しがないゲヘナ生の美食追求譚   作:アカドラゴン

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処女作です。
文章力はこれから向上させていきます。


プロローグ
鯛焼きはあなたと共に


「試験始め!」

 

試験官の合図と共に周囲からペンを走らせる音が忙しなく響く。

 

ここはミレニアムサイエンススクール。

巨大な学園都市•キヴォトスの中でもトップクラスの科学技術を誇り、研究機関として多大な実績を持つエリート校だ。

 

そして俺は今、新たなミレニアム生を決める場で戦っている───にも関わらず、俺のペンは止まっていた。

極度の緊張感による硬直と、これまでの努力が水の泡になりかねない重圧に呑まれ、頭の中が真っ白になってしまったのである。

 

 

 

────この日、俺•新谷ユウタは数学の答案用紙を白紙で提出した。

 

 

 

「でさー、私力学の問題全部わかんなくてー」

 

「うっそ!?あそこ配点めちゃくちゃ高いよ!」

 

試験が終了し、周囲の受験生は同じ中学であろう友人と共に帰ったり、早速自己採点を行ったりしている。

 

そんな雰囲気の中、俺を含め、不合格が決した人間はどんよりとした空気を醸し出していた。

無理もない。受験に向けて努力してきた日々がたった一度の試験で無駄になったのだ。

 

ミレニアムサイエンススクールの一般入学試験は全部で5科目、物理(計200)•化学(計200)•国語(計100)•英語(計100)•数学(計300)の合計900点満点。そのうちの300点を落とし、国語と英語においては全く自信が無い俺にとって、合格の可能性は絶望的である。

 

よりによってなんで一限目が数学だったんだろう。二限目以降はなんとかペンを動かすことができたが、一限目は試験時間すべてを浪費してしまった。

 

「もう、帰ろう」

 

 

 

 

 

「くそっっっ!!!!なんでなんでなんでッ!!」

 

地面に拳を叩きつけるが、頑丈な体に生まれてしまったせいで傷は付かない。ただ、涙だけが灰色のコンクリートを濃くしていた。

 

昔からだ。

俺は普通の人より鈍臭くて。

普通の人より要領が悪くて。

慢心で。傲慢で。怠惰で。

 

だけど勉強だけは誰よりも頑張っていた。

 

暇さえあればペンを動かしていた。

 

中学の成績表では学年トップ。憧れのミレニアムに通えると、本気で思っていた。

 

でも、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

          「努力に裏切られた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、そんなに地面を叩いては幾らキヴォトス人でも血が出てしまいますよ?」

 

顔を上げると、そこには端正な顔立ちをした美少女が居た。

雪のように白い肌、透き通った赤い瞳、そこはかとなく漂う気品。よく見れば尻尾と羽もある。

 

「やはりここの鯛焼きは絶品ですわね。ミレニアムの科学技術を存分に活かした調理法で作られたこの品はもはや芸術。遠出した甲斐がありましたわ!」

 

よく見ると、少女は厚い紙袋を手にして、片方の手で鯛焼きを頬張っている。

 

「あなたも御一ついかが?辛い時や悲しい時、自分の心の隙間を埋めてくれるのは”食”ですわ。」

 

少女から鯛焼きを手渡される。

普段の俺なら見知らぬ人から物を貰うことに対して敬遠していたかもしれない。

でも、この時だけは自然と受け取ってしまった。

 

尻尾から一口頬張ると、餡子の甘味が疲れ切った脳を癒してくれる。よく見ると餡子は尻尾までぎっしり詰まっている。

 

「あら、あなたも尻尾から食べるのがお好きで?良質な鯛焼きはどちらから食べても餡子がぎっしりと詰まっていますからね。」

 

少女は俺に対して嬉しそうにはにかんでくる。

 

「なんで…見ず知らずの俺に優しくしてくれるんですか?」

 

恐る恐る話しかけた途端、少女は当然かのように応える。

 

 

 

 

「食事は、一人よりも誰かと食べた方がより楽しめるのですよ?」

 

 

 

 

 

ああ、この人は本当に食べることが好きなんだな。

 

 

俺は少女に微笑み返すと、豪快に鯛焼きを頬張った。

 




プロローグ編のユウタ君は不合格を引き摺っているせいで基本的に元気が無いです。
誤字•脱字等あればご報告下さい。
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