今回はシン視点の話になります
書いていたら4900文字ぐらいになりました
今回ではダンまちクインテットが終わらなかったので、次回で終わらせられるように頑張ります
基本的には厳しいがベルくんを大切にする優しさはある義母、孫であるベルくんを可愛がっているがスケベジジイなのは確実な祖父、そんな家族達にベルくんが愛されていたのは間違いない。
ベルくんが英雄となる為に努力を続けている理由の1つは、家族達が生きるこの世界を守る為でもある。
迷宮都市オラリオに来て、新たな家族とも言える女神ヘスティアの眷族となった俺とベルくん。
善良な女神ヘスティアは眷族を大切にする神であり、娯楽を求めて下界に降りてきたにしては、かなりまともな神だ。
俺とベルくんの為に神友の鍛冶神ヘファイストスに頼んで、ベルくんにはナイフ、俺にはガントレットを用意してくれたヘスティアには感謝している。
ギルドの担当アドバイザーのエイナさんも、俺とベルくんのことをとても心配してくれていた。
ギルドの職員としての仕事が無い休日にも、俺とベルくんと一緒にヘファイストス・ファミリアのテナントに行って防具探しに協力してくれたりもするエイナさん。
他のファミリアではあるが俺と同郷の魂を持つ転生者達も、俺とベルくんのことを気にしてくれているようで、此方が困っていたら助けてくれたりもした転生者達。
オラリオに来て、俺とベルくんは出会いには恵まれた。
ソーマ・ファミリアの団長で、転生者なザニスは、ダンジョンの外では俺とベルくんに親身になって接してくれたりもする。
ちなみにダンジョン内では隠れて見守る程度にしてくれているので、ザニスがベルくんの成長の妨げになることはない。
ヴィーザル・ファミリア所属で凄腕の治療師として有名なチサキは、外見がヒロアカのオーバーホールで、個性もヒロアカのオーバーホールであり、魂だけが俺と同郷な存在だった。
物が壊れたりしても、残骸が全て揃っていれば修復が可能なオーバーホールの個性を持つチサキには、度々お世話になることもある。
何処のファミリアにも所属しておらず、神の恩恵すらも授かっていない転生者の金時は、アニポケ世界で目撃した伝説ポケモンと比べても遜色がない程の凄まじい生命力に溢れている不思議な相手。
普段は力仕事系のバイトをしている金時は、生産系ファミリアのデメテル・ファミリアに頼まれて野菜を沢山運んでいることも多い。
そんなデメテル・ファミリアから貰った野菜とかをヘスティア・ファミリアにお裾分けしてくれることもある金時には、ヘスティア・ファミリアの全員が感謝をしていた。
アポロン・ファミリア団長のポイボスも転生者だが、明らかに終末のワルキューレのアポロンの姿をしているアポロンが、ポイボスの主神だ。
アポロン・ファミリアとは、ポイボスよりも神アポロンと接する機会が多く、この前なんて、読めば魔法を発現させるという魔導書を2冊もアポロンからプレゼントされた俺とベルくん。
高いものだと値段が億に到達し、安くとも数千万ヴァリスはする魔導書を2冊もヘスティア・ファミリアにプレゼントしてきたアポロンに、何も感謝しないのは流石にまずいとヘスティアも思ったらしい。
主神のヘスティアが手土産を持ってアポロン・ファミリアのホームにまで行き、直接アポロンに礼を言いに行くことになったりもしたが、疲れた様子で帰ってきたヘスティア。
ちなみにヘスティアはアポロン・ファミリアから帰る時にアポロンに、お土産を渡されていて、かなり高級な茶菓子の詰め合わせと紅茶のセットを土産として持ち帰ってきたりもした。
高級な茶菓子と紅茶はヘスティア・ファミリアの面々で少しずつ消費しているので、いずれ無くなるだろうな。
アポロンからプレゼントされた魔導書を読んでみると、いつの間にか眠ってしまっていた俺とベルくん。
それからヘスティアにステイタスを確認してもらったが、ちゃんと発現していた魔法。
俺の魔法は【スティール・ボール】という無詠唱魔法で、回転する鉄球を作り出して操る魔法だ。
【スティール・ボール】の魔法を使うと、どう見てもスティール・ボール・ランのジャイロが使っていた鉄球にしか見えない物が現れるが、1度に出せる数は2個までらしい。
ベルくんの魔法は速攻魔法【ファイアボルト】で、詠唱することなく魔法名を唱えるだけで魔法を放てるみたいだった。
モンスター相手に俺とベルくんの魔法を試してみることにして、向かったダンジョン。
【スティール・ボール】で作り出された回転する鉄球を投擲すると頭部を貫かれたゴブリンの身体が倒れ、回転しながら戻ってきた鉄球が俺の手に納まる。
精神力を消費して作成する投擲武器といった感じな鉄球は、中々悪くはない。
「【ファイアボルト】」
もう1体のゴブリン相手に掌を向けて、ベルくんが魔法名を唱えると手から放たれたのは、雷のような軌道で飛ぶ炎。
【ファイアボルト】は詠唱が無く、速攻で放てる魔法である為、威力は通常の魔法よりかは劣るが、連射が可能な魔法なのは利点だろう。
初めて使えた魔法に喜んでいたベルくんだったが、今の自分が魔法を使える回数が何回であるのかを確認することも忘れてはいなかった。
新たに魔法が発現したばかりで魔力のステイタスが全く育っていないベルくんでは、魔法を使えるのは数回で限界みたいだ。
それ以上魔法を唱えればマインドダウンとなり、ダンジョンの中で倒れてしまうだろうな。
流石にマインドダウンになるのは避けたいと考えたのか「そろそろ精神力の限界が近そうですからダンジョンを出ましょうシンさん」とベルくんが言ってきた。
ダンジョンを出て魔石を換金し、ヘスティア・ファミリアのホームに戻る為にオラリオを歩いていると、確かに感じた視線。
たまに感じるこの視線は、明らかに俺とベルくんを見ていたりするが、俺達を見ているのは人間では無さそうだ。
視線に気付いているのは俺だけではなく「また見られてますね」と言ったベルくんも、毎回毎回見られていることに気付いている。
毎回同様の視線を向けて来ている相手が、神であるのは間違いなかった。
しかし神に見られているだけでは被害があるとは言えないので、ギルドやガネーシャ・ファミリアなどに報告しても意味は無さそうだ。
アストレア・ファミリアなら話を聞いてくれるかもしれないが、解決できるかはわからない。
気になる視線はあったが、ヘスティア・ファミリアのホームである教会に到着。
この教会は、俺とベルくんがオラリオに来たばかりの頃は廃教会だったが、チサキに協力を頼んで修復してもらったので、今ではもう完全に普通の教会だ。
オーバーホールでの修復ついでに、用意していた資材を使って教会内部には小部屋も作成してもらった。
主神のヘスティアはじゃが丸くんというコロッケに似た食べ物を売る屋台でバイトをしており、たまに売れ残りのじゃが丸くんを持って帰ってくることもある。
ヘスティア・ファミリアの全員で集まって食事をする穏やかな時間。
それもきっと、大切にしておかなければいけないものなのだろう。
日々ダンジョン攻略をベルくんと俺は進めていくが、その日は強い気配を持つ冒険者らしき存在が複数人、上層に留まっていた。
まるで此方を待っているかのように、動かない複数人の気配。
上層の階層を降りて先へと進むなら、必ず通らなくてはいけないルートに陣取っている複数人。
明らかに怪しいが、先に進むにはそのルートを通るしかなかった。
何事もなく通りすぎることができればいいが、と思いながら到着した上層の広間。
そこには、大剣を背負う猪人に槍を持つ猫人、剣を持つ黒妖精と4人組で武器と鎧を装備した小人族、そして檻に入れられた上層には居る筈のないミノタウロスが1体。
檻が開かれて、此方に向かってくるミノタウロスを俺が迎え撃とうとすると、態々ミノタウロスを用意していたファミリアの連中が俺に襲いかかってきた。
これは他派閥による襲撃で間違いないが、明らかに零細ファミリアであるヘスティア・ファミリアを狙う理由がわからないな。
大剣を持つ猪人が1番強く、次点が猫人に黒妖精と続き、小人族の4人は似たような実力だが、連携の練度は高い。
全員が今のベルくんでは間違いなく勝てない第1級冒険者達であるのは間違いなさそうなので、ベルくんが戦い始めたミノタウロスよりかは先に、此方の対処をしておくとしよう。
波紋と波動を込めた一撃を小人族達に叩き込んで気絶させていくと、此方を警戒してきた襲撃者達。
黒妖精の剣は通常の剣とは違っており、斬撃範囲の拡張が出来るみたいだが、目で見ずとも探知を可能とする波動の使い手である俺には通用しない。
斬撃が拡張された範囲を見切り、完全に避けきった俺は、前に出て黒妖精へとガントレットに覆われた拳を打ち込んだ。
波紋と波動を流しやすいヘスティア・ガントレットを用いた波紋と波動を宿す打撃により気を失った黒妖精。
残るは、猪人と猫人だけではあるが、それなりに早い猫人が地を蹴り、突き出してきた槍の穂先の先端に触れたのは、ガントレットに覆われた俺の指先。
指1本に集中した波紋と波動により、槍の先端は指先を貫くことなく止められている。
有り得ないものを見たかのような顔を一瞬した猫人は、槍が全く動かないことを確認すると、激しく舌打ちして此方に蹴りを放ってきた。
槍から指先を放して猫人の蹴りを避けた俺は、猫人の頭部を両手で挟み込み波紋と波動を流し込んで気絶させたが、ちょっと強力過ぎたようで沢山抜けてしまった猫人の頭部の毛。
襲撃者1名の毛が抜けてしまうという事態はあったが、最後に残っているのは猪人だけとなった。
背負っていた大剣を構えた猪人が間合いを詰めて、振り下ろす一撃は凄まじい威力を持つ。
波紋と波動で身体能力が強化されていなければ、受け止められなかった大剣の一撃を白刃取りした俺が、触れている大剣に波紋を流し込もうとした瞬間、大剣を手放した猪人。
波紋を流す前に察知されてしまったが、猪人の野生の勘が、働いたのかもしれない。
素手で此方と戦うつもりなのか、拳を構えた猪人が力強く地を踏み込んで繰り出す連続打撃。
それら全てを弾く波紋で弾きながら、反撃として波紋と波動を宿した拳を猪人へと叩き込んでいき、拳を打ち込んだ顎から頭部へと流し込んだ波紋と波動により頑丈な猪人も気絶。
俺が襲撃者達と戦っている間に、ミノタウロスと戦っていたベルくんは、ボロボロになりながらもミノタウロスを追い詰めていた。
「手伝いは必要か?」
「今回は僕だけで戦わせてください」
「じゃあ、見ておくよ。きみの冒険を」
ミノタウロスとベルくんの激しい戦いを最後まで見届けると決めた俺は地面へと座り、手を出すことはない。
天然武器ではない大剣を振るうミノタウロスへと迫り、大剣を回避しながらヘスティア・ナイフを振るうベルくん。
恐怖を我が物として前に出て、ミノタウロスの攻撃を寸分で見切り、ベルくんはヘスティア・ナイフで大剣を持つミノタウロスの手首を素早く斬りつけていく。
半ばまで断たれたミノタウロスの手首は握る力が弱まり、振るう大剣の威力も下がった。
握る大剣が重荷になったのかベルくんへと、大剣を投げつけたミノタウロス。
飛んでくる大剣を潜り抜けたベルくんへと、ミノタウロスが見せる突撃体勢。
そのまま突撃してきたミノタウロスの頭部へと飛び乗り、ヘスティア・ナイフを突き刺して、ベルくんが連続で放った【ファイアボルト】により、ミノタウロスは倒された。
マインドゼロとなっていたベルくんをダンジョンの外まで運ぶ前に、ミノタウロスから魔石を抜き取っておくと、ドロップアイテムとして残ったミノタウロスの角。
魔石と角をバックパックに入れておき、ベルくんを背負ってダンジョンを出ると、ヘスティア・ファミリアのホームへと続く道を歩いていく。
まだ目覚めることのないベルくんが今日、冒険者として行った冒険を思い出しながら歩き続けた。
英雄を目指すベルくんが立派になるまでは一緒にいるつもりだが、俺の役目が終わるのもそう遠くはないかもしれない。
ただ今は、英雄でも何でもない俺達の帰りを待つ神様が居るホームへと帰ろう。
「おかえり」と言ってくれる家族が居る、ヘスティア・ファミリアのホームこそが、今の俺達が帰るべき場所だ。
ちなみに頭髪が抜けまくったアレンは、頭にバンダナを巻いて生活していますね
小人4兄弟に毛抜け猫扱いされて喧嘩したりもしたようです