サイヤ人との戦いの傷も癒えて,とうとうナメック星へと飛び立つ日がやってきた。
特に問題も無く悟飯,クリリン,ブルマ,ルナの4人を乗せた宇宙船は,旅立って行った。悟飯やクリリン,ブルマは死んでしまった仲間たちを蘇らせる為決意を滾らせるが,ルナは特に関わるつもりはないため,のんびりとした様子で着いていく。
「……それでねぇヤムチャの奴がさぁ……」
「それは大変ですね〜……」
そして時は現在,絶賛宇宙船の中である。悟飯やクリリンがイメージトレーニングなどで真面目に修行を行っているが,ご覧の通りブルマとルナは2人で女同士駄弁っている。……というか恐らくブルマがルナを連れてきた目的は大半がそれであると考えているので,ルナも特に気にする事はない。
「ねぇ……ルナちゃんももう年頃だし,そういう感じの人はいないの?」
「………………あー……まぁいないですね。私はそういうのはいいかなって思ってます。」
ブルマはルナからそういう方面の話は全く無いため,それとなく探りを入れてみる。……しかしルナからは何か詰まるように言葉を溜めると,何となく流すような返答が返ってきた。
「……もう!何よスカしちゃって!こんな立派な体してるのに男が放っておく訳ないでしょ!」
おぉ…これは良い揉み心地…と柔らかな擬音が聞こえてきそうなほど,ブルマがルナの胸を鷲掴みにする。そのあとも流れるようにルナの体の至る所を軽く弄り始める。
「きゃっ……もうブルマさん,そんな悪戯はダメですよ……」
「……はいはいごめんね〜……ってイデデデッ!!!ごめん!ごめんなさい!申し訳ありませんでした!!」
ルナは特に怒った様子も無く軽く注意してブルマも適当に謝るが,弄るブルマの手を止めた時にミシィッ……とえげつない音が聞こえてきそうなほど洒落にならない力で握り締めた為,必死な悲鳴をあげて謝った。
「ふふっ……冗談ですよ!」
「……いや……冗談とかのレベルじゃなかったんだけど……」
ブルマは少し涙目で自身の手をフーッフーッと冷ましながら,恨ましげな目をルナに向ける。
……そして一部始終を見ていた同乗者は……
「……みんなには悪いけど……俺この旅に付いて来て良かった……」
「どうしたんですか?クリリンさん」
「いやなんでも無い……悟飯……あんまりそっちの方は見ずにもっかいイメージトレーニングしようぜ……な?」
「……どうして?」
純粋な悟飯を汚さないように配慮するクリリン。
……彼もそろそろ結婚願望を強く持つほどの良い歳の男である。
「それにしてもナメック星か...不安も大きいけど悟飯がいるし安心するよ」
閑話休題。クリリンは少しわざとらしく話題を変える。
「え!?僕なんて全然弱いですし,そんな……」
「いやいや……お前はサイヤ人だって一人倒したし,何より俺は情けないかもしれないけど...お前が戦ってる姿を見てすげー安心しちまったんだよ。
……まるで悟空が来てくれた時みたいにさ...」
「クリリンさん...」
自分は何もできなかったのに対してしっかりとサイヤ人を倒した悟飯を信頼しているクリリン。
その表情は少しの悲しさもあった。
―――ほんとさすが悟空の息子だよな...しかもピッコロの弟子なんだろ。自分が情けない...お前が少し羨ましいよ...悟飯...
そんなこんなで少し時間が経つと先程までブルマと駄弁っていたルナがやってくる。
「……あ。悟飯くんお風呂湧いたって,お姉さんと一緒に入ろ?」
男2人の空間にルナの一声が響く。
「……ぼ,僕一人で入れます……!大丈夫です!」
「……え?まだその歳じゃ一人で入れないでしょ?ほら行こ?」
「……あちょっ……ちょっと待ってください……」
さすがの悟飯も照れたように拒否するが,ほら早く行くよ?…とルナは別に当然とも言うような雰囲気で悟飯を連れていく。
「………………悟飯」
ーーー本当にお前が少しだけ羨ましいよ……その…色んな意味で……
……たった一人残された
〜〜〜〜〜
色々騒々しい4人の宇宙旅であったが,それから順調に旅路を進み,無事にナメック星へと着いた。
……それからは激動の時間で,ベジータやフリーザ軍,様々な悪の気を持つ者達も悟飯達と同じくドラゴンボールを狙っているという事情もあって,ドラゴンボールを集めている最中に戦いが発生することもあり,実際ブルマとルナも一緒に居る時に目の前でベジータとザーボンとかいう化け物が戦い始めたこともあった。このようにドラゴンボール争奪戦は熾烈を極めていった。
……そして一方ルナはというと安全な場所に建てたブルマの拠点で本当にただ彼女と2人でのんびりと暇つぶし相手として過ごしていただけだ。なのでルナの視点から語ることはほぼ何も無く,せいぜいブルマとこんなに長く2人で会話したことも無かった為,更に仲が良く深まったということくらいだろう。
ーーーそろそろ確か……ギニュー特戦隊とかいうよく分からない人達と戦ってる頃だろうか?まぁ実際に複数人の戦闘している気を感じるし,間違いないかな。
「……はぁ〜本当にルナちゃんがいてくれて良かったわ〜こんな危ない星で女一人とか私絶対耐えられないわ!」
「ふふっ……私もブルマさんと2人でお話し出来て楽しいですよ!」
「アンタ中々肝が据わってるわよねぇ……」
ブルマがルナに撓垂れ掛かるように抱きつく。
恐らく慣れない星で,更に危険がある中長時間ここで過ごしているため人肌恋しいのだろう。2人でずっと生活して仲も深まったのもあるのだろうがかなりルナに心を許している。
「……はぁ〜本当にルナちゃんは頼りになるし,可愛いし……それに比べてあの男どもは私達を放置して全く来ないしねぇ〜……はぁ〜あ,もう私ルナちゃんに貰ってもらおうかしら?」
「もう……そんな冗談言ってないでシャキッとしてくださいよ………………それに……私と一緒になっても良いことなんてないですよ」
ブルマは冗談めかして……いや若干本気な感じもしたが,ルナに対してぐだ〜とした様子で話しかける。
ルナはそんなブルマにやんわりたしなめるが,それと同時に冗談だと分かっていてもブルマの言葉に憂いを帯びたように返す。
「…………もうアンタねぇ〜……アンタがずっと何か誰にも言えない悩みがあることなんて分かってるわよ。なんだかんだ言ってアンタと付き合いが長いのは私でしょ?」
「……」
ブルマはルナが何か誰にも言ってない悩みがある事は気づいていると率直に言う。……それに対してルナは否定することもなく黙りこくってしまう。
「別に言わなくてもいいわよ……その悩み。
…………まぁでもそうねぇ……もしアンタが誰かに頼りたくなったり,もうその悩みが解決しても苦しいようだったら……本当に私がアンタを貰ってあげるわよ。一緒に暮らしましょう?」
「……え?」
ルナはブルマの思いがけない言葉に間の抜けた顔で驚いてしまう。
「……ふふんルナちゃんみたいな可愛い子だったら大歓迎よ!私妹が欲しかったのよね!…………まぁとにかく本当に何か困ったら友人として相談に乗るわよ。だから私の前でくらい偶にとはいえそんな思い詰めた顔しないでよね!」
「……」
……今のルナの生きる目的は真っ当なものでは無い,仄暗いものだ。ルナはもう誰かに頼ることなんてしない,ずっと独りだと思っていた。……もうその心は誰も受け付けないよう閉ざされていた。
…………しかしほんの少し……本当に少しだけブルマの言葉がルナの心にに溶け込むように入ってきて……今まで我慢していたものがその切れ目から洪水のように溢れそうになる。
……だがルナの記憶の中の憧憬がそんな甘い思考は許さないと掻き消す。
……でもほんの少しだけなら,これで最後にするなら……甘えてもいいかと思った。
「…………ブルマさん……ありがとう……ございます。…………その……ブルマさんの事……大……好きです。え……と友人として……なので少しだけ……甘えさせてください。」
「……あら〜本当に惚れちゃった?やだ〜困っちゃうわ〜ほらお姉さんに存分に甘えなさい!」
ルナは人に頼る…という行為が本当に久しぶりだったため,たどたどしくブルマにそっと寄り掛かる。それに対しブルマは少し揶揄うように言いながらそっとルナを自分の傍に寄せ,ルナもそれに吸い込まれるように体を預ける……そしてブルマの胸の中で抱き締められる。
ーーー暖かい……
お互いの体温を分け合うように溶け込んでいく。ブルマにとってはなんて事無いスキンシップなのかもしれないが,今のルナにとってはどんなものよりも暖かく……そしてその久しぶりの人肌はどんなものよりも安心できるものだった。
……その暖かさからルナはどうしてもそれを手放したくなくなってしまう,この場所からどうしても離れたくなくなってしまう。
……だが彼女にそれは許されない。今の彼女は例えこの仮初の暖かさに酔ったとしても何時かはまた彼女にとっての辛い現実に引き戻される。
……もしそうなったら彼女はもう本当に立ち直れなくなってしまう。……もう彼女は止まらない,……否,止まれない。彼女は目的を果たす為に進み続けるしかない。……だから彼女はこの暖かさに溺れる訳にはいかないのだ。
……でも今だけは
「ブルマさんっ……!ブルマさんっ……!」
「……」
グッと少し苦しいほどルナはブルマに縋るように……その体温を深く感じるために体を強く押し当てる。
「ごめんなさい……ごめんなさい…………」
「……!」
ルナの弱った姿にブルマは動揺しながらも離さないように強く抱きしめる。
「……なんで……もう……こんな世界…意味なんて……私の今までの人生は………何のために…私は……私は……ただ……平和に生きたかっただけなのに……」
「……ルナちゃん……あなたは何にそんなに苦しんでるの……?あなたの目的って……なんなの?」
ルナの本当に消えてしまいそうなほどの儚い弱った姿を見かねて,ストレートに問いかける。
「……言え……ないです……きっと言ったら……色々な人を……傷つけて……しまうから……」
「……ルナちゃん」
「私の目的も……言うべきじゃ……ないんです……例えどんなに苦しくても……私はこの目的に……酔っていないと……生きていけないん…です……じゃないと……私の心はもう折れてしまうんです………」
こんな状態になっても頑なにその苦しみの理由を打ち明けないルナにブルマはとにかくその理由は分からなくとも,少しでも彼女を癒せるように強く強く抱き締める。
「ブルマさん……ありがとう……ございます……」
「…………いいのよまた辛くなったら力になるわ…」
ルナは涙を拭きながら,ブルマに少しバツが悪そうに感謝の言葉を述べる。ブルマはそれに対してルナのあんな姿を見てしまったのもあり,より心配そうにし……そして彼女が助けを求めてきたら何としてでも力になろうと心の中で決意する。
〜〜〜〜〜
「…………ねぇ……ルナちゃん」
「……?どうしたんですかブルマさん」
そして少し時間が空き,ルナも落ち着きを取り戻した頃。
唐突にブルマから声をかけられた。
…なお今までボディタッチを嫌がってたルナだが,ブルマに対してはあまり拒否する事が無くなった為,暇があれば好き放題ルナの体を弄っていた。…コイツが男じゃなくて良かったと言うべきだろうか
「ルナちゃんって空飛べるんでしょ?なら……悟飯くんや孫くんの所に一緒に行かない?」
「……えー……危なくないですか?」
まさかの提案に渋い顔をするルナ。……まぁルナが居れば万が一の事は無いだろうが,そもそも本来の流れから少し変えることになってしまう可能性がある。
……それに戦場とは何があるか分からない為,一般人であるブルマを……自身にとっての大切な友人をわざわざ危険に晒したくなかった。
「まぁまぁ大丈夫よ!何かあってもルナちゃんが守ってくれるでしょ?」
「……何度も言いますけど私,戦闘はあまり出来ませんよ?」
「分かってるわよ!それでも空を飛べたりはできるんでしょ?大丈夫大丈夫!」
最初にルナは釘を刺しておくが,ブルマにあまり気にした様子はない。
……まぁ長い時間同じ場所にずっと居るせいでストレスが溜まってるのだろう。もし危険があったら自分が何としてでも守ればいいか……とも思い,渋々ルナは提案を飲んで悟空たちの元へ行くことにした。
〜〜〜〜〜〜
「……が……がはッ…………!」
「ベ……ベジータ……」
「助けたかったら何時でもどうぞ……」
一方,悟飯達はフリーザとの戦いで,ネイルと同化したピッコロも合流したこともあり,順調……と思われたが,フリーザが最終形態となると形勢は一気に逆転。
天と地がひっくり返っても勝てないほどの差ができ,ベジータも戦闘不能に追い込まれ戦況は絶望的となった。
「……!フリーザッ!!」
「待て……!悟飯!」
今いる戦士の中で最も強い精神と正義感を持っている悟飯がベジータを助けようと果敢に飛び込もうとするが,相手との力の差を冷静に判断したピッコロがその悟飯の肩を掴み止める。
「…………でもッ……!このままじゃじわじわ1人ずつ殺されて終わりですッ!僕が……何とかお父さんが来るまでの時間を稼ぎます!」
「…………あの弱腰の餓鬼だったお前がそこまで勇敢な戦士になったことは嬉しい限りだが……無茶だ。今のフリーザが相手では簡単に捻り潰されて終わりだろう……。
……勇気と蛮勇は違うぞ……悟飯。」
「くっ……!」
悟飯は悔しさから苦虫を噛み潰したように顔を顰める。
……するとそこにこの戦況に相応しくない呑気な声が響く。
「みんな〜!!」
「ちょ……ちょっと!ブルマさん!暴れないでください!」
そこにはブルマを連れて飛んできているルナが居た。
「……な,何やってんすか!?ブルマさんとそれにルナちゃんまで!い……今こんな危険な所に来るなんて!」
「……どうやら虫ケラがもう2匹……増えたようだね」
クリリンがルナとブルマを咎めるように声を上げる。
……フリーザが鋭い視線を此方に向けている。
「あ……あはは。もしかして……これヤバかったかしら……?」
「馬鹿が……!」
あこれヤバイ時に来ちゃったかしら…と流石のブルマもフリーザの圧と嬲られているベジータを見て,今の戦況の不味さを理解し,今更自身の甘すぎた考えを後悔してしまう。……それに対してピッコロが厳しい言葉を投げるが………まぁ当たり前である。
「……面倒だ。無謀な馬鹿を一匹処理しようかな……」
「ブルマさんッ!」
フリーザがブルマに向けて禍々しく光る指を向ける,それを見た悟飯が最悪の事態を察して,荒々しく声をあげる。……だが相手はあのフリーザ。一般人のブルマが避けれる訳が無い。
……ブルマは迫り来る死を予期して,思わず目を固く閉じてしまう
瞬間死の閃光がブルマを貫く
……と誰もが思った。
「なに…………!?」
「…………ル,ルナちゃん……!」
「だから言ったじゃないですか……危ないって……」
ブルマが目を開けると,そこにはルナがいつもと変わらぬ様子で立っていた。
……ルナが片手を軽く振るうような動作をしている事から恐らくその閃光が放たれた瞬間,刹那の間にブルマを庇うように前に立ち,その一撃を蝿を払うように弾いたのだろう。
……フリーザはそのルナの姿を見て,不覚にも強い衝撃を受けた。
ーーーアイツの攻撃の瞬間が見えなかった……こ……このフリーザ様が……!
「……なるほどね。ただの間抜けな観光客ではないらしい
…………どうやら君は少しはやるようだね。……さて,僕も少しウォーミングアップをするかな……」
「……いや?私は戦いませんよ?」
「…………は?」
コイツはこの状況で何を言ってるんだ…?とフリーザが理解出来ないといったように思わず目を丸くして驚く。
「私はあまり戦いは得意じゃないんですよ。ブルマさんと変わらないただの地球人の女なので。」
「…………ふんそのただの地球人の女があのフリーザの攻撃を軽く弾けるとは思わんがな……」
「…………偶々ですよ……偶々。」
ルナは飄々とした様子で戦いはしないと語るが,ピッコロがそれに対して正論をぶつける。
ルナはそのピッコロの言葉にも,適当に誤魔化すような言葉を重ねた。……本音を言えば,ただあまり本来の流れから逸脱するような事をしたくないだけではあるが。
「お前……僕をおちょくってるのかい……?………下等生物が……あまり調子に乗るなよ……!」
そのルナの舐めた様子に激昂したフリーザが,目にも止まらぬ速さでルナに向かっていく。
「お……お姉さん!」
「……大丈夫だよ。
「……くっ!小癪な!!」
悟飯達には全く追えない速度でルナに攻撃をするフリーザだが……どの攻撃もルナは紙一重で全て躱す。余裕が無いわけじゃない……逆にそれだけ余裕があるからこそ最低限の動きで,紙一重で全ての攻撃を避け続けれるのだ。
「…………そろそろ……満足した?」
「こ……このフリーザ様を舐めやがって……!!」
「……貴方の攻撃は当たらないよ。全部……手に取るように分かってる。貴方の攻撃の癖も……パターンも……その動きの予兆も全部私は分かってる。……だから貴方じゃ私に攻撃を当てることは出来ない。」
ルナは冷めた目でフリーザを見ながら,殆どその場を動くことなく全ての攻撃を避ける。
「フッ……フッフッフッ……どんなカラクリかは知らないけど随分と回避力には自信があるようだね……全く攻撃を仕掛けない辺り僕に通用するのは,そのお得意の回避だけらしい……」
「…………さぁ?どうだろうね」
「……本当に癪に障る野郎だッ……!!だったら貴様が回避できないようッ!この星を木っ端微塵に吹き飛ばすだけだァッ!!」
フリーザはルナに攻撃が当たらない事を認め,その対抗策としてルナが避けれないようこのナメック星を吹き飛ばそうとする強硬手段にでる。
「……ま……不味いぞ……!」
「……わーん!こんな事になるならずっとあそこに引き篭ってるんだったぁぁ!」
「だからなんで来たんすか!?ブルマさん!!」
「……お……お父さん……!」
ピッコロはフリーザの星を吹き飛ばそうと気を溜めるのを見て,焦燥する。
ブルマも自身の浅はかな判断を呪い泣きべそをかいて,クリリンはそんなブルマに窘めた。
…………そして悟飯は,この絶望的な状況で自身が知ってる中で最も頼りになる者……父である悟空の到着を願う。
ルナは焦るみんなを横目に独り,死んだような目でジッとそのフリーザの一撃を眺めていた。
ーーー嫌なこと思い出すなぁ……
腹が立つ
気に食わない
憎い
許さない
ルナの心にはもうブルマによって癒された暖かさは残っていない。
今ルナの心を占める感情は憎悪と殺意に満ちた負の感情ばかりだ。……例えそれが自分の過去と今を重ねてしまった八つ当たりだと分かっていても,ルナはその感情を抑えられない。
「…………か」
「………め」
「……は」
「…め」
「はぁぁぁぁッッ!!!」
瞬間。フリーザの一撃が消し飛ばされた。
「……ば…馬鹿な……あ……あの下等生物の何処にこんな力が…………!」
フリーザは生まれて初めて出会ってしまった自身に匹敵しうる存在にとうとう動揺が生まれた。
「……い…いける!行けるぞ……!」
「ルナちゃぁぁん!頑張ってぇぇー!!そんな化け物けちょんけちょんにやっつけちゃってぇぇ!」
ピッコロはルナの隠していた力を感じ取ったことによってフリーザを相手に勝機を見出した。
ブルマは自業自得ではあるが,こんな地獄のような戦場に巻き込まれたことで必死にルナがフリーザを倒してくれるよう願い叫ぶ。
「は……ははっ!!ルナちゃんがこ……こんな強いなんて……お……俺たち助かったかもしれないぞ……!」
「……ば……馬鹿な……た……たかが地球人の女如きに……な……何故あんな力が……!!」
クリリンは絶望的な表情から一転,ルナの姿を見て希望を見出す。
一方,瀕死ではあるが,意識を取り戻したベジータはただの地球人であるはずのルナがフリーザと渡り合う力を持っているのを見て,自身が全く手も足も出なかったのも相まって屈辱的な表情を浮かべる。
「…………期待してくれてる所悪いけど……フリーザを倒すのは
ね…………そうでしょ?
瞬間。風を切る音と共に強くそして,何があってもなんとかしてくれると思える何処か安心する気がこの場に現れ,ルナとフリーザの間に着地した。
……それは皆が見慣れた山吹色の道着を着た男
「わりぃなみんな……遅れちまった……」
「ご……悟空!」
「お父さん!!」
「………………悟空くん」
今。決着の時ーーー
〇補足
滲んだ文字の部分はコピーして何処かに貼り付ければ何か分かると思います。しかし後々この描写も回収するので,見なくても問題はないです。