ロリサキュバスと同居生活してたらいつの間にか淫魔の王になっていた話   作:自宅戦闘員

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ブラくんのお泊り・1

 

 

 僕は、実を言うと美桜さんとけっこう仲がいい。

 彼女はわりとウチに入り浸っている。退魔巫女修業の息抜きに僕の部屋で漫画を読んでいることもしばしば。春乃宮の神社より五大淫魔が三柱ほど生活しているこの部屋の方がくつろげるようだ。

 

「直人、お邪魔するよー」

「あ、いらっしゃい。ごめん、今まとめてやっちゃいたい作業があって」

「あー、いいっていいって。好きにしてるから」

 

 勝手知ったる他人の我が家。

 普通に僕のベッドに腰を下ろす。

 

「おぉ、みおーさん。さーやさんは今日はおらんのか?」

「お姉ちゃんは神社のお役目。はい、おみやげのみたらし団子」

「わーい。おちゃ、緑のお茶ー」

「ほんと和菓子好きね」

 

 先日出かけた時はだいぶ落ち込んでいたらっちゃんだけど、今は元気を取り戻した。

 ただ、時折「妾はキモブタさんを応援するのじゃ」とよく分からないエールを受けている。

 くるくる回るらっちゃんを見て美桜さんはくすりと笑う。

 休みの日だと、僕は昼間から動画の編集をすることが多い。そういう時、彼女はベッドでゴロゴロ漫画を読むか、らっちゃんと遊んだりしている。

 らっちゃんがダーツをプレイしたという話を聞いて、マジックテープ式のダーツを持ち込んだのも美桜さんだ。

 

「美桜さん、お茶を淹れますか?」

「あー、直人の作業が終わってからでいいよ」

「ではそのように」

 

 サナちゃんとひーちゃんは二人で一冊の漫画を読んでいる。

 これは咲綾さんが貸してくれた少女マンガだ。「おぉ……だいたん……」とひーちゃんが呟く。淫魔っ娘からそういう評価を受ける少女マンガっていいんだろうか?

 

「つぇいっ!」

 

 らっちゃん、早速美桜さんとダーツで対戦。

 おもちゃとはいえ意外と白熱している。

 

「へぇ、けっこう上手くなったじゃん」

「むふふ、みおーさんを追い抜くのも、もうすぐー」

「なら今度、ちゃんとしたルールでやる? ダーツとかビリヤードができるお店あるからさ」

「おぉ、ガチバトル! 受けて立つのじゃ!」

 

 サナちゃん達や咲綾さんを誘って、駅前のアミューズメント施設で遊ぶのもいいなぁ。

 わちゃわちゃ楽しそうな声をBGMに、編集作業も切りのいいところまでいった。お客様をこれ以上待たせるのもあれだし、そろそろおしまいにしよう。

 

「よしっ、ひと段落……かな?」

「終わった? 甘いの買ってきてるから一休みしよ」

「ありがと、じゃあお茶を淹れようかな」

「あ、私がやりますよー」

 

 サナちゃんがパタパタ台所へ向かう。

 今日はコンビニでスイーツを色々買って来てくれたようだ。らっちゃん用の和菓子だけじゃなく、クリームにフルーツ系もある。

 各々好きなお菓子でお茶の時間だ。

 

「フルーツロールおいひぃ……」

「コンビニって手軽で美味くていいですねぇ」

「そういえば、神社のお役目って淫魔関係の?」

「んーん。氏子さんからお魚たくさん貰ったからお母さんと一緒に片付けてる。今日は鯛とブリの刺身にブリ大根、タイのから揚げにおすましかなぁ」

「わ、妾……今夜だけラエティティア・ハルノミヤになる……」

 

 和食系、特にお刺身が好物ならっちゃんは羨ましそうに涎を垂らしている。

 サナちゃんに「らっちゃん、それはさすがに無理です」とツッコまれていた。なお春乃宮は淫魔を退治する退魔巫女の本拠地とする。

 しょんぼりな彼女のためにも、ちょっと今日は奮発するとしよう。

 

「なら僕たちも今日はお寿司にしよっか?」

 

 僕の提案に淫魔っ子たちは諸手を上げて大喜び。

 

「わーい、マグロにハマチに海老なのじゃー」

「茶わん蒸しとあぶりサーモンですー」

「ぜいたくマンゴーパフェとチョコレートケーキ……」

 

 ねえ、想定が回転寿司じゃない?

 僕、お高いところのつもりだったんだけど。

 

「なら、お高めの回転寿司がいいのじゃ」

「色々食べたいですしね」

「カウンターのお寿司屋さんにはパフェがない……」

 

 わいわい楽しむならそっちの方がいいか。

 ということで今夜の夕食は回転寿司に決まりました。

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

 駅前にある普通の回転寿司よりちょっと高級志向な、「極みにぎり・旬助」。

 皿によっては七百円を超えるけど、回転寿司っぽいハンバーグ寿司や牛カルビ寿司、スイーツ類も豊富で幅広い客層に受けているお店である。

 なんといっても、回転寿司だけどネタが大きめで新鮮。人気の一番の理由はシンプルにそこそこ値段で美味しいという点だろう。

 美桜さんは夕食があるから今日は早めに帰った。

 僕とサナちゃん、らっちゃん、ひーちゃんの四人は旬助で晩ご飯だ。

 

「お、き……佐間くんじゃねえか」

「おー、皆元気してたぁ?」

 

 お店に入ると、偶然にも相沢くんとその恋人、ダンサー系ギャルの早瀬夏凛(はやせ・かりん)さんと顔を合わせた。

 

「りゅーちゃん、夏凛さんもお久しぶりです」

「おう」

 

 サナちゃんが丁寧に挨拶をする。らっちゃんも「りゅーちゃんさん」、ひーちゃんも「りゅーちゃん」と完全に呼び方は定着している。

 それを注意するでもなく「店ん中で騒ぐなよ」と窘めるあたり、本当に彼はヤンキーに向いていない。

 

「相沢くんたちも夕食?」

「おう、バイト代入ったからな。大トロまで行くぜ」

 

 教団のことはあったけど蟠りはすっかり解消されたようで、仲睦まじく腕を組んで寄り添い合っている。ちょっと羨ましい。

すると僕を慮ってくれたのか、ウチの子達も腕を組んできた。

 

「皆の心遣いは有難いけど、できればバランスがいいともっと嬉しかったかなぁ?」

 

 ただし全員右腕。

 トーテムポール淫魔っ子と腕を組む不思議な現象が起きてます。

 

「さ、佐間くんたちも仲良さそうでなによりだ」

「今更だけど、キモブタで大丈夫だよ? みんなブタちゃんのこと知ってるし」

「……そうか?」

 

 正直助かった、みたいな顔をしていた。

 やっぱり佐間くんだと慣れないらしい。

 

 相沢くんたちは先に案内され、しばらくしてから僕たちも近くのテーブル席に案内された。僕らは各々好きなお寿司をタッチパネルで注文する。

 

「僕は鯛かな」

 

 一般に寿司は淡白なものから味が濃いものを……というのが正しい順序と言われる。

 白身などのサッパリ系→海老・マグロなど旨味の濃いネタ→トロ・ウニ・アナゴなどの脂の強いモノという流れだ。

 しかし僕はこう思う。

 回転寿司ならお喋りしながら好きなヤツを好きに頼んだ方が美味しいよね、と。

 僕が鯛を選んだのは単に美桜さんの話を聞いて食べたくなっただけです。

 

「まぐろ三貫盛り、なのじゃ。やはりお寿司の王道はまぐろ……」

 

 らっちゃんは赤身・ヅケ・中とろの三貫盛りで攻める。

 美味しいしお値段もお得なセットだ。

 

「茶わん蒸し、美味しいですよね」

 

 サナちゃんは茶わん蒸し。

 ぷるぷる食感を楽しみ、ほふぅとご満悦。

 

「バナナサンデー……」

 

 ひーちゃんはデザートから。

 うん、やっぱり回転寿司でよかったわ。

 

「妾、まぐろはどんな食べ方をしても美味しいと思うのじゃ」

「あー、意外となんにでも合うよね。ユッケ風でもサラダでも」

「私、ソテーも好きですよ」

 

 あむあむとまぐろを食べるらっちゃん。次はブリと鯛。

 だいぶ美桜さんに影響を受けています。

 サナちゃんは茶わん蒸しを食べつつサーモンを注文。

 

「サーモン、美味しいですよねぇ。高級な店にはないって聞きますけど、もったいないです」

「ああいう店は雰囲気も売り物のうちだからねぇ。僕もサーモン好きだよ」

「あ、私のもサーモンピン」

「お店ではやめてもろて?」

 

 こんなとことでガチ下ネタとか勘弁してください。

 バナナサンデーを食べ終えたひーちゃんは続いてコーンマヨ軍艦。生魚だけでなく色々な味を楽しめるのが回転寿司の醍醐味だ。

 

「おいひぃ」

「酢飯と合うんだよね、マヨネーズって」

「次は、納豆巻き……」

「ひーちゃん渋いところ行きますね。私は、アナゴを」

「妾は生エビ。ちょん、とガリを乗せていただくのじゃ」

 

 みんな喜んでくれているようでよかった。

 ちなみに僕のお皿にはブリと鯛、サーモンとコーンマヨ軍艦が一貫ずつ乗っています。

 回転寿司って二貫ずつだからね。色んな種類が食べられるよう、余った分を僕が頂くのだ。

 

「え、ブタくんお父さんなの?」

 

 それを見てた早瀬さんからの一言。

 確かに保護者っぽいかもしれないが、微妙に違う。

 

「ううん。皆の余りを食べて自分が好きなのを食べてもお腹に余裕があるんです」

「ただ大食いなだけかい」

 

 ぎゃははと思い切り笑われた。

 こうやって皆には気を遣わせないように、という心配りです。

 

「おにーさんはツンデレなだけ……」

 

 あっ、全然バレてたわ。

 そして絶対ツンデレではありません。

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

「ふはー、満足なのじゃ。お腹ぽんぽん……」

「やはりマンゴーが至高……」

「もう、二人とも食べ過ぎじゃないですか?」

「美味しそうなのが回ってきたらついとってしまう罠……」

「まったく、人間は恐ろしいものを考え付くものよのう」

 

 お腹をさすさす撫でながら歩くひーちゃんとらっちゃん。

 サナちゃんはそんな二人を見て優しく微笑む。

 寒い冬でも暖かい帰り道だ。

お寿司をたらふく食べ、マンションに帰宅すると玄関に背を預けて体育座りで待っている少女がいた。

 三つ編みメガネの大人しそうな印象のセックス大好きっ娘・登則恵子さんだ。

 彼女は僕たちが帰ってきたのを見つけると立ち上がる。

 

「ああ、お待ちしていました、佐間くん」

「登則さん、どうしたのこんな時間に」

「いえ、よくよく考えれば私はあなたの連絡先を知らなかったな、と」

 

 そういや一度うちに来てるけど、自宅もスマホも教えていなかったっけ。

 実は普通に会話しているけど彼女の邪悪さに少しビビッてたからなんて口が裂けても言えません。

 

「ごめん、外で夕食だったから。何か用だった?」

「とりあえず、ナカに挿入れてもらっていいですか? 玄関でも構わないので」

「なんか発音が気になるけど、まあどうぞ」

 

 言われるまま玄関に上げると、登則さんは自身の服に手をかけ、胸元をがばりと露出させた。

 思ったより大きい……!? という驚きも束の間、そこには緑と紫の斑色の表皮をした小さな肉塊が存在していた。

 中心に眼球があり、うにょうにょと細い触手がうねっている。

 これは……。

 

「触魔ブラキウム・インヴィディア?」

「はい、彼の本体です」

 

 そうか、ショタモードは登則さんに合わせた擬態なんだっけ。

 こっちが本当の触魔なのか。っていうか指摘したらダメな気がするけどブラが紫のエッグいやつなんですが。

 

「急ですみませんが、一時的にこの町を離れないといけなくなりました。その間、ブラくんを預かってくれませんか?」

「どうしたの? ……まさか奪魔が?」

「いいえ、しかし私にとっては非常に重要なことです。それについても説明を」

 

 真剣な表情だった。

 リビングに案内すると胸から触魔が離れ、質量的にはおかしいのに、小学生男子くらいの身長になった。

 まあその経過はさっきの目玉が複数の触手に覆われて変化するという、若干グロ系の変身だったけど。

 

「さあ、ブラくん。ご挨拶を」

 

 言葉は発せないけれど触手少年は小さく頭を下げた。

 こちらはサナちゃんが代表してあいさつをする。

 

「触魔ブラキウム、直接会うのは久しぶりですね」

「……」

 

 表情は変わらない。

 というか、あくまで触手で人間っぽい形になってるだけであって、表情筋のようなものがないんだと思う。

 自我が薄く、本能が強いタイプと聞いたし、特徴だけを考えると下級種によく似ていた。

 その挨拶をひーちゃんはあんまり興味なさそうに見ており、らっちゃんはもじもじしていた。

 

「二人は、挨拶しないでいいの?」

「同じ五大淫魔というだけ。存在は知ってても親しくなかった」

「妾、そもそも関わりがないのじゃ……。昔は、さなさなやひーとも……」

 

 らっちゃんが悲しすぎるのでめっちゃ頭撫でた。

 もしかしたら五大淫魔って、全員とほどほどに交流を持てるサナちゃんがいるからチームっぽく見えるだけなのかもしれない。

 

「ねえ、サナちゃん。触魔ブラキウムって、上級種なんだよね?」

「はい。ただ、生まれながらに上級種だった私たちとは違い、下級種が力をつけて根幹たる能力に目覚めたタイプですね。なので、かつての生態が色濃く残っています。それでも、感情や知能が全くないというわけでもありません」

 

 外に出す機能がないだけで内側に心はある、みたいな感じかな。

 僕は片膝を立てて、触魔ブラキウム・インヴィディアに手を差し出す。

 

「ええと、前は挨拶できなかったけど、僕は佐間直人。登則さんのクラスメイトです。よろしく、ブラくん……って呼んでいいのかな?」

「……」

 

 握手するつもりで伸ばした手は、ぴしっと触手で軽く叩かれてしまった。

 けっこう痛かった。

 

「こら、ブラくん。佐間くんに失礼でしょう」

「えー、大淫魔たちの契約者。だとしても自分にとっては長じゃない……みたいな感情ですね」

「おさ……?」

 

 サナちゃんが通訳してくれたけど今一つ飲み込みにくい。

 困っていると補足をしてくれた。

 

「触魔は本能が強いタイプだけに、五大淫魔を一つの群れと捉えています。仲の良い悪いは関係ない、同族意識です。そんなこの子にとって、直人くんは”急に現れて群れの一部の上に立ったリーダー気取り”なんですよ」

「なるほど、それは腹立つ」

「嫌ってる訳ではないですが、群れの長ぶるなよ、くらいの反発心はあるようです」

 

 考えてみれば、サナちゃん達がここにいるのは僕と魂霊契約を結んだからだ。

 この子からしたら仲間を奪った胡散臭いヤツだろう。

 

「この子って、本能で女性を襲うタイプ、なんだよね?」

「はい、その意味で奪魔デートラヘレとは相性が良かったですね」

 

 女性を襲うことに罪悪感を持たない淫魔同士だから、そりゃ相性はよくなる。

 そうなると、なんで登則さんの下では大人しくしていたんだろう。

 僕の疑問に先回りして、彼女は答えてくれた。

 

「お腹いっぱいなら、あんまり動かないんです」

「そうなの?」

「私は週五で魔力を確保しています。主に、おじさんや若い会社員相手に。以前は、あなたのお兄さんともしていました。常に魔力が補給されているから勝手に誰かを襲うことはありません」

 

 濁してるけど、それつまり淫魔が大好きなアレな活動ってことですよね?

 兄さんが含まれてるのがすっごく微妙な気分になります。

 あんだけ偉そうにしておいて、ただのセフレCあたりのポジションだったのが特に。

 僕の握手を拒否したブラくんは、登則さんの腰辺りにぎゅっとしがみ付いている。「この子、ウチで預かるのって無理じゃないかな」と僕が言うと、登則さんは少し悩んでいた。

 

「あなたの下にいれば、春乃宮さんからはお目こぼしが貰えそうですから」

「それは、そうかも。僕も結構ヤバい立ち位置なのに見逃されてるものでして」

「ブラくんにも慣れてもらわないと。退治されるのはイヤです」

 

 彼女の方も結構愛着を持っているらしい。

 僕としても、サナちゃんの知り合いがいなくなったら寝覚めが悪い。

 

「とりあえず、警戒を解いてもらえるように頑張ります」

「お願いします」

 

 先はだいぶ長そうだけど。

 一応ブラくんも飲食物は摂取できるみたいだから、なにか勧めてみようか。

 

「ブラくん、甘いの食べる? あー、なにか好きなのとかは」

「お肉、だそうです」

 

 サナちゃん通訳助かる。ちょうどソーセージがあるのでそれにしよう。

 おっかなびっくり渡すと、ブラくんは食べ始めた。口じゃなく、触手の先端で取り込むような感じだった。

 ついでにコップに入れたお水も用意すると、触手の先端で器用に吸収していく。

 

「おかわり、いる?」

「……」

 

 こくん、と頷き返してもらえたので僕は追加のソーセージを用意する。

 意外と好評なのか結構ペースが速い。なんか、野良猫を餌付けしてる感じだ。ちょっと楽しい。

 

「可愛いでしょう?」

「うん。登則さんのキモチ、分かる」

 

 これは絆される。

 そして何故か膝立ちで隣に並ぶひーちゃん。

 

「ええと、ひーちゃん?」

「ひーのポジションに危機を感じた……」

 

 とりあえずこの子にもソーセージを上げたら、もむもむ食べてくれた。

 一応ブラくんがご飯を食べてくれたことで安心したのか、登則さんが小さく息を吐く。

 

「ひとまず、大丈夫そうで安心しました」

 

 片膝で立った彼女は、ブラくんに優しく語り掛ける。

 

「週末、私はこの町を離れます。佐間くんの言うことを聞いて、大人しくしていてくださいね」

「…………」

「これは、私の望みでありあなたの益にもなります」

 

 柔らかい雰囲気に、ブラくんは無表情で頷く。

 登則さんはまた立ち上がり、まっすぐに僕を見た。

 

「ブラくんのこと、お願いします」

 

 それはすごく真摯な願いだった。

 心からのキモチだと伝わってくる。

 だからこそ余計に心配になる。

 

「ねえ、登則さん。もしかして奪魔がなにかしかけてきた?」

「いえ、今週の土日、知り合いの大学ラグビー部が合宿をするので臨時マネージャーとして参加するんです」

 

 ………………うん。

 

「合宿にはOBも参加して、男女ともに同じ合宿所で金曜日から二泊三日を過ごします。どうしてもマネージャーより男子の方が多いので非常に大変な肉体労働になりますね」

 

 あ、心配とか全然的外れだったわ。

 ただの同人誌でよくある系のラグビー部の合宿だよ。

 

「そっか。だいたい分かったから説明はもういいよ?」

「もしよろしければ春乃宮姉妹も」

「続きを言ったら張り手かますよ?」

「さ、佐間くん、そういう顔もできるんですね……?」

 

 ちょっと怒りが表情に現れ過ぎてしまったようだ。

 ぺちぺちひーちゃんが頬を叩いてくれたので何とか元に戻った。

 

「そういう理由ですので、ブラくんの魔力に関しては問題ありません。ただ合宿所に連れて行くのも家に置いておくのもかわいそうですから、今後のためにも佐間くんに慣れていただこうかと」

 

 安定の子犬扱いです。

 

「僕は構わないけど、むしろブラくんは大丈夫? 僕の家に泊るのは負担じゃない?」

「そこで私でなく、ブラくんと目を合わせる佐間くんなので安心していますよ」

 

 なにを言ってるの? そりゃブラくんの方に確認取るに決まってるじゃないか。

 登則さんの信用度は淫魔以下なんだから。

 僕の言葉にブラくんは目を何度か瞬かせて、触手を小刻みに震わせた。

 

「これは、おっけーの合図でいいのかな?」

 

 確認するともう一回瞬き。

 どうやらブラくんも了承しているらしい。

 

「では、お願いできますか?」

「まあ、ブラくんがいいのなら」

 

 こうして僕たちは数日の間、ブラくんを預かることになった。

 

 

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