第十三話
微睡むような眠気のなか……在りし日の憧憬がルナの中に思い浮かんだ。
『……ねぇ…どうして私を選んでくれたの?』
そこは月明かりが照らす色彩豊かな花畑。周りを舞う蝶に,甘い花の香り,自然と動物が織り成す個性的な音楽に包まれるなか,ルナは目の前の者に問いた。
『そっか……覚えててくれたんだあの時私が言った願い。』
ある日……始まりの日にルナがその者だけに話したたった一つの願い。
ーーー大切な,暖かい家族が欲しいという願い。それを覚えてくれていたらしい。
…………生涯孤独なのだと思っていた。ずっとずっと独り寒さに耐え続けていた。
……でも今ルナの目の前にはおそらく自分にとって初めての大切なモノ,特別な存在……家族となる者がいた。
『……ありがとう本当に………………大好きだよ』
初めて紡いだ愛の言葉。抱きしめた体はとても暖かく,初めて感じる安心感があった。
……深く深く夜が更けていく。その日の夜はとても長かった気がした。
このまま時が止まればいいのに……そう考えるほどルナにとって特別な暖かさだった。……幸せだった。
……その暖かさは永遠ではないのに
〜〜〜〜〜〜
「……ん。ここは……………………」
ルナはハッと目覚めるとそこは神殿だった。まだ寝起きで完全に意識が覚醒していない中,ふと自身の体を見てみると正しく普通の人間の女性の体だった。……何故かその事実に酷く安心感を覚えた。なんだか前後の記憶がすっぽりと抜けているような気がする。
「……あ!ルナちゃん目が覚めたのね!」
「ブルマさん……私は」
目の前にはブルマがいた。ブルマは目覚めたルナを見るととても安心したような表情でこちらに寄り添ってくる。
「……えーとルナちゃん。自分に何があったか覚えてる……?」
「…………確か神殿にいて…精神と時の部屋から魔人ブウが出てきて…………私が…戦って……それで」
徐々に徐々に記憶を探っていくルナ。自身の記憶を辿っていくとある事を思い出した。
「……あ。そうか私…魔人ブウに…………でもそれからどうなったんですか?」
「……本当に何も覚えてないのね」
「……?」
今の私が魔人ブウに吸収されたらきっととんでもないパワーアップを果たしてしまうだろうし,どうやって倒したんだろ……?と。そんな疑問を浮かべていたルナは,ブルマの妙な反応に首を傾げる。
「…………そうね。結果だけいえば…あなたは魔人ブウに吐き出されたのよ。それで助かったの。」
「……へー。私吐き出されたんですか。」
「……すっごい他人事ね……。こっちは大変だったっていうのに……」
「だって記憶がイマイチ曖昧で……」
ーーー確か孫くんが言うには…ルナちゃんの意思が酷く弱まったおかげか,ブウが一瞬意識を取り戻して,その隙にルナちゃんを体外に吐き出したんじゃないか……って言ってたけど
「……あれ?ということはブウは倒されたんですか?」
「えぇ……孫くんとベジータ……あとあのミスターサタンとか言うのと……太っちょの魔人ブウが協力して倒してくれたわ」
ブルマはルナが吐き出されたあとの事の顛末を思い出す。
ルナを吐き出したブウは,本来の流れで言うところの純粋……大昔界王神達を襲った最初の姿の魔人ブウに戻り,速攻で地球を破壊しようとした。
……しかしルナの時の経験からか,すぐにその攻撃を打ち消すと,悟空は咄嗟に一番近くにいたベジータを連れて,せっかく復活させた地球をまた破壊させない為にも,そのブウごと界王神界へと瞬間移動で戻って行った。
……それからは当初のベジータの作戦通りである,元気玉によって魔人ブウを倒そうとする。その際ベジータが魔人ブウの足止めをし,界王神界に取り残されていたミスターサタン,そしてその足止めの戦闘の最中に吐き出された善の魔人ブウの協力も得て何とか元気玉を完成させ,ドラゴンボールや皆の力もあり,魔人ブウを完全に消し飛ばすことができた。
こうして今は決着がつき,界王神界から帰ってきた悟空達も含め,皆で神殿に集まってお互いの無事を確かめあっていたところだったらしい。
「……じゃあ私も目が覚めたし,一応みんなの元に戻ろうかな」
「………………そうね。そうした方がいいと思うわ」
なんか間があったな……とルナは一瞬思った。やはり自分は魔人ブウに吸収されている間何かやってしまったらしい。
しかし記憶が無いため,心当たりは全くない。
そしてルナはぼちぼちと皆が集まっている所へ向かっていった。……皆の姿が段々見えてくると
「…………皆さんすみません。吸収されて迷惑をかけてしまって…………助けて貰ってありがとうございます。」
「……ルナ。目覚めたんだな」
「うん。悟空くんが魔人ブウを倒したって聞いたよ。私のことも助けてくれてありがとう」
「…………いや。いいんだ」
そのやり取りだけで悟空は気づいたおそらくルナは吸収されていた時のことを覚えていないと。
「……あー。えーと………私吸収されている間に何かしたんですか?」
「…………」
ルナの気まずそうな言葉に悟空もつい黙りこくる。さすがに本人も何かあったんだと察していたらしい。
「…………神への復讐,孫を守る…………それが貴様の目的……らしいな?」
「……!」
「一体どういうことだ……カカロットを守る?貴様は何を知ってやがる」
悟空の代わりに戦いの時の様子を聞いていたピッコロとベジータが遠慮なくルナへと質問攻めする。
……そんなことまで知ってるんだ…と。ルナは何となく自分が吸収中に何があったのか察した。おそらく魔人ブウが自身を制御出来ずに,自分自身が魔人ブウの主人格となってペラペラと色々話してしまったのだろう。
「……俺はカカロットと共に貴様と戦っていたからな。その時の様子はよく覚えてる。他のものには何も興味が無さそうだったが,カカロットに対してだけは妙に執着していた。破壊衝動もカカロットと話している時だけは精神的にかなり落ち着いていた……」
「…………なんででしょうね?」
「貴様がよく分かってるんじゃないか……?洗いざらい吐いてもらいたいところだがな……この戦いで俺は貴様は狂っていることを確信した。あれは紛れもなく魔人ブウが関係ない貴様の本心だろう……そのまま放置しておくには危険すぎる存在だ。」
この戦いでルナを最も危険視していたベジータが,更に詰める。どうやら引く気はないとルナはすぐに感じた。
……そして同時に他の仲間達もルナに対して,不安そうな表情を浮かべているのを
「……まぁそうですね。でも本当に言う必要がもうないんですよ。」
「……なに?」
「私の目的は神に復讐すること,悟空くんを守ること……これは語弊がありますね。今の目的は復讐だけです。
ルナは飄々と語る。
「……で。その復讐についてですけど別に言う必要はないですよね?だって私の個人的な恨みをわざわざ他人に話す必要も無いですし,興味もないでしょう。
……あと近いうちにわかるだろうし」
「……それだけか?」
「はい。それ以外特に話すことはないです。だって皆さんが気になっていたのはその2点だけでしょう?」
案外短く簡単に終わったルナの言葉に,ベジータを含め皆少し消化不良が残っているような表情をしている。
「……なぁ。じゃあおめぇはまず根本的に何者なんだ?もうただの地球人です,じゃすまねぇぞ。」
「…………」
悟空がルナにとって突かれたら痛い質問をする。
「……それは言えないかな」
「……どうしてだ?」
「……言ったら…きっと色々な人との関係が悪くなっちゃうし……それに悟空くんがその筆頭だよ。多分聞かない方がいいんだと思う。」
ルナは何者なのかはどうやら言えないようだ。それは他のものに気を使って……との事だ。
「……じゃあおめぇはなんでそんな強ぇんだ?地球人……ってのは本当なんだろ?」
「……あぁ。それはただ単に修行したからだよ。そこで」
「…………精神と時の部屋でか?いつの間に……けどだとしてもそこまで強くなるとは思えねぇけど……」
ルナは精神と時の部屋の方を指さして答えた。ただ悟空はその答えを聞いてもイマイチ納得できない。
正直戦闘に向いてるとは言えない種族である地球人がそこで修行をしても今のルナのような力を手に入れることなんて殆ど不可能だと考えているからだ。
「…………強くなれるよ。頑張れば,おすすめはしないけどね」
ルナは色のない目でポツリと語った。これ以上はどうやら言及しない方がいいようだ。
こうしてルナへの追及も終わり,皆が今回の戦いを無事に乗り越えられたことを感じて,再び戦士たちは解散していった。
……おそらく暫くは平和な時が続くのだろう。長い長い平和な時が………………
〜〜〜〜〜〜
4年。そのくらい月日が経った。この間特に何事もなく日常が過ぎていき,仲間達は今日ブルマの誕生日パーティということで久しぶりに皆ブルマの歓迎によって集まっていた。
「……ブルマさん!誕生日おめでとうございます!」
「あら!ルナちゃん!来てくれたのね!
……それにしても相変わらず嫌になるくらい若々しいわね…アンタ」
「……そうですかね?」
ルナもそのブルマの誕生日パーティに来ていた。心做しか不思議なくらい明るく,常に不気味なほど微笑を浮かべていた。
「……でも私ももういい歳ですよ。だって今日ブルマさんがーーー」
「アンタ……歳のことは厳禁よ」
「……あはは…すみません……」
そんな他愛もない話をしてブルマの誕生日パーティを楽しむルナ。ルナは今日の日を本当に心の底から望んでいた。一体何年の間望んでいただろうか
ーーーこれで全てが変わる……あははは……
パーティは何事もなく進んでいくと思われていたが,突然。何処か不気味な雰囲気を感じる紫色の猫のような者と,白い髪で青い肌をした杖をついた者がくる。
ベジータが妙にご機嫌取りをし,何とか場は丸く収まってるようだ。
……だが一瞬気を抜いた隙にそれは起こった。
魔人ブウが破壊神ビルスの逆鱗に触れたのだ。……最もただのプリンによってだが。
結果ベジータの努力虚しく。破壊神ビルスとの戦闘が起こる。
その恐ろしさを知らない戦士たちが次々と向かっていくが,手も足も出ずに蹴散らされていく。
……その光景はまるで4年前のルナを吸収した魔人ブウとの戦闘を彷彿とさせられた。
「……へぇ君なかなかやるじゃないの。超サイヤ人ゴッドではなさそうだけどここまでの者がいるとは予想外だったよ。」
「……くっ…つ……強い。僕だって鈍らないように修行は欠かしていなかったはずなのに。」
唯一。少し善戦出来ているのは現在の戦士たちの中で間違いなく最強である孫悟飯ただ1人。……だがそれも少し勝負の土俵には立てているというだけである。
「うわぁぁッ!!」
「うーん。なかなか悪くなかったけど……まだまだ僕を楽しませれる程じゃないかな。あともう少し強ければ少しは楽しめそうだったんだけどね」
その悟飯もとうとう健闘むなしくやられてしまう。
そしてその後。ブルマに手を出された怒りでベジータが覚醒し,悟空を超え,ビルスと渡り合うが,やはりそれも一時的なものであり結局敗北してしまう。
……もうビルスによって地球は破壊されてしまう。そう思われていたところに悟空がやってきた。皆はそのいつも地球を救ってくれた背中を見て期待に溢れた目を悟空に向ける。
「……ビルス様!ちょっと待ってくれよ。地球を破壊すんのは見逃してくれねぇか?」
「なにを言ってるんだ僕は破壊の神だ。それとも君がまた戦うかい……?」
「……いやぁ今のままじゃどう足掻いてもアンタに勝ち目はねぇ…………だからちょっと待ってくんねぇか?」
どうやら悟空はビルスに対抗する何かを思いついたらしい。
その案はどうやらビルスが探し求める超サイヤ人ゴッドになれるかもしれないとの事だ。
「ブルマこのドラゴンボール使わしてもらうぞ」
「いいわよあの礼儀知らずのバカをぶっ飛ばしてくれるならどんどん使っちゃって!」
「ブルマ……おめぇ口悪ぃぞあの人は神様だ」
悟空はドラゴンボールを使って神龍に超サイヤ人ゴッドのなり方を聞くようだ。その際悟空はブルマに対してビルスが神であることを伝え,ビルスもそれに対して少しドヤ顔をしているが,ブルマは自分が叩かれた影響なのか暴言が止まらない。
神ならプリンごときで暴れるなとの事だ……正論である。
そんなこんな神龍を呼び出そうとするが……
ーーー運命の歯車が完全に嵌った。
「ダメだよ悟空くん。戦っちゃダメ」
「……ルナ?」
突然ルナが悟空に話しかけてきた。俯いたまま表情が分からないルナであったが,不意にスっと顔を上げた。
その表情に悟空は一瞬ゾクッと背筋が凍った。
「……なんだいキミ邪魔しないで欲しいんだけど。ようやく超サイヤ人ゴッドと戦えると思ったのに」
「…………そんなのいらないよ。お前は……私が」
ルナの表情は喜びに満ちていた。大きな三日月を描いたような口元に,猫のように細めた色が褪せた瞳。
それは何処か恍惚の表情にも思われるような顔をしていた。
ーーーお前は私が殺すよ。破壊神ビルス。そのために私は今まで生きてきたんだから
これはとある少女の物語の果てである。
〜〜〜〜〜
「……君が僕を?悪いけど絶対に無理だと思うよ。いいから早く超サイヤ人ゴッドを…………」
ザンッ!!!
瞬間。ビルスの首元を鋭い蹴りが掠めた。まともに当たれば首が切断されるんじゃないかと錯覚するほどの一撃だった。
「……口だけじゃないらしいね」
「………………」
ルナは言葉を交わすことなく無言で攻撃を仕掛ける。首,心臓,脳,動脈,金的どれもまともに当たればただじゃ済まないであろう箇所に素早く攻撃をしてくる。
「……君いちいち攻撃の殺意が高くないかい?僕は何か君の恨みを買うようなことをした覚えはないんだけど?」
「……」
ルナの攻撃がさらに加速していく。ビルスも徐々に掠り始めていった。
「……すげぇなやっぱり随分と力を隠してたなルナ」
「い……行けるんじゃないか……?」
「やつの言っていた神への復讐……まさか」
仲間達もルナの本気の戦いを見て驚きに包まれた。まさかあの破壊神と渡り合うほど力を持っていたのは予想外だったからだ
「……なるほど。随分と面白い存在が紛れているようですね」
破壊神の付き人であるウイスだけはルナの存在の正体に気がついた。
「……そろそろ僕も反撃するとしようかな」
「……勝手にどうぞ」
ビルスもとうとう攻撃に出る。それは殆どの者が反応出来ない程の一撃。
「……!」
「……ふッ!!」
だがルナはビルスの一撃をあえてその力がそのまま流れるように受けて,少し前方に重心が崩れたビルスをそのままの方向に蹴飛ばした。
「……なるほどこれは本当に想定外だった。超サイヤ人ゴッド以外に僕とここまで渡り合う人物がいるとはね」
「…………渡り合う?何か勘違いしてるけどあなたは今ここで死ぬんだよ」
「…………うーん。ただ君は何か普通の生物とは違う気がするんだよね。それこそ僕は君の事なんて知らないけど,どうやら君は僕に何か恨みがあるらしい。」
まともに一撃を食らったビルスだがさすがに破壊神。まだまだケロッとした様子でルナに話しかけてくる。
……そのルナの強さに本音から感心したような発言をするが,しかしルナの素性に疑問を抱いているらしい。
そうしてお互い探るように鋭い瞳をぶつけ合い,無言のまま再び拳を交わらせる。
ルナが首を狙った回し蹴りを音を置き去りにするような速度で放つが,ビルスはそれを少ししゃがむことで回避。
しかしルナの外した脚の側方から,垂直に気の刃が出てきて真下にいるビルスの肩の腱を狙うようにその気の刃が突き破らんとする。
「おっと……危ないじゃないか」
「……」
だがビルスはその気の刃を何とか無理やり掴み取り,折る。
その白熱した戦いから自然と一旦落ち着くように今度は2人は宙ではなく,地に足をつけての戦いとなる。
「……空中戦と地上戦。どちらが得意だい?」
「……わざわざ選ばせてくれるなんてお優しい神様だね。そうだねどちらかというと地上戦かな。そっちの方が貴方を殺せる手段が多い。」
「……へぇなら楽しみにするとしよう」
その瞬間。ルナは一直線にビルスに向かっていく。
しかしその単調な動きに,ビルスはカウンターを合わせようと狙いすます。
そのままビルスと至近距離でぶつかり合う直前。ルナが思い切り地を踏み込み,正面から拳を放とうとし,それにビルスがカウンターを合わせるが,そのカウンターを当てる前に突然ビルスは弾かれたように後方に下がった。
瞬間。先程までビルスが居た場所に地から大量の鋭い気の刃が生えてくる。踏み込みの瞬間に足から出したらしい。下がるのがあと少し遅ければ,串刺しになっていた。
そしてルナは1度落ち着いて一息ついたと思えば,徒手空拳の状態から両手に気で1尺程の短刀を模したものを作り出し,それを二刀両手に構える。
刹那。ルナは一瞬のうちに間合いを詰めると右の短刀で目を狙い済ました突きを振りの速さを利用して最速で打つ。
ビルスはそれを見て一瞬顔を逸らし,回避するがルナの狙いはビルスの意識を逸らすことだった。
顔を逸らし,下への意識が疎かになった瞬間。体を畝らせるように回転させ,逆手で持った左手の短刀で逆袈裟斬りを放つ。
ザシュッ!!
何とか気で防御を固めるのが間に合ったビルスはうっすらと切り傷から血が垂れるが,深くは刃が通らなかった。
「……君。武器術も中々じゃないか。いや……どちらかというと徒手空拳よりもこっちの方が得意なのかな」
「…………随分と余裕が消えてきたんじゃない?」
「……言うねぇ…じゃあ僕もそろそろギアをあげるとするよ。」
そしてとうとうビルスが破壊神として禍々しい程の膨大な気を放出する。ルナは思い出すかのようにその圧を受けると覚悟を決めた瞳でルナも気を解放する。
ゴゴゴゴッ!!
ゴゴゴゴッ!!
膨大な気によって大気が揺れ,宇宙が,時空が震える。その気のぶつかりによって地が割れ,辺りにスパークが迸る。
「……へぇ…君どうやってその次元まで力をつけたんだい?到底ただの人間に辿り着ける境地ではないよ」
「…………貴方を殺すために…地獄を乗り越えて身につけた」
ビルスは心の底から驚いていた。ここまでの境地に辿り着ける人間が存在したことに。しかも相手は決して戦闘民族でもなんでもない,辺境の星の脆弱な種族の女だ。
「……気は分かんねぇけど,お互いとんでもねぇことは分かる。ビルス様もルナもすげぇな…こんな世界があったなんて…………オラもまだまだ強くなれるってことなんかな……何か……すげぇワクワクしてきたぞ……!!」
「……あれが神の次元に到達したもの同士の戦いか」
悟空やピッコロを始め仲間達も,その戦いの次元の違いを汲み取って目を逸らさずにその戦いの結末を見届けようとする。
〜〜〜〜〜
音と動きがあっていない……まるで音だけをスロー再生で見ているような感覚に陥る戦いが行われていた。
凄まじい衝撃と共に至る所で空気が爆ぜる音が聞こえる。蒼と茈色の閃光が弾かれ,弾かれ,弾かれ……何度も何度も何度もぶつかり合う。
ーーー行ける……私はこいつについていけるほど強くなったんだ。勝てる……勝てるんだ……!!
ルナは確信した。自分がこの戦いについていけていることを,自身が通用するということを……この神を,殺すことが出来るということを……
……そして全てを変えられるということを
ーーーようやく……私の今までが実る。全てを変えられる……あの日から始まった私の物語を終わらせる…………こいつを倒して……私の大切なものを今度こそ守って………………そして……
何故かそしての,先の言葉かルナの喉から出ることはなかった。
ーーーそして…………
復讐に身を焦がし,人生を棒に振り,全てを力の為に捧げてまで叶えたかった願い。叶うはずが無かった願い。……そう本当の"目的"
それが,最初この世界に来てようやく叶えれる事ができると思った。
ーーー今の私に,何が残るんだろう
自問自答を,する。いつの間にかルナの中で,復讐という過程とそれを経ての願いという目的が何故か過程の方を目的にするようになった。
……否。何故か,ではない。本当は分かっている。ただある意味現実逃避としてこの破壊神への復讐に執着した。
きっとこの復讐を果たせば何かが変わるはずだと信じたかったから
ーーーもう欲しかったものは手に入らないのに
ルナは破壊神ビルスを殺さなければ今までの全てが無駄になる気がしてしまった。何より破壊神を殺して,ルナにとって
彼女は認めたくなかったのだ。自身の大切なモノを自らが殺してしまったのではないかという可能性を
ーーー違う……から。私の愛は間違ってなかったはず……だから。
認めない。最初から自身の愛が間違っていたなんて
ーーー私は愛していたから。
認めない。あの暖かく幸せな日々が,全て本当は有り得るはずがなかったものだなんて
ーーー
彼からの愛が本当は嘘だったかもだなんて事実に耐えられるはずがなかった。
夢から覚め,現実を見て,戦う意思の無くなったルナの体をビルスの一撃が貫いたーーー
補足
〇破壊神ビルス編の悟飯の実力
ちゃんと鈍らない程度に修行してたため原作単体最強から変わらなかった。多分ゴッドがビルスの7割程度なのでアル飯は弱体化なしなら3、4割なのかなと思います。
まぁただ後々のビルスの実力描写や超サイヤ人ブルーのことを考えたら超サイヤ人ゴッドが7割って結構怪しい所はありますけどね。
私の独自解釈として"素のビルスの実力"で7割で破壊神の力や身勝手の極意を駆使すればビルスの実力を比とした割合も変わるのかなと思います。
〇ルナの実力
破壊神殺す殺す言ってますけど,おそらく多分無理です。勿論互角に渡り合う実力があるのは事実ですが,ルナがここまで強い理由は卓越した回避能力にあるので火力面が意外と実力に反してそうでも無いんですよね。(殺傷能力は高いけど)
ちなみに今までこの小説の作中でルナが明確に大きなダメージを受けた描写は今回の話の最後に戦う意思をなくして,ビルスから受けた一撃のみです。
この回避能力の理由というか実力の理由もそろそろ明かされていくと思います。