思い付いたダンまち系短編集   作:色々残念

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喉は相変わらずですが、ようやく熱が下がってきたので、ちょっとずつでも書き続けて完成させた話を更新しておきます
今回はチサキ視点の話ですね
書いていたら今回は6000文字と長くなりました


ダンまちクインテットその3 ヒロアカじゃなくてダンまちだったが転生者が多数

その手を伸ばせば、死の運命を持つ誰かを助けられるとしても、手を伸ばすかを選ぶのは自分自身だ。

 

死んでしまうよりも生きていてくれた方が良い、と考えたおれは、手を伸ばしてきた。

 

何度もそんなことを繰り返していった結果、死ぬ筈だった相手が生き残り、生存者が多数となったこの世界では、あまり役に立たなくなったダンまち原作の知識。

 

それでもおれは、これまで自分がしてきたことに後悔はしていない。

 

この世界で出会った、同郷の魂を持つ仲間達。

 

彼等も確かにこの世界を変えていて、極一部の神に関しては完全に別神に変わっていたりもした。

 

そんなこの世界は、きっと並行世界のダンまち世界と言える世界なのだろう。

 

原作とはかけ離れたこの世界は、違うことばかりだ。

 

まあ、転生者が多数な時点で、完全に同じ世界になる訳がないな。

 

おれが所属するヴィーザル・ファミリアとロキ・ファミリアは同盟を結んでいて、合同遠征を行うこともあった。

 

ヴィーザル・ファミリアとロキ・ファミリアが合同でダンジョンを潜り、行われていく遠征。

 

おれは冒険者としてはLv2だが、個性のオーバーホールで自分の肉体を改造している為、身体能力と肉体の強度はLv6並みではある。

 

そんな訳で並みのLv2以上の働きが可能なおれは、ダンジョンのモンスターとの戦いで出た負傷者を個性のオーバーホールで治療していきながら、戦闘も行っていった。

 

おれの動きを見た者達からは、本当にLv2なのか疑われることは多い。

 

ダンジョンを順調に進んでいき、安全階層での休息も挟みながら到着した49階層の大荒野。

 

大量に現れたフォモールの群れを相手に、盾を構えたロキ・ファミリアと遊撃を行うヴィーザル・ファミリア。

 

フォモール達の攻勢を盾で受け止めたロキ・ファミリアをフォローしていったヴィーザル・ファミリアの面々。

 

おれはおれでフォモールから鈍器のような天然武器を奪い、オーバーホールで分解して再構築し、強度を最大限まで高めて作り上げたメイスをフォモール達へと叩きつけていく。

 

2つのファミリアが協力してフォモールの進行を阻んでいる間に、唱えられたロキ・ファミリアの九魔姫の魔法によって、完全に焼き払われたフォモール達。

 

49階層のモンスター達を一掃し、50階層への移動を開始した2つのファミリアは、到着した安全階層の50階層で野営の準備を行う。

 

テントの設営を行う者達もいれば、持ちよった食料を用いてスープを作成していく者達もいた。

 

2つのファミリアが協力して、野営の準備を終わらせると、食事の時間が来る。

 

今回の食事は、ダンジョン産の肉果実などが大量に使われたスープにパンとヴィーザル・ファミリアの面々が用意したチーズと燻製肉となり、ダンジョン内では、かなりのご馳走だ。

 

食事を終えた2つのファミリアは、明日51階層に向かう面々を選んでから、就寝。

 

ヴィーザル・ファミリアからは団長のベートと副団長が51階層に向かうことになり、出発していく団長と副団長を見送ったヴィーザル・ファミリア。

 

おれは50階層で留守番することになったが、警戒を解くことはない。

 

闇派閥の戦力が確実に減っていたとしても、剣姫を狙う穢れた精霊の本体を倒さなければ、穢れた精霊関連のモンスター達は、確実に現れるだろう。

 

予想通り50階層に現れた芋虫型のモンスターに投石を行うと、溶解液を撒き散らして死亡した芋虫。

 

「近付いて攻撃は、しない方がいいぞ」

 

芋虫の身体から撒き散らされた溶解液で溶けていくダンジョンの地面を指差し、ヴィーザル・ファミリアとロキ・ファミリアの面々に注意を促す。

 

弓矢や魔法に投石で芋虫型のモンスターを倒していく50階層の居残り組。

 

大量に押し寄せてくる芋虫型モンスターは、倒しても倒しても次々と現れる。

 

ダンジョンの地面に触れて、個性のオーバーホールを用いた俺は分解した地面を再構築し、大量の棘を生やして芋虫達だけを貫いた。

 

ダンジョンを破壊し過ぎるとジャガーノートが出現する可能性があるので、あまり多用はできない技だと、居残り組の纏め役な九魔姫に伝えておく。

 

再び投石で芋虫型のモンスター達の数を減らしていると、51階層から戻ってきた面々。

 

51階層に行っていた面々の中には、溶解液が直撃したラウル以外の負傷者は居ない。

 

手早くオーバーホールでラウルの負傷を完全に治療しておくと感謝してきたラウルに「次は溶解液に当たらないように気を付けな」とだけ言っておいた。

 

現状を確認し、即座に撤退を選んだ2つのファミリアの団長達。

 

撤退をする為に行動していたヴィーザル・ファミリアとロキ・ファミリアの面々を遮るかのように、突如として現れたのは女型の上半身に芋虫のような下半身を持つ怪物。

 

芋虫と同じく溶解液を体内に宿しているのは間違いないそのモンスターは、芋虫型モンスターよりも身体が大きく、溶解液の量も多そうなのは確かだ。

 

溶解液を寄せ付けない強力な風の付与魔法を持つ剣姫なら単独での討伐が可能だと判断したロキ・ファミリア団長は、剣姫に怪物の討伐を命じた。

 

風を纏う剣姫の必殺技で倒された怪物に、歓声を上げたヴィーザル・ファミリアとロキ・ファミリアの団員達。

 

その後、ダンジョンの階層を上がっていったヴィーザル・ファミリアとロキ・ファミリアは18階層へと到着。

 

安全階層の18階層で身体を休めてから、ダンジョンを出ると決めた2つのファミリア。

 

とりあえず金時に土産として頼まれていたダンジョン産の果実を探しにいったおれは、森の中で大量の果実を採取。

 

それから身体を休めた18階層から移動していき、ダンジョンを出たヴィーザル・ファミリアとロキ・ファミリアは、それぞれの主神が待つホームへと向かう。

 

主神のヴィーザルに無事に帰ってきたことを全員で報告したヴィーザル・ファミリアは、夜になったら豊穣の女主人に集合するようにと団長のベートから指示を出された。

 

合同遠征から帰ってきた後は、毎回合同宴会を開くヴィーザル・ファミリアとロキ・ファミリアは、今回も豊穣の女主人を予約していたらしい。

 

夜までは時間があるので、金時に土産を渡しにいったが、やはり金時は春姫とその友達を大切にしているようで、ダンジョン産の果実を春姫とヤマト・命に全て渡していた金時。

 

金時との会話も終えて、しばらくすると夜になったので合同宴会に参加し、ヘスティア・ファミリアの2人が酒場に居るか確認してみると、カウンター席に座っていたシンとベルくんを発見。

 

ヴィーザル・ファミリアとロキ・ファミリアがダンジョンから出るまでの間に、上層にミノタウロスを逃がすようなことはなかった。

 

その為、ベルくんと剣姫は出会っておらず、酒場でトマト野郎とベルくんが笑われることもないだろう。

 

それでも、英雄となることを家族に誓っていたベルくんは、神の恩恵を授かってから急成長を続けているそうだ。

 

ベルくんに成長促進系の何らかのスキルが発現しているのは、確実だろうな。

 

かつてオラリオで遭遇した静寂のアルフィアを、オーバーホールで健康な状態に改造して逃がしたのは、無駄ではなかったのかもしれない。

 

義母となったアルフィアに鍛えられてきたベルくんは、強くなろうと努力している。

 

なんてことを考えていると、間違いなく酒に酔っていたベートがセクハラじみた聞き方で、ヴィーザル・ファミリアとロキ・ファミリアの面々の前で子どもが何人欲しいか結婚相手に聞き始めた。

 

その結果、恥ずかしがった結婚相手にベートが、思いきりぶん殴られるという事態が発生。

 

ヴィーザル・ファミリア副団長でLv5でもあるヒューマンの女性は、ベートの結婚相手ではあるが、流石に大勢の前で旦那にセクハラじみた言葉を言われるのは嫌だったみたいだ。

 

Lv5の女性の全力パンチで吹っ飛んだベートを見ていたシンとベルくんが神妙な顔をしていたのが、結構印象的だったな。

 

ヴィーザル・ファミリア団長のベートは、たまに酔っ払ってやらかすので、酒の席では注意しておかなければいけない。

 

とりあえず妙な空気になりかけた宴会を盛り上げておくと、なんとか無事に宴会を終わらせることができた。

 

後日、酔っ払った自分の言動が悪かったと理解していたベートが、結婚相手に謝罪している姿が目撃されたが、元々仲が悪い訳ではないので、直ぐに仲直りした2人。

 

ヴィーザル・ファミリアの団長と副団長が仲直りした翌日、ダンジョン帰りらしきシンとベルくんを発見したが、明らかに落ち込んでいるベルくんを慰めていたシン。

 

何があったのか2人に話を聞いてみたが、ギルドからベルくんに貸し出されていた短刀が壊れてしまったようで、それでベルくんが落ち込んでいたみたいだ。

 

おれならオーバーホールで修理できるかと考えて、壊れた短刀の残骸を渡してもらうと、分解からの再構築で、壊れていた短刀は元の姿へと戻った。

 

元の姿に戻った短刀に喜びながらも、感謝をしてきたシンとベルくんの2人。

 

一応修理ついでに短刀の強度は上げておいたが、ギルドから駆け出し冒険者に貸し出される武器は高品質という訳でもないので、また壊れてしまってもおかしくはない。

 

「ちょっと試したいことがある」

 

そう言ったおれは、ダンジョン帰りでウォーシャドウの指刃も幾つか持っていた2人から許可を得て、ウォーシャドウの指刃を3つほど受け取る。

 

それから個性のオーバーホールを用いて、組み合わせていった3つのウォーシャドウの指刃を、鋭く頑丈なナイフへと変化させていった。

 

本職の凄腕鍛冶師が作成した武器には劣るかもしれないが、上層なら充分に使えるナイフには仕上がった筈だ。

 

「はい、どうぞ」とウォーシャドウの指刃で作成したナイフをベルくんに渡すと「ありがとうございますチサキさん!」とテンション高めに礼を言ってきたベルくん。

 

ウォーシャドウのドロップアイテムである指刃3つをオーバーホールで組み合わせて作成したナイフは、ギルドから貸し出された短刀よりも、確実に良い武器だろう。

 

「上層程度ならそのナイフで戦えると思うけど、防具とかは、ちゃんと買った方がいいと思うな」

 

ヘスティア・ファミリアの駆け出し冒険者なシンとベルくんの2人には、しっかりとアドバイスもしておく。

 

それから立ち去ろうとした此方を呼び止めてきたシンと少し会話をして、その場を離れた。

 

この前のように大勢で騒ぎながら宴会をするのも楽しかったが、少数で集まって静かに酒を飲むのも悪くはない。

 

主神が酒造の神ソーマであるザニスに用意してもらった数種類の酒。

 

神酒以外の酒にも興味が出てきたソーマが、ザニスからアイディアをもらって作成した酒は種類が豊富だ。

 

酒を飲んでも問題ない年齢なザニスやポイボスと一緒に、静かに酒を酌み交わしてみたが、ザニスが用意してくれた酒とつまみは、かなり美味しい。

 

美味い酒を飲みながら、ザニスとポイボスの2人と穏やかに会話をしていると、話題はヘスティア・ファミリアのシンとベルくんに関する話になっていく。

 

ソーマ・ファミリアの団長の仕事も行いながら、頻繁にシンとベルくんを見守りに行くザニスは、子どもは守るべきものだと考えているようだった。

 

それでも、もっと強くなりたいと願う子ども達の意思は尊重しているザニスは、今はシンとベルくんを隠れて見守る程度で済ませているらしい。

 

見えなくても気配を察知することが可能な波動の使い手であるシンには、ザニスが2人を隠れて見守っていることは普通にバレており、悪意も敵意も無く、純粋に心配していることが伝わってきた為、放置されていたそうだ。

 

この前シンと少し会話した時に聞いたそれをザニスに伝えてみると「隠れて見守ってるつもりだったのに、普通にバレてたとか恥ずかしいんだが」と言って赤くなった頬を手で扇いでいたザニス。

 

「で、そんなバレバレなザニスが見守ってた現在のシンとベルくんは、ダンジョンだとどんな感じなんだ?」

 

そんなザニスを軽く言葉でいじりながら、ダンジョンでのシンとベルくんについて聞いたポイボスは、現在のヘスティア・ファミリアのダンジョン攻略が、どの程度なのかが気になっていたのかもしれない。

 

「順調、というか、凄まじくハイペースでダンジョンを進んでいるな。ちょっと前まではウォーシャドウが相手だったが、今ではもうベルだけでキラーアントの群れを倒せるようになってるぞ」

 

「いや、何かベルくんが強くなるのかなり早くねぇか。まだ怪物祭も始まってねぇのに、単独でキラーアントの群れを倒せるようになってるとか」

 

ザニスからの情報を聞き、同意を求めるかのように此方を見ながら言ったポイボスは驚きを隠せていない。

 

「確かにかなり早いとは思うけど、シンが言うには神の恩恵を授かる前から、ベルくんは義母から課せられた過酷な鍛練を毎日していたみたいだ。それなら原作のベルくんより更に早く強くなってもおかしくはないだろうさ」

 

ポイボスほど驚いてはいないおれは、アルフィアの鍛練をこなしたベルくんが強くなるのは当然だと思っていた。

 

「まあ、静寂のアルフィアとの鍛練を毎日していたなら、更に早く強くなってもおかしくはねぇか」

 

ベルくんが急成長していた理由を知り、納得したかのように頷いていたポイボス。

 

「そういえば、最近ベルはギルドから貸し出された短刀だけではなく、見知らぬナイフを使っていたりもしたな」

 

「ああ、それはウォーシャドウの指刃3つを使って、おれがオーバーホールの個性で作成したナイフだよ」

 

「あれはチサキが個性を使って作成したナイフだったのか。駆け出し冒険者のベルが持つには、質が良いナイフだとは思ったが」

 

「待て待て待て、ヘスティア・ナイフのフラグもへし折る気かチサキ!?」

 

ザニスとおれが会話していると、凄まじく焦った様子のポイボスが会話に割り込んできた。

 

「大丈夫、折れない折れない」

 

「いや、本当に大丈夫か?ヘスティア・ナイフも結構重要だからな」

 

その後、ヘスティア・ナイフのフラグが折れていないか心配するポイボスを安心させる為、ちょっと3人でヘスティア・ファミリアのホームに突撃してみたが、普通にヘスティアに怒られてしまったおれ達3人。

 

なんてことがあったりもした日も過ぎ去り、始まった怪物祭。

 

怪物祭が開催されている間に、花のようなモンスターが大量に現れたりもしたが、オラリオの冒険者達の活躍によって倒されたモンスター達。

 

怪物祭の最中に、無事にヘスティア・ナイフを手にしていたベルくんと、両腕にガントレットを身に付けていたシンの姿を見かけた。

 

ちょっと2人に話しかけてみたが、どうやらシンのガントレットもヘスティアからの贈り物で、ヘスティア・ガントレットというらしい。

 

ヘスティアの髪だけではなくシンの髪も素材として使われて作成されたヘスティア・ガントレットは、波紋と波動を流しやすいガントレットであるようだ。

 

眷族2人を大切にしているヘスティアは、間違いなく善神だろうな。

 

とりあえずポイボスには、ベルくんがヘスティア・ナイフを手に入れたことを伝えておくことにする。

 

「ベルくんは、ヘスティア・ナイフを手に入れてたよ」

 

おれのその言葉を聞き「そりゃ良かった。いや本当に良かった」と喜んでいたポイボスは、ようやく安心できたみたいだった。

 

僅かな行動で変わる未来もあれば、その程度では変わらない未来もあることは確かだろう。

 

それでも、おれが何もしなければ死んでいた筈の人々を助けたことで、未来は間違いなく変化していく。

 

どんな未来が待っていようが、これからもおれは、背筋伸ばして真っ直ぐに生きてくだけだ。

 

様々なことが可能なオーバーホールの個性を持つ治崎廻の身体に魂を宿して、おれはいつの間にかこの世界に来ていた。

 

身体はともかくとして、このおれの魂だけは、ヴィランのオーバーホール本人のものではない。

 

少女の身体を切り刻み、その身体の一部を素材に作成した弾丸を売り捌いていた外道こそが、治崎廻、ヴィラン名オーバーホールだ。

 

それを知っているから、おれは人の道を外れるようなことは絶対にしないと決めている。

 

個性、オーバーホールが簡単に悪用が可能な力だとしても、使い方次第で、誰かを助けることができる力へと変わるこの個性。

 

だからこそおれは、誰かの為にこの個性を使う時は躊躇わない。




ちなみにシンのヘスティア・ガントレットにもミスリルが使われていたりします
ヘスティア・ガントレットもヘファイストスが作った眷族と共に成長するガントレットですね
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