ロリサキュバスと同居生活してたらいつの間にか淫魔の王になっていた話   作:自宅戦闘員

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触魔の牢獄
青春とは檻のようなもの


 

 

 僕の名前は佐間直人。

 ごく普通の、大淫魔のうち三柱と魂霊契約を交わしその身に異能を宿した謎の外法術師かつキモデブサイクな動画配信者系高校生だ。

 夏休みが終わり、普段通りの生活に戻った僕ですが、ちょっと今困ったことになっている。

 

 

 学校に閉じ込められました。

 鍵をかけられた、とかじゃない。オカルト的に「学校から出られなくなった」のだ。

 

 

 被害に遭ったのは僕だけではない。

 うちの高校は十月に文化祭があり、その準備で最近は忙しい。僕らのクラスは作業がまだかなりあるため、どうしても学校に残らないといけなくなってしまった。

 そうして、出られなくなった。

 サナちゃん・ひーちゃん・らっちゃんの三人に連絡を取ろうとスマホで電話をかけても自宅に繋がらない。

 

「手乗りサナちゃん」

「すみません。本体に情報をフィードバックできません。繋がりは断たれていないのに、交信が遮断されちゃってます」

 

 僕の肩で申し訳なさそうにぺこりと頭を下げる。

 クラスメイトたちもこの異常な状況に戸惑ったり震えたり、苛立ちのままに机を蹴り飛ばす人もいる。

 

「ダメだ、校舎から出られない!」

「俺の方もだ、クソうぜえ」

 

 教室の外の様子を見にいった近藤くんと相沢くん。

 何らかの不思議な力に阻まれて扉が全く開かず壊すこともできない。もたらされた報告に周囲がざわめく。「なんだよそれ」「どうなってんだ」「怖いよ……」様々な反応がある中、咲綾さんがそっと僕に寄り添う。

 

「直人くん……」

 

 傍から見れば異常な状況に怯えるか弱い女生徒だ。

 でも彼女の目には悲壮な色は一切ない。

 むしろ数多の淫魔を倒してきた退魔巫女としての鋭利さが宿っている。

 僕は臆病な男子生徒っぽく咲綾さんとの距離を詰めて、他の生徒には聞こえないように耳元で囁く。

 

「うっすらとだけど、アレ(魔力)がある。でも、どこか一か所に、じゃない」

「だね。つまり……」

 

 魔力の出どころは校舎全体。

 今や学校そのものが、僕たちを捕らえる淫魔の檻となった。

 

 

 さて、どうしてこうなったかは、少し時間を遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

 

『皆様、夏の日をいかがお過ごしでしょうか? サキュティちゃんねる、サヨでーす』

『ヒナです……』

『ララ! なのじゃ!』

 

『今日は雑談配信なので気軽に視聴していただければ幸いです』

『あのねあのね! 話したいことがいっぱいあるのじゃ! 妾達、夏休みに海行ったの! 旅行!』

 

【コメント】:誰かララちゃんにその発言だけで学生が確定するの教えてやれ

【コメント】:この子達が小学生なのは公然の秘密だし…

 

『コメントありがとうございます。事情通の方もおられるようですがそこはさらりと流してください。この夏は、ヒナちゃんとララちゃん。知り合いのお姉さんたちで海に旅行に行ったんです。日本の大きなお風呂初めて入りました。最高でした』

 

【コメント】:さらりとハブられてるキモブタwww

【コメント】:女だらけのなかにアレはいれられねぇべさ

 

『妾ねお友達と旅行初めてなの! ビーチバレーやって海の家でご飯食べて皆でお風呂入って! おさしみもいーっぱい食べて一つの部屋で寝たんだよ! ……のじゃ!』

 

【コメント】:ララちゃんかわいい!

【コメント】:楽しかったんだろなぁ

【コメント】:興奮し過ぎてキャラ忘れてるよ

 

『さーちゃん、らーちゃん。ここで決着をつける。……視聴者さん。お風呂上りはフルーツ牛乳がベストだと思ぅ』

『えーと、ご説明させていただきます。三人で大きなお風呂に入ったのですが、お風呂上りは当然牛乳ですよね? ただ、私はコーヒー牛乳派。ヒナちゃんはフルーツ牛乳派。ララちゃんはおいしければ何でもいい派で対立することになったのです』

『あ、妾は強いてあげるなら普通の牛乳。白いのをゴクゴク飲むのがいいのじゃ』

 

【コメント】:白いのをゴクゴク飲むのがいい!?

【コメント】:職人! 切り抜き職人頼む!

 

『なので、ヒナちゃんが聞きたいのは、視聴者さんはお風呂上りはなに牛乳派ですか? ですね』

『うん、それ』

 

【コメント】:省エネヒナちゃんスタイル

【コメント】:だいたいサヨちゃんに任せれば何とかなると思ってるからねこの子

 

『ひーは圧倒的にフルーツ牛乳派。賛同者求む』

『私はコーヒー牛乳です。腰に手を当ててグイッです』

『妾はおいしければ何でも派だけど一応シンプル牛乳で』

 

【コメント】:やっぱコーヒー牛乳

【コメント】:フルーツ牛乳

【コメント】:ビール

【コメント】:コーヒー牛乳

【コメント】:フルーツ牛乳

【コメント】:夕張メロン牛乳

【コメント】:普通の牛乳も美味いよな

【コメント】:コーヒー牛乳で

 

『ふふーん、やはりコーヒー牛乳派が優勢のようですね』

『……待って。夕張メロン牛乳、それ知らない』

『あー、ヒナの好きそうなヤツなのじゃ』

『ヒナちゃん果物系好きですからねぇ』

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

 キモブタ地元メシちゃんねるのサブ垢、サキュティちゃんねる順調です。

 今や雑談配信だけでも成り立つほど。登録者数も一万五千を容易く突破。正直言うと僕の初期より伸び率がいいので嬉しい反面ちょっと悔しくもある。

 夏休み中にこまめに動画を配信したことで、再生時間4000も確保。今は収益化の申請をして待ちの状態だ。

 

「お疲れ様、みんな」

「おにーさん、夕張メロン牛乳。夕張メロン牛乳」

「こ、今度探しておくね」

「ありがと。お礼に肩叩きする」

 

 生配信が終わると同時にベッドの上に行き、ゆらゆら揺れるひーちゃん。

 切り忘れでアレコレな騒動はありません。

 

「はふぅ、やっぱりナマは緊張しますね」

「ニュアンスがアレだけど、サナちゃんもお疲れ様」

「いえいえー。収益化の申請も叶いましたし、ここから気合いを入れないと」

 

 魔力はある程度確保できるようになったから、今のサナちゃんの目標はウチの家計状況をよくすることらしい。

 

「お? おお? ララちゃんかわいいコメが意外と多いのじゃ」

 

 ある意味純粋に配信を楽しんでいるのはらっちゃんだ。

 視聴者さんに反応を貰えることが嬉しいようで、自分を褒めるコメントを見つけてはニマニマしている。

 

「分かる。やっぱり嬉しいよね」

「キモブタさんも?」

「そりゃあね。ブサイクを弄られるのは慣れてるけど、面白いとかキモブタくん好きとかのコメは元気になる」

「うむ、妾も同じ気持ち。がんばろーな気分になるのじゃ」

 

 三者三様、向き合い方は違うけれどサキュティちゃんねるにネガティブなイメージは抱いていない。

 皆かわいいし、きっとこれからも登録者数は伸びるだろう。

 僕も負けないように努力しないといけないな、と改めて気合いを入れ直した。

 

 

 

 配信業も大事だけど、学校の方も忘れてはいけない。

 夏休みが明け、また学校生活が始まった。

 久しぶりに見るクラスメイトはなんだか少し雰囲気が違うように感じられる。なんというか、大人になった、みたいな。

 その中でも目立つのが、クラスの男子三人組だ。

 只野栄吉(ただの・えいきち)近藤正樹(こんどう・まさき)百地貫太郎(ももち・かんたろう)

 特別仲良くもないけれど、過度な攻撃も仕掛けてこないクラスメイト達。

 彼らも夏休み明けで皆なんとなーく雰囲気が違って見える。その中でも、只野くんはひときわ変化が大きかった。

 

「只野……お前、その髪」

「へへ、似合うだろ?」

 

 つるんでいる近藤くんも微妙に引いている。

 だって只野くん、髪を茶色に染めている上にピアスもしているからね。

 僕たちは高校二年生で、今後大学受験を考えなくてはいけない身なのです。高校デブーにしてもタイミング遅くない? あ、デブは僕だった。

 うちは校則ゆるいけど大丈夫なのかな。そう思いつつ、友人である相沢竜太くんを見る。

 

「あん? なんだ、キモブタ」

「いや、なんでも」

 

 ド金髪、高身長でガタイすごい、眼光鋭い強面、見るからにヤカラ。

 ……よし、茶髪くらい全然大丈夫のようだ。

 その後もちらちらと見ていたせいか、はたと目が合ってしまった。すると只野くんはニヤッと笑って、僕の方に近付いて来る。

 

「よ、佐間は相変わらずだな」

「う、うん?」

「俺みたいに身だしなみに気を遣わないとモテないぞ?」

 

 いや、大学受験前にその身だしなみはアレではなかろうか。

 そんなこと言えるはずもなく曖昧に濁せば、ちょっと小馬鹿にした感じで笑われた。

 

「あ、はは……ぼ、僕はそういうのは、似合わないし、ね?」

「はぁ、やれやれ。そういう度胸のないとこがダメだって言ってんのに」

 

 肩をすくめて自分の席に戻り、またいつもの三人組と雑談を始める。

 その態度に近藤くんが「妙な絡み方すんなよ」と窘めてくれる。が、茶髪になったせいかおかげか、只野くんはちょっと気が大きくなっているようだ。

 

「私から、ナオトくんは女の子に囲まれてますよーって言いましょうか? 銀髪の美ロリっ娘、褐色ロリ巨乳、猫耳のじゃロリとより取り見取りです」

「全員ロリな時点で後の騒動になるのが目に見えているので勘弁してください。サナちゃん達が好奇の視線にさらされるのも嫌だしね」

 

 手乗りサナちゃんからの提案を小声で却下しておく。

 なのに嬉しそうに微笑んでいて、僕は小首をかしげてしまった。

 

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

 そんな感じで始まった二学期。

 夏休みに美桜さんや咲綾さんと海に行ったことはそこそこ知られている。だって美桜さん教室で普通に計画練ってたからね。

 おかげで多少の嫉妬レーザーはあるものの、まあ一応は平穏と言っていいだろう。

 って、そうか。只野くんのさっきのあれ、咲綾さんに好意を抱いている彼からの牽制だったのか。

 やっぱり、モテるんだなぁ、咲綾さん。

 とまあ多少の弊害はありつつも、そこそこ平穏な学校生活ではある。

 二学期になっても咲綾さんはお弁当を作ってくれて、今日もいっしょに食べる予定だ。

 ただし、場所はこのクラスでも校舎裏でもなく、使われていない空き教室である。 

 

「お久しぶりですね、佐間くん」

 

 空き教室には美桜さんや咲綾さんだけでなく、非常勤の退魔巫女教師・椎名薫さんの姿もあった。

 僕は部活をやってないから夏休み中に学校に来ることはないし、こうやって会話するのは本当に久しぶりだった。

 

「は、はひっ、お久しぶりです。かおっ、椎名先生」

「……どうしました? ああ、佐間くんの伝手で得た説話集、役に立っていますよ」

「あ、そそ、それは何よりで。先生のお役に立てて、うれしいです」

 

 なんか、きょどってしまった。

 おかしいぞ。椎名先生、こんなにキレイだっけ?

 長い黒髪の先を白のリボンでまとめた、中学一年生くらいにしか見えない若々しすぎる教師。

 もともと美人さんであるのは周知の事実ではあったけど、なんか前より美人になったような。

 

「佐間くん、何故目を逸らすのですか?」

「いえ、その、緊張を……」

 

 違う、これらっちゃんの夢幻世界の影響だ。

 恋人になった夢を見ちゃったせいで、少し引っ張られているんだろう。

 だって夢では椎名先生とキスを……。

 

「美桜さん、僕を丸焼きにしてください。The焼き豚です」

「なにがどうしてそういうことになってんの!?」

 

 めっちゃ驚かれてしまった。

 でも仕方ないんだよぉ。夢なのに薫……椎名先生のぬくもりも匂いも覚えてるんだよぉ。夢魔ラエティティアの恐ろしさをこんな形で味わうとは思っていなかった。

 困惑する僕に、咲綾さんはお弁当を渡してくれた。

 

「よ、よく分からないけど、そろそろお昼にしよう? 今日はオムライス弁当だよ」

「ありがとうね。いつも、色々と」

「ううん、料理は楽しいから」

 

 椎名先生は「あら、青春ですね」と微笑ましそうにしている。

 いつまでもこの態度じゃ失礼だ。何度か両の手で頬を叩き、意識を切り替えて食事に意識を集中する。

 まずは一口。

 チキンライスはバターを使わず、鶏肉は軽く出汁と醤油で煮てある。

 家庭料理のオムライスって感じで美味しい。添えられたほうれん草のマヨネーズグラタンも嬉しい。緑の野菜はちょっと油が入ると食べやすくなるよね。

 む、グラタンにする時再度火を通すことを考えて、ほうれん草の下茹では敢えて時間を短くしていると見た。

 心地良い野菜の歯触りがちゃんと残っている。咲綾さんのお弁当には、こういった細やかな心遣いがある。

 僕の場合はわりと適当だし、最終的にニンニク醤油で炒めればだいたい美味しいの精神なので、見習わらないといけない。

 

「ふぉう、今日も最高だよ。 冷めることを前提にちょっと濃いめに味付けしてるのがまた美味しい」

「さすが。気付いてくれて嬉しいな」

「ほんと、料理だとお姉ちゃんには絶対勝てないわ」

 

 美桜さんもお弁当の内容は同じ。

 完全に白旗のようで、悔しそうな雰囲気は全然なく、むしろ笑顔でオムライスを味わっていた。

 

「美桜さんは、お料理はあまりしないんですか?」と椎名先生が問う。

「簡単なのくらいはそりゃできるよ。トースト焼いて卵とウインナー焼いて、みたいな。でも煮物とか難しそうなのはムリ」

 

 人差し指を使って×マークを作る。

 本気で苦手なようで、うげーとでも言わんばかりだった。

 

「後から味の調節がきくから、煮物は楽だよ?」

「慣れてる人からするとそうなのかもだけどさぁ」

 

 じゃれ合うような言い合いをしながら箸はどんどん進む。

 昼食を食べ終えると、改めて美桜さんが話を切り出した。

 もともと今日の集合は椎名先生の提案だった。

 

「薫せんせ。話ってなんなの?」

「実は、お二人ではなく、佐間くんがメインなんです」

 

 わざわざ呼ぶんだから僕に聞かせないといけない話だとは想像していたのであんまり驚きはしなかった。

 

「僕ですか?」

「はい。といっても、あまり難しいことではありませんよ。返坂高校では、十月に文化祭があることは知っていますよね?」

「それは、はい。もちろん」

 

 二学期の一大イベントは、やはり文化祭だろう。

 それぞれのクラスの出し物を用意するので、九月から準備が始まる。

 部活をしている人はそっちの企画もあるだろうから大変だけど、僕はクラスの方だけ考えていればいいから多少はマシだ。

 

「私は非常勤講師ですが、一応設営側で作業を行います。春乃宮姉妹も、出し物の準備で居残りすることもあるでしょう。そういう時、佐間くんには言い訳(・・・)になってもらえればと」

「えーと、たぶん淫魔関係の、話ですよね? 学校での拘束時間が長くなるから、淫魔事件で抜け出さないといけない時に“あー、彼女ならアレコレするって言ってましたよ?” みたいに誤魔化し要員になればいい感じですか」

「はい。佐間くんは話が早くて助かります」

 

 独自行動をする際に、事情を知っている僕が適当な理由をでっち上げて妙な反感を買わないようにする役割のようだ。

 でも、非常勤講師である彼女からしたらここでの評価ってあんまり意味がない。ぶっちゃけ授業さえすればいいんだし。

なんでわざわざそんなことを、と考えてから美桜さん達を見て気付く。

 ああ、淫魔の事情を知らないと、度々に文化祭の準備を抜け出すことがあったら春乃宮姉妹がクラスで浮く。そうならないようにという気遣いなんだろう。

 

「分かりました。……先生って、面倒見がいいんですね?」

 

 問いかけは流されて、ただ悪戯っぽい笑みだけが返ってきた。

 もっと皆のために動いてますよアピールすればいいのに、難儀で優しいお人だ。そう思えば僕もクスリと笑ってしまう。

 そのやりとりを、美桜さんと咲綾さんがじとーっとした目で眺めていた。

 

「直人、やっぱり椎名先生とはウマが合うみたいね」

「うん。危険だよ」

 

 会話はぼそぼそ声だったから聞こえなかったけど、何故か警戒心をあらわにする姉妹に、椎名先生もちょっと戸惑った様子だった。

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

 それから数日後のロングホームルームで、文化祭の実行委員と当日の出し物を決めることとなった。

 反応は様々。意欲的な生徒、部活の方に参加するため関係なしな生徒。そもそも興味がない人もそれなりにいる。

 僕はクラスの出し物にはあまり乗り気じゃないタイプ。展示とかでお茶を濁せればとか考えている。

 

「キモブタくんさー、実行委員やんねーの? 登録者二十万の配信者なんだし企画はお手のもんでしょ」

 

 クラスのぎゃはは系女子の言葉に、僕は申し訳なさそうな感じで謝る。

 

「ご、ごめんね。僕。親から学費も生活費も貰ってないから、実行委員になっても注力できないんだ。こっちを頑張り過ぎてマンションを追い出されるなんて羽目になりかねないし」

「断る理由の重さ反則すぎん?」

 

 めっちゃ引かれた。

 ちょっと大げさに言い過ぎたかな? でも時間をかけられないのも事実だ。

 

「な、なあ。春乃宮さん。実行委員やってみたり、しないの? 俺、春乃宮さんならリーダーにぴったりだと思うんだけど」

「う、うーん。私も、うちのお仕事があるから。顔合わせに出たり、急な呼び出しも」

「あ、そ、そうなのか」

 

 急な呼び出し=淫魔討伐。

 おそらく自分も実行委員になろうとした只野くんからのお誘いはさらりと流された。

 ってことで僕たちは候補から外れ、紆余曲折あったが実行委員は推薦の結果、近藤正樹くんが選ばれた。

 

「なんで俺なんだ……」

「あー、でも、そこそこコミュ力あってなんでも無難にこなせるじゃん、お前は。はぁ……」

 

 不満そうな近藤くんを、只野くんが落ち込みながらもフォローしてる。

 実際、彼は運動も勉強も満遍なく出来て、見た目もいいし帰宅部だからクラスの代表にはぴったりだと皆も考えたようだ。

 若干困った感じではあるものの最終的には受け入れ、もう一人女子からも選出された。

 

「じゃあ、俺。近藤正樹と」

「では私、登則恵子(とのり・けいこ)が文化祭実行委員を務めさせていただきます」

 

 登則さんは黒髪をきっちりひとまとめにした、メガネの女の子だ。

 文化祭に意欲があるわけではなく、マジメな優等生だから押し付けられた形なのに、ちゃんと役目を果たそうとしている。

 彼らの進行で企画についても話し合う。いの一番に手を挙げたのは只野くんだった。

 

「俺は、巫女喫茶がいいと思う!」

 

 どう考えても欲望に引っ張られた意見ですよね?

 

 

 

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