ノゾミが先生と一緒になりたいがためにヤンデレになっちゃいますー。

※pixivの方に上げたものの転載です。

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第1話

「えっと……おつかれ…さま…」

 

日も少し傾いた頃、自分のデスクに戻ると珍しくしおらしい雰囲気のノゾミがいた。

 

「ん?大丈夫?どっか調子悪いとかあるのか?」

 

「えっ!?いやっ…いつも通りだけど?それより、ヒカリへの告白、どうだったどうだった〜?」

 

「いや、別に…私の想いをそのままぶつけてきたよ。返事はヒカリのことも考えて、明日もらうことにしたよ。」

 

「ひゅー!付き合えるといいねぇ!」

 

ノゾミは珍しく馬鹿にする様子もなく明るく盛り上げてくれた。ヒカリという身近な存在の恋愛事情だからノゾミ自身も喜んでいるのか、それとも……

 

「…でも、先生達は付き合うよ。だってヒカリも先生のこと好きだから…」

 

ふと、ノゾミがポツリと溢す。しかし、私はその言葉を信じられなかった。だってヒカリは私に対して、そんな素振りは見せていなかった…というかあの子は周りに自分の心のうちをあまり見せるような素振りはしていなかったからだ。

 

「全く、、、冗談も程々に…」

 

「え!?知らないで告白したの?先生鈍すぎ笑」

 

「先生が、ヒカリのことを色々聞いてきた時にはヒカリは私に先生のことが好きって相談してたよー?」

 

ノゾミは得意げに言った。私は口を閉ざす。

 

「だから、すごく大変だったんだよ?先生とヒカリの2人から相談されてて、早く結婚しろ〜って笑」

 

「え…そうだったのか?申し訳ないことしちゃったな…ごめん」

 

と私は深々と頭を下げる。

 

「いや、いいっていいって!気にしてないし笑というかおめでと!…………確かにおめでたいけど……今謝るくらいなら…さ…して欲しかったな…」

 

「ん?なんか言った?」

 

「は?何も言ってないけど?はぁ…『先生が落ち込んでいないかなー』って心配した私が馬鹿らしっ…じゃ帰るね。バイバ〜イ」

 

ノゾミはそう言うとそそくさと部屋から出ていった。普段ならばもっと馬鹿にしてくるような言動をする筈だが何かがおかしい…きっとなにかあったに違いない。私は先生であり生徒の小さな変化を見逃すなんてことは許されない。私で良ければ力になりたいと思いノゾミには悪いと思ったが跡をつけることにした。

 

 

少し歩いて、ノゾミが向かったのは屋上。太陽は半分しか顔を出しておらず、1番星が煌めきだしているのがわかる。彼女の瞳には沈みかけている夕日が綺麗に映っている。その瞳の美しさはヒカリにも通ずるところがあり、やはり双子なのだと実感できる。

 

どのくらいの時間が経ったのだろうか。太陽が完全に沈みきった頃、ふとノゾミの手が上を向いた。顔の辺りで一回手が止まった後、手はまた上に向かう。その手はフェンスの上部まで届き、フェンスを掴んで乗り上げようと体を浮かせた。私は急いで物陰から飛び出してフェンスの上にあるノゾミの手を引っ張ってそれを阻止した。

 

「んんっ………先生、やっぱり居るよね。よかった。」

 

ノゾミは目には涙を浮かべているが、その奥には嬉しさも混じっている様な、そんな顔をしていた。

 

「こういうことには敏感なのに、なんで…」

 

「ノゾミ!何をしてるんだ!!」

 

「私、先生のこと大好き。」

 

「えっ?」

 

唐突の告白に頭が真っ白になる。飛び降りようとしたのに急に告白?何を考えているのかを理解するのは非常に難解だった。しかし、この正面からくるこの感じ…おちょくっているなどということはないのは分かった。

 

「え、でもなんで…」

 

「だって、ヒカリと私は双子なんだもん…2人で同じ時間を過ごしていれば好きになる人は同じになっちゃうよ…気づいてよ…バカ…」

 

ノゾミの目からはもっと涙が溢れてくる。

 

「告白は遅らせたかった、しないでもらえるかもなんて期待してた。でも、2人は確かに近づいているし…私はいらない女の子になって…」

 

「ノゾミ…そんなこと…」

 

「私、少し考えたんだよ?どうやったら立ち直れるのかって。でも無理!無理無理!先生が付き合っちゃうのヤダヤダ!!」

 

ノゾミは帽子さえも飛んでいってしまうほど首をブンブン振っている。

 

「まだヒカリから返事もらってないよね!?だったら私と付き合お!お願い!お願い!お願い…だから…さ……そう…だよね…無理だよね。」

 

「ノゾミは、不器用な所があるけど優しいから私以上にいい男性にこれからも出会えるよ…きっと」

 

「いらない…上っ面だけの慰めはいらない!私は先生がいいの!だからこの手を離してっ!」

 

「離さないって!絶対!」

 

ノゾミはか細い腕をブンブン振り回しているが、私の腕を振り払えるほどの力はないのは目に見えてわかっている。が、この状況を力でやり過ごすのは意味がないということも明らかだった。

 

「じゃあ決めさせてあげる!私と付き合ってくれるなら飛び降りるのはやめてあげる!私じゃなくてヒカリと付き合うならこの手を離してっ!そのまま飛び降りてぐちゃぐちゃになった私の姿を先生に一生覚えていてほしい!そしてヒカリと出会うたびに私を思い出してよ!」

 

「そんなこと…」

 

自分は手を離した未来と離さない未来を考えた…これからも3人で、生きていきたいのは事実だが、ヒカリのことが好きなのもまた事実……しかし私は一個人の前に先生である。4のうとしている生徒の手を離すことなんて…そんなことが出来るわけない。

 

「…そうだよね。先生は優しいからこの手、離せないよね。先生のこと、私は信頼しているよ?」

 

 

「だから最後にもう一度聞くよ…先生、私を彼女にして?」


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