陽だまりに焦がれて   作:oir.1

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サイヤ人襲来・ナメック星編
第三話


 

 

 

 

「お姉さーん!」

 

「…………うん?いらっしゃい…………悟飯くん」

 

一人,家で過ごしているルナの元に,悟空とチチの息子……孫悟飯がやってくる。

 

「お姉さん!はいこれ!お母さんが何時もお姉さんには遊んでもらったりお世話になってるから渡しなさいって!」

 

「うん。ありがとう悟飯くん…………チチさんにもそう言っておいて」

 

わざわざこんな高そうなお茶菓子なんて持ってこなくてもいいのになぁ…なんて考えながら,笑顔で悟飯からその手土産を受け取る。

ルナはパオズ山に住んでいるということもあり,チチや悟飯との交流も多くあった。

 

天下一武道会での事は,最初チチから1度だけ聞かれたが……ルナが答えにくそうにしていると追求する事をやめて,それ以降は良いご近所さんとしての付き合いをしている。

……とっても良い人なんだなとその時ルナは思った。

 

「お姉さん!今日はどんな本を読んでくれるの?」

 

「……うーんそうだな〜じゃあ今日はこういうのはどう?」

 

悟飯はルナが読んでくれる本がとても好きだった。何時も自分が好きな物語を優しく読み聞かせてくれている。

そしてその後はパオズ山の辺りを一緒に探索したり,一緒にご飯を食べさせてもらったりしている。

悟飯は母であるチチの料理も好きではあるが,ルナの料理も自分が好きな物が沢山出てくるため同じくらい大好きだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もう遅い時間だね……危ないし送っていこうか?」

 

「うーん……あ!でも今日はお父さんが居るから大丈夫です!」

 

「……そっか悟空くんが……じゃあ大丈夫だね。」

 

悟飯は基本的にルナの元へ一人で来る。幼いながらも父である悟空の名を出した時にルナの雰囲気が少し変わることは分かっていたからだ。

 

……実際ルナは悟飯や偶にチチと交流することはあっても悟空には基本的に会っていない。

それに対して悟飯やチチも言及しないし,悟空も自ら会おうとすることはなかった。

 

………そして,本当に偶に自分を見る表情が少し悲しげなものなのも悟飯は知っていた。それが何故かは今の悟飯には分からなかった。

 

「じゃあさようなら!お姉さん!」

 

「うんじゃあね……悟飯くん」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

だいぶ月日が経って恐らくそろそろサイヤ人……が攻めてくる頃だったと思う。いや……もう戦う頃かな?

普段よく来ていた悟飯くんが全くと言っていいほど来なくなったのがそれを証明していた。

 

私は特に何もしない。この時点で私がやれることなんて特にないし,下手に変な行動をしない方が良いことはもう分かっている。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

……気のぶつかり合いが感じられることから,まぁ恐らく絶賛戦闘中なのだろう。

 

……ブルマさんの所に行こうかな……?私は天下一武道会以来基本的に悟飯くんやチチさん以外と交流は無かったし……

 

 

 

 

 

気の探知に集中する…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そこはカメハウス。一瞬のうちにこの場へやってきた。

 

「すいませーん誰かいますか?」

 

「……もう!こんな時に一体誰……ってえ?ルナちゃん?」

 

「……久しぶりです」

 

なんで…と言いたげな様子で突然カメハウスに訪問してきたルナに驚きを隠せないブルマ。

 

「ど……どうやってここに?」

 

「何って舞空術ですよ?悟空くん達も飛んでるでしょう?」

 

何を言っているのかと言わんばかりに当然のように語るルナに混乱を隠せないブルマ。

いつの間にか近くに来ていた武天老師が警戒するように問いかける。

 

「……一体何が目的ですかな?もしや……サイヤ人達と何か関係が?」

 

「目的も何もずっと悟飯くんが来なくなったので何かあったのかなと思っていたら,突然大きな戦闘が始まってブルマさん達皆さんがここに集まっているのが分かったので来てみただけですよ?」

 

「舞空術に,その精度の良い気の探知……随分と力を明透に見せるようになったのですな?」

 

「……力を見せるというか……特に隠す意味ももうないので……まぁある意味吹っ切れただけですけどね。」

 

武天老師は前のように何か張り詰めたような雰囲気もなく,自身で言う通り何処か吹っ切れたように舞空術や気の探知が使えることを見せて,あっさりと語るルナにどこか拍子抜けしてしまう。

 

「……どうやら本当に何か目的があって来た訳ではないようですな」

 

「…………ルナちゃんあなた本当に何者なの……?」

 

「……別にブルマさんや武天老師様と同じ人間ですよ。ところで今丁度そのサイヤ人とやらと悟空くん達が戦ってるんですか?」

 

「え……えぇ」

 

武天老師とブルマは突然現れたルナを一応は受け入れ,家の中に入れる。

その際ルナは恰も何も知らないという風に話しながら入ってくる。

 

「ルナさんだべか!?何でここに!?」

 

「チチさん……まぁ話せば長くなるんですが……ただ悟飯くんが来なくなったのが心配で……」

 

「あぁ……それは……」

 

こんな所になんでルナさんが…と言った風に中に居たチチなどの事情を知らない仲間たちからは突然現れたルナに驚く,その際に互いの事情を説明して,ルナもそのサイヤ人との戦いを見ることにした。

 

「なるほど……このテレビで……」

 

「そう今それでサイヤ人達と……」

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「……に……げ……ろ……ご……はん」

 

「……ビッコロさぁぁぁん!!」

 

「ふん……狙いとは違ったが……一人死んだか」

 

……ピッコロさんが僕を庇って死んだ。

ナッパとかいうサイヤ人の圧倒的な力によって天津飯さん達は次々と倒れていった。

……そして今ピッコロさんが死んだことでもう生き残っているのは僕とクリリンさんだけになった。

 

「へっへっへっ……ぐしゃぐしゃに潰れた息子を見たカカロットの反応が楽しみだぜ……」

 

「……」

 

「ふん……戦意を喪失してやがる」

 

ーーー僕にはやっぱり無理だったんだ

 

僕は皆を助けるような"ヒーロー"にはなれない。

ごめんなさい……"お姉さん"……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

ある日の悟飯がルナの元へ来ている時の一幕。

 

『ねぇ……悟飯くんは……やっぱり戦いは嫌い?』

 

『……うん。僕怖いよ……戦うのなんて……お父さんは戦うのが好きで何時も修行してるけど……僕はお父さんみたいに戦いは好きじゃない』

 

ルナは悟飯が,戦いが嫌いな事を"知っていた"。父である悟空は偶に修行をさせようと考えている。しかしチチが止めているということもあるが,悟飯自身がそもそも戦いなどに積極的ではないということもあり,その潜在能力を完全に発揮できていない。

 

『…………お姉さんは僕に戦って欲しいの……?お父さんが偶に言ってるんだ。僕は凄い力を持ってるって……でも僕はそんなの全然分からないよ……』

 

『……悟飯くんはどうして戦いが嫌いなの?』

 

ルナは悟飯に真剣に問いかける。

 

『……だって戦いなんて怖いし……それに相手だって傷つけちゃうよ……』

 

『……そっか。悟飯くんは優しいんだね……』

 

『え?』

 

そう悟飯は戦いそのものを忌避するだけでない……その戦いにおいて誰かが傷つくことも嫌うのだ……例えそれが敵であっても……。

しかしルナはそんな悟飯にあっけらかんと語る。

 

『あのね……私も戦いはとっても嫌なんだ。でも私は悟飯くんとは違って……ただ自分や自身の大切な人が傷つくのが嫌なだけ……悟飯くんみたいな優しい理由じゃない。

悟飯くんがほんとに戦いが嫌いなら,無理しないで平和に過ごした方が良いと私も思う……でも悟飯くんは違うでしょ?』

 

『……』

 

悟飯はルナの言葉をしっかり考え込むように俯いて黙り込んだ。ルナはそんな悟飯に優しげな目を向けて言う。

 

『……悟飯くんはさ……人を無闇に傷つけるような悪い人がいたら,きっと立ち向かうでしょ?それこそ……君のお父さんやお母さんを傷つけるような人がいたら』

 

『……それは……怖いけど止めたい』

 

『……悟飯くん。何も君はお父さんみたいに戦いを楽しむ必要なんてないんだよ。きっと戦っている人っていうのは自分自身の譲れない何かを柱に戦ってるんだと思う。』

 

ルナは何処か力が籠ったような声で悟飯に語る。

 

『……だから悟飯くんも自分だけの譲れない理由を作ればいい。優しい君はお父さんみたいに誰にも……自分にも負けない力を付けるんじゃない。君はどんな人でも助けるような護る力を付ければいいんだよ。そう……テレビとかのヒーローみたいなね』

 

『……ヒーロー……僕が……?僕はお父さんみたいに強くなんてなれっこないし……弱虫だし……』

 

悟飯は自信が無さそうにルナに不安の目を向ける。

 

『……そんなことないよ。悟飯くんは誰よりも優しくて強いから……自分の中の譲れないものを理由にゆっくりでも力を付ければきっと成れる。』

 

『……お姉さんは何か戦う理由って……あるの?お姉さんも戦いは嫌いなんでしょ?』

 

『…………私の理由は参考にしない方がいいよ……私はただそうすることでしか…………ううんなんでも無い。

私はそもそも戦いなんてしないからいいんだよ!気にしないで!』

 

悟飯は何処か悲しげな目で言うルナを見て……何となく思ったことを言った。

 

『……じゃあもし僕がお姉さんが言うヒーローみたいに強くなったら………僕がお姉さんを助けるよ!』

 

『……え?』

 

悟飯の何処か決意の籠った目を見てルナは少し動揺する。

 

『僕知ってるんだ……偶にお姉さんが悲しそうにしてるの……だから僕が最初に助ける人は……お姉さんがいい』

 

『……』

 

あぁ…やっぱり……とルナはそう言う悟飯に複雑な……少し申し訳なさそうな表情をする。

 

『ふふっ……それじゃあ待ってるね……()()()()()()()……』

 

『……うん!僕は学者さんになるけど……修行もちょっと頑張ってみるよ!』

 

ーーー良かった……それでいいんだよ……君はきっとこれから辛い戦いばかりだから……戦いを好きになんてなれるはずない……

でも君は自身のしっかりとした戦う理由さえあれば……その大きな力に振り回されることなく……多分一番強い存在になれるはずだから

 

 

 

 

 

 

だから頑張って……応援してるよ‪……だって私は……。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

【おめぇはすげぇ力を持ってるぞ……!悟飯!】

 

ある日の(悟空)の言葉が自身の体に力を滾らせる。

 

【貴様と居た時間……悪くなかったぜ】

 

自分を守ってくれた(ピッコロ)の最後の言葉が自身を奮い立たせる。

 

【待ってるね……小さなヒーロー……】

 

自分に戦う理由を教えてくれたお姉さん(ルナ)の言葉が,自身に前を向かせる。

ーーー負けられない…!

 

「……ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

魔閃光ーーッ!!!

 

 

 

悟飯から希望の気功波が放たれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バシィッ!!

 

「へっへっへっ……腕が痺れちまったぜ……」

 

「……そ……そんな嘘だろ……」

 

そんな希望を打ち砕くように軽々その一撃を弾くナッパに,クリリンは絶望の表情を浮かべる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて……そろそろあのガキを…………どこに行きやがった?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナッパッ!!!横を見ろ!!!」

 

 

 

 

 

 

ベジータの怒声が響くが……もう遅い。横を見るとそこには拳を握りしめた悟飯がこちらに向かってきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅぅぅわあぁぁぁッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

小さなヒーロー(悟飯)の拳が(ナッパ)を貫いたーーー

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

……………ルナもサイヤ人達との戦いをブルマ達と共に見ていた。その映像はヤムチャなどの戦士たちが死んだり見るに堪えないものではあったが,ルナは平然とその映像を見続ける。

 

そして少しすると戦いの余波の影響なのか映像が見れなくなったので,どうやらブルマ達は直接その場所へ向かうらしい。

ルナも何となく着いていくことにしてその場所へ向かうとどうやらサイヤ人との戦いは丁度終わったばかりのようだ。

 

「悟飯ちゃーん!!!」

 

チチが瀕死の悟空を無視して一目散に気絶している悟飯に駆け寄る。我が子が一番の心配というのもあるのだろうが,恐らくチチは悟空のことをこの世界で一番強い男だと思っているのである種の信頼,愛情とも言えるだろう。ある意味悟空の妻と考えれば良い夫婦関係だ。

 

「……大丈夫?悟空くん」

 

「……!へ……へへ久しぶりだなルナ。意外だなオラの心配してくれんのか……」

 

「え?」

 

ルナはそれとなく悟空に寄っていってつい心配の言葉をかけてしまう。それに対して悟空は瀕死の体で乾いた笑みを浮かべながらよく分からない事を言うためルナは疑問を返す。

 

「……いや……おめぇは多分オラの事嫌いだと思ってたからさ……心配してくれたのが意外だっただけだ……」

 

「……別に……そんなことないよ」

 

悟空は悟飯やチチが定期的にルナと話したり交流を重ねていることは知っていたが,露骨に自分とは会ったりしないようにしていることを感じ取っていた為,恐らく自身は嫌われてると思っていた。

ルナはそんな悟空の言葉を聞いて何処かバツが悪そうに否定の言葉を返す。

 

「ちょっと!孫くん!いくらルナちゃんが可愛いからってチチさんが居るのに浮気しちゃダメよ!ほら誰か孫くんの事も早く運んで!」

 

「……うわき?なんだそりゃ……」

 

「ははっ……まぁ悟空には程遠い話だよなぁ……」

 

ブルマはサイヤ人との戦いの後で張り詰めた空気を和ますため,からかうように悟空に言葉をかける。……こういう所が良い女なのだろう。

当然悟空はその意味は分からないためピンと来ていない。

クリリンもそれを見てまずは一段落とも言うように気を抜いて軽く笑いを交わす。

 

そしてその後少し時間が経つと。どうやらサイヤ人との戦いで死んでしまった者達を生き返らせる方法がナメック星とやらにあるらしい。

そこには宇宙船でクリリンと悟飯,ブルマそして少し遅れて悟空が行くということだ。

 

ーーーまぁ今回も私は特にやる事はない。また流れを変えないよう大人しくしているだけだ

 

そんな事を考えているとルナにふと声をかけられる。

 

「ねぇ……そのナメック星に行くのルナちゃんも一緒に来てくれないかしら……?」

 

「……え?」

 

思いもよらない提案につい固まってしまうルナ。

 

「だって……ルナちゃんって空飛べたり,孫くん達みたいに気ってやつの感知もできるんでしょ?少しでも戦える人はいて欲しいし……それに女が私だけだなんて不安だわ……だからルナちゃんも来てくれたら心強いんだけど……」

 

「…………そこまで出来るんか?ルナ」

 

ブルマの言葉に只者ではないと思っていたがまさかそこまで力を使えることは予想外だった為,悟空や他の知らなかった仲間たちはつい目を丸くして驚いてしまう。

 

「まぁもう隠す意味も無いのでいいですけど……でも期待されてる所申し訳ないですけど私は戦闘はそこまで出来ませんよ?」

 

「いや全然大丈夫よ!居てくれるだけで力強いわ!それに女一人で宇宙船で旅だなんて暇だしね!」

 

あ。この人後半のが本音だな…なんてルナは付き合いの長さから察する。

……まぁ戦闘は出来ないと予め強く言っておいたし,特に何も関わることなくブルマさんの護衛役兼暇つぶしの女友達として流れを変えないようのんびりしていればいいかと思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




補足

〇結構ポンポン話が進んでますが,物語上ルナが絡まない部分があるので,殆ど原作と変わらない展開があります。そういう所は基本的に省いてるので少し話が進んで描写してない戦闘がある場合は,殆ど原作通りだったんだなと脳内補完をお願いします。

基本的に原作とは違った展開になった部分とルナが絡んだ部分,物語上必要な部分を描写していきます。

具体的にいえば,ナッパ戦は悟飯がナッパを撃破し,原作とは違う展開になりました。
しかしベジータ戦は幾ら悟飯が少し強化されて多少差はあれど殆ど原作通りだったため描写が特に必要なかったということですね。
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