ロリサキュバスと同居生活してたらいつの間にか淫魔の王になっていた話   作:自宅戦闘員

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学校に閉じ込められた

 

 

“高いものは美味しい”はあり得るけれど、だからと言って“安いものは美味しくない”は成立しない。安価でお客様に喜んでもらおうと頑張っているお店はいくつもある。

 地元商店街の『おにぎりの田辺屋』はまさしくそういうところ。

 一番高い、いくらシャケおにぎりでも税込み二百円。こぶの佃煮なら百円だ。

 米の高いご時世にそんな安価で? そのからくりは契約農家から一括仕入れでお米を安く購入していること。

 あと、そもそもお店の入っているビルの元オーナーが店主のパパさん。もう引き継いで現オーナーが店主さんなので、売り上げをテナント料で補填できる。金持ちは金持ちになれるという資本主義の暴力です。いえ、店主さん自身はのんびりした良い人で、赤字出ても美味しいものを、なタイプではあるんですが。

 事情はどうあれこの安さは学生には嬉しい。僕たちは夕食に田辺屋のおにぎりを購入してきた。

 

「からあげおにぎり、うっめ」

「やっぱおにぎりなら田辺屋だよなぁ。コンビニのとか食えねえもん」

 

 お金はちゃんと相沢くんが「おら、ちゃんと払えや」で徴収してくれてます。

 クラスにも田辺屋愛好者は多い。

 おにぎりとお茶で一服した後は、店内の装飾を進めていく。

 文化祭ではクラスに一律三万学校から支給される。電子ケトルやポットは家にある人が持ってきてくれる。お菓子や飲み物は業務スーパーと地元商店との交渉でかなり値段を抑えた。

 衣装と内装に関しては、安価な材料を買って細々したものを手作りすることで費用を削減している。

 なのでシンプルに作業量が多い。なんとなく和っぽい飾りを作ったり、普段使ってる机にかけるテーブルクロスも和柄にしたり。

 衣装班は着物だと高くつくので、浴衣や古着を解体してミシンで縫い、和ロリィタみたいな感じでまとめるそうだ。

 その中心人物が、意外にも折原さんだったりする。

 

「折原さん、すごいね。この衣装、売りものみたい」

「まね。春乃宮のはフリル多めにしてみた」

 

 折原潤《おりはら・じゅん》。

 うちのクラスはスクールカーストというほど強い序列があるわけじゃないけど、それでも女子のリーダー格に収まっている。

 赤茶色に染めたウェーブヘアを後ろでまとめて盛り髪。化粧もネイルもばっちりと決めた迫力美人って感じ。

 スタイルだっていいし、彼氏は同じクラスのサッカー部のレギュラーだし、色々と目立つのが彼女だ。

 お裁縫も上手みたいで、和ロリの提案も「アレンジで個性出せるし」と折原さんがしたのだという。今は咲綾さんの衣装の微調整をしている。

 

「アタシはバ先もアパレル系だし、こういうの得意なんよ。年がら金欠やし古着リメイクで慣れてんの」

「私も繕いものはするけど、こういうデザインは全然だなぁ」

「つくろいっておばーちゃんじゃん!」

 

 けらけら笑う折原さん。嫌味っぽいところがないのはすごい。

 咲綾さんは、ちらりと僕の方を見て「どう?」とはにかんで衣装を見せてくれた。

 

「かわ」

「おー、咲綾似合うな! イイ感じだよ」

 

 誉め言葉を口にするより早く、ずいっと前に出たのが折原さんの彼氏だ。

 押しのけられたというわけじゃない。ただ、反応が僕より早かっただけ。

 

「オラ、自分のカノジョ放って他の女褒めてんなよ」

「いてっ、悪い悪い」

「あはは……」

 

 咲綾さんは愛想笑いをしているけど、嫌そうというほどでもない。

 こういうところ結局僕は陰キャのままなんだな、と思う。

 お祭りっぽいはしゃぎ方を遠巻きに見ていると、頬をぺしっと叩かれた。

 

「ナオトくん、ダメですよー。あそこはもっと強気でいかないと」

 

 手乗りサナちゃんがむーっとしている。

 たぶん空気を悪くしても割り込むくらいの気概を見せろってことなんだろう。

 でも僕との咲綾さんの関係って友達で、元幼馴染みで、クラスメイト。退魔巫女の事情は知ってるけれど、生徒同士で仲よくしているのを邪魔するほどの関係性かって言われたら悩んでしまう。

 

「さすがに、今日はそろそろ終わるか」

 

 僕が微妙に落ち込んでいると、近藤くんが皆にそう言った。

 教師に許可は得ているが既に時刻はもうそろそろ夜の七時半になる。

 

「春乃宮、いっしょにカラオケいかん?」

「お、いいじゃんか。そういう機会あんまなかったし」

 

 折原さんやその彼氏が、咲綾さんを誘っている。

 こういう展開に慣れていないからか、あわあわとテンパっていた。その時、目が合った。

 まるで、助けてと言うように。

 

「おら、キモブタ」

 

 あとそれと同時に、相沢くんの足が僕の背中に添えられました。

 

「うだうだしてねーで行けやっ!」

 

 で、ぐっと押し出されました。

 強制的にデブ突進。僕は、咲綾さんの前に飛び出す形になった。

 クラスの皆視線が集まるけど、どうにでもなれと大声で叫ぶ。

 

「え、あの、さっ、さはやさんっ! いっしょにかえろう!」

 

 また声が裏返ってしまって、周りの生徒に変な目で見られた。

 でも咲綾さん自身はくすりと微笑んでくれた。

 

「うん、送ってくれる?」

「も、もちろん。ということで僕が先約なのでっ」

 

 クラスメイトに頭を下げる

 男子達は「えー、春乃宮も駅前で遊んでこうぜ」みたいなノリだったけど、今度は譲らない。

 不満そうな目を向けられるのを意識しながらも僕たちは教室を出た。

 

「びっくりした。直人くんが助けに来てくれて」

「あ、いや、相沢くんのフォローありきですが」

「でも、皆の前で誘ってくれたでしょう?」

「それは、はい」

「……ありがとう。すごく、嬉しかったよ」

 

 華やいだ笑みに、とくんと鼓動が鳴る。

 こんな笑顔が見られるなら、自分から動くべきだった。

 

「クラスの、明るい人達といっしょにカラオケは辛いし……」

「あ、それは僕もです」

 

 陰キャ同士のシンパシー。

 そう、容姿が正統派な美少女だから誤魔化されているけど、咲綾さんは暗い部屋で動画を見て投げ銭しちゃうような隅っこっ子なのである。

 

「今度、うちで漫画喫茶ごっことかどう? 最近古本屋で大量入荷したんだ」

「それいいなぁ。私、お菓子作っていくよ」

 

 雑談を交わしながら僕たちは昇降口へ向かう。

 でも到着すると、妙な騒ぎになっていた。

 僕たちと同じように居残りしていた別のクラスの生徒達が立ち往生している。彼らはガタガタと乱暴に扉を引いたり押したり、あげくはヤクザキックをかましていた。

 ガラスなのに、思い切り蹴っても壊れていない。

 

「くっそ、開かねえ!」

「どうなってんだよこれ!」

 

 生徒達がざわめく。

 昇降口の扉の隙間を見ても、鍵が掛かっている様子はない。にも拘らずどれだけ力を入れても開かないみたいだ。

遅れてきた折原さんが「ちょいとどいて。あたしがやるから」といい、男子に混じって扉に立ち向かう。

 

「ふんぬっばらっ、んがああああっ! ぬっごごおごお……ダメだぁコレ!?」

 

 待って?

 今、クラス上位の女子がしちゃいけない顔して取っ手を引っ張ってたよ?

 その上で開きませんでした。

 ガンガン扉蹴ってるけど普通にパンツ見えてるよ、黒、レース。

 

「ジュン、一度戻ろうぜ」

「あーも、無駄に疲れた」

 

 彼氏に背を押されて教室に向かう折原さん達。

 僕たちもと思ったが、集まった生徒の中に見知った顔があった。

 

「直人、お姉ちゃん」

 

 美桜さんも僕らのことを見つけたようで駆け寄ってくる。

 

「美桜、あなたも居残りしてたの?」

「うん、ビー玉が上手く転がらなくて」

「ああ、展示の」

「むずかしー。また組み直しだよ」

 

 作った装置がうまくピタ〇ラなかったらしく、長い時間格闘していたんだろう。美桜さんはかなり疲れているように見えた。

 でも気を取り直して、二人とも退魔巫女としての顔を作る。

 

「状況分かる?」

「見たまんま。鍵のかかってないはずの昇降口が開かない、壊れもしない。周りの窓もおんなじ。全部は試してないけど」

 

 僕はマンションのサナちゃん達に連絡を入れようとコールしてみる。だけど繋がらない。電波が届かないところに、というやつだ。

 

「ダメだ、圏外になってる」

 

 続いて、契約者固有の連絡手段も試してみる。「手乗りサナちゃん」と小声で呼べば、もぞもぞと僕の懐からミニチュアな女の子が顔を出した。

 

「すみません。本体に情報をフィードバックできません。繋がりは断たれていないのに、交信が遮断されちゃってます」

 

 オカルティックな交信手段も無理。

 気付くと相沢くんや近藤くんも昇降口に来ていて、他の場所から出られないか調べている。ガンガン叩いてもドアもガラスも微動だにしない。

 校舎自体が魔力に覆われ、僕たちを閉じ込める牢獄になってしまった。

 

「サナも無理、と。ね、ちょっと隅っこで話そ」

 

 美桜さんに促され、周りに聞こえないよう、廊下の隅に移動して話し合う。

 まずサナちゃんが、軽く結界について話してくれた。

 

「これ、間違いなく淫魔の“なわばり”ですね。そもそも話ですが、この手の閉じ込める結界を使える淫魔はけっこう多いです。多くの淫魔は巣を作って女の子を苗床にしますから。堕淫魔術でも同じことができますよ」

「なら、解呪とかもできたりする?」

 

 僕が聞くと、手乗りサナちゃんは首を横に振った。

 

「残念ながら、淫魔は一個体一種族。“同じ効果を発揮できる”は“同じ原理を使用している”じゃありません。力量は私たち以下でも、術式を複雑にすることで壊しにくい結界を作るタイプもいますし。一番簡単なのは使い手を倒しちゃうことだと思います」

「そっか……」

 

 学校を餌場に選んだ淫魔との対決。

 さっきまでは楽しい学園祭の準備だったのに、一気に不穏になってきた。

 

「分かりやすいと言えば分かりやすくていいじゃん。お姉ちゃん、刀は?」

「空き教室に隠してあるよ。退魔巫女装束も一応」

「あんなうっすいレオタ、皆の前で着たくない……でも一応、霊力の宿った守りではあるんだよね……」

 

 あの露出度の高い退魔巫女装束は淫魔の攻撃を自身に集め、魔力による干渉もある程度軽減してくれるそうだ。

 でも美桜さんも咲綾さんも、やっぱり恥ずかしかったらしい。

 

「美桜のクラスは、どのくらい残ってるの?」

「んー、うまくいかなかった四人だけ」

「閉じ込めたからには、皆をまとめて犯そうとする淫魔がいる。私たちのクラスと合流するように話せないかな?」

「おっけ。で、隙を見て元凶を探す、と。本当はお姉ちゃんと行動するべきなんだろうけど、私たちがいなくなったら皆が襲われるってのもあるかも。あーもう、手が足りない」

 

 訳の分からない状況だ、みんなで集まった方が精神的な負担も少ないだろう。

 早期解決を目指して姉妹で校内を調査するべきか、どちらかが皆の守りのために残るか。

 いや、いっそ待ちの戦術の方がいいのかも。

 

「サナちゃん、魂霊契約モードいけるかな?」

「分体は魔力で作ったミニサナちゃんとの念和形式ですが、契約は魂の繋がり。結界に阻まれるようなものではないはずです」

「じゃあ、僕もちょっとくらいは戦力になれると思う」

 

 外法術師の助力は想定してなかったのか、美桜さんが目を見開く。

 

「あっ、そか。直人は武器ナシでバトルできる戦力じゃん」

「なら、私は刀を取りに。美桜は、クラスメイトを連れてウチのクラスと合流。直人くんはしばらく昇降口の様子を見て、教室に戻る……で、どうかな?」

「いざという時は手乗りサナちゃんが飛んで連絡係になりますよー」

「ふふ、そうだった。サーナーティオもお願いね」 

 

 当面の行動指針は決定した。

 僕たちは静かに頷き合う。

 ここは既に淫魔のなわばり。サナちゃん達とは違う、人に危害を加えることをいとわない、本物の化け物の領域なのだ。

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 僕たちはそれぞれ別行動を開始した。

 昇降口から生徒が減るのを見計らって教室に戻る。

 しばらく待っていると、咲綾さんが皮の竹刀ケースみたいなものを持って帰ってきた。

 

「春乃宮、それなに?」

「ええと、借りました。護身用に」

 

 折原さんが変な目で見てたけど、まあ一応は納得した模様。

 あとは、美桜さんと合流したら本格的な調査の開始だ。

 

「基本は、一人残って二人で探る、がいいと思う。いざという時の対応力を考えたら、美桜が残ってくれるとありがたいかな」

「美桜さん、遠近どっちもいけるもんね」

 

 そんなことを話し合っていると、いきなり男子の一人が机を乱雑に蹴った。

 確か、作業をサボってどこかに行ってた人のはず。サボリくんは不良って言うほどじゃないけどマジメでもないタイプ。ただただ不満から周りに当たり散らしていた。

 

「くっそ、なんだよ! なんで出られないんだよ!」

「騒ぐなよ」

 

 近藤くんが諫めようとするも、逆にサボリくんは食ってかかる。

 

「そもそも、お前のせいでこんなことなってんだろ!? 居残りするなんて言わなけりゃ……!」

「それはっ」

 

 胸ぐらを掴まれ、ぐっと言葉に詰まる。

 実行委員は、サボってる人たちのせいで居残りを指示せざるを得なかったんだ。

 なのにその言い方はひどい。一触即発の雰囲気、でもそれは変な形で終わりを迎える。

 

「あああああああ! うざってぇなああああああ!」

 

 空気が悪くなる前に、相沢くんが大声を上げたのだ。

 君、前も似たようなことやったよね?

 

「ただでさえ苛立ってんのにうだうだうだうだ! 黙ってくんねえかなぁぁぁぁぁぁ!」

 

 本人に直接ではなく叫ぶ。

 近藤くんを庇うというより、彼はああいう理不尽な態度がシンプルに嫌いなのだ。

 ガタイのいい強面には強く出れないようで、サボリくんは荒っぽく手を放し、自分の席に戻った。

 これはこれで雰囲気が悪くなるし、皆も怯えてしまう。

なので僕はちょっと震えながらも声をかける。

 

「あ、相沢くん。と、トイレ行きたいけど怖いからついてきてください」

「あん? そのツラでその頼みは普通にキメぇな、お前」

「き、キモくても我慢には限界があるんですはい。もし断るならデブダンスしながら頼むけどどうする? 見苦しいよ? びっくりするくらい見苦しいよ?」

「脅しのつもりかよバカじゃねえか?」

 

 げらげらと笑われる。でも、ちょっと教室の空気が和らいだ。

 僕の役目は、全力で話を逸らすこと。相沢くんは怖くないよアピールをすることだ。

 サボリくんを止めたのに外見とやり方のせいでヒンシュクを買うのは違うと思う。

 

「あと、お腹も減ったし、いつ出られるかわかんないし。今のうちに自販機でジュースめっちゃ買ってきたい。こういう状況なら購買のストックとか災害用の乾パンとかパクッても問題ない気がしない、かな? なぁんて」

「お前、伺い立てる形にして俺に罪をなすりつけようとしてねえか? ……ま、でも緊急事態ではあるか」

 

 とりあえず冷静になってくれたようだ。

 ひそひそと男子から「キモブタ、調子に乗って」とか聞こえたけど無視する。相沢くんがそいつに向かって睨み殺す勢いでガンつけてくれたし。

 っていうか、皆不安そうではあるもののちょっと余裕が出てきた。

 たぶん事情を知らないから認識が“出られない”で止まっていて、“淫魔が積極的に危害を加えてくる”とは想定していないせいだ。時間が経てばどうにかなるんじゃね、的な考えがあるのかもしれない。

 弛緩した空気を咲綾さんも察したようで、カラダを微妙にくねらせる。

 

「も、もしかしたら、これ、ゆ、ゆーれいの仕業なのかもー。一人で行ったら、あ、ゆーれいに会ったら、こ、こわい、なあぁ」

 

 演技が下手。シンプルに演技が下手。

 でも、なにか怖いのがいるのかも、というのは周りにも伝わったはず。

 只野くんが「あ、安心しろよ。俺もいるからさ!」とか言ってる。ちょっとムカってした。

 そんなガタガタなクラスだけど、近藤くんは率先して声を上げる。 

 

「待ってくれ、相沢。他のヤツも連れてってもらって良いか?」

「あぁ?」

「よく分からない状況だし、春乃宮が言ったみたいに、一人で動くのは危ないかもしれないだろ。何回かに分けて、トイレに行きつつ食べ物をとってきたいんだ」

 

 近藤くんがそう提案すると、ちらほら「俺も便所行きたい」「私も今のうちに」と賛同者が現れた。 

 

「ちっ、なら二回目はお前がいけや」

「助かる」

 

 たぶん彼自身この状況に負い目があったんだろう。

 役目を押し付けられたのにむしろ安心した様子だった。

僕は咲綾さんに目配せをする。

 

(ごめん、美桜さんを待てなかった。教室の方はお願いね)

(うん、直人くんも気を付けて)

 

 クラスの雰囲気を保つためとはいえ、トントン拍子に話が進み過ぎた。

 お互いの考えを理解して頷き合う。

 まだ状況は不透明。警戒は出来るだけした方がいいだろう。 

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

 近藤くん達を残し、数名でトイレに向かう。

 他の人たちは特に大丈夫らしいから、僕たちはそのまま購買部に行って、その後にトイレ第二陣の予定だ。 

 一陣の中には折原さんやその彼氏の姿もあった。

 暗い廊下はそれだけで薄気味悪い。教室と同じ階のトイレを使うだけだからそんなに距離は遠くない。

 男子はすぐ済むけど、女子は「先に帰らないでよ」とか何度も確認しつつだった。

 

「つかよ、お前さんざんおにぎり食ってたろ」

「で、デブはすぐお腹がすくんです」

 

 トイレを終わらせた後は、相沢くんと雑談をしながら皆を廊下で待つ。

 ふざけたようなやりとりを眺めつつ折原さんがにまにまと絡んでくる。

 

「キモブタくん、意外と周り見てんねー?」

「へ? な、なにが?」

 

 聞いても特に何か言うでもなく、そのまま掌をひらひら。

 いったい何だったのか。よく分かんないけどトイレを済ませる。

 特にここでは何も起こらなかった。

 次に向かうのは1Fにある自販機スペースだ。トイレといういかにもホラーが起こりそうな場所をクリアしたおかげか、皆は安堵をしている。

 僕たちは周囲を見回しながらも階段を下りていった。

 

 

 

 

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