とりあえずダンまちトリオは、これで完結となります
【異界記憶】を得たジーンはLv8にランクアップしてから、黒竜というモンスターについての情報を集め始めるようになったが、黒竜が竜の谷に封印されていることを知り、討伐に向かうつもりなのか様々な武器や魔剣を用意していた。
完全に1人で向かうつもりなのか、私とゲドには相談もしないで、ひたすらに武器と魔剣を打つジーン。
「1人より2人の方が、勝てる確率も上がりそうだと思うけど」
そう言いながらジーンに自分も連れていくように伝えたゲド。
それなら2人よりも3人居れば更に勝てる確率は上がると思いますし、ジーン1人じゃ行かせませんよ、と続けて言った私。
「黒竜は、他の黒いモンスターと比べても別格だ。異界の記憶だが、俺は黒竜と戦った記憶がある。死んでもおかしくはない戦いだったが、世界が滅ぼされる前に、黒竜は倒さなければいけない」
鎚を打つ手を止めて、穏やかな声で黒竜について語ったジーンは、黒竜を倒す為に覚悟を決めているようだ。
たとえ自分自身が死んだとしても黒竜を倒そうとしている今のジーンは危うい。
命懸けで黒竜と戦おうとしているジーンだけを1人で行かせる訳にはいかないな。
多少強引にでもジーンに着いていくと決めた私とゲドは、竜の谷へ向かうジーンに同行することを決めて、旅支度と装備を整えた。
ベルくんとウィーネにはホームでの留守番を任せて、ちゃんと帰ってくると約束した私達。
様々な魔法を装填可能な装填魔剣の改良型で、外見はリボルバーのガンブレードのようになった6連装填魔剣は、引き金を弾く度に回転する弾装に装填された魔法を6回まで使えるようになっている。
ジーンの全治魔法や超絶強化魔法に、春姫さんの階位昇華魔法、ウィーネの飛翔魔法などが装填されている6連装填魔剣。
ゲドの魔法でオラリオを出た私達は、竜の谷へと向かう旅をした。
Lvの高い冒険者である私達の移動速度は、かなりのもので、疲労を感じてきたらゲドが作成してくれたエナジーポーションを飲んで疲労を吹き飛ばし、高速で移動。
エナジーポーションを活用して走り続けた結果、2週間もしない内に竜の谷へと到着した全員。
まずは1日身体を休めてから、竜の谷へと向かった私達は、黒竜が封印されている場所まで移動する道中で襲いかかってきた竜を倒しながら進んだ。
到着した黒竜の封印されている場所には、明らかに格が違う黒い竜が眠っているが、封印は壊れかけていて、いつ黒竜が解き放たれてもおかしくはない。
この封印は、もう持ちそうにないなと考えていると、隻眼の黒竜が片方しかない目を開いて咆哮を上げた瞬間に、完全に破壊された封印。
此方を見据える黒竜が口端ら火を漏らしながら、牙を生やした大口を開いた瞬間に放たれた火炎弾。
2人とも、私の後ろに、と言った私はマントを翻し、放たれた黒竜の火炎弾を【反射外套】のスキルで反射を付与したマントで跳ね返す。
跳ね返った巨大な火炎弾が黒竜に直撃したが、黒竜には傷1つ無い。
とはいえ火炎弾が跳ね返されたことには驚いていた様子の黒竜。
その隙に迷わず2本の6連装填魔剣を使った私達は、ジーンの超絶強化魔法と春姫さんの階位昇華魔法をそれぞれ6回使用し、凄まじく強化された上に6回ランクアップした状態となった全員。
竜殺しの属性を宿した完全不壊の剣を装備している私達は、黒竜へと突撃。
一時的なランクアップだとしてもLv14が2人に、Lv16が1人と、とんでもないことになっていた私達の戦力。
ジーンの大剣が叩きつけられる度に抉れていく黒竜の鱗や肉が飛び散り、ゲドの双剣が黒竜の全身を斬り刻んでいき、スキルにより斬撃の範囲を広げた私の剣が黒竜の翼を斬り落とす。
黒竜を斬り裂く竜殺しの属性を宿した剣の数々が黒竜を削っていくが、反撃を行ってきた黒竜の激しい攻撃。
Lvが10を遥かに越えていなければ致命傷になっていたかもしれないが、それでも私達は生きている。
放たれる火炎は全て私が跳ね返し、誰かが黒竜の攻撃で傷を負えば、装填されたジーンの全治魔法で全て治して直ぐ様戦線に復帰。
それでも身体を再生する黒竜を倒すには決め手となるものが足りていない。
「ジーン、モビタ、お前達のスキルと魔法を使え!」
そう言って単身で黒竜と戦い始めたゲドは、様々なスキルを活用しながら、黒竜と一進一退の攻防を始めた。
迷わず大剣を構えたジーンは【英雄練鉄】のスキルを発動し、蓄力を開始。
私は私で、3つ目の魔法を使う為の詠唱を開始していくことにした。
「【繋いだ絆が力となる】【結びし縁が輝きを放つ】【我が友よ、力を貸してくれ】【今此処に親しき友の力を束ねる】」
無詠唱魔法【ガンスミス】や【ストリングビーム】とは違って、詠唱が必要な3番目の魔法。
「【我等の友情は不滅】【世界を越えて】【時を越えて】【出会った我等は友であり続ける】【真の友よ】【親しき友よ】【我等の友情を此処に形と成す】」
友人であるジーンとゲドを大切に思っていることがバレてしまうこの詠唱は、ちょっと恥ずかしいが、今は照れている場合ではない。
激しい練鉄の音が鳴り響き、蓄力が完了したジーンが疾走し、黒竜へと叩きつけた大剣。
ジーンの一撃で、半壊と言える程度には破壊された黒竜の身体は、そう簡単には再生しない。
動けない黒竜へと魔法を叩き込んでやるとしよう。
此方も全ての詠唱が完了したので、後は魔法名を唱えるだけだ。
「【フィリア・テレカ】!」
魔法名を唱えた瞬間、虹色に輝くカードが私の手の中に出現。
ジーンとゲドの手元にも出現している虹色のカードを全員が掲げた瞬間に、2人のカードから飛んできた光が私のカードへと集約されていく。
私の3番目の魔法、友情奇跡魔法【フィリア・テレカ】は、まるでドラえもんズの親友テレカのように、友人との友情の度合いによって効果を増す魔法だ。
凄まじく高まった友情により奇跡を起こす魔法である【フィリア・テレカ】によって形成されて、私の腕に装着された光輝く巨大な空気砲。
身の丈以上の大きさではあるが、重さは感じないそれで狙うのは当然の如く黒竜。
放たれた砲撃が黒竜の身体を消し去っていき、魔石すらも完全に破壊したようで、灰となっていった黒竜の身体。
黒竜のドロップアイテムが残っていたりもしたが、ゲドの【リトルフィート】で縮小されて回収された鱗に甲殻の数々。
その後、ゲドの魔法で、一気にオラリオにあるヘスティア・ファミリアのホームにまで戻ってきた私達。
黒竜を倒したことで黒竜に世界が滅ぼされることが無くなって安心したのか、ジーンの切羽詰まっていた様子も、ようやく落ち着いたみたいだ。
「何しに出かけてたんですか?」
私達が黒竜を倒しにいったとは知らないベルくんが、そんなことを聞いてきたので、私達は口を開く。
「「「ちょっと世界を救ってきた」」」
声を揃えてそう言った私達に物凄く驚いていたベルくん。
「いや本当に何があったんですか!?」
何も知らないベルくんは気になって仕方ないようで、何度も私達に何があったのか聞いてきた。
「「「それは秘密です」」」
それだけ言ってベルくんには何も教えない私達。
そうやってベルくんをからかい過ぎてヘスティア様に怒られたりしながらも、ヘスティア・ファミリアには今日も笑顔があった。
守り、育てると決めたベルくんが、これからも生きていくこの世界を守れたのなら良かったとは思えるな。
まあ、何があろうと私達は、この世界で頑張って生きていくだけだ。
大切な友人、守るべき家族、そんな彼等と一緒に生きていけるなら、今生の人生もきっと悪くはない。
そう考えて私は、笑った。
ダンまちトリオだと黒竜の封印には限界が来ていたので、モビタ達が竜の谷に討伐に向かわなければ、黒竜がオラリオにまで来ていたかもしれません
ちなみにモビタの3番目の魔法【フィリア・テレカ】はダンまちトリオでしか発現しない魔法になります
今後もモビタとジーンにゲドの3人は、ダンまちの世界で仲良く生きていくでしょうね
最後まで読んでくださってありがとうございました