「……もしかしてルナがずっと戦っててくれたんか?さっきすげー気を感じたけんど……」
「さぁ?私はブルマさんに頼まれてここに来ただけだよ。フリーザの気じゃない?」
「…………いやそんな邪悪な気じゃなかった気が……」
悟空はフリーザと相対するように立っているルナに問いかけるが,私は何も知りません…とでも言いたげにルナは相変わらずしらばっくれる。
「……じゃあ危ないし,邪魔になったらいけないから私はブルマさんを連れて拠点に戻るね。……ブルマさんももう満足したでしょ?」
「……え……ええ」
よしさっさと退散退散…とルナは特に気にすることなく颯爽とブルマを連れて戻ろうとする。
「…………おい貴様は戦わないのか。貴様と孫が戦えばフリーザだろうと負けないように思うが?」
「…………ここまで僕をコケにしてくれた君をこのまま逃がすと思うかい……?お前は僕の手で絶対に殺すと決めた……!!」
いやお前らが止めてくるんかい…とまさかのピッコロとフリーザの2人に止められる展開にルナは少し面倒くさそうに,頭を掻いた。
……まぁフリーザが逃がさないのは当たり前であるが
「…………いやだから私,戦いは専門外なんですって。こうやって舞空術を使ったり,気を探知するのは得意なんですけどね。じゃ……私はブルマさんと戻りますね」
「……させるかッ!!」
よし後は返事なんて聞かずさっさと行こ…とルナはお得意の言い訳を使って早々にブルマを連れて飛んでいく,そこにフリーザが逃がさないよう周りこもうとするが…………
「…………しつこいよ貴方」
「ぐぅぅぅッ!!」
まるで目に見えない壁のような圧で,特に動作することなくフリーザを元の場所に吹き飛ばすルナ。
そしてその隙に全速力の舞空術であっという間にブルマを連れてこの戦場からいなくなったのだった。
「さて……色々あったみてぇだが……今度はオラが相手だ……!」
「……チィッ!!逃げられたか!!だがまぁいい……まずはお前からだ!!サイヤ人は1匹たりとも生かしはしないぞ!!」
「……カ……カカロットの奴……完全にサイヤ人の壁を越えてやがる……き……貴様が……す……超サイヤ人……」
戦いは佳境に入る…………
〜〜〜〜〜
結局戦いは殆ど私が知る通りの流れになったらしい,超サイヤ人になった悟空くんがフリーザを倒し……そしてその後ナメック星の爆発に巻き込まれて行方をくらました。
……あの時何故私はフリーザに対して妙な苛立ちがあったのかは,自分でも分からない。
けどどうしても私はフリーザに
私はもう止まることは出来ない。アイツを殺すまで,アイツに復讐を果たすまでは…そこに意味も大義も無くたっていい。ただそうする事しか私には出来ないんだ。
この…培ってきた力で…私はーーー
きっとそのためにこの世界はあるはずなんだから
〜〜〜〜〜
そしてフリーザを倒して時が経ち,サイヤ人やフリーザに殺された者達はみんな生き返り,一時期ブルマの家に住んでいたナメック星人の人達も新ナメック星へと旅立って行った。
……そしてしばらく平和な時が過ぎると,フリーザとさらにもう一つ同等の気が地球へ向かっているのを感知し,再びこの地球に脅威が迫っていることを知り,戦士たちが皆集まることになった。
「チッ……!カカロットの野郎……フリーザを逃しやがったな……!」
「こ……このとんでもない気がフ……フリーザなのか……!?それにもう1つ……とんでもない気が……!!」
「ハッキリ言ってやるぜ……地球は終わりだ……」
ベジータはフリーザが生き残っていることで恐らく逃したであろう悟空に恨み言を吐き,地球はもう終わりだと口にする。
そしてフリーザと戦っていない地球の戦士達はその気に戦慄する。
「…………ふっふっふ……みんなそんな絶望しちゃってさ!大丈夫よ!」
「何の根拠があって言ってるんすか……というか何で来てるんですか……ブルマさん……」
「俺は止めたぞ……」
そんな中,ブルマがその場の空気にそぐわない呑気な声を上げる。それに対してクリリンとヤムチャは呆れた目を向けるが,何やらブルマには考えがあるようだ。
「…………ふん!フリーザが来ようとなんだろうと大丈夫に決まってるじゃない!なんたってこのルナちゃんが居るんだからね!!」
「へ?」
いやなんでですか…?と特に会話に混ざることもなくボーッとしていたルナはまさかの指名にマヌケな声を出して驚いてしまう。
……何でルナがここに居るかと言うと,ルナは地球に戻ってから定期的にブルマと2人で出かけたり,愚痴を聞いたりなどして過ごしている為,今回も偶々ブルマの家でのんびりお茶をしていたところ,別にルナはこの場に来る気は無かったが,ブルマによって半強制的にこの場に来ることになったのである。
「……ふん確かにソイツが居ればまだ希望はあるかもしれんな……まぁソイツが素直に戦ってくれればの話だがな……」
「…………チッ……腹が立つぜ……こんな辺境の星の種族の女がフリーザと渡り合う力を持ってるなんてな……」
「……お……おい……ピッコロとベジータの反応的に本当にそんなに強いのか?ル……ルナちゃんって」
ピッコロはルナの力を知ってはいるが,妙に戦いに参加しない意思が強い為,少し疑うような目を向ける。
ベジータもナメック星でのルナとフリーザの戦いを見ているため,射殺すかのような目をルナに向ける…………いや普通に怖いが……
ヤムチャや天津飯といった地球の戦士はルナの実力をまだ知らない為,ピッコロやベジータの反応からどうやらその実力が相当なものであると察して,驚く。
期待感が辛い…とルナは思った。
「ルナちゃんならきっとフリーザだろうとなんだろうとけちょんけちょんにやっつけてくれるわ!そうよね!?」
「……あれ?これもしかして本当に私が戦う雰囲気…………?」
嘘でしょ?みんなの視線が凄い痛いんだけど…とルナは場の雰囲気と圧で完全に自分が戦う流れになっていることを察する。
……だがルナは少し考えてみるが,例えこの場でフリーザを自分が倒した所でさほど本来の流れに影響はなさそうだと考えた為,あれ?割と本当にここで私が戦ってもいいかもと思い始める。
「……あーじゃあ今回は……まぁなるべく頑張ってみます。フリーザを倒せばいいんですよねじゃあ行ってきますね。」
「え?ちょ……ちょっとお姉さん!?」
「……ふん今回は素直に戦うようだがどういう風の吹き回しだ?」
妙にあっさりフリーザを倒しに行くと宣言し,飛び立っていくルナを見て,みんな呆気にとられているが直ぐに悟飯とピッコロが追うように飛んでいき,他の皆もそれに続く。
〜〜〜〜〜
「ここが地球だよ……パパ」
「ふん……地球自体はどうでもいいが……超サイヤ人は確実に殺さねばならん」
圧倒的な気を持った異形の親子……フリーザとコルドが地球に降り立つ。
そしてその前には2人の人間がいた。
「…………早く逃げてください。フリーザは俺が倒します。」
「……いや……まぁ逃げてもいいんだけど……あそこまで啖呵切っておいて何もせず逃げるのもちょっと恥ずかしいというか……」
立派な剣を背中に背負った端正な顔立ちの青年と何時ぞやのフリーザと相対した地球人の女が何やら言い合っている。
「パパ……あいつ僕とナメック星で戦った奴だよ。」
「……とてもフリーザと渡り合う力を持っているようには見えんが……まぁいい……殺せ」
瞬間フリーザ軍の兵士たちがルナと青年に向かって飛びかかっていくが……刹那の間に切り刻まれ,そしてルナによって消し飛ばされる。
「…………!貴方何者ですか……その力は……」
「…………絶対にこっちのセリフだと思うけど?まぁ私は貴方の正体分かってるんだけどさ
……じゃああの大っきい方は私がやるからフリーザは貴方がお願い」
「……え?ちょ……ちょっと!?」
その青年の返答を待たずに一目散にコルドに殴りかかり,その場から吹き飛ばすルナ。
「ぐふッ!」
「さて……貴方の相手は私ですけど……まぁさっさと終わらせますか」
吹き飛ばしたコルドを追ってきたルナは余裕の表情を浮かべてその相手と相対する。
「……貴様!!調子に乗るなよッ!!」
「…………遅い」
激昂したコルドがルナに向かってくるが,まるでスロー再生。
ルナはその単調な攻撃の予兆,癖,体の動きを完璧に見切る。
なんの脅威もないその攻撃をルナは簡単に避け続け,そして瞬間…………
コルドの命は絶たれた。
「が……がはッ……き……貴様……そ……それは……」
「…………あぁこれ?貴方のだよ要る?」
ドクンッドクンッ
ルナが手に持っていたのは正しくコルドの命……そう心臓であった。
コルドがそれに目を見開いて驚き,そして自身の胸元を見てみると……そこにはぽっかりと穴が開き,中には
コルドはそれで,自身がもう終わった事を悟るも,その現実に思考がついてこれず,意味もなくそのルナの手にある物を求めてしまう。
「き……貴様……そ……それを返せ……!!」
「…………ふふ……やーだね……」
ルナの手にあったコルドの命は容易く握り潰され,その手からはポタポタと命が流れ落ちていった。
「……ご……ゴプッ……」
そしてコルドはそれと同時に多量の血を吐き出し,その巨体は地に伏した。
「…………ふぅ終わったね……さてアッチは…………あっちも終わったみたいだね。」
フリーザを軽々と倒したらしい青年がルナの方へ飛んできた。
「……かなりの実力……ですね。見たところサイヤ人……ではないみたいですが……」
「私はただの地球人だよ。気にしないで」
「…………とてもただの地球人とは思えませんが……」
そんな感じで青年と会話をしていると仲間達がこちらを見ているのを察して,みんなにもう危険が無いことを伝え呼び寄せる。
「……えーっとそれでルナちゃんと……そこの奴でフリーザたちを倒したってことでいいんだよな?」
「アンタそれ
「…………あ……えっと……」
こうして仲間たちが集まってきてクリリンやブルマをはじめ続々とその青年へと質問を投げかける。
だがその青年は殆どの質問に対して答えられないと怪しさ満点な返答をする。
……どうやらその青年の話によると3時間後,この近くに悟空が来るらしい。
一旦その青年は悪い者ではないと判断し,素直にその話に従ってみんなで悟空を待つことにした。
「…………」
「アンタ何ルナちゃんの事チラチラ見てるのよ?
……あもしかして惚れちゃった〜?まぁ可愛いからねぇ……
でもルナちゃんが欲しいなら私を通してからじゃないとダメよ!」
「……い…いえ違うんです。ただ……」
その待っている最中。何かとルナの事を気にしているその青年を見て,ブルマは揶揄うように見当違いの言葉をかける。……というか何故ルナと付き合うのにブルマの了承が必要なのだろうか
その青年はあらぬ誤解を産んだことを察して必死に弁明するが,やはり何処かルナに意識を向けているようだ。
「……あの…ブルマさんはあの方と仲が良いんですか?」
「……?えぇ!ルナちゃんとは私が一番付き合いが長いだろうしね〜。それはもうルナちゃんの体の隅々まで知っている仲…………」
「…………ブルマさん……?」
「……何でもないわよ〜」
その青年は何処か疑心に満ちたようにブルマに質問を投げかける。それに対してブルマはルナとの仲の良さを語り,その後もルナとお互い気さくに話しているのを見て,その青年はさらに疑念を深めたような雰囲気を見せる。
「いや〜それにしてもルナちゃんがあんなに強いなんてな!
もしかしてピッコロ大魔王やベジータが攻めてきた時もルナちゃんが戦ってたらすぐに終わってたんじゃないか?」
「……どうですかね」
「チッ……」「ふん……」
そしてその空気を変えるようにヤムチャがルナの実力を見た素直な感想を述べる。
……だがその言葉を聞いたベジータとピッコロは何処か複雑そうに不機嫌な態度になった。
そんなこんな3時間が経ち,どうやら悟空が本当に到着したようだ。みんな半信半疑だったのが,その青年の話が本当だったことで驚きを見せた。
そしてどうやら到着した悟空の話を聞くと悟空もこの青年の事を知らないらしい。
……するとその青年は悟空に2人きりで話があると伝え,2人で少し離れたところに飛び立っていった。
〜〜〜〜
「へ〜おめぇがベジータとブルマのなぁ〜……ブルマなんて今見てもルナにずっとベタベタしてっし,ベジータとくっつくなんて想像できねぇなぁ〜……」
「……あの…その事なんですが……」
悟空はその青年……トランクスから未来の話,人造人間の話,自身の心臓病の話……そしてトランクスの両親についての話を聞いた。
……悟空はその話の数々に驚きを見せるが,どうやらトランクスはずっと気になっていることがあるらしい。
「……どうしたんだ?」
悟空はそのトランクスの様子を見て何気なく尋ねる。
……自身が次の言葉で呆気にとられるとは知らずに
「あの方は……あのルナと呼ばれる女性は一体誰なんですか……?」
「へ……?」
悟空は今まで聞いた話の中でも最も驚いたようで目を丸くした。
「…………誰って……おめぇはブルマの息子なんだろ?だったらルナの事を知らねぇはずが……」
「いえ……俺の世界にはそもそもルナという女性なんて存在してないんです。この世界に来て母さんととても仲良さげにしてるのを見て……俺も何が何だか……」
悟空はトランクスに訝しげな目を向けるが,トランクスの混乱した……若干恐怖すら浮かべたような様子に嘘を言っていないことを察する。
「……あの方はかなりの実力者でもありました。フリーザの父であるコルドをいとも簡単に倒していて……俺は一体何処の世界に来てしまったんだ……」
「……言っとくけんどルナはオラが小せぇ頃ドラゴンボールを集めてた時に一番最初に出会った奴だ。
おめぇはルナの事どっか怪しんでるみてぇだけどそれはありえねぇぞ」
「…………そんな昔からのお知り合い……なんですか」
トランクスはルナの実力を近くで直接見ている事もあり,かなり警戒したような様子だが,悟空はそれに対してルナとの出会いを説明し,怪しいものではないことを伝える。
……トランクスはそのルナとの出会いの話を聞いて再度驚いたようだ。
「……色々分かんねぇことあっけど多分ルナは悪い奴じゃねぇと思う。一旦おめぇから聞いた人造人間の話をみんなにもしてみて,オラもソイツらが来るまで修行を積もうと思う。
……あとこの薬もサンキューな!」
「……はい。俺も1度未来へ戻ろうと思います。ではまた……3年後に!」
そう言い残してトランクスは去っていった。
そしてその後。悟空は仲間たちの元へ戻り,トランクスに話された内容を伝えようとするが,悟空がそんな要領良く言葉を選ぶ事が出来ないことは分かりきっているので,代わりに耳が良く会話の内容をこっそり聞いていたピッコロが一部都合の悪いものは省き……それはルナの事も一旦は省いて伝えた。
その事を伝えられた仲間達は皆それぞれ3年後までに修行を積むようだ。
「……なぁルナちょっといいか?」
「?どうしたの悟空くん」
諸々事情説明も終わって仲間達が解散した中,この場にはピッコロと悟空,そして呼び止められたルナが残っていた。
「……あのよ。ちょっと変な話をすんだけんど,その未来から来たっちゅー奴の話でさ,何かおめぇは未来には存在してねぇっていうらしいんだ。」
「……要するに更に貴様の謎が深まったということだ。」
悟空が少し気まずそうにルナにトランクスから話された事を伝える。そしてピッコロがその後率直にルナが不可思議な存在である事を伝えた。
……それを伝えられたルナは酷く驚いた表情を浮かべた後,何かが腑に落ちたように目を開き,底冷えするほど冷たい雰囲気になった。
「………………あー……そういう事ね」
「……ルナ?」
「……ごめんね私もう帰るね。その未来の事についてだけど,私が未来に存在しないなんて言われても,今の時代の私がその理由なんて分かるわけない。だから私から言うことなんて何も無いよ。……じゃあね」
ーーートランクスさんが何か余計な事言わないか心配だったんだけど……そっかそもそも私が存在しない世界……あーあやっぱり……
ルナはそう悟空達に言い残して,悟空やピッコロの反応を見ることなく早々にこの場を去っていた。
残された悟空達は腑に落ちない事は多いものの,今追求したところで無駄だと考え,自分達もこれから修行に取り組んでいこうと決意を新たにするのだった。