陽だまりに焦がれて   作:oir.1

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第?話 〜終わりと始まり〜

 

 

 

 

 

 

破壊神ビルス。そんな名前の神様が地球にやってきた。それはブルマさんの誕生日会の途中だった。

その神様はまるで子供のような理由で暴れ回って次々と皆を蹴散らしていく。

 

だけどそんな中。悟空くんが現れた。皆これで安心だーーーとでも言うような表情をしていたと思う。

そうして悟空くんはその後ドラゴンボールで超サイヤ人ゴッドというのになる方法を聞いたあと,他のサイヤ人の人達の力を借りてその変身をして,破壊神ビルスと戦った。

 

他の仲間の人たちはただその戦いを眺めていた。でも表情には何処か安堵が浮かんでいることからきっと悟空くんの勝利を疑っていないのだろう。

私は……いつものようにただ悟空くんが心配だった。またボロボロに傷ついてしまうんじゃないか……また死んでしまうんじゃないか……と。

でも何となく私も悟空くんはきっと勝って無事に帰ってきてくれる……今までの経験からそう心の底では思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーでもどうやら今回は違ったらしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟空くんはその破壊神ビルスの期待に応えられなかった………なんて言ってた気がした。

 

 

 

「…………うーん。微妙。そうとしか言えないね。決して弱い訳でも……期待外れな訳でもない……でもなーんか微妙だったんだよねぇ………君。」

 

「……へへっ………ま……まさかこんな世界があったなんてな……オラは超サイヤ人ゴッドになっても……………まだ1歩足りなかったらしい………」

 

「そうそう1歩。あと1歩足りない。僕的には6,7割程度出せればかなり上出来だったと思うんだけど………君。4,5割程度なんだよねぇ………いい運動にはなったけどちょっと消化不足だ。」

 

悟空くんがボロボロで膝を着いて,何処か諦めたような表情をしているのを見て,仲間たちに動揺が走ってザワザワとしている。

私は………そんな会話が聞こえないくらい嫌な予感が胸を占めて,頭の奥の方で警告音がずっと鳴っているような気がした。

 

「………まいったなぁ…………ここまでか……ただアンタの世界に足を踏み入れられなかったのは残念だったなぁ………」

 

「潔いいねー君。でもキミには健闘賞をあげようと思ってるんだ」

 

「……健闘賞?地球を見逃してくれんのか?」

 

ダメだ……この先の会話は聞いちゃいけない。そんな嫌な予感が……死の気配が身近に迫ってる気がした。

 

「あぁ地球は見逃してあげるよ。ここまで僕と戦えた奴もいなかったことだしね。」

 

「本当か!?」

 

「でも……微妙だったのは事実だ。ただ見逃す訳には行かない。なんせ破壊神の機嫌を損ねたんだからね」

 

まるで過呼吸のように動悸が止まらない。行かないで……とゆっくり悟空くんに手を伸ばした。

 

「…………………だから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー孫悟空。君の命1つで許してあげるとするよ。

 

 

 

 

「ははっ……そうか。悪かったなぁビルス様。わざわざここまで待ってもらったのに期待外れでさ。オラも次があったらもっとアンタといい勝負できるくれぇ強くなれたらいいなぁ………地球を見逃してくれてサンキューな。」

 

「今回だけだよ。……あと期待してる所悪いけど破壊神に破壊された者はドラゴンボールでもなんでも生き返ることは出来ない。君の魂はこの場で破壊される。」

 

「………あぁでぇじょうぶさビルス様。」

 

破壊神が悟空くんにその破壊のエネルギーを纏っているであろう掌を向けた。他の仲間の人達ははまだ思考が追いついておらず,何がなんだか分かっていなかった。

 

 

 

 

ーーー駄目……ダメ……嫌だ……いや…………こんな別れ………

 

 

「……あぁそうだ。最期に1つだけ………ルナ」

 

「ぇ………」

 

「最期まで心配かけちまって……おめぇにそんな顔させちまって悪りぃな…………本当にすまねぇ……あと………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーオラもちゃんと愛してたぞ……ありがとな

 

 

 

 

「悟空く………!!!」

 

 

 

 

 

 

「永遠にお別れだ……孫悟空」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前から私の陽だまりが……私の最愛の人が紫色の光に呑まれるように消えた。……何となく直感で分かった。あぁ悟空くんとはもう二度と会えないんだって

 

まるで白昼夢を見ている気がした。これは悪い夢なんだと思った。

……急速に心が冷えていく感覚がした。

 

不思議と悲しくは無かった……否。何も考えられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

破壊神ビルスは悟空くんを破壊してすぐに地球を去っていき,この地球に来ることは無かった。仲間の人達がドラゴンボールで悟空くんを生き返らせられないか集めていたみたいだけど……どうやら破壊神に魂ごと破壊された者はもう生き返れないようだ。仲間たちの間は悲壮感に包まれていたが,私は特に何も思わなかった。

 

悟空くんが死んだ後も私は普通に何も無い日々を過ごしている。息子二人と……いや悟飯はもう出ていったし,悟天と2人で過ごしている。

 

 

 

 

 

 

 

朝に目が覚めた。ーーー何故か私の目に映る景色に色が無かった

 

 

朝食を作って悟天と一緒に食べた。ーーー食べたあとすぐに吐いてしまった

 

 

 

悟天を学校へと送った。ーーー息子の顔がよく分からなかった。

 

 

 

1人で家に居た。ーーーなんだか何をしても,何を食べても,どれだけ厚着しても寒さが止まらない

 

 

お洗濯をした。ーーー悟空くんのおかげで家事も得意になったんだよね……なんて考えていたら,吐き気が止まらなくなった。

 

 

 

部屋の掃除をした。ーーー悟空くんが最期に来ていた道着を見つけて,暫くの間それに包まるように抱えて動けなかった。

 

 

 

 

お昼を食べた。ーーー何故か1口だけで,手を止めてしまった。

 

 

 

何もやることが無くなった。ーーー何故か料理に使った包丁と縄に強く興味をそそられた。

 

 

 

 

 

自慰行為をしてしまった。ーーー何故か色々忘れられる気がしてハマってしまった。

 

 

 

 

 

包丁で手首を切ってみた。ーーー何かスッキリしたように……自身が生きていることを実感出来て気持ちよかった。

 

 

 

 

 

悟天が帰ってきた。ーーー何でそんな心配そうに私を見るんだろう

 

 

 

 

夕食を悟天と食べた。ーーー食事が喉を通らなかった

 

 

 

 

 

お風呂に入った。ーーー息子……名前が思い出せない。それと一緒に入った

 

 

 

 

夜になってすぐに寝た。ーーー悪夢を見て発狂してしまった

 

 

 

 

 

 

 

朝。目が覚めた。ーーー起きたくない

 

 

いつの間にか昼になっていた。ーーー家には誰もいなかった

 

 

自慰行為をした。ーーー忘れられた

 

 

自傷行為をした。ーーー気持ちよかった

 

 

悟空くんの道着を抱きしめて横になった。ーーー安心した

 

 

悟空くんとの思い出を思い出した。ーーー吐き気と動悸が止まらない

 

 

あと……誰かが帰ってくるはずだった。ーーー誰も家に帰ってこなかった。

 

 

 

夜に悟飯と名乗る青年が家に訪ねてきた。ーーー何を言ってるのだろう?

 

 

 

その青年は悲しげな目でその弟と思われる子を連れて帰っていった。ーーー悟空くん

 

 

 

お風呂に入った。ーーー悟空くん

 

 

 

夜に寝た。ーーー寒い

 

 

 

 

 

 

 

 

朝目が覚めた。ーーー寒い

 

朝食を食べた。ーーー会いたい

 

寝た。ーーー抱きしめて欲しい

 

起きた。ーーー悲しい

 

自慰をした。ーーー苦しい

 

リスカした。ーーー辛い

 

夜ご飯。ーーーもう嫌だ

 

お風呂。ーーー寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い

 

寝た。ーーー死にたい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

起きたーーー死にたい

食べたー死にたい

寝たーーー死にたい

起きたーーー死にたい

死にたい

死にたい

死にたい

死にたい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ……そうか全部アイツ(破壊神ビルス)のせいなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

私がアイツを殺したら……悟空くんは帰ってきてくれるのかな。褒めてくれるかな。また抱きしめてくれるかな。キス……してくれるかな。

 

 

 

 

そうだ。私がアイツを殺そう。きっと悟空くんに頼りっぱなしだったのが良くなかったんだ。私も戦えるようになれば悟空くんだって安心するはずだ。

それに一緒に修行だってできるし,悟空くんも嬉しいよね。

 

悟空くん。私が悟空くんより強くなったらなんて言ってくれるかなぁ……喜んでくれるかなぁ……また愛してるって言って欲しいなぁ…………何か楽しくなってきた。

 

 

 

 

 

 

また2人で一緒に過ごすのが楽しみだ。

 

 

 

 

 

生きる活力が出てきた気がする。やっぱり悟空くんのおかげなのかな。よし……そうと決まれば早速修行しよう!確か精神と時の部屋……とか言った部屋があったはず。

私は悟空くんと違って女だし,ただの地球人だし絶対に一生かけても悟空くんみたいに強くなるのは難しいよね。

 

 

でも私はちゃんと作戦考えてるんだよね!ドラゴンボールで不老を願った後に精神と時の部屋で修行すれば,正に最高効率で理論上無限に強くなれる時間があるはずだ。

早速ドラゴンボールを集めよう。そして精神と時の部屋で納得するまで強くなるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー決して私が不死を願わなかった理由はこの時の私には分からなかった。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

no side

 

 

 

 

 

ルナは自身の作戦通り,その後ドラゴンボールを集め"全盛期の肉体のまま不老にして欲しい"という願いを叶えて精神と時の部屋で修行を続けた。

 

 

その時のルナに時間感覚は無かった。自身が修行をしているという事実さえ,時がどれほど経っているのかという感覚さえ彼女にはない。

まるで時が止まっているような感覚なのだろう。彼女の中にあるモノは2つ。

孫悟空への執着と破壊神ビルスを殺すというの2つの想いから機械のように体を鍛えた。

 

いつしか彼女の目の前にはセル,魔人ブウなど仲間達や悟空から聞いた敵が現れるようになった。…………幻覚である。

彼女はその幻覚と修行をし続ける。実際に攻撃を受ける感覚は幻覚が相手のため無いが,彼女はそれを全て避け続けるよう修行したため,回避能力だけは上手く鍛えられたのだろう。

……いつしか敵だけでは無い。目の前に孫悟空が出てきた。

 

ルナは修行が大好きになった。悟空と会えるから……ただそれだけの事だ。ルナは悟空と己を高め続ける。いつしかルナはかめはめ波に瞬間移動……悟空が使う技を積極的に覚えるようになった。生憎瞬間移動は独りで修行しているルナが実際に試せることは無かったが,少なくとも体感では行ける感覚を覚えた。

……幻覚という微睡みに包まれて時を忘れて鍛え続ける。

 

 

「……悟空くん。今日は超サイヤ人?」

 

「そうなんだ!私ちょっとは筋が良くなった?」

 

「え?終わったらご飯が食べたい?うん!大丈夫!私が作ってあげるから!」

 

「じゃあ今日も私頑張るね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飯は食べていない,排便もしていない,寝てもいない。それに加えて彼女は地球人の身でありながら無理な修行を続けたため体は内も外もボロボロ……というか人間が生きられるような体ではない。ルナはいつ死んでもおかしくなかった。

 

否。ルナは恐らく無意識下で願っていたのだ。自身の自然死を。

ルナは死へのトラウマと脆弱な心で,自殺する勇気は無い。だからこそルナは破壊神への復讐という目的に全てを捧げて生き続けた。その果てに自身の死を願って。

 

だがルナは意外にもこの異常な環境下で死なずに生き続けた。ルナはいつしか体が動かなくなったため,気の力を使って無理やり体を動かすようになった。

……死体を操っているのと変わらない。

 

しかしそんな状態を気が遠くなるほどの時間続けた結果。ルナの体は()()したのだ。

ルナは食事を必要としなくなった,排便を必要としなくなった,睡眠を必要としなくなった。

 

 

ハッキリ言って人間ではない。

 

 

ルナはいつも自身が完全に死なないギリギリで修行を止める。無意識下で臆病な自身の心が死を恐れているのだろう。

そしてこんな過酷な環境で過酷な修行,そして食事も排便も睡眠もしない異常な生活を送っているルナはある力を意のままに操れていた。

 

走馬灯あるいはタキサイキア現象だろうか。彼女は死に片足を浸し…………否。死を背負いながら生き続ける,朽ちた生者として完成された結果。この力を意のままに操れるようになった。

どんな攻撃だろうと彼女はこの力で全てがスローに見える。回避するのは難しいことではなかった。

 

 

「……ふふっ!どう?悟空くん。私も結構避けるの上手くなったでしょ!最近は攻撃も凄いゆっくりに見えて予兆や癖がより分かりやすくなったから大体の攻撃は避けれるよ!」

 

「え?でも偶に反応が遅れる?確かにそれはあるけど……でも褒めてほしいなぁ……」

 

そう独りで喋る彼女の瞳は段々と夢想に包まれたものから何処までも現実を見据えるモノにかわっていっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ彼女は感覚を殺し,感情を飲み込み,幻覚と共に鍛え続ける中,ある壁にぶつかった。

 

 

 

 

ーーーこれ。どうしても後出しジャンケンでしかないし,私の反応が遅れるよね

 

 

 

 

彼女はこの頃にはもう自身の幻覚をしっかり幻覚として認識していた。なぜならもう彼女がこの精神と時の部屋で過ごすようになってから,現実時間では2年程経っている。

……精神と時の部屋内で何年経っているかなんて事は考えたくもない

 

今の彼女は昔のように精神を壊すことは無い…………いや壊れる部分が無くなった,が正しいだろうか?

彼女が未だに生きているのは偶々死んでいなかったからに過ぎない。彼女の心には未だに孫悟空への歪んだ愛と破壊神ビルスへの殺意が渦巻いてそれを目的として生きている。

 

 

そして話は戻すが,彼女はある壁にぶつかった。それは幻覚は幻覚でしかないという壁だ。

……幻覚ということはあくまでそれの取る行動は,彼女の思考の範囲に過ぎないのである。だからどうしてもその後の対処は後出しジャンケンにしかならないし,何より幻覚の行動を考えてから自身の行動を取るという一連の流れが挟まるため,どうしても意識から体を動かすまでが遅れてしまう。

 

だから彼女はこの欠点を解消するよう修行し始めた。そのため彼女は様々な方法を考えて実行した。

 

 

 

「どうすればいいと思う?悟空くん」

 

「……ま。何も言うわけないよね」

 

あくまで幻覚。それは何も言わない。どんなに戦っても結局それは自身が認識できて想像できる範囲でしかないし,どんなに対話しようとも反応する訳がない。

 

 

 

「あ」

 

 

 

ーーーこれ意識と認識より先に身体を動かせれば,欠点の解消にもなるし,幻覚相手でもかなり高密度で素早い攻防ができるようになるよね。

 

ルナは意外にも幻覚と対話を試みてみるという行為によって欠点を対処する名案を思いつく。

だが思いついてはみても,そんな事が可能な生物はいないため実質的に不可能であった。

 

 

 

 

 

 

「……!」

 

 

突如幻覚が変わり,ルナは驚く。

……その相手は孫悟空ではなく

 

 

 

「……私自身」

 

 

現れた幻覚は自分自身。それが何を意味しているのかは分からない。

……しかしルナはこれと戦って勝てるようになれば何となく自身の望む結果が得られるような気がした。

 

 

幻覚との戦いは熾烈を極めた。決して苦戦してる訳でも,ボロボロになっている訳でもない。相手はあくまで幻覚。それ以上でもそれ以下でもないのだ。

……ただ1つ。自分自身が相手ということもあって,今までの敵たちや悟空とは違い,動きが想像上のものでは無く,どこまでも自分自身の意識が直結した動きをするため,完全に互角な状態から戦況が変化しないのである。

 

この幻覚の自分に勝つ方法はたった1つ。自身が意識し,認識する動きよりも先にその動き通り身体を動かすこと。それしかない。

 

 

 

彼女は休みなく戦い続けた。何年も何十年も……いつしかその努力が実ったからか,相手の動きの癖や予兆,動き出しの筋肉の動きを見抜き,スロー現象で確実に,最速・最効率で回避の意識を取るという今までの戦いがルナにとって()()()()と化し,何となく自身が取る行動が長い年月で無理やり身体に染み付いてきた。

 

機械と同じだ。これだけ長い年月永遠に修行していれば,いつしか相手の出だしをスロー現象などを用いて回避する意識をしてからの行動はある程度自分の中でパターン化されるのだ。相手によって何個……何十個……何万個……何億個と。そしてそれも癖として身体に染み付いていく。

 

だからこそ……至れた。狂気的な精神と長い年月を不老という願いで永遠に修行し続けた人間離れした彼女だからこそ。

 

……………予知・予測ができるようになったのだ。()()()()()

 

それは身体が先に意識の伝達を汲み取って動かすという技術。

意識を伝達させて身体を動かすのではなく,身体が伝達を予測して先に動かす。

 

 

彼女は相手の攻撃を認識し,回避行動を意識した瞬間。その後の伝達を肉体が予測して,彼女の中にあるパターン通りに意識とほぼ同時に肉体が動くのだ。

……それはここまでの年月を修行に費やしたことによる経験と反復の染み込みによるものだ。

 

 

 

 

 

こんな技術を得たことで彼女は幻覚相手でもかなりの練度の修行を積めるようになった。

 

何より意図せず,この技術は神々の領域……身勝手の極意に擬似した技術となってしまった。

そのため彼女はこの技術を手に入れてから,本格的に神々の領域にまで踏み込んだ。仮に名を付けるのなら()() ()()()()()()()とでも言うべきだろうか。

決して神の気を必要とする神々の技ではなく,ただの人間が,生物が辿り着ける域の技術ではない。

 

人でも神でもない人ならざる彼女だからこその極意である。

 

 

 

この精神と時の部屋で彼女は回避能力,人ならざる身体,スロー現象,そして先程の技術と様々な武器を手に入れた。その後も相手を殺すことに特化した気を用いた武器術などを磨き上げ,彼女は既に最初の頃の普通の人間だった自分とは比べ物にならない程の力を手に入れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……悟空くん。私,いつの間にかあなたより強くなったよ。喜んで……くれる?これで私も貴方と一緒に戦えるね…………

今ではあなたが超サイヤ人ゴッドになっても私が勝てちゃうくらい強くなったんだから…」

 

「ねぇ……悟空くん。会いたいよ。私……結局死ねなかった……未だに生き続けてる。」

 

幻覚の悟空は何も言わない。彼は……ここまで狂気的に力をつけた彼女を見てなんというのだろうか

 

 

 

 

 

「悟空くん…………こんな姿になった私でも…まだ愛してるって言ってくれる?」

 

 

 

 

鏡に映る彼女はもはやルナではなかった。伸びきった髪に,何度も自身の血を浴びて固まりきった血液がこびりついている。

服もとっくに無くなり,裸の状態だったが,何度も傷つき,何度もボロボロになった体は人間の体とは思えない,古びた大樹のようだった。

綺麗な宝石のようだった瞳はドロドロと濁りきっていて,顔や体は骨が浮き出ている。

 

手も足も指も全てボロボロに朽ちている。……それはそうだろう彼女の肉体は気で無理やり動かしているにすぎないのだから

 

まるで幽霊かのような彼女の風貌はとても女性とは……否。人間とは思えなかった。

 

とっくに女であることも人間であることも捨てた彼女は自身の見た目を気にすることは無かったが,修行がひと段落ついたことで,あの日止まった彼女の時が再び動き出し,愛する者を想ったことで自身の見た目を見て酷く悲しくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「明日……部屋を出ようかな。何年経ったんだろ……私は昨日この部屋に入ったような感覚なんだけど…………あぁ……何か……」

 

 

 

 

 

ーーー久しぶりに眠くなってきたかも……これで目が覚めたら全部夢だったら……いいな……

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

第一話

 

 

 

 

緩やかな眠気と共に目を覚ます。

……()()()()()()天井が見えた。夢だろうか……?とそのベットに寝ている少女はどこか白昼夢のような気持ちのまま考える。

 

ーー体が上手く動かない,というか何か小さい気がする。

………………時間はどんくらい経ったんだろ。

 

ふとその言葉に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と少し内心で驚きながら,何となく時間を確認してみると,とある事に気づく。

 

「戻っ……て……る?」

 

今までの自身より子供っぽい声を自分の耳で捉えながら,興奮した気持ちを抑え,冷静に現状を把握しようとする。

 

「………………あは……」

 

きっとここは私が望んだ世界なんだ…と浮ついた感情を抑えきれずに狂気的な乾いた笑みを浮かべてしまう。

 

ーーーそうかこれはカミサマがくれたチャンスなんだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは陽だまりに焦がれた少女の物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生きる価値を無くしてしまった哀れな少女の物語だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーこれが……私の終わりと始まり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







補足(長め・必読)





〇孫悟空敗北ルート(神と神 BADENDルート)

悟空がルナと結婚したことによって,物語の絶妙な齟齬,今まで微妙に成長を阻害されていたことの積み重ねが精算されることになった。
ビルス相手に決して期待外れではなかったけど,何か消化不良な微妙な実力だったため,地球は何とか見逃されたが,代わりに孫悟空の命を差し出すことになった。







〇孫悟空死亡後の世界

ルナが廃人化1歩手前まで病んだ。悟天は早期に母親の異常を察知して,悟飯とビーデルの家庭に引き取られた。ちなみに他の仲間たちも癒されない傷を負いながらも,強く生き続けている。
少なくとも悟空がいなくなって,完全に心が死んだのはルナだけである。







〇病みルナ

悟空とビルスのこと以外全てを忘れてしまうほど精神的に参っている。

ちなみに未来編でルナは悟空が心臓病で亡くなったあと自殺しているが,今回自殺まではいかなかった差異としては,悟空の死の悲しみをぶつけれる対象がいるかいないかである。
未来編は心臓病による病死のため,ルナはその悲しみをぶつけれる相手がおらず,精神をやられて自殺までしたが,今回は破壊神ビルスという明確な復讐対象がいたため,それを生きる活力に出来た。
加えてビルス戦後のルナは魔人ブウ編を通して死へのトラウマができたため,一般人精神のルナじゃ自殺する勇気がなかったというのもある。




〇ルナの修行論

地球人だし,女だし,才能だってないし,絶対に強くなんてなれないから,精神と時の部屋と不老パワーで無理やり強くなろうというゴリ押し理論で修行した。
その最終的な修行年数は現実時間で2年とちょっとなので,総年数は恐らく約800年程だろうか。(1日=1年)

だが,ルナはその間殆ど幻覚悟空に依存しており,加えて精神がぶっ壊れていたので修行が一段落ついて,何となく自我を取り戻した頃のルナにとっては,ほんの1,2年程度にしか感じていない。











〇ルナの回避能力

精神と時の部屋の幻覚と1人で修行し続けていたため,防御や受けの修練なんて積めるわけがないので,自然と回避能力を鍛えていった。相手の筋肉の動きや攻撃の予兆を見切るのが得意。






〇ルナの異常な肉体

食事,排便,睡眠。本来人間が取るべき行動を一切せずにいたため普通ならそのまま自然死するものだが,ルナはそもそも早い段階で身体が無理な修行で使い物にならなくなったので,気で無理やり体を動かしていた。
その影響もあるのか,ルナの体は適応力で無理やり食事も排便も睡眠もいらない体となった。

……環境や生活的に仙人的なものに近い,もしくは神に近い存在になったのだと解釈している。しかし決して誰かの信仰がある訳でもないし,そんな神聖で超常的なものじゃないので,ただの人でも神でもない人ならざる異常な肉体。

決して神の気なんて持ってないし,ルナがよく言われている異質なオーラや圧というのはこのルナが異常すぎる存在だというのを表しているのだと思う。







〇スロー現象

常に死の際,もはや死んでるも同然の,死を背負って生きてるとまで言える状態で修行を続けた結果,人の機能の走馬灯などといったスロー現象を意のままに扱えるようになった。殆どこれのおかげでルナの回避能力が馬鹿みたいに高まっている。死を乗り越えたとも言えるルナだからこそ身につけられた力。







〇人工 身勝手の極意(仮称)

幻覚との戦いは後出しジャンケンでしかなく,どうしても意識から伝達して身体を動かすまでの間に時間がかかってしまうという問題を解消するために,編み出した技術。

ただ絶対に正規の身勝手とは違く,わかりやすくまとめるのなら


普通︰相手の攻撃→意識→伝達→回避(もしくは攻撃)

身勝手︰相手の攻撃→無意識下でオート回避(攻撃)

人工 身勝手︰相手の攻撃→意識・(ほぼノータイム)回避→伝達



書いてある通りだと訳分からんが,要するに身体だけが未来予知しているという解釈が恐らく1番近い。
尚その根底は,ルナが長い年月の修行をもって,ある程度回避行動を意識した後,この意識はどのように身体を動かすのかというのが癖・パターンとして肉体に染み込んでいるからこそできた芸当。

例えば相手の行動をスロー現象などで認識し,相手が顔を狙って右拳を真っ直ぐ突き出そうとしているから左に顔を逸らして避けようという意識をした瞬間。この意識による行動は体がパターンとして染み付いているため,意識と同時に肉体がその伝達を予知に近い形で反応し,伝達より先に動く。
なので伝達によるロス時間がないことから正規の身勝手と大差ないレベルの回避力となっている。

しかもルナの中にあるパターンは長い年月で何億個とどんな相手でも対応出来るくらいに形になっているため,初見の敵だとしても大体は今までの経験と反復通りの攻撃のため普通にこの技術が使える。何より初撃さえ反応して上手く避ければ,その後はスロー現象などがある以上大体の攻撃は認識できるため,この人工身勝手+スロー現象を使えば本当に正規身勝手と変わらない。


ルナ視点だと自身の体が動いた後に伝達された信号が来るため,幻覚相手でもまるで初見の敵と戦ってるような感覚を味わえる。便利。

ちなみに身勝手と明確に違うのは()()()()()()()()()()()()()()()なため,ルナが反応できない・回避できない攻撃は身体が動かない。
ルナの回避能力やスロー現象などがあるからこそ活かせる技術。

あと決して神々の技ではなく,あくまで人間の機能,人間が用いれる能力を最高まで高めた果ての技なため,人工的な技であることに間違いはない。
ただどう考えても人間に辿り着ける技でもないため,人でも神でもない人ならざるルナだからこそ使える極意。



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