第六話
そして3年後,人造人間襲来の日がやってくる。戦士達は皆それぞれ修行に励み前とは比べ物にならないほど実力を付けた。
一方ルナはというと,あの3年前に悟空達に未来の事を伝えられてから酷くこの世界がつまらないものに見えてきて,何かを悟ったような雰囲気になっていた。身近なことでいえば,友人のブルマがベジータとの子供を産んだということがあったが,そんな事は最初からわかりきっていた為特に驚きはない。
……ただ一言。ベジータに対して「ブルマさんを傷つける事があったら絶対に許さない」とだけ伝えておいた。……マトモに聞き入れているような感じは無かったが
……
そしてルナは取り敢えず家でグダっと特に何もする気が起きないため過ごしていた。
だが,時間が経つと本来の流れ通り人造人間18号と17号にこっぴどくやられて戦士達は戻ってきたようだ。そしてその人造人間達が悟空を狙っているということもあり,心臓病で寝込んでいる悟空をカメハウスに移動させるらしい。
ーーーそろそろ私も合流しておこうかな
そして暗転。視界が少し揺らぐと一瞬でそこは悟空を乗せた飛行機の中である。
「……大丈夫でしたか?皆さん」
「……うわっ!!!び……びっくりした……!ル…ルナちゃん?」
「……ど……どうやって?今一瞬で現れたような」
そこにはトランクス,クリリン,ヤムチャ,悟飯,チチ,寝込んだ悟空が居た。
「……お……お父さんの瞬間移動……?」
「……まぁそうだね。それと同じだよ」
ルナの現れた瞬間を見て悟飯はそれが父である悟空が使う瞬間移動と同じものだと察する。
……最もルナが何故それを使えるのかは言うつもりはないが
「……ル……ルナちゃんって何か吃驚箱みたいにポンポンと新しい力が出てくるよなぁ……一体何時そんな修行をしたんだよ?その悟空の瞬間移動とか含めてさ……」
「……さぁ?秘密です。女っていうのはミステリアスな方が魅力的だってブルマさんも言ってましたし」
「あいつ……変なことばっか教えて……」
クリリンが毎度毎度新たな力を見せてくるルナに何処か疲れたような表情でその力の真意を探るが,ルナはブルマの言葉を借りてそれとなく誤魔化す。……そして元彼であるヤムチャはルナに余計なことを吹き込んだであろうブルマに呆れた雰囲気を見せた。
……まぁそのミステリアスな女であるルナに約1名本気で警戒心を向けてきている
「…………大丈夫だったんですか?」
「?悟空さがだべか。今はすっかり薬を飲んで寝ているだ。心配してくれてすまねぇな」
「……あぁいえ違います。チチさんが大丈夫だったのかなって」
「え?オラが?」
ルナは不意にチチの方を見て安否を尋ねるような発言をするが,チチはそれを悟空に向けたものだと思い言葉を返す。
しかしどうやらそれはチチに向けて言ったものらしく全く心当たりがないチチは疑問を浮かべる。
「……いくら薬があるとはいえ,旦那さんが重病で寝込んだら気が滅入るんじゃないかなと思ったので……その心配を」
「……あぁそれなら心配いらねぇだよ。オラは悟空さがこんな病気で死んじまう男じゃねぇって確信してるだ。
なんたって悟空さは宇宙一強ぇ男だからな!」
「……」
ーーーチチさんは時折悟空くんに対して冷たくも思える対応を取るときがあるけどやっぱりそれは悟空くんに対する絶対の信頼があるからなんだな。
ルナはそのチチの様子を見て想う。やはりこのチチという女性は悟空に並んでも謙遜ないくらいに逞しく強い女性なのだと。
だからこそある意味では誰に対しても平等な悟空が,心の底から信頼でき,そして愛せるのだと確信する。
そうこうしていると何やらブルマから謎のマシンを見つけたとの報告が入り,その送られてきた写真を見るとどうやらトランクスが乗ってきたタイムマシンにそっくりだと言う。そうしてその謎の物体を見に行くためブルマ,トランクス,悟飯がその場へ向かっていくのだった。
〜〜〜〜〜
「貴様は何者だッ!何故孫悟空やフリーザたちの気を持つ!」
「私の名はセル……ドクターゲロが作った人造人間だ……」
凄まじい戦闘の跡が残るこの場所で相対しているのは神と融合し,強大な戦闘力を得たピッコロと悟空やフリーザ様々な戦士の気を持つ人造人間セル。
そのセルの話によるとどうやらセルは様々な者の細胞を取り込み作られた人造人間だと言う。
そして遥か未来で生まれ,卵の状態でタイムマシンによってこの時代に来た後,3年の月日をかけて孵化したらしい。
「……貴様が未来から来た目的はなんだッ!!」
「それは私が完全体となるためだ……そして私が完全体となるために必要な2つの生命体をコンピューターが教えてくれたのだ……それは人造人間17号と18号……」
「何……?」
セルの目的は自身が完全体となること。だが……それではこの時代に来た理由の説明にはならない。ピッコロが続きを促すようにセルを睨みつける。
「だが……私の世界に17号と18号はいなかった……
「悟飯が……?」
どうやらセルは自身の世界に目的の17号達がいなかった為,皆が生きている平和な世界を望み,悟空に心臓病の薬を届けようと運良くタイムマシンを持っていたトランクスを殺害後,それを奪ってこの時代に来たようだ。
そしてその後ピッコロはセルの完全体を阻止しようと決意し,それと同時にトランクス,クリリン,そしてルナがやってくる。
「………コイツがジンジャータウンの人たちを襲ったのか……!」
「コイツがあの卵から出てきた……!」
「……」
クリリン,トランクスは噂の化け物を目の当たりにして戦闘態勢に入り,ルナは特に何もせずボケっとしている。
「……トランクス何故貴様が……そうか貴様タイムマシンでこの時代にも…………それに
セルはトランクスがこの時代にいることに驚くも直ぐに納得する。
……しかしセルはその後もう1人の存在に気が付き,不可解な目を向ける。
「何故
「……!貴方は私を知ってるんだね」
「……貴様も未来から来たんだろう!なら何故このルナさんを知っている!お前ら何か関係があるのか!?」
セルが何やら奇妙な事を言い,ルナはトランクスとは違い自身を知っているセルに驚く。
……対してトランクスはタイムマシンにあった抜け殻から産まれたであろうセルは自分と同じように未来から来ていると確信し,自身の世界にはルナが存在していないのにセルはルナを知っているような口調で語っていることから,セルにだけでなくルナにもその警戒心を向ける。
「……なに?」
セルは自身とトランクス,そしてルナで何処か噛み合わないような会話に不可解な表情を浮かべる。
あぁなるほどずっと妙だと思っていたが…そういうことか…と。セルは理解した。
「…………ふっ……ふっふっふっ……なるほどなるほどそういうことか……どうやら私は少し複雑に絡まった世界に来てしまったらしい……随分と面白い状況になっているではないか……なぁルナ……」
「……」
セルが即座にその噛み合わない理由を理解し,そして恐らくその理由の大半を占めているであろうルナに口元を歪めて愉快な視線を送る。
……それに対してルナは余計なことを言うなと言わんばかりの射殺すような目を向ける。
「まぁこの場では少し分が悪い……ここは一旦引くとするか……太陽拳!!!」
「ぐッ!!しまった!!」
そしてセルは太陽拳を使い,目をくらまして完全に気を消した状態で逃走していった。
……その後。ピッコロはこの場に遅れてやってきたベジータや天津飯と合流してからこの場であったことを詳しく説明した。
皆セルの完全体の事など大まかな流れは理解したようだが,セルの世界では悟飯が17号と18号を相討ちで破壊しているという話でトランクスが非常に驚いた表情をしていた。……それに対してその話を当たり前に知っているとも言わんばかりの表情で聞いていたルナが逆にトランクスに問う。
「……ねぇ1つ質問なんだけどトランクスさん。貴方の世界では
「……?悟飯さんは17号と18号に殺されています。あなたは一旦何の話を……?」
「……あーそうなんだ私がいないとそうなるんだ」
この人は一体なにを知っているんだ…?と。ルナが奇妙な質問をトランクスに問いかけ,トランクスはその質問の意味が分からないというような表情をして返答する。
……この何処か会話が噛み合わない感覚。それは先程セルと話した時も同様だった。
……トランクスはルナを知らず,セルはルナを知っている。……そして明らかにこの理由の大半の原因を占めているであろうルナ
この話を聞いて,皆はよりいっそうルナの謎が深まっていくのだった。
〜〜〜〜〜〜
そしてその人造人間セルが現れてからは,皆激動の日々を過ごすことになった。
まず心臓病で寝込んでいた悟空が目を覚まし,ベジータ,悟飯,トランクスといったサイヤ人の戦士達を集め,精神と時の部屋で修行を開始した。
……だが戦士達が力を付けている間にも着々と敵側にも変化が起こる。セルが大量の民間人を吸収したことで凄まじい力を身につけ,丁度17号と戦っていたピッコロ達に強襲したのである。
その結果人造人間16号やピッコロの奮闘も虚しく17号は吸収されてしまい,その後修行を終えて来たベジータやトランクスによって事態は収拾されるかと思いきや,ベジータの悪い癖によって結局セルは18号も吸収し,完全体となってしまった。
「……セルゲーム。武道大会か……おもしれぇこと考えたな」
そして場は天界。そこには修行を終えた悟空と悟飯が仲間達から何があったのか説明を受け,完全体となったセルがセルゲームという武道大会を開くことを知る。
「で……どうなんだ。セルを倒せる自信はあるのか」
「そいつは分かんねぇさ……実際に完全体になったセルと会ったわけじゃあねぇからな。……だからちょっくら見てくる」
ベジータが悟空に対してセルへの勝算を聞く。
……しかし悟空は曖昧な返答を返し,その後セルに会ってくると言い残し瞬間移動でこの場から消えていったのだった。
「……孫悟空か」
「それが完全体か……」
割としっかり武道大会らしく作られたセルゲームの舞台にはセルと孫悟空……この地球の運命を決めるであろう戦士2人が相対していた。
「……大会には出てやるだからそれまで誰1人殺すんじゃねぇぞ……」
悟空はセルとお互い皮肉気に軽い会話を挟んだ後にそう言い残して,その武舞台の上から去ろうとする。
……しかしセルはそんな悟空を少し呼び止め,ある事を伝える。
「…………ふん…このセルゲームに参加する時にはしっかりと孫悟飯……そしてルナを連れてくるんだな」
「…………なに?何故悟飯とルナを……」
セルはたった一言。孫悟飯とルナを連れてこいと悟空に伝えた。悟空としてはセルが興味を持っているのは恐らく自分ただ1人だと考えていたため,予想外の言葉に疑問を返す。
「……あぁなるほど。やはりこうも複雑に絡まりあった世界では面倒なものだな。何故……という疑問に答えるとするならば単純な事だ。
セルは恰も孫悟飯が一番強い戦士だと言わんばかりの口調で語る。悟空は完全に自身の想定外だった事態に度肝を抜かれた。
「…………まるで悟飯が一番強ぇとでも言いたそうな口ぶりじゃねぇか……悪ぃけど悟飯はまだ子供だ。おめぇが期待してるような実力はねぇぞ」
やべぇな…と内心思いながら悟空はそのセルの言葉に動揺することなく,1つ嘘をついた。
本当のことを言えば,自身はセルへの切り札として悟飯を頼りにしているがそれをひた隠しにするようにセルへ言葉を返す。
「……ハッハッハッ!!面白いことを言うなぁ……孫悟空。孫悟飯は間違いなく貴様を超える戦士だろう。」
「……おめぇは何故そこまで悟飯に対して期待をかける。おめぇは悟飯の何を知ってんだ……?」
セルは悟飯の実力,潜在能力を完全に見抜いたような発言をし,悟空はとうとう直接的にセルに疑問を投げた。
「
「…………なるほどな。おめぇがいた時代の悟飯の実力で,その潜在能力を見抜いていたってわけか。だがルナを連れてくる理由はなんだ……」
悟空はセルの発言からセルが悟飯の実力を見抜いていた理由を察し,これは悟飯を頼りにしたとしても油断ならないと決意を新たにする。……だがもうひとつルナを連れてくる理由が分からないためさらに悟空は疑問を重ねる。
「……あぁそれに関してはただ面白そうだからというだけだ。まさか私もこの世界がこんな面白い状況になっているとは思わなかったのでな……ただの興味本位だ。」
「…………何を言ってんだ?おめぇはトランクスと違ってルナを知ってるみてぇだけど……おめぇの世界のルナは一体……」
「フッフッフッ……それを今教えても面白そうだが……私としても薮をつついて蛇を出す結果となったら困るのでな……やめておこう……だが孫悟空……貴様にひとつだけ言っておいてやろう……」
セルの要領を得ない言葉に悟空はルナについてセルへと問いただす。
……しかしセルはルナについて話す気はないらしく,悟空に1つ忠告を授ける。
「貴様が
「…………よく分かんねぇが,その忠告は覚えておく。じゃあな……最初に言ったこと忘れんじゃねぇぞ……」
セルは不穏な忠告を悟空に残し,悟空はそれを聞き入れた後瞬間移動で天界へ戻って行ったのだった。
狂い始めた歯車が嵌るまで……彼女の目的が達成されるまで……あと少し……
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番外編〜とある未来の結末〜
「悟飯さん!今日も修行をつけてください!」
「トランクスか……君も随分と強くなってきたな。よし!今日もやるか!」
人の知れない荒野に2人の影があった。その2人の名は孫悟飯とトランクス。この地球に残されたたった2人の最後の戦士である。
「うわッ!!っ〜〜〜やっぱり悟飯さんは強いなぁ……」
「ははっ!俺だってまだまだ負けてられないさ。これでも毎日かなり修行を積んでるからね。」
人造人間が現れてから随分と月日が経つが……未だに2人の人造人間は暴れ続けている。
悟飯以外の戦士達はみんな死んでしまい,その悟飯も最近ようやく勝負になるくらいに強くなってきた程だ。
……それもその筈。この世界はそもそも修行なんてものがマトモにできるはずがないのである。
圧倒的な食糧不足で満足に栄養も取れず,それに優しく,正義感溢れる悟飯は日々地球の人々を助けたり,直ぐに人造人間に対応できるように厳しい修行は行わず,睡眠だってマトモに取っていない。それにそもそもあまり派手な修行をしては人造人間に勘づかれ,近くの街を危険に晒しかねない。
……いくら月日があろうとこんな環境ではろくな修行なんぞ出来るはずがない。逆にこの状況で地道に,他に師もおらず独学でここまで力を付けた悟飯はその不屈の精神力と強大な才能の賜物であろう。
「……ねぇ悟飯さん。悟飯さんはどうしてそんなに強いの?1人で修行してるのに徐々にしっかり力を付けてるし……やっぱり母さんが言ってた悟空さんみたいに悟飯さんも戦いが好きなの?」
「…………うーんそうだなぁ……」
修行も終わって2人でのんびりと休憩している最中,ふとトランクスが悟飯にそんな質問をしてきた。
それに対して悟飯は少し懐かしそうに……そして
「俺は父さんとは違ってどちらかというと戦いは嫌いだったんだ。俺は元は戦いなんてしたくない……そんな気持ちを持っていた。」
「……え?悟飯さんが……?」
トランクスは悟飯の意外な答えに目を丸くして驚く。
……それに対して悟飯は話を続ける。
「……でもな。ある人が俺に戦う理由を教えてくれたんだ。俺は父さんのように誰にも負けないよう……自分にも負けないように強くなるんじゃなくて……自身の大切なものを守れるように強くなればいいんだって……」
「守る……ために……」
悟飯はそのある人との憧憬に浸るように語る。
「俺はそれを心に決めてからは,戦いが怖くなくなった。
……俺はやっぱり平和が一番好きだけど……それでもその平穏を脅かす悪いやつを倒すために自分の力を振るうことの恐怖が無くなったんだ。」
「……だから悟飯さんはそんなに強いの?」
俺も悟飯さんのようになりたい…とトランクスは自身の憧れの人へ核心に迫る質問を問う。
「……あぁ…だから俺は修行の経験なんてピッコロさんとの修行くらいしかないけど……それでもこの戦う理由が俺を奮い立ててくれるからたった1人独学でもこれだけ力を付けることができた。」
「ねぇ悟飯さん。その悟飯さんに戦う理由を教えてくれた人って今はどうしてるの……?」
悟飯が語り終わるとトランクスがふと疑問に思った質問をする。
「……
悟飯が悲しげに目を伏せて答える。トランクスは何かを考えると,ふと思い出したかのように声を上げた。
「……あ!俺知ってる母さんが言ってたんだ。もしかしてその人って……
その瞬間トランクスが言い終わる前に近くの街で爆炎が上がる。
「……!人造人間ッ!今度こそッ!!」
「ま……待って悟飯さん!俺も行くよ!!」
この未来の結末へと進んでいくーーー
〜〜〜〜〜
「……はぁ……はぁ……」
「チッ……本当にしぶといヤツだね……!孫悟飯!!」
トランクスを置いて,人造人間との戦いに来てしまった。
戦況はもちろん絶望的……でもこれでいい。トランクスは最後の希望なんだ。万が一のことがあってはダメだ。
「俺たちがフルパワーを出してもここまで戦えるなんて……随分と腕を上げたじゃないか……孫悟飯。」
「俺は……死なない……!たとえこの肉体が滅んでも……!俺の意思を継ぐものが立ち上がり……必ずお前ら人造人間を倒す!!」
悟飯はその魂を込めた雄叫びをあげる。
「……だが俺は……最後まで諦めない……!!父さんがいなくとも……俺が……この地球を守りきってみせるッ……!!」
悟飯は絶対に諦めず目に強き光を灯して戦い続ける。…だがどんなに強い心を持っていても,どんなに勝利を渇望しようともその戦況は変わらない。
…徐々に悟飯は追い詰められていった。
「が……がはッ……」
「……終わりだ孫悟飯」
地に叩きつけられた悟飯の頭上へと2人の人造人間は上昇していき,手から膨大な気功波を放つ。
その時……悟飯の頭の中に浮かぶのは走馬灯。
そしてその中では,父である悟空,師であるピッコロ,……そして自身に戦う理由をくれたある者との思い出が駆け巡る。
悟飯は思い出した…父の背中を…師の温かさを…そして…ーーーの言葉を…
瞬間……悟飯の目に希望が灯る……
か細く,だが確かな力を込めた一言の呟きが人造人間の耳に届いた。
その空耳かと思うような小さな呟きは,それを否定するかのように確かな気と力,そして心が込められ始める
1度は瀕死となり,元の黒髪に戻った悟飯が黄金のオーラを纏い,再び伝説の戦士へと変貌を遂げる。
しかし今までのただの超サイヤ人ではない…明らかにそれよりも強い気と鋭いスパークが迸る。…そしてその瞬間。
その時悟飯の姿に偉大な
『ーーーは,守るために強くなればいいんだよ。何もお父さんの真似をする必要なんてない。あなただけの戦う理由を心に決めればいいんだよ……』
悟飯の気によって地球が揺れる。今の悟飯の周りには夥しい程のスパークが舞い,それはただの超サイヤ人とは異なった。
……悟飯が知ることはないだろうが,今の悟飯は別の世界線では超サイヤ人2と呼ばれる状態……否今の悟飯はその領域には至れていない。言うなれば擬似超サイヤ人2とも呼ぶべき状態となっていた。その本当の意味で悟飯の命を懸けた最期の一撃はとうとう人造人間の命へと届いた。
「……ば……馬鹿な!!何故あの瀕死の状態からこれ程の力が!!」
「……そ……そんな私達が負けるはずない……私達人造人間が……あんな奴に……」
その時人造人間は初めての感情を得た。それはここまで諦めず,どんなに倒れようともその希望の灯火が消えない悟飯に対する明確な恐怖だった。
……そして人造人間はその恐怖の感情と共に悟飯のかめはめ波にーーー
「「うわぁぁぁッ!!!!!」」
その叫びと共に人造人間は完全に消滅した。
「……はぁ……はぁ……やった……ぞ……父さん……ピッコロ……さん……そして…………」
ーーー
ーーー後は任せたよ……トランクス
そうして悟飯もその人造人間を殺したと同時にその魂は燃え尽きた。
ーーーよく頑張ったな悟飯……
ーーーふん……あの弱虫だったガキが随分立派になったじゃないか……
ーーー……おかえりなさい
あぁ……ただいま父さん……ピッコロさん……そして……
〜〜〜〜〜
「じゃあ行ってきます!母さん!」
「えぇ!気を付けて行ってくるのよ!トランクス!」
悟飯によって人造人間が倒され,平和になった世界である青年が過去へと旅立とうとしていた。
ーーー確かに人造人間はいなくなったけど……それでも悟飯さんや他の皆さんは死んだまま……だから母さんが皆が生きている平和な世界が1つくらいあってもいいという願いで作られたこのタイムマシン。
……これで俺は悟空さんに心臓病の薬を届けるんだ…!
希望が訪れた未来世界。だがトランクスは更なる希望に満ち溢れた平和な世界を望んで,タイムマシンに乗ろうとしていた。
ーーーーそれが絶望を呼び寄せることになると知らずに
「フッフッフ……どうやら私は運が良かったらしい……」
ーーーーーーーー
「……ト……トラン……クス?」
残されたブルマが目撃したものは……
無惨に踏み潰された希望の残骸だったーーー
補足
〇未来の話が絡んで少し複雑になってきたと思うのでちょっと整理しておきます。
この"小説内"で出てきた世界
①小説本編世界
②この①に来たトランクスの世界
(描写で分かりますが,ルナがいないので原作と同じトランクスの世界です)
③この①に来たセルの世界
(番外編で描写した世界です。ルナはいます)
④ルナがトランクスに言及した世界
(ルナの発言のみの描写です。
該当部分→「悟飯くんが17号と相討ちになって残った18号を倒すためにトランクスさんがこの世界に来たって解釈で合ってる?」)