薄茶の前髪センター分けのショートボブが特徴的の少女が尊に声をかけてきた。
「あれ、奥村さん」
「庭瀬くん。こんにちは」
「どもっす。…どうしてここに?」
「庭瀬くんのおうち、農業もしてるって聞いて」
尊は初対面であるが、春の名前を知っていた。蓮から新しく仲間に加わわった春のことを聞いていたからだ。春も同様に蓮から尊について聞いており、顔写真も見たので声をかけることができた。
「あー....それじゃ行きます?ちょうど作業中かな」
その時,身なりのいい男が現れて春の腕を掴んだ。
「.........春!誰だその男は!」
「ちょいちょい。春さん嫌がってるじゃんよ」
「僕は杉村。春のフィアンセだ。....君こそなんだ?」
杉村を名乗る男は尊を睨んでいた。とその時
「しつこいっ!」
「なっ!?」
春が男の手を振り払う。
「婚約はすでに破棄されたんです!もう関わらないで!」
「破棄だと!?そんなもの認めないぞ!あのせいでどれだけの屈辱を味わったか!父に言ったらどうなるかな?オクムラフーズの不祥事を世に放出してやる!二度と日の下を歩けなくして僕の家に永遠に閉じ込めて遊んでやるよ。壊れるまでなぁ!」
「オニーサン、ニュース見た方がいいよぉ〜」
「ん?なあっ!?」
スマホを見せられ,それを見ると緊急ニュースが流れており、杉村の父親が収賄等で逮捕されたと報じられた。
「もう親の力使えないね。」
「貴様ァァァァ!!!」
「お待ちなさい」
文が駆けつける。
「なんだ!お前が春の代わりになってくれるのか?丁度メイド服だし」
「あなたのような下衆、相手をする価値もない」
そして文は杉村をキッと睨みつけると強烈な上段回し蹴りを叩き込み、うずくまったところでかかと落としを浴びせて昏倒させてしまった。そして気絶した杉村を養豚場の豚を見るような目で見下ろす。
「文さんの目.....養豚場のブタか汚物を見る時のような冷たい目だ....残酷な目だ.......」
「...文さんって、お強いんですね」
春の言葉に元の清楚でにこやかな顔つきに戻り
「若様を守るため、私も鍛えているのです。この男は…そうですね、豪海一家にも預けましょう。ベーリング海に出るとのことで、長期航海で人手が必要そうでしたし」
と答えた。杉村を文と彼女が招集した組の若いのに任せ、尊と春は畑を眺める。
そこに、入れ違いで蓮、春、真、竜司、祐介、双葉が駆けつける。
「春!」
「マコちゃん。みんなも」
「大丈夫!?酷いことされてない?」
「アイツまだ春のこと狙ってんのかよ」
「大丈夫、尊くんが助けてくれたの」
蓮が代表して礼を言う。
「そうか。尊、ありがとう」
「いえいえ〜。深見組が悪徳政治家の黒い情報を掴んだって報告してたけど、まさか杉村の親父さんだったとはな」
「獅童以外にもいるんだよなぁ、悪い政治家」
「む!?これは、トマトか」
祐介がいつの間にかトマトを手に取っていた。
「ちょっと!勝手に取ったらダメでしょ」
「野菜ドロボーだぞ!おイナリ!埋められて肥料にされちまうぞ!」
真と双葉が祐介を止めようとするが尊は笑って許した。
「いいよいいよ。組の奴らには話つけとくし。みんなも食ってく?新鮮よ?」
蓮たちは採れたて新鮮なトマトを味わった…
「うまっ!」
「な、なんだよこれ!チートトマトだろ!」
「何個でもいけるぞ!」
「ウソ、トマトってこんなに美味しいの!?」
「スーパーで見たトマトよりも瑞々しいわ…」
皆絶賛してくれていた。その時。ゆかりが尊の背後に現れた。
「あなた、また女の子に優しくしたわね?」
「あ、ゆかりさん…ごきげんよ」
「逃すと思って?」
「うわなにをするやめ」
尊は引きずられ連行されるのだった........
「尊くんがフィアンセだったら良いのにな」
春の尊を見る表情が変わった.....?