一目惚れをした。
相手は美の女神フレイヤ、ではなくその隣に居たドワーフにしては背が高い女性。
女性の名前はミアさんというらしい。
「ミアさん」
「なんだい」
「結婚を前提としたお付き合いをしてください!」
「寝言は寝て言いな!」
ぶっとばされた。
腕っぷしが強いところも素敵だミアさん。
その日から、フレイヤ・ファミリアの団長であるミアさんと一緒に居る為に、俺もフレイヤ・ファミリアの一員となり、ミアさんに愛の告白を毎日行う日々を続ける。
女神フレイヤを敬わない俺に良い顔をしないミアさん以外の団員に喧嘩を売られたりしたが、全員返り討ちにして地面にめり込ませておいたので問題はない。
今日も俺はミアさんに愛の言葉を捧げ、ぶっとばされた。
ミアさんの拳が俺の身体で傷付かないように、拳が触れた瞬間に、完全に力の流れに乗って抵抗することなくぶっとばされているので、ミアさんの拳には傷1つない筈だ。
「あんた、なんで無抵抗であたしにぶっとばされてんだい」
抵抗することも避けることもせずに、ただぶっとばされている俺を不思議に思ったのか、そんなことを聞いてきたミアさん。
「ミアさんとの触れ合いを避けるつもりはないからさ!」
笑顔で答えた俺に「あんたは、変わってるね」と言ったミアさんは呆れたような顔をしていたな。
それから幾つもの月日が過ぎても、ミアさんに愛の告白を行うことが日課となっていた俺は今日も、愛の言葉を伝えていく。
「うおおおっ!ミアさん!うおおおっ!」
時おりミアさんへの愛が溢れ過ぎて、言葉にならないこともあったりもしたが、気持ちは伝わった筈だ。
フレイヤ・ファミリアも人数が増えており、ミアさん以外には興味がない俺に喧嘩を売ってくる連中も更に増えてきたが、全員もれなく地面にめり込ませておき、ミアさんへの愛の言葉を考えるのが日常だった。
何故かゼウスやヘラのファミリアの連中にも喧嘩を売られることも増え、返り討ちにして地面と仲良しにしてやっても毎回襲いかかってきたゼウスとヘラのファミリアの連中。
そんなゼウスとヘラのファミリアも黒竜には勝てなかったようで、僅かな生き残りしか残っていなかったゼウスとヘラのファミリア。
その後、フレイヤとロキがゼウスとヘラのファミリアを追い出した結果、治安が悪くなったオラリオ。
フレイヤ・ファミリア団長ではなくなり、ファミリアから半脱退状態になったミアさんがオラリオで始めた酒場に、毎日通っている俺は、今日もミアさんに愛の告白をしていく。
「ミアさん!俺と一緒に幸せな家庭を築きましょう!」
「あんたは黙って酒でも飲んでな!」
愛しのミアさんにそう言われたので黙って酒でも飲んでおいた。
酒も料理も美味しいのは素晴らしいぜミアさん。
愛しのミアさんが営む酒場で飲食するヴァリスを稼ぐ為に毎日ダンジョンに行き、稼ぎまくる日々。
ダンジョン内で襲いかかってきた闇派閥は処理して、放置しておいたが、死体はモンスターが食べるだろう。
ヴァリスを稼いで酒場に行き、ミアさんに愛の告白を行う日々を続けていると、闇派閥が余計なことを始めたので、全員殴り殺しておいた。
アストレア・ファミリアの面々に文句を言われたり、喧嘩を売られたりもしたが、ミアさん以外には興味がないので文句は聞き流し、喧嘩を売ってきた相手は返り討ちにして、今日もミアさんが居る酒場へと俺は向かった。
「ミアさん!俺だ!結婚してくれ!」
「酒飲んで飯食べたら帰んな!」
「そんなつれないミアさんが大好きです!」
何度告白を断られようと、折れることなく俺は愛の告白を続けていく。
愛しのミアさんの酒場に店員が増えていったりもして、過ぎ去る年月。
今日も俺はミアさんに愛の言葉を捧げに、酒場へと向かう。
シルが連れてきた白髪の少年は、間違いなく一目惚れをして恋をしている真っ最中といったところのようだが、彼は剣姫がお好きらしい。
「雑魚じゃあアイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねえ」
ロキ・ファミリアの、守りたかったものを何も守れなかった狼人の言葉を切っ掛けとして、酒場を飛び出して行こうとした少年の肩を掴んで引き止める。
「この店で無銭飲食をすることは、俺が許さん」
「す、すいません!直ぐ支払います!」
慌てた様子で直ぐに飲食した代金を支払った白髪の少年。
逃げようとするなら殴り飛ばして、少年の財布をミアさんに渡していたところだが、ちゃんとヴァリスを支払う気が少年にはあったらしい。
まあ、善良そうな少年ではあるので、狼人の言葉が無ければ、元々ちゃんと代金を支払っていたのだろうな。
それから更に月日が経過して、食い逃げ未遂少年がオラリオで様々な活躍をしたようだった。
珍しくミアさんから頼まれて酒場の店員をダンジョンに探しにいったりもしたが、無事に発見。
そんな出来事があった日も過ぎて、シルが少年にフラれ、正体のフレイヤが強引な手を使って魅了を振り撒いた結果、オラリオに居た者は、ほぼ全員がフレイヤに魅了されてしまったみたいだ。
少年がフレイヤ・ファミリアな訳がないが、魅了により少年がフレイヤ・ファミリアだったということにしたフレイヤは、そこまでして少年を手に入れたいと思ったのだろう。
だが、それは少年の気持ちを無視した行為だ。
どんな手段を使ってでも好きな相手を手に入れたいと思ったとしても、相手の気持ちを無視して行うのは良くないことだな。
相手を好きなら何をしてもいい訳ではない。
フレイヤのやったことは少年の心を傷付ける行為である。
愛しいと思う相手には幸せになってほしいと考えるのが当然だが、フレイヤにとっては違うようだ。
少年が追い詰められる前に、フレイヤ・ファミリアから少年を救出しておくとしよう。
立ち塞がるフレイヤ・ファミリアの面々を地面にめり込ませていき、少年を救出した俺は、魅了されていない女神ヘスティアと協力し、オラリオに広まったフレイヤの魅了を解くことに成功した。
その後、フレイヤ・ファミリアとファミリア連合の戦いがあったが、参加を禁止されてしまう俺。
ミアさんの勇姿を特等席で眺めながら、応援したりもしたが、ミアさん達の勝利で終わり、フレイヤ・ファミリアの敗北が決定。
フレイヤはシルとして酒場の店員に戻り、ミアさんは相変わらず酒場の店主をしている。
いつも通り今日も俺はミアさんへの愛を、酒場で叫ぶ。
「俺はミアさんが大好きだ!」
二つ名が愛の戦士なこの男には【純愛一途】というスキルが発現しています
【純愛一途】は相手への愛が続く限り成長が促進されるスキルとなっており、副次効果で魅了も防げるようになっていますね