったのは,まるで深い樹海のように張り巡らされた蔦のようなもの。……その先には微かにルナだと思われる女性がいた。

……しかし吸収のされ方が悟飯達とは違う。繭のようなもので包まれているのではなく,体は丸出しでそれに絡みつくようにその蔦のようなものが多量に張り巡らされ,まるで封印されるように吸収されているルナを見て悟空とベジータは不可解な表情を浮かべる。

 

「……まぁいい。見つかったのなら好都合だ。」

 

「でもよ〜こんな厳重に捕まってちゃ助けるのも一苦労だぜ」

 

「何も壊せばいいだけの話だろう……どいていろ」

 

ベジータはそう言いながら,悟空を押し退け,手に気弾を溜める。

……そしてそのピンク色の蔦のようなものを一掃するように放つ。

 

「……よし!後はルナを助ければでぇじょうぶだな」

 

悟空がそう言ってルナに近づこうとするが,その瞬間異変が起こる。

 

「な……なんだ!!」

 

ベジータが焦燥する。魔人ブウの体内がまるで地震のように揺れ,体内で大量の蒸気が至る所から吹き出る。体の色も変色するように……まるでなにかに呑まれるかのように変化し,明らかにただ事ではない。

 

「カカロットッ!早くソイツを連れて脱出するぞ!このままでは不味い!」

 

「分かってる……!けどルナの所に近づけねぇんだ!!」

 

ルナの目の前からマグマのような熱を持った蒸気が大量に吹き出し,近づけない。

……悟空とベジータはミスをしたのだ。ルナは封印されている()()()吸収されていたのではない。文字通り本当に封印されていたのだ。

 

 

 

 

 

 

……魔人ブウはルナを吸収した際に,あまりにルナの力が大きすぎた……という要因もあるが,何よりそのルナの強すぎる負の感情,狂気的なまでの意思に魔人ブウという主人格が負け,人格ごと全てを乗っ取られた。

 

だが何とか吸収したルナを他とは違う特別処置で押さえ込み,ルナを体内の奥底に封じ込めることによって,力を得られない代わりに元の人格を取り戻していたのだ。……だから魔人ブウはルナを吸収した際の記憶が丸々抜け落ちていた。

……それが今。ベジータによって破壊されたことでその封印が解かれた。もうルナは止まることが出来ない。

 

「仕方ない!!カカロット!そいつは諦めろ!このままでは俺たちまでこの体内でくたばることになるぞ!」

 

「ちくしょう!!すまねぇ……ルナ」

 

悟空とベジータは悟飯達だけを救出し,何とか異変が起きた体内から脱出する。

その際。悟空の頭にある言葉が過ぎった。

 

 

『貴様が(ルナ)をどう思っているかは知らんが……気をつけておくんだな。奴は何がキッカケで暴走するか分からんぞ……私としても今この時代にいる奴は未知数なのでな……』

 

ある日のセルの言葉。悟空はどうしてもその言葉を忘れられなかった。

 

「……どうなってやがんだ……?一体」

 

悟空は魔人ブウの体内の暑さに顔を歪めながら,ルナについての疑問が膨れ上がる。

 

ーーーおめぇは一体何者なんだ……ルナ

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「……アイツはルナだけを吸収してた時の魔人ブウだ。」

 

「…………弱くなったのか?」

 

「分かんねぇ……少なくともルナだけの実力でいえば未知数だ」

 

魔人ブウの体内から脱出後。悟空とベジータは悟飯達を安全な場所に置き,魔人ブウの様子を近くまで見に来ていた。

……魔人ブウは女性のような風貌をした姿へと戻っており,どうも俯いたようにずっと動かない。

 

ベジータはその魔人ブウが悟飯達を吸収していた時より弱くなっているのかを聞くが,如何せん魔人ブウはルナを体内で封印し,その力を得れていなかったため分からないと悟空は答える。

…………だが界王神界から戦いを見た限りでも未知数の力を持っているルナを吸収しているため油断はできないと確信する。

 

「……動かねぇなどうしちまったんだ?」

 

「……先にこちらから仕掛けるか…?」

 

「あぁ…それも悪くねぇかもな。じゃあまずーーー」

 

そんな会話を続けている悟空とベジータの前に突然…………

 

 

 

 

「あ?」

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたたち……だぁれ?」

 

反応……出来なかった。

 

先程まで全く動かなかった魔人ブウが……否。違うこれは魔人ブウではない……魔人ブウを乗っ取ったルナが悟空とベジータの目と鼻の先に何の予備動作も無しに整然と立っていた。

 

「……ル……ナ?」

 

「チッ……!ちゃァァァッ!!!

 

悟空は呆然とそのルナを見つめて動けない……嫌。そのルナから感じる,まるで刃物を全身に突き付けられてるような圧で動けなかった。

……しかしベジータはそれを振り払うようにルナに無謀にもラッシュを仕掛ける。

 

「…………あはは…!!楽しいねぇ……」

 

「……チッ!!本当に不気味な女だぜッ!!その薄ら笑いいつまで持つか試してやる……!!」

 

まるで赤子と遊ぶかのようにベジータの攻撃を軽々避けるルナ。

 

「次は……私……ね?」

 

瞬間。ベジータは崩れ落ちるように,体が落ちた。

 

ーーー何が……おき……た

 

ベジータは攻撃を食らった自分をまるで俯瞰して見ているかのような感覚に陥る。

現実が,ルナの攻撃に追いついていないのだ。その異常すぎる攻撃にベジータはまだ攻撃を食らったという事実を認識出来ていない。

 

「ベジータッ!!」

 

「どうなって……やがる……体が動かねぇ……!!」

 

ただ拳を胴に当てるかのように触れただけ。ただそれだけでベジータは戦闘不能となる。

己の理解も反応をも超えた一撃はベジータの意識を残して体の機能だけを奪った。

 

「……あはははははははははハハハハハハHAHAHAッッ!!!!」

 

狂気的な笑い声を高らかにあげるルナ。それは見ただけで人に言知れない恐怖と不安を与えるようなおぞましい笑いだった。

 

 

 

「…………」

 

「……大人しく……なった?」

 

 

ーーーよく分かんねぇけど……チャンスなのか?

 

ルナは再び動かなくなった。

……それを見て悟空は慎重に警戒しながら後ずさる。

 

 

 

 

 

 

 

「……壊れろ」

 

「は?」

 

ポツリとこの世の全てを呪うような声が悟空の耳を微かに届いた。

 

「壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ」

 

「……ベジータッ!!捕まれ!!!界王神界まで逃げるぞ!!」

 

 

人間には理解出来ない狂気を孕んだルナ。その狂気と共に爆発的な気の増幅を感知し,悟空は対抗するという考えからすぐに逃げる判断に切り替え,ベジータを連れながら悟飯たちの元へ向かう

 

 

「……死ねッ!シネッ!全部ッ!!センブッ!コワレロッ!!!キエロッ!!」

 

ルナの手に溜まっていく気はいとも簡単に地球を破壊できる力を含んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アハハハハハハハハッ!!AHAHAHAHAHAHAッ!!!」

 

 

 

 

そして……何の躊躇もなく…それを地球へと放った

 

 

 

「……ちくしょう…間に合わねぇ……!!こんな一瞬じゃ……!!」

 

何とかデンデとサタン達だけは回収した悟空。

……しかし悟飯達はまだ遠く,瞬間移動も間に合わない。

……そこに

 

 

 

 

「早くッ!!捕まってくださいッ!!!」

 

「界王神様ッ!」

 

「……お…おいッ!!」

 

現れた界王神が悟空達の手を取り,その破壊されゆく地球から脱出しようとする。

……しかしベジータが抗議を孕んだ声を上げる。その視線の先には助けた自身の息子を含めた者たちがいた。

 

 

 

 

 

だが……そんなベジータの願いは虚しく,悟飯達を置いて悟空達は界王神界へと瞬間移動した。

ーーーそしてその数秒後。地球は宇宙の藻屑とかしたのだった

 

 






補足

〇界王神の痛恨のミス
早い段階でルナの吸収という手段を取ったことで,初見殺しであった吸収を何とかできると思いきや,まさかの肝心の方法について伝えていなかったため,悟飯が吸収はビームによってお菓子に変えたモノを取り込んで出来ると勘違いする(ピッコロも実際デブのブウがチョコになって取り込まれてるのを見てるので余計に勘違いが助長)

多分方法伝えれてたらここで吸収に引っかかることは無くなるので,何とか原作ベジット方式でルナを救うか,悟飯がルナごと殺してたルートだったかも








〇悟空の投擲能力
アニメやゲームなどの描写を見る限り,割と悟飯の手元から大きく離れた位置に投げられている気がします。
瞬間移動で渡すのが一番最適解な気がするが…………
(流石に突然現れて,説明もなく小さな物を投げるにしては雑投擲すぎた……)




実質的に界王神の情報伝達不足でゴテンクス達を持ってかれ,父親の雑投擲で吸収されている可能性がある。

ちなみに油断がない悟飯(+若干強化あり)とかいう存在がチートすぎるためのご都合主義とは言ってはいけない(正直魔人ブウ編は結構扱い難しい。強すぎるんですよ……この原作単体最強)








〇ルナ吸収魔人ブウ
最初吸収した際にガチで人格とか含めて全て乗っ取られたため何とか封印してた(その代わりルナの力は得られてないため戦闘力は変わってなかった)
しかし中途半端に封印が破られ,悟飯たちだけを取られてしまったため今度こそルナに乗っ取られた。
その実力は未だ未知数。

原作の純粋ブウの時のように結局地球を破壊されてしまってるが,イメージとしては純粋故に何の感情もなくただ躊躇なく地球を破壊したのが純粋ブウで狂気と理性無き破壊衝動で躊躇なく地球を破壊したのがルナ吸収ブウ。
純粋ブウとは別ベクトルでやべぇ奴となっている。
正しく最狂の魔人ブウ

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